株式会社しまむら(以下、しまむら)は「ファッションセンターしまむら」をはじめとした衣料品専門店チェーンで全国展開し、業界トップクラスの店舗数を誇る小売企業です。転職や就職を検討する際、福利厚生制度の充実度は重要な判断材料の一つです。しまむらでは住宅関連制度から教育研修制度まで、従業員の働きやすさと生活の安定を重視した福利厚生制度を整備しています。この記事では、しまむらの福利厚生制度の詳細を具体的にご紹介し、転職検討者の皆様の参考情報としてお役立ていただけるよう詳しく解説いたします。
しまむらの会社概要
しまむらは1953年に設立された総合衣料品販売会社で、東証プライム市場に上場している大手小売企業です。「ファッションセンターしまむら」を中核事業として、「アベイル」「バースデイ」「シャンブル」「ディバロ」など複数の専門店ブランドを展開し、2025年2月期末時点で全国に2,251店舗を運営しています。連結売上高は約6,654億円、従業員数は約2万人を超える規模で、ドミナント出店戦略により地域密着型の店舗展開を進めています。
しまむらの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社しまむら |
本社所在地 | 埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-602-1 |
設立年 | 1953年(昭和28年) |
業種 | 小売業(総合衣料品販売) |
事業内容 | 総合衣料品の販売 |
上場市場 | 東証プライム市場 |
資本金 | 170億86百万円 |
従業員数 | 20,346名(2025年2月期、連結) |
店舗数 | 2,251店舗(2025年2月期末、連結) |
しまむらの事業は多角化が進んでおり、メイン事業の「ファッションセンターしまむら」(1,416店舗)では幅広い年齢層向けの総合衣料品を扱っています。また、ヤングカジュアル専門店「アベイル」(316店舗)、ベビー・子供用品専門店「バースデイ」(336店舗)、ファッション雑貨専門店「シャンブル」(123店舗)、「ディバロ」(16店舗)を展開し、さらに台湾では「思夢樂」(44店舗)を運営しています。全国10ヶ所の自社物流センターを核とした効率的な物流システムにより、毎日の商品配送を実現し、多品種少量の商品展開を可能にしています。
しまむらの福利厚生制度の特徴
しまむらの福利厚生制度は、全国転勤を前提とした総合職向けの手厚い住宅支援制度と、パートタイム従業員まで含めた幅広い福利厚生制度が特徴です。特に遠隔地転勤者向けのアパート支給制度は業界でも充実した内容となっており、若手社員でも安心して全国での勤務が可能な環境が整備されています。また、正社員のみならずパート・アルバイト従業員に対しても賞与支給や各種休暇制度を提供するなど、雇用形態を問わず従業員の働きやすさを重視した制度設計となっています。
住宅関連制度
しまむらの住宅関連制度で最も注目すべきは、遠隔地赴任者向けのアパート支給制度です。総合職で全国転勤が可能な社員が、ホームベース(基本的に実家)から通勤圏外の店舗に配属となった場合、会社がアパートを用意し、家賃の大部分を会社が負担します。従業員の自己負担は家賃の約1割程度とされており、都市部では1K、地方では2LDKなど地域特性に応じた住宅が提供されます。また、駐車場が家賃と別の場合でも駐車場代は会社負担となり、積雪地区へ異動した社員にはスタッドレスタイヤなどの冬季装備も会社が負担するなど、転勤に伴う生活環境の変化をサポートする制度が充実しています。この制度により、特に若手社員にとっては住居費の負担が大幅に軽減され、貯蓄に回せる資金が増えるメリットがあります。
健康・医療関連制度
しまむらでは健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の社会保険制度に加え、従業員の健康管理をサポートする各種制度を整備しています。定期健康診断はもちろん、産業医による健康相談や職場の安全衛生管理にも力を入れています。また、母性健康管理休暇や生理休暇など、女性従業員の健康に配慮した制度も設けられており、従業員数の6割以上を女性が占める同社の特徴を反映した制度設計となっています。さらに、パート・アルバイト従業員に対しても労働時間に応じた社会保険適用を行い、雇用形態による格差の少ない健康・医療支援を提供しています。
