日油株式会社（以下、日油）は、「バイオから宇宙まで」を掲げる機能材化学メーカーとして、生活に身近なコンタクトレンズや化粧品の素材から、宇宙ロケットの固体推進薬まで幅広い製品を手がけています。化学業界において高い平均年収で知られる同社の年収水準や昇進モデルについて、有価証券報告書に基づく最新データを詳しく解説します。

日油の会社概要

日油は1910年に創業され、油脂事業からスタートして現在では多角的な化学メーカーとして発展しています。特に機能材料分野では業界トップクラスの技術力を誇り、産業用爆薬事業、防衛・宇宙開発事業、民生品事業を主力事業として展開しています。東京証券取引所プライム市場に上場し、化学業界内でも規模の大きい企業として知られています。

日油の基本情報

項目	詳細
会社名	日油株式会社
本社所在地	東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
設立年	1949年
業種	化学
事業内容	機能材料事業、化薬事業、機能食品事業等
上場市場	東京証券取引所プライム市場

同社の事業は「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」の3分野に重点を置いています。機能材料事業では、化粧品や食品・医薬品等の素材から産業素材まで多岐にわたる製品を提供しています。化薬事業では日本の宇宙ロケットに使用される固体推進薬を手がけ、機能食品事業では生体適合性材料の開発・製造を行っています。また、特殊防錆処理剤や宇宙関連製品の海外展開にも積極的に取り組み、グローバルな成長を続けています。

日油の平均年収はどのぐらい

日油の平均年収は業界内でも高水準で知られており、有価証券報告書に基づく最新データでは着実な上昇トレンドを示しています。全国平均と比較しても大幅に上回る水準となっており、化学業界内でも上位にランクインしています。

年度別の平均年収推移

年度	平均年収	平均年齢	従業員数	平均勤続年数
2024年度	817万円	43.4歳	1,794人	18.4年
2023年度	796万円	43.1歳	1,762人	18.9年
2022年度	793万円	43.4歳	1,737人	18.8年
2021年度	769万円	42.5歳	1,658人	18.9年
2020年度	759万円	42.3歳	1,715人	19.1年
2019年度	744万円	42.1歳	1,695人	18.7年

出典：日油株式会社 有価証券報告書（2024年3月期）

過去6年間の推移を見ると、日油の平均年収は2019年度の744万円から2024年度の817万円まで約73万円（9.8%）上昇しており、安定した成長を示しています。特に2023年度から2024年度にかけては21万円の増加となり、直近でも上昇トレンドが続いています。平均年齢は43歳前後で安定しており、平均勤続年数は18年を超える高い水準を維持していることから、従業員の定着率の高さが伺えます。

他企業との比較データ

企業名	平均年収	業界内順位
日油	817万円	22位
エア・ウォーター	815万円	23位
化学業界平均	710万円	–
全国平均	460万円	–

東証プライム上場企業の素材・化学業界152社中22位という高順位にランクインしており、業界平均の710万円を107万円上回っています。同業他社と比較しても、エア・ウォーターとほぼ同水準の年収となっており、化学業界のトップクラスの待遇を提供していることが分かります。全国平均の460万円と比較すると約1.8倍の水準となっており、高い給与水準を実現しています。

日油の役職別年収データ

役職	推定年収（万円）
係長・主任クラス	948万円
課長クラス	1,260万円
部長クラス	1,550万円
役員	3,766万円

日油では総合職の平均年収が948万円、管理職級では1,260万円前後となっています。役職が上がるにつれて年収も大幅に上昇し、部長クラスでは1,550万円に達します。2024年度の役員報酬は平均3,766万円となっており、経営層では非常に高い報酬水準となっています。なお、これらのデータは有価証券報告書に基づく推定値であり、実際の個別年収は職種や評価によって異なる場合があります。

日油の年齢別年収推移

年代	推定年収範囲（万円）
20代（25-29歳）	524-529万円
30代（30-39歳）	609-697万円
40代（40-49歳）	742-793万円
50代以上（50-59歳）	856-913万円

