京セラ株式会社（以下、京セラ）は京都府京都市に本社を置く大手電子部品・電気機器メーカーとして、国内外で高い評価を得ています。転職を検討する方にとって、企業の福利厚生制度は重要な判断材料の一つです。京セラは「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念のもと、従業員が安心して働ける環境づくりに積極的に取り組んでいます。

本記事では、京セラの福利厚生制度について詳しく解説し、住宅手当や休暇制度、退職金制度など、転職検討者が気になるポイントを網羅的にご紹介します。京セラへの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

京セラの会社概要

京セラは1959年に稲盛和夫氏によって創業された、日本を代表する総合技術メーカーです。ファインセラミック技術を基盤として、電子部品から情報通信機器、環境・エネルギー関連製品まで幅広い事業を展開しています。連結売上高は約2兆145億円（2025年3月期）を誇り、グローバルに展開する大企業として安定した経営基盤を築いています。

京セラの基本情報

項目	詳細
会社名	京セラ株式会社（KYOCERA Corporation）
本社所在地	京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
設立年	1959年4月1日
業種	電子部品・電気機器製造業
事業内容	電子部品、情報通信機器、ドキュメントソリューション、産業機械工具等の製造・販売
上場市場	東京証券取引所プライム市場
連結売上高	2兆145億円（2025年3月期）
グループ従業員数	77,136名（2025年3月31日現在）

京セラの事業は大きく「コアコンポーネント」「ソリューション」「その他の事業」の3つのセグメントに分かれています。コアコンポーネント事業では、産業・車載用部品や半導体関連部品、電子部品を製造・販売しており、全体の売上高の46.5%を占めています。ソリューション事業では、機械工具、ドキュメントソリューション、コミュニケーション関連事業を展開し、売上高の55.2%を担っています。世界30カ国に289社のグループ会社を有し、地域別売上構成では海外比率が71.0%に達するなど、真のグローバル企業として成長を続けています。

京セラの福利厚生制度の特徴

京セラの福利厚生制度は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念を具現化したものです。従業員一人ひとりが安心して働き、成長できる環境を提供するため、住宅支援から健康管理、教育支援まで幅広い制度を整備しています。特に注目すべきは、ライフステージに応じた柔軟な働き方を支援する制度の充実です。

住宅関連制度

京セラの住宅関連制度は、従業員の住環境を支援する重要な福利厚生の一つです。都市勤務者住宅補助手当制度では、都市部にある事業所に勤務する従業員を対象に、地方事業所勤務者との住居費負担格差を補填するための手当を支給しています。支給対象は拠点によって異なりますが、口コミ情報によると都市部勤務者に対して月額2万5千円程度の住宅手当が支給されているとの情報があります。

社宅・寮制度では、転勤や新卒入社などの場合に、会社が所有または借り上げる物件を安価な使用料で利用できます。独身寮については、月額4千円程度という格安で利用でき、新入社員から5年間入寮可能となっています。借り上げ社宅制度もあり、口コミによると月額5万円程度の補助が受けられるケースもあります。ただし、地方の工場勤務などでは住宅手当が支給されない場合もあり、勤務地によって制度の適用が異なる点に注意が必要です。

健康・医療関連制度

京セラは従業員の健康管理に力を入れており、充実した健康・医療関連制度を提供しています。正社員は毎年人間ドックを受診することができ、契約社員は健康診断を受けることができます。雇用形態によって利用できる制度が一部異なりますが、基本的な健康管理サポートは整備されています。

健康保険制度では、京セラ健康保険組合による手厚い保障を受けることができます。従業員の口コミによると、社内の保険制度を利用することで一般的な保険料よりもかなり安く抑えることができるとの評価があります。また、福利厚生サービスとしてRELO CLUBに加入しており、映画チケットやホテル宿泊などを格安で利用できる機会が年に数回提供されています。

休暇・働き方制度

京セラは従業員のワークライフバランスを重視し、多様な休暇制度を整備しています。特に注目すべきは5日連続休暇制度で、全社平均取得率88.7%（2024年度実績）という高い実績を誇ります。この制度は有給休暇の5日連続取得を促進するもので、会社所定休日と組み合わせることで9～11連休の設定も可能です。

