大日本印刷株式会社（以下、大日本印刷）は、1876年創業の日本最大手総合印刷会社として、連結売上高1兆3,000億円超、従業員数約36,500人を擁する東証プライム上場企業です。同社では「未来のあたりまえをつくる。」をビジョンに掲げ、従業員が安心して長期にわたり活躍できる充実した福利厚生制度を整備しています。本記事では、大日本印刷の住宅関連制度から退職金制度まで、転職を検討している方が知っておくべき福利厚生の詳細を徹底解説します。

大日本印刷の会社概要

大日本印刷は1876年創業の老舗企業で、現在では総合印刷業界のリーディングカンパニーとして国内外で事業を展開しています。連結売上高は1兆3,000億円を超え、従業員数は連結で約36,500人、単体で約9,500人を擁する大企業です。東証プライム市場に上場し、安定した経営基盤と豊富な資金力を背景に、従業員の働きやすさを重視した制度設計を行っています。近年はデジタル変革と環境への取り組みを推進し、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境づくりに注力しています。

大日本印刷の基本情報

項目	詳細
会社名	大日本印刷株式会社
本社所在地	東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
設立年	1894年
業種	その他製品（印刷業）
事業内容	総合印刷業・情報コミュニケーション・生活産業・エレクトロニクス・飲料
上場市場	東証プライム市場

大日本印刷は「印刷基盤技術」をベースに4つの事業分野で多角的な事業展開を行っています。情報コミュニケーション部門では出版メディア・出版流通・情報イノベーション・イメージングコミュニケーション事業を、生活・産業部門では包装・生活空間・産業資材事業を手がけています。エレクトロニクス部門では有機ELディスプレー用部材やリチウムイオン電池用部材など高機能部材を製造し、飲料部門では清涼飲料水の製造・販売も行っています。特に近年は、スマートフォン向け有機ELディスプレー製造用部材やメタルマスク、半導体製造用フォトマスクなどの高付加価値製品が業績を牽引しており、技術力の高さが評価されています。

大日本印刷の福利厚生制度の特徴

大日本印刷の福利厚生制度は「従業員とその家族のライフステージに応じた包括的なサポート」を基本理念とし、住宅・健康・教育・働き方の各分野で充実した制度を提供しています。特に老舗大企業らしい安定した制度設計が特徴で、長期雇用を前提とした手厚いサポート体制が整っています。近年は働き方改革やダイバーシティ推進にも積極的に取り組み、従業員一人ひとりのワークライフバランス向上を重視した制度改善を継続的に行っています。

住宅関連制度

大日本印刷では従業員の住環境をサポートする充実した住宅関連制度を設けています。独身寮制度では、通勤に2時間以上かかる場合に月額約1万7千円の低額負担で入居でき、新卒者は4年を限度として利用可能です。家族向けには借上社宅制度があり、転勤者は自己負担30%（賃料上限あり）で利用できます。都市部では都市手当として基本給に組み込まれる形で住宅コストをサポートしており、地域による生活費格差の調整を図っています。持ち家取得を希望する従業員に対しては住宅資金融資制度を設けており、金利優遇や返済条件の優遇など、一般的な住宅ローンより有利な条件での資金調達が可能です。転勤に伴う引越し費用は会社負担となっており、住宅関連の経済的負担軽減に配慮した制度設計となっています。

健康・医療関連制度

大日本印刷では従業員とその家族の健康維持・増進のため、大日本印刷健康保険組合を通じた包括的な健康管理制度を展開しています。全国14ヶ所に診療所を設置し、日常的な健康管理をサポートしています。定期健康診断に加え、人間ドック受診制度も充実しており、内部人間ドックのオプション検査も利用可能です。特筆すべきは禁煙サポート事業として「卒煙プログラム」を完全オンライン・自己負担なしで提供している点で、従業員の健康増進を積極的に支援しています。メンタルヘルス対策も充実しており、各種相談室では生活・資産形成、健康・医療、介護、キャリアに関する相談が可能です。また、産業医による健康相談や保健師による保健指導も定期的に実施され、個々の従業員の健康状態に応じたきめ細かなサポートが特徴です。

休暇・働き方制度

大日本印刷では多様な働き方を支援する休暇制度と柔軟な勤務体制を整備しています。年次有給休暇は入社初年度10日、5年目16日、最高20日付与され、有給取得率は約52%となっています。同社では2009年から「働き方の変革」活動をスタートし、時間資源の有効活用による仕事の付加価値向上と個人生活の充実を目的とした取り組みを継続的に実施しています。フレックス勤務制度（コアタイムなし）を導入しており、職場により始業・終業時間が異なる場合もありますが、基本的に自由度の高い勤務が可能です。テレワーク制度も2020年から全社員に拡大され、在宅勤務の活用が進んでいます。産休・育休制度も充実しており、産前産後休暇に加え、育児休業は法定を上回る期間の取得が可能で、男性の育児休業取得も積極的に推進されています。また、ライフサポート特別休暇制度では最大延べ40日間、介護のほかボランティア、災害復旧、自己啓発等を目的として取得でき、従業員の多様なライフスタイルをサポートしています。残業時間管理についても3ヶ月平均で30時間/月以下の目標を掲げ、働き方改革を推進しています。