休暇・働き方制度
しまむらでは年間休日114日(週休2日制+10日間)を設定し、年次有給休暇は初年度10日間から付与されます。育児関連では産前産後休暇、育児休業、育児短時間勤務制度を整備し、介護が必要な従業員に対しては介護休業、介護短時間勤務、介護休暇制度を提供しています。また、子の看護休暇、母性健康管理休暇、生理休暇、特別休暇など、多様な休暇制度により従業員のライフステージに応じた働き方をサポートしています。口コミ情報では、有給休暇の取得を積極的に推奨する文化があり、むしろ取得しないと指導されるという環境が報告されており、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みが評価されています。
教育・研修制度
しまむらの教育制度は実践的なスキル向上を重視した構成となっています。新入社員教育では小売業の基礎から同社独自のオペレーションまで段階的に学習し、階層別教育により管理職候補の育成も体系化されています。部署別教育では商品企画、販売、物流など各部門の専門性を高める研修を実施し、通信教育制度により自己啓発をサポートしています。特徴的な制度として、優秀な社員を対象としたアメリカセミナーを実施しており、海外の小売業先進事例を学ぶ機会を提供しています。また、独自の人材登用制度により、パートタイム従業員から正社員への転換も積極的に行っており、正社員の約5割がこの制度を活用して登用された実績があります。
しまむらの各種手当・補助制度
制度・手当名 | 内容 | 対象者 |
---|---|---|
住宅手当(アパート支給制度) | 遠隔地赴任時にアパートを会社が用意、家賃の約9割を会社負担 | 総合職(転勤対象者) |
通勤手当 | 通勤にかかる交通費を支給 | 全従業員 |
管理職手当 | 管理職に対する職責手当 | 管理職 |
時間外手当 | 所定労働時間を超過した場合の割増賃金 | 全従業員 |
賞与 | 年2回(7月・12月)、業績により決算賞与の別途支給あり | 正社員・パート社員 |
社員買物優待制度 | 自社商品購入時の従業員割引 | 全従業員 |
財形貯蓄制度 | 給与天引きによる財形貯蓄(会社補助あり) | 全従業員 |
しまむらの手当制度で特に充実しているのは住宅関連支援です。遠隔地転勤の際は家賃負担が大幅に軽減されるため、特に若手社員にとって経済的メリットが大きく、貯蓄や自己投資に資金を回すことが可能です。また、パート・アルバイト従業員にも賞与が支給される点は小売業界では珍しく、雇用形態による待遇格差を抑制する取り組みとして評価されています。財形貯蓄制度では会社からの補助もあり、長期的な資産形成をサポートしています。
しまむらの退職金・年金制度
しまむらでは退職金制度を整備しており、勤続3年以上で退職金の支給対象となります。退職金の具体的な支給額や計算方法については公式データとしては非開示となっていますが、口コミ情報では上場企業の中では標準的な水準とされています。また、社員持株制度を導入しており、従業員の資産形成と会社への参画意識向上を図っています。厚生年金保険に加えて企業年金制度の詳細は公開されていませんが、長期雇用を前提とした制度設計により、従業員の老後の生活安定をサポートする仕組みが整備されています。定年は65歳に設定され、定年後の再雇用制度により最長70歳まで継続勤務が可能となっています。
しまむらの福利厚生の評判・口コミ
口コミサイトや転職サイトでのしまむらの福利厚生に対する評価は、全体的に好意的な意見が多く見られます。特に遠隔地転勤者向けの住宅支援制度については「家賃負担が軽く、若いうちから貯金ができる」「転勤の際の住居確保の心配がない」などの評価が高く、同業他社と比較しても充実した内容として評価されています。また、パート・アルバイト従業員からも「パートでも賞与がもらえる」「有給休暇の取得を推奨してくれる」といったポジティブな意見が多数報告されています。一方で、勤続3年未満の退職金非支給や、地域によっては有給取得のしやすさにバラつきがあるといった改善点も指摘されており、店舗レベルでの運用差があることも伺えます。