リフレッシュ休暇制度では、勤続5年、10年、15年などの長年勤続者に対して3日連続の休暇取得を促進しており、全社平均取得率は81.0%（2024年度実績）となっています。5日連続休暇と合わせて取得することも可能で、長期休暇でのリフレッシュを支援しています。また、半日有給休暇や時間単位有給休暇（1回7時間/年間40時間を上限）など、柔軟な休暇取得制度も整備されています。

教育・研修制度

京セラでは従業員の成長とキャリア開発を支援する教育・研修制度を充実させています。公式データとしては具体的な研修プログラムの詳細は非開示となっていますが、従業員の口コミによると、通信教育による学習支援があり、業務ごとに多数の選択項目が用意されているとの情報があります。また、若い世代を対象とした海外語学研修制度も提供されており、30歳半ば以降でも語学研修にチャレンジできる環境が整備されています。

京セラの各種手当・補助制度

京セラでは従業員の生活を支援する各種手当・補助制度を充実させています。都市勤務者住宅補助手当をはじめ、家族支援手当、研究開発者手当など、勤務地や職種、家族構成に応じた手当制度を設けています。

制度・手当名	内容	対象者
都市勤務者住宅補助手当	地方事業所勤務者との住居費負担格差を補填（口コミ情報：月額2.5万円程度）	都市部事業所勤務者
家族支援手当	配偶者手当から子育て手当に移行中、子育て期間の経済支援	配偶者・子どもがいる従業員
研究開発者手当	研究開発業務に従事する従業員への専門手当	研究開発部門従業員
ベビーシッター利用補助	子ども1人あたり年間上限20万円の補助	小学校6年生終了までの子どもがいる従業員
カフェテリアプラン	年間上限11万円のポイント付与（口コミ情報）	全従業員

特にカフェテリアプランについては、従業員の口コミによると年間11万円を上限としたポイントが支給され、映画チケットやホテル宿泊などを格安で利用できるなど、プライベートの充実を支援する制度として評価されています。

京セラの退職金・年金制度

京セラでは退職金制度と企業型確定拠出年金制度を導入しており、従業員の退職後の生活保障に配慮しています。退職金制度については、年数に応じて退職金ポイントが蓄積される仕組みとなっており、勤務年数と退職理由（自己都合・会社都合）により支給額が決定されます。自己都合退職の場合は半額または7割程度になることがあります。

従業員の口コミによると、基本給の設定が高いことから、退職金についても高い水準が期待できるとの情報があります。また、企業型確定拠出年金制度（企業型DC）も併設されており、従業員持株制度（奨励金支給あり）とあわせて、長期的な資産形成を支援する体制が整えられています。ただし、具体的な支給額や計算方法については公式データとしては非開示となっています。

京セラの福利厚生の評判・口コミ

京セラの福利厚生制度について、実際に働く従業員からは総じて評価が高い口コミが寄せられています。特に借り上げ社宅制度や住宅補助制度については、「借り上げ社宅なら5万円出る」「都市勤務者住宅補助手当として2万5千円程度支給される」といった具体的な金額とともに好評価の声があります。

カフェテリアプランについても、「年11万円が上限で支給される」「映画チケットやホテル宿泊などを格安で利用できる」といった利用しやすさが評価されています。健康・医療関連制度では、「正社員は毎年人間ドックが受けれる」「社内の保険制度を利用すると一般的な保険料よりもかなり安く抑えることができる」など、充実した保障内容が高く評価されています。

一方で、地方勤務者については「地方の場合一切ない場所の方が多い」「工場勤務、地方事業所勤務の方は、基本的に住宅補助は出ない」といった制限があることも指摘されており、勤務地による福利厚生の格差が課題として挙げられています。

他社との福利厚生比較

電子部品業界における主要競合他社との福利厚生比較では、京セラは総合的に充実した制度を提供していることが分かります。同業界の大手企業である村田製作所、TDKとの比較において、各社の特色が見えてきます。