教育・研修制度

大日本印刷では従業員の継続的なスキルアップとキャリア形成を支援する体系的な教育・研修制度を構築しています。新入社員研修では事務系・技術系・デザイン系の各職種に応じた専門的なプログラムを実施し、ビジネスマナーから専門技術まで幅広く学習できます。階層別研修も充実しており、主任、課長、部長といった各階層に応じた管理職研修を定期的に実施し、リーダーシップスキルやマネジメント能力の向上を図っています。技術系従業員に対しては最新技術動向や専門知識の習得を目的とした技術研修を継続的に開催し、イノベーション創出を支援しています。キャリア相談室を設置し、個々の従業員のキャリア開発をサポートする体制も整っています。また、社外研修への参加支援や資格取得支援制度も設けられており、業務に関連する資格の受験料補助や取得時の奨励金支給など、従業員の自己啓発を積極的にバックアップしています。グローバル企業として語学研修にも力を入れており、英語力向上のための各種プログラムを提供しています。

大日本印刷の各種手当・補助制度

制度・手当名	内容	対象者
住宅手当	独身寮月額約1万7千円、借上社宅（転勤者）自己負担30%	条件に該当する従業員
交通費	全額支給	全従業員
都市手当	大都市圏勤務者の基本給に組み込み	大都市圏勤務者
所定外勤務手当	残業代の適切な支給	該当する従業員
公的資格手当	業務関連資格取得者への手当	資格取得者
次世代育成・介護支援手当	育児・介護をサポートする手当	該当する従業員
食事補助	社員食堂・カフェでの食事補助	全従業員
保養施設利用	箱根・那須塩原の施設、休暇村提携	全従業員

大日本印刷の各種手当制度は従業員の多様なニーズに対応した設計となっています。住宅関連では独身寮制度により新卒4年目まで月額約1万7千円の低額負担で居住でき、転勤者には借上社宅制度で自己負担30%での利用が可能です。大都市圏勤務者には都市手当として基本給に組み込む形で生活コストをサポートしています。通勤交通費は全額支給となっており、経済的負担を軽減しています。福利厚生施設も充実しており、市谷地区には4つの社員食堂と5つのカフェがあり、バラエティ豊かで健康に配慮したメニューが提供されています。保養施設としては箱根芦ノ湖山荘、塩原グリーンビレッジの2ヶ所に加え、全国35の休暇村を特別価格で利用できます。スポーツ施設では体育館、温水プール、フィットネスジム、天然芝のグラウンド、テニスコートなどが整備され、従業員の健康づくりをサポートしています。

大日本印刷の退職金・年金制度

大日本印刷では従業員の老後生活の安定を図るため、大日本印刷企業年金基金を通じた充実した退職金・年金制度を設けています。2021年10月に退職給付制度の改定を行い、企業型確定拠出年金（DC）の一部導入等により制度の充実を図りました。現在は確定給付企業年金制度を基本としつつ、2021年10月31日時点で60歳未満の在籍者については企業型確定拠出年金制度も併用する仕組みとなっています。退職金水準については、転職会議の口コミ情報によると「大卒で定年まで勤め上げた本部長クラスでも2,000万円に届くかどうか」という水準とされており、同業他社と比較すると一般的な水準となっています。企業年金基金では退職金の一部を年金として支給することを主目的として運営されており、確定給付企業年金法に基づいた安定した制度運営が行われています。また、年金・保険制度では企業年金基金、厚生年金基金、団体生命保険、団体医療保険などが整備され、従業員とその家族の生活保障を多面的にサポートしています。資産形成支援では財形貯蓄制度、社員持株会、団体扱い保険などの制度も用意されています。

大日本印刷の福利厚生の評判・口コミ

従業員満足度調査によると、大日本印刷の福利厚生に対する従業員の評価は総じて良好で、特に大企業らしい安定した制度が高く評価されています。OpenWorkの口コミでは”福利厚生は充実していると思う。旅行施設もあるし、今はコロナなので使用することができないのだが、プール”や運動施設の利用について高い評価が寄せられています。エンゲージ会社の評判では”会社の横にスポーツ施設があるのが非常に良い。会社の隣なので会社帰りのみならず昼休みでも運動のために利用できる。このような会社はなかなかないのではないか”といった声があり、充実したスポーツ施設が従業員から特に評価されています。住宅関連制度についても、独身寮や借上社宅制度が評価され、特に新卒者にとって生活費負担軽減の効果が大きいとの声が多く見られます。一方で改善点として、制度の周知や活用方法の説明をより充実させて欲しいという意見もあります。女性従業員からは”比較的女性に対しての福利厚生(産休、育休、時短など)は整っている印象”との評価があり、ダイバーシティ推進の取り組みが福利厚生にも反映されていることが伺えます。

