ダイセルは、日本を代表する化学メーカーであり、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学を基盤とした技術力で知られています。その事業は化学製品から自動車関連部品、メディカル・ヘルスケア製品にまで及び、国内外での存在感を高めています。特に海外売上比率が6割を超えるなど、グローバル市場においても競争力を発揮しています。
有価証券報告書によれば、2024年3月期のダイセルの平均年収は814万円と、日本国内の平均を大きく上回っています。本記事では、ダイセルの平均年収や役職別・年齢別の年収データ、充実した福利厚生の内容、さらには転職難易度について詳しく解説します。
ダイセルの会社概要
ダイセルは、日本有数の化学メーカーとして、国内外で事業を展開する企業です。セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術とし、多岐にわたる製品群を提供しています。主力事業として、医薬品や化粧品原料を扱うメディカル・ヘルスケア事業、自動車エアバッグ用インフレータを製造するセイフティ事業、エンジニアリングプラスチックの製造・販売などがあります。また、環境に配慮した素材開発にも注力し、次世代の持続可能な社会の実現に貢献しています。
大阪本社は大阪市北区、東京本社は東京都港区港南に位置し、資本金は362億7,544万円です。同社の海外売上比率は6割を超え、グローバル展開においても高い競争力を持っています。
ダイセルの平均年収はどのぐらい？
ダイセルの2024年3月期における平均年収は814万円で、平均年齢は42.1歳です（有価証券報告書より）。この数字は日本の平均年収である461万円を大きく上回り、化学業界の中でも高水準であることがわかります。また、安定した給与体系に加えて、社員の努力や成果に応じた賞与が支給される仕組みとなっており、キャリアアップに対するモチベーションを高める環境が整っています。
年度別の平均年収推移
以下は、ダイセルの過去5年間の平均年収と平均年齢を示したデータです。
| 年度 | 平均年収 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 2024年3月期 | 814万円 | 42.1歳 |
| 2023年3月期 | 796万円 | 42.0歳 |
| 2022年3月期 | 739万円 | 41.9歳 |
| 2021年3月期 | 715万円 | 41.8歳 |
| 2020年3月期 | 743万円 | 41.3歳 |
近年の推移を見ると、安定した上昇傾向にあり、同社の成長が年収にも反映されていることがわかります。
他企業との比較データ
化学業界における競合他社との比較では、ダイセルの平均年収は業界内で上位に位置しています。以下は、主要化学メーカーとの平均年収比較です。
| 企業名 | 平均年収 | 出典 |
|---|---|---|
| 日産化学 | 844万円 | 2024年3月期決算 |
| 日本触媒 | 818万円 | 2024年3月期決算 |
| ダイセル | 814万円 | 2024年3月期決算 |
| カネカ | 797万円 | 2024年3月期決算 |
| クラレ | 784万円 | 2023年12月期決算 |
ダイセルの年収水準は、日産化学や日本触媒に次ぐ位置にあり、化学業界の中でも競争力の高い水準にあることが確認できます。
ダイセルの役職別年収データ
ダイセルでは、役職ごとに明確な年収体系が設けられており、昇進による年収アップが期待できます。同社では「役職なし」「主任」「係長」「課長代理」「課長」「部長」という順番で昇進が行われます。それぞれの役職に応じた年収水準は以下の通りです。
| 役職 | 推定年次 | 推定年収 |
|---|---|---|
| 役職なし | 入社1～4年目 | 400万～500万円 |
| 主任 | 入社5～9年目 | 550万～650万円 |
| 係長 | 入社10～14年目 | 700万～800万円 |
| 課長代理 | 入社15年目以降 | 850万～900万円 |
| 課長 | 入社20年目以降 | 900万～1,000万円 |
| 部長 | 評価次第 | 1,000万円以上 |
昇進には一定の試験や評価が必要ですが、能力次第では若手でも早期昇進が可能です。また、評価制度は相対評価が中心で、上長との面談を通じて成果がしっかりと評価される仕組みが整っています。
ダイセルでは役職ごとに与えられる責任と業務内容が明確であり、それが年収にも反映されています。特に部長クラスになると年収は1,000万円を超え、マネジメント職としての報酬が充実している点が特徴です。
ダイセルの年齢別年収推移
ダイセルでは、年齢に応じた年収の推移が見られます。昇進スピードや残業時間、評価制度に影響されるため個人差はありますが、平均的な年齢別年収の推移は以下のようになります。
| 年齢 | 推定年収 |
|---|---|
| 25歳 | 450万～500万円 |
| 30歳 | 600万～650万円 |
| 35歳 | 700万～750万円 |
| 40歳 | 850万～900万円 |
| 45歳 | 1,000万円以上 |
| 50歳 | 1,200万円以上 |
若手社員の段階では業界平均よりも高い給与水準となっており、特に30代以降の年収の伸びが顕著です。40歳を超えると役職に就く割合が増え、年収1,000万円を超える社員も多く見られるようになります。50歳を超えるとマネジメント職の割合が高まり、さらなる収入アップが期待できます。
ダイセルの福利厚生
ダイセルは、社員が安心して働ける環境を提供するため、充実した福利厚生制度を整えています。公式に発表されている福利厚生の主な内容は以下の通りです。
福利厚生内容
- 住居支援: 社宅制度や住宅補助があり、転勤者には特別な支援が提供されます。
- 健康管理: 定期健康診断や人間ドックの補助、ストレスチェック制度など、社員の健康を維持するための取り組みが行われています。
- 育児・介護支援: 育児休業や介護休業制度、ベビーシッター補助金制度を導入しており、子育て世代や介護を担う社員を支援しています。
- 教育支援: 資格取得支援や外部研修費用の補助など、キャリア形成を支援する制度が整っています。
- 社員持株会: ダイセルグループ従業員持株会を通じて、財産形成の一助を提供しています。
福利厚生の実績
2022年度には、延べ101名の社員が企業主導型ベビーシッター派遣事業を利用するなど、実際に多くの社員がこれらの制度を活用しています。こうした福利厚生制度は、社員の仕事と生活のバランスを保ち、長期的なキャリア形成を支える重要な要素となっています。
ダイセルの転職難易度は？
ダイセルは高い年収水準と充実した福利厚生、グローバルな事業展開が魅力で、転職市場でも非常に人気の高い企業です。特に技術職や専門職での採用が多く、これらのポジションに応募するには業界での実績や高いスキルが求められます。
選考フローとポイント
ダイセルの中途採用の選考フローは、一般的に以下の通りです。
- 書類選考
- 一次面接（担当者レベル）
- 二次面接（部門長または管理職レベル）
- 最終面接（役員レベル）
選考では、化学分野における知識や経験、またはグローバル展開を視野に入れた適応力が重視されます。転職成功のポイントとしては、自身のスキルがダイセルの事業内容や目標にどのように貢献できるかを明確に伝えることが挙げられます。
転職難易度は比較的高いものの、20代や第二新卒でも挑戦可能なポジションがあるため、キャリア形成を考えている方にはおすすめの企業です。
まとめ
ダイセルは、業界内でも高い年収水準と充実した福利厚生を提供する日本有数の化学メーカーです。役職別・年齢別のデータを見ると、安定した収入を得ながらキャリアを築くことができる環境が整っています。また、海外展開の比率が高く、グローバルに活躍したい方にとっても魅力的な企業です。
転職市場でも高い人気を誇るダイセルですが、選考準備をしっかりと行うことでチャンスを掴むことができます。本記事が、ダイセルでのキャリア形成を目指す方の参考になれば幸いです。