制度	京セラ	村田製作所	TDK
住宅手当	都市勤務者：月額2.5万円程度 借り上げ社宅：月額5万円補助	居住地・配偶者有無により最大8万円 （削減方針あり）	独身者：支給なし 既婚者転勤時のみ
独身寮制度	月額4千円（5年間利用可能）	30歳まで利用可能 その後手当は少額	月額5千円程度 5～6年で退寮
カフェテリアプラン	年間上限11万円	年間1万円	公式データ非開示
有給取得率	5日連続休暇：88.7% リフレッシュ休暇：81.0%	公式データ非開示	公式データ非開示

この比較から、京セラは住宅関連制度において競合他社と比較してバランスの取れた支援を提供していることが分かります。村田製作所は住宅手当の金額が高い一方で削減方針があり、TDKは独身者への住宅手当支給がないなど、各社で異なる方針を取っています。カフェテリアプランでは京セラが年間11万円と最も充実しており、従業員の多様なニーズに対応できる点で優位性があります。

京セラへの転職で注目すべき福利厚生ポイント

京セラへの転職を検討する際、福利厚生制度は重要な判断材料となります。特に転職者が注目すべきポイントと、入社後の手続きについて詳しく解説します。

転職時の福利厚生チェックポイント

転職時には以下の項目を重点的に確認することをおすすめします。まず、勤務予定地が都市部か地方かによって住宅関連制度の適用が大きく異なるため、配属先の確認が重要です。都市勤務者住宅補助手当は都市部勤務者のみが対象となり、地方工場勤務では支給されないケースがあります。

次に、独身か既婚かによっても利用できる制度が変わります。独身の場合は独身寮（月額4千円、5年間利用可能）の利用可能性を確認し、既婚者の場合は借り上げ社宅制度や住宅補助手当の詳細を確認しましょう。また、カフェテリアプランの年間11万円のポイント活用方法や、5日連続休暇制度の取得しやすさなど、ワークライフバランスに関わる制度の実際の運用状況も重要な確認事項です。

入社後の手続きと利用方法

京セラ入社後の福利厚生制度利用には、以下のような手続きが必要です。住宅関連制度については、入社時の配属発表と同時に利用可能な制度が決定されるため、人事部門との早期相談が重要です。独身寮の場合は空室状況により利用開始時期が決まり、借り上げ社宅制度では会社指定の不動産会社との契約手続きが必要となります。

カフェテリアプランのポイントは年度初めに付与され、専用サイトからの申請により利用できます。5日連続休暇制度やリフレッシュ休暇制度は、上司との相談の上で計画的な取得申請を行います。その他の手当についても、入社時のオリエンテーションで詳細な説明があり、必要な申請手続きについて案内されます。

まとめ

京セラの福利厚生制度は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念を具現化した充実した内容となっています。住宅関連制度では都市勤務者住宅補助手当や借り上げ社宅制度、格安の独身寮制度により、従業員の住環境を幅広くサポートしています。健康・医療関連制度では正社員向けの年間人間ドックや充実した健康保険制度により、従業員の健康管理を手厚く支援しています。

特に注目すべきは、年間11万円を上限とするカフェテリアプランによる選択型福利厚生制度と、88.7%という高い取得率を誇る5日連続休暇制度です。これらの制度により、従業員一人ひとりの多様なライフスタイルに対応できる環境が整備されています。競合他社との比較においても、京セラの福利厚生制度は総合的に充実した内容を提供しており、安定した大企業として転職先として魅力的な選択肢といえるでしょう。

転職を検討される方は、配属予定地や家族構成に応じて利用できる制度が異なるため、面接時や内定後の条件確認の際に詳細を確認することをおすすめします。京セラでの新しいキャリアを通じて、充実した福利厚生制度を活用しながら、物心両面での豊かな働き方を実現していただければと思います。

出典：京セラ株式会社 採用サイト「働く上で活用できる制度」、京セラ株式会社 会社概要（2025年3月31日現在）、京セラ株式会社 キャリア採用サイト「募集要項」