「転職すれば年収が上がる」そんな話をどこかで聞いて、なんとなく期待しながらも、「本当に自分でも上がるのだろうか」と不安を抱えていませんか。実際に転職を経験した先輩エンジニアの話を聞くと、大幅に年収が上がった人もいれば、思ったほど変わらなかった人もいる。その差がどこにあるのか、気になっているのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、エンジニアの転職で年収アップを実現するかどうかは、「運」ではなく「戦略」の差です。市場の追い風は確かに吹いていますが、それを自分の年収に変えられるかどうかは、転職先の選び方や、動くタイミング、そして自分のスキルの見せ方によって大きく変わります。
この記事では、2025年のデータをもとに「エンジニア転職で年収が上がりやすい人に共通する条件」から、「年収が上がる転職先の見極め方」「内定後の年収交渉まで」を一気通貫でお伝えします。転職を考え始めたばかりの方から、すでに動き始めている方まで、具体的なヒントが見つかるはずです。
エンジニア転職で年収アップできる現実|2025年の市場データ
まず、エンジニアが転職によって実際にどれくらい年収が上がっているのか、最新のデータから確認しておきましょう。
ITエンジニア向けの転職サービス「転職ドラフト」が2025年7月に発表した調査によると、2024年にサービスを経由して転職したエンジニアのうち、92.8%が年収アップを達成しており、年収が上がった人の平均増加額は160万円でした(出典:株式会社リブセンス「転職ドラフト調査」2025年7月)。年代別に見ると、20代が平均166万円増と最も高く、30代が160万円、40代が118万円という結果でした。
また同調査では、企業がエンジニアに提示する年収の水準自体も大幅に上昇しており、2020年1月時点の平均644万円から2024年12月時点では791万円へと、5年間で約147万円も上がっています。さらに800万円以上の年収を提示する企業の割合は、2020年の16.1%から2024年には41.8%と約2.6倍に増えています。同調査はスカウト型サービスの参加データに基づくため、転職市場全体の平均とは異なる点には注意が必要ですが、エンジニア採用の報酬水準が確実に上昇してきていることを示す参考データとして有効です。
この背景にあるのは、IT人材の構造的な不足です。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されており、企業は優秀なエンジニアを確保するために競争力のある報酬を提示せざるを得ない状況が続いています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」)。
一方で、注意しておきたい点もあります。2022年ごろから続いたいわゆる「エンジニア採用バブル」は落ち着きを見せており、転職するだけで自動的に大幅な年収アップが得られる時代ではなくなってきているという声も業界から上がっています。市場の追い風は依然として存在しますが、「戦略を持たずにとりあえず転職」という姿勢では、期待した結果が得られないケースも少なくありません。データを冷静に読み解きながら、自分の転職を計画することが重要です。
| 年代 | 平均年収増加額(2024年) | ポイント |
|---|---|---|
| 20代 | 166万円 | 若手のポテンシャルと最新技術適応力が高評価 |
| 30代 | 160万円 | 即戦力としての実績が評価されやすい |
| 40代 | 118万円 | もともとの年収水準が高く増加額は低め傾向 |
※出典:株式会社リブセンス「転職ドラフト調査」(2025年7月)。転職ドラフトスカウト経由で転職し年収が確定したエンジニア1,535名を対象とした調査です。
エンジニアの年収を決める3つの構造的な要因
「なぜ同じようなスキルを持つエンジニアでも年収に数百万円の差が生まれるのか」。この疑問に答えるには、年収を決める構造的な要因を理解しておく必要があります。実は、エンジニアの年収は主に3つの要素によって決まっています。
①所属企業の規模と商流の深さ
IT業界には多重下請け構造が存在します。元請け(1次受け)の企業が案件全体の予算を押さえ、その一部を2次請け・3次請けの企業に外注していく形です。この構造上、商流が深くなるほど1件の案件から得られる単価が下がり、必然的にそこで働くエンジニアの給与水準も低くなります。「同じ仕事をしているのに給与が低い」と感じているエンジニアは、この商流の問題を抱えているケースが多いです。
また、企業規模も大きく影響します。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、100人未満の企業と1,000人以上の企業では、システムエンジニアやプログラマーの平均年収に100万円以上の差が生じていることが示されています(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」)。年収を上げるための転職先を考えるとき、「商流が浅く、規模感のある企業」という視点が非常に重要になります。