他社との福利厚生比較
制度 | しまむら | ユニクロ | GU |
---|---|---|---|
住宅手当 | 遠隔地転勤時にアパート支給(家賃約9割負担) | 転勤時住宅補助制度あり | ファーストリテイリンググループの制度に準拠 |
有給取得 | 積極的推奨、取得率向上に注力 | 計画的付与制度あり | ユニクロに準じた制度 |
賞与 | 年2回(正社員・パート対象) | 年2回(業績連動要素あり) | 年2回支給 |
退職金制度 | 勤続3年以上で支給 | 確定拠出年金制度 | グループ統一制度 |
社員割引 | 社員買物優待制度 | 従業員割引制度 | グループ店舗での割引適用 |
財形貯蓄 | 制度あり(会社補助付き) | 制度あり | グループ制度を利用 |
同じ小売業界の競合と比較すると、しまむらの福利厚生制度は住宅支援の手厚さが特徴的です。ユニクロやGUを展開するファーストリテイリンググループも転勤時の住宅補助制度はありますが、しまむらのように家賃の大部分を会社が負担する制度は業界でも珍しく、特に若手社員にとって大きなメリットとなっています。また、パート・アルバイト従業員への賞与支給も、他社と比較して充実した内容となっており、雇用形態による待遇格差の少なさが評価されています。一方で、キャリア開発や研修制度の充実度では、グローバル展開を進めるユニクロの方が体系化されている面もあり、各社それぞれの特徴が見られます。
しまむらへの転職で注目すべき福利厚生ポイント
転職時の福利厚生チェックポイント
しまむらへの転職を検討する際は、まず勤務地と転勤の可能性を確認することが重要です。総合職の場合、全国転勤が前提となりますが、その分住宅支援制度の恩恵を受けられる可能性が高くなります。特に若手の場合、家賃負担の軽減により可処分所得が大幅に増加するため、将来的な資産形成を考える上で大きなメリットとなります。また、小売業特有の土日祝日勤務や夜間営業への対応が求められるため、休暇制度の実際の運用状況や有給取得率について面接時に確認することをおすすめします。さらに、パートタイム従業員からの正社員登用制度も充実しているため、段階的なキャリア形成を希望する場合は、この制度の活用可能性についても確認しておくとよいでしょう。
入社後の手続きと利用方法
入社後の福利厚生制度の利用開始時期は制度により異なります。社会保険は入社日から加入となり、通勤手当は初回給与から支給されます。住宅支援制度については転勤発令時に適用され、会社が住居を手配するため個人での物件探しは不要です。有給休暇は入社から6ヶ月経過後に10日間が付与され、その後は勤続年数に応じて増加します。財形貯蓄制度は入社3ヶ月後から利用可能で、給与天引きによる積立と会社補助を受けることができます。社員買物優待制度は入社と同時に利用開始となり、自社商品を従業員価格で購入できます。退職金制度は勤続3年以上で支給対象となるため、長期勤続を前提とした制度設計となっています。各制度の詳細な利用方法については、入社時のオリエンテーションで説明を受けることができます。
まとめ
しまむらの福利厚生制度は、特に住宅支援制度の充実度が際立っており、全国転勤を前提とした総合職にとって大きなメリットがあります。家賃負担の大幅軽減により、若手社員でも安定した生活基盤を築くことが可能で、将来的な資産形成にも有利な環境が整っています。また、パート・アルバイト従業員に対しても賞与支給や各種休暇制度を提供するなど、雇用形態による待遇格差を抑制する取り組みも評価できます。
転職を検討される方は、自身のライフプランと照らし合わせて、転勤の可能性や住宅支援制度の活用可能性を慎重に検討することをおすすめします。小売業界での経験を積みながら、充実した福利厚生制度のもとで安定したキャリア形成を目指す方にとって、しまむらは魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。面接時には制度の詳細な運用状況についても確認し、自分にとって最適な働き方ができる環境かどうかを見極めることが重要です。
出典:株式会社しまむら 新卒採用サイト、株式会社しまむら 会社概要(2025年2月期)、株式会社しまむら サステナビリティレポート