日油の年代別年収は着実な上昇カーブを描いています。20代前半では524万円からスタートし、30代前半で609万円、30代後半では697万円まで上昇します。40代に入ると742万円から793万円のレンジとなり、50代では856万円から913万円の高水準に達します。これらの推定値は、日油の有価証券報告書データと厚生労働省の賃金構造基本統計調査を基に算出されており、全国平均と比較して各年代で大幅に上回る水準となっています。特に20代でも全国平均を153万円上回るなど、若手の段階から高い処遇を受けられることが特徴です。

日油の福利厚生

制度・手当	内容
住宅手当	組合員：約2万円、大卒入社者：入社後数年間6万円支給
交通費	公共交通機関は全額支給、車通勤は距離に応じて支給
退職金制度	退職金前払い制度と確定拠出年金の選択制
有給取得	最高年間23日付与、平均取得日数14.4日
年間休日	121日（本社）、完全週休2日制
寮・社宅	独身寮・社宅完備、川崎寮は設備が充実

出典：日油株式会社 採用情報ページ（2024年）

日油の福利厚生制度は「働き甲斐と豊かな人生の実現」をベースとして設計されており、従業員の生活をサポートする充実した制度が整備されています。住宅関連では、組合員に約2万円の住宅手当が支給され、大卒入社者には入社後数年間6万円の手厚い支援があります。独身寮や社宅も各地に完備されており、特に川崎寮は設備が新しく評価が高いです。休暇制度では、有給休暇が最高年間23日付与され、リフレッシュ休暇、慶弔休暇、夏季休暇、育児休暇なども完備されています。また、従業員持株会制度や各種社会保険、退職金制度など、将来にわたる生活の安定をサポートする制度が揃っています。

日油の転職難易度は

日油への転職は化学業界の中でも高い難易度を有しています。同社は化学業界内でも上位の年収水準と安定した経営基盤を誇るため、転職希望者からの人気が高く、競争が激しい状況です。特に技術職や研究開発職では、専門性の高いスキルと経験が求められるため、入念な準備が必要となります。

求められる人材像

項目	内容
新卒採用実績	旧帝、早慶、MARCH、関関同立、日東駒専クラス中心
中途採用実績	年間約32名（全従業員数の約1.7%）
求める人材	固有技術のシナジーを活かし独創的な製品開発に貢献できる人材
主要職種	研究開発、エンジニアリング、製造、品質保証、営業

日油が求める人材像は、「バイオから宇宙まで」という幅広い事業領域において、各事業のオンリーワン・ナンバーワンの技術を支える高い専門性を持った人材です。新卒採用では一定以上の学歴が重視される傾向があり、中途採用では即戦力として活躍できる実務経験が重要視されます。技術職では化学・素材分野の専門知識、営業職では化学業界での営業経験、研究開発職では新製品開発への意欲と創造性が求められます。同社の事業戦略である3分野「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」への理解と貢献意欲も重要なポイントとなります。

転職成功のポイント

日油への転職を成功させるためには、まず同社の多角的な事業展開と技術力への深い理解が必要です。応募前には各事業部門の特徴と市場での位置づけを把握し、自身の経験がどの分野で活かせるかを明確にしましょう。転職エージェントの活用も有効で、同社のような人気企業では多くの求人が非公開求人として募集されています。面接では、なぜ日油を選んだのか、自身のスキルがどのように同社の成長に貢献できるかを具体的に説明できることが重要です。また、化学業界での実務経験や専門資格があれば大きなアドバンテージとなります。同社の平均勤続年数は18年を超えるため、長期的なキャリアビジョンを持ち、会社とともに成長していく意欲をアピールすることも効果的です。

まとめ

日油の平均年収817万円は化学業界内でも上位22位の高水準であり、全国平均を大幅に上回る魅力的な待遇となっています。年功序列的な昇進制度により安定したキャリアアップが期待でき、20代から50代まで各年代で業界平均を上回る年収を実現しています。住宅手当や充実した福利厚生制度、高い有給取得率など、働きやすい環境も整備されており、平均勤続年数18年という高い定着率がその証明となっています。

転職を検討されている方にとって、日油は化学業界でのキャリアを積みたい方には非常に魅力的な選択肢です。ただし、その分転職競争も激しいため、業界知識と専門スキルの習得、そして同社のビジョンへの共感を明確に示すことが成功の鍵となります。「バイオから宇宙まで」という壮大なミッションの下で、自身の専門性を活かしながら社会に貢献したい方にとって、日油は理想的なキャリアの場となるでしょう。