②担当工程の上流・下流
同じ会社に所属していても、どの工程を担当しているかで年収は大きく変わります。転職サービスdodaの調査(2025年版)によると、SE・プログラマーの平均年収が422万円程度であるのに対し、IT戦略・システム企画は600万円、プロジェクトマネージャーは691万円、ITコンサルタントは602万円と、上流工程になるほど年収水準が高いことがわかります(出典:doda「平均年収ランキング2025」)。
要件定義や上流設計、プロジェクト全体のマネジメントなど、より高度な判断と責任が求められる工程を担当するエンジニアほど、市場での評価が高くなります。下流の開発・実装に留まっているうちは、技術的に優秀であっても年収が上がりにくい構造があるのです。
③職種ポジションとスキルの希少性
エンジニアの年収は、担当する職種と保有スキルの希少性によっても大きく変わります。転職ドラフトの2024年データでは、エンジニアリングマネージャー経験者への平均提示年収が900万円に達しており、特にAI・機械学習エンジニアの年収アップ額は平均185万円と他の職種を大きく引き離しました(出典:株式会社リブセンス「転職ドラフト調査」2025年5月)。クラウド、セキュリティ、AIなど、需要が高く供給が追いついていない領域のスキルを持つエンジニアは、それだけで市場価値が跳ね上がります。
一方、汎用的なスキルだけでは年収交渉の余地が生まれにくいのも現実です。自分のスキルセットのどこに希少性があるかを把握し、それを転職先企業に正しく伝えることが、年収アップを実現するための重要な前提条件になります。
エンジニア転職で年収アップを実現する人の3つの共通点
年収アップに成功するエンジニアと、転職しても大きく変わらないエンジニアの間には、スキルの差以上に「転職の進め方の差」があります。成功した人たちに共通する行動パターンを整理すると、大きく3つのポイントが浮かび上がります。
①転職前に自分の市場価値を正確に把握している
年収アップを実現したエンジニアの多くが、転職活動を始める前の段階で「自分のスキルが市場でどう評価されるか」を客観的に把握しています。これは単に「自分はこれができる」という自己認識ではなく、同じ職種・経験年数・技術スタックを持つ人材が市場でどのくらいの年収で取引されているかを、転職サービスの年収診断やエージェントとの面談を通じて具体的な数字で把握することを指します。
市場価値を知らずに転職活動を進めると、企業から提示された年収が相場より低くても気づけません。反対に、市場価値を把握していれば「この提示額は低い、交渉の余地がある」と判断できます。転職ドラフトのように現年収を企業に非公開にした状態でスカウトを受けられるサービスを活用することも、現年収に引きずられない正当な評価を得る有効な手段のひとつです。
②ターゲットとする職種と企業を事前に絞り込んでいる
年収アップに成功したエンジニアは、「なんとなく良さそうな会社を広く受ける」のではなく、「年収水準が高い企業タイプ」と「自分のスキルで価値を発揮できるポジション」を事前に明確にしてから転職活動に入っています。前述のとおり、商流の浅さ、担当工程の上流さ、スキルの希少性が年収に直結するため、転職先を選ぶ際にこれらの観点で企業を絞り込むことが不可欠です。
反対に、年収アップができなかった人に多いのが「とにかく年収が高い会社を探して応募する」という進め方です。自分のスキルセットや経験がその企業で評価されるかどうかを検討せずに応募を重ねると、書類選考で落ち続けるか、仮に内定を得ても入社後のミスマッチにつながりやすくなります。
③面接でスキルと実績を正確に言語化できている
中途採用において企業が評価するのは、「これまでどのような実務を経験してきたか」と「その経験が自社でどう活かせるか」の2点です。転職サービスレバテックの調査でも、中途採用では実務経験とコミュニケーション能力が特に重視されることが示されています。どれだけ高いスキルを持っていても、それを面接で正確に言語化できなければ、採用担当者には伝わりません。
転職ドラフトの事例分析でも、大幅な年収アップを実現した人のレジュメには共通の特徴があることが示されています。それは、「取り組んだ実績と目的を明確に記載していること」と「プロジェクトの全体像から成果まで体系的に伝えていること」の2点です(出典:転職ドラフトREPORT)。技術的な詳細だけでなく、エンジニア以外の採用担当者にも伝わるように実績を整理できているかどうかが、年収提示額に直接影響します。