他社との福利厚生比較

制度	大日本印刷	凸版印刷	共同印刷
住宅手当	独身寮月額1.7万円、借上社宅あり	独身寮・社宅制度あり	住宅補助制度あり
有給取得率	約52%	約55%	約50%
平均勤続年数	20.3年	17.8年	18.5年
働き方制度	フレックス制（コアタイムなし）	フレックス制度	時差出勤制度
健康管理	診療所14ヶ所、卒煙プログラム	健康診断充実	定期健康診断
保養施設	箱根・那須塩原、休暇村提携	保養所・契約施設	契約保養施設

同業他社との比較では、大日本印刷の福利厚生制度は印刷業界内でもトップクラスの水準にあることがわかります。住宅関連では独身寮の月額負担が約1万7千円と業界内でも低水準で、借上社宅制度も充実しています。有給取得率については約52%と業界平均並みですが、フレックス制度ではコアタイムなしの制度を導入しており、働き方の自由度で他社を上回っています。健康管理制度では全国14ヶ所の診療所設置と卒煙プログラムの無料提供など、他社にはない手厚いサポートを実現しています。平均勤続年数は20.3年と業界内でも最長レベルで、従業員の定着率の高さが制度の充実度を物語っています。保養施設についても、箱根芦ノ湖山荘、塩原グリーンビレッジの自社施設に加え、全国35の休暇村との提携により利用選択肢が豊富で、他社と比較して優位性があります。スポーツ施設では体育館、温水プール、フィットネスジム、天然芝グラウンド、テニスコートを完備し、業界内でも最高水準の設備を誇っています。

大日本印刷への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

大日本印刷への転職を検討する際は、以下の福利厚生ポイントを重点的に確認することをおすすめします。住宅制度については、転勤の可能性と合わせて独身寮・借上社宅の利用条件を詳細に確認しましょう。特に家族がいる場合は、借上社宅の自己負担30%制度や賃料上限の具体的な金額を事前に調べておくことが重要です。健康管理制度では、全国14ヶ所の診療所の所在地と利用可能な医療サービスの範囲を確認し、現在の健康保険制度との比較検討を行いましょう。働き方制度については、コアタイムなしのフレックス制度やテレワーク制度の具体的な運用状況を確認し、自分の希望する働き方が実現可能かを検証してください。教育制度では、自分のキャリア目標に合った研修プログラムや資格取得支援制度の活用可能性を詳しく調べることが大切です。退職金制度については、2021年の制度改定により企業型確定拠出年金が一部導入されているため、改定前後での制度の違いと自分への適用関係を明確にしておきましょう。また、現在の勤務先との制度比較を行い、転職による福利厚生面でのメリット・デメリットを整理し、長期的な視点での資産形成への影響も検討することをおすすめします。

入社後の手続きと利用方法

大日本印刷入社後の福利厚生制度の利用開始は、制度によってタイミングと手続きが異なります。住宅関連制度については、内定通知後に希望調査が行われ、独身寮への入居は通勤時間2時間以上の条件確認後、入社前に手続きが可能です。借上社宅制度は転勤者のみが対象となるため、配属先決定後の手続きとなります。大日本印刷健康保険組合への加入は入社日から自動的に適用され、全国14ヶ所の診療所利用や卒煙プログラムへの参加は入社後すぐに可能です。各種手当の申請は入社時の人事手続きと併せて行い、都市手当は大都市圏勤務者の基本給に自動的に組み込まれます。フレックス勤務制度やテレワーク制度の利用は入社後の研修期間終了後から開始され、上司との相談により具体的な勤務形態を決定します。教育・研修制度では、新入社員研修が入社直後から開始され、その後の階層別研修や専門研修への参加は上司との面談や人事評価に基づいて決定されます。資格取得支援制度の利用は入社6ヶ月後から可能となり、事前申請と業務関連性の確認が必要です。企業年金制度については、2021年10月の制度改定により新制度対象者は企業型確定拠出年金の加入手続きも必要となるため、入社時のオリエンテーションで詳細な説明を受けることができます。保養施設やスポーツ施設の利用方法については、社内イントラネットで予約システムが提供されており、入社後すぐに利用可能です。

まとめ

大日本印刷の福利厚生制度は、印刷業界最大手企業としての安定した経営基盤を背景に、従業員とその家族の多様なニーズに対応した充実した内容となっています。住宅関連制度では独身寮・借上社宅の提供により住居費負担を大幅に軽減し、健康管理制度では全国14ヶ所の診療所設置や卒煙プログラムの無料提供など、業界内でも最高水準のサポートを提供しています。働き方制度ではコアタイムなしのフレックス制度やテレワーク制度により柔軟な働き方を実現し、教育制度では体系的なプログラムで継続的なキャリア形成を支援しています。退職金・年金制度も2021年の制度改定により企業型確定拠出年金の一部導入で更なる充実を図り、安心できる老後資金形成が可能です。同業他社と比較しても、住宅支援、健康管理、保養・スポーツ施設の各分野で優位性があり、平均勤続年数20.3年という高い定着率がその効果を証明しています。転職を検討している方にとって、大日本印刷は伝統ある大企業の安定性と現代的な働き方制度を兼ね備えた魅力的な転職先と言えるでしょう。ただし、制度の詳細や最新の情報については、転職エージェントや企業の採用担当者に直接確認することをお勧めします。