言語化のポイントは「数字と文脈」です。「大規模システムの開発を担当した」という記述より、「月間100万ユーザーが利用するサービスの決済基盤をリードし、レスポンスタイムを30%改善した」という記述のほうが、企業側は具体的な貢献をイメージしやすくなります。自分の経験を棚卸しして、実績を数字と文脈で語れるよう準備しておきましょう。
エンジニアが年収アップを狙える転職先の選び方
年収アップを目指すエンジニアにとって、どのような企業を転職先として選ぶかは結果を大きく左右します。ここでは、年収水準の高い企業タイプを4つのパターンに分けて整理します。それぞれの特徴と自分の経験との相性を照らし合わせながら、ターゲットを絞ってみてください。
自社サービス系企業(Web系・SaaS系)
自社でプロダクトを開発・運営している企業は、エンジニアの技術力が直接ビジネスの成果につながるため、優秀な人材への報酬投資が積極的です。成果が明確に見えやすく、スキルや貢献度が評価に反映されやすい環境が整っています。スタートアップやSaaS企業ではストックオプション制度を設けているケースもあり、年収以外のインセンティブも含めると総報酬が高くなることがあります。Qiitaの「エンジニア白書2022」によると、自社開発企業の年収最頻値は500万〜800万円未満であるのに対し、受託開発は300万〜500万円未満と明確な差が示されています(出典:Qiita「エンジニア白書2022」)。
外資系IT企業
GoogleやAmazon、Microsoftなどの外資系テック企業は、日系企業と比較して年収水準が一段高い傾向にあります。日経クロステックの報道によれば、現在はエンジニア転職で年収100万〜150万円アップするケースも珍しくなく、外資系企業はその代表的な選択肢です。ただし、採用基準は高く、英語力とコーディング面接への準備が求められるため、入念な対策が必要です。ハードルは高い反面、一度入社できれば年収水準は大きく変わります。
ITコンサルティングファーム
アクセンチュアや野村総研をはじめとするITコンサルティングファームは、エンジニアの中でも高い年収水準で知られています。doda「平均年収ランキング2025」によると、ITコンサルタントの平均年収は602万円で、SE・プログラマーと比較して約180万円高い水準です。技術知識に加えてビジネス課題を解決する提案力や、顧客の経営層と対話できるコミュニケーション能力が求められますが、上流工程でのキャリアを積みたいエンジニアには魅力的な選択肢です(出典:doda「平均年収ランキング2025」)。
大手SIer・商流上位のシステムインテグレータ
NTTデータや野村総研、富士通など、商流の上位に位置する大手SIerも年収水準が高い企業群です。doda調査ではシステムインテグレータの業種別平均年収は475万円と、ITコンサルティングに次ぐ水準です。安定した大型案件に携わりながらキャリアを積み、プロジェクトマネージャーや上流工程エンジニアへのステップアップを目指せる環境が整っています。ただし、同じSIerでも商流の深さによって待遇は大きく異なるため、1次受けか2次受けかを見極めることが重要です。
転職先を選ぶうえでは、企業の評価制度も重要な確認ポイントです。成果や能力が年収に反映される「職務給・職能給制度」が明確に整備されているか、技術スペシャリストとしてのキャリアパスが用意されているかを、面接やエージェントを通じて事前に確認しておくとよいでしょう。
| 企業タイプ | 年収水準の目安 | 向いているエンジニア |
|---|---|---|
| 自社サービス系(Web・SaaS) | 500〜800万円台が中心 | 技術力で成果を出したい人、スピード感のある環境が好きな人 |
| 外資系IT企業 | 800万〜1,500万円超も | 英語対応可能で、実力主義の環境に適応できる人 |
| ITコンサルティングファーム | 平均602万円〜(上位は1,000万円超) | 上流工程・提案業務に興味があり、ビジネス課題に関わりたい人 |
| 大手SIer(商流上位) | 平均475万円〜(PMクラスで700万円超) | 大規模案件に携わりながら着実にキャリアを積みたい人 |
※年収水準はdoda「平均年収ランキング2025」および転職ドラフトの公開データを参考に記載しています。企業規模・個人のスキル・経験年数によって大きく異なります。
エンジニアの年収アップにつながるキャリアシフト戦略
転職先の企業を変えるだけでなく、「どのポジションを狙うか」というキャリアシフトの方向性を定めることが、年収アップを加速させる重要な要素です。ここでは、エンジニアが年収を大きく引き上げるための代表的なキャリアシフトの方向性を整理します。
プロジェクトマネージャーへのシフト
エンジニアのキャリアパスの中で、最も年収が高い職種のひとつがプロジェクトマネージャー(PM)です。doda「平均年収ランキング2025」によると、プロジェクトマネージャーの平均年収は691万円と、SE・プログラマーと比較して270万円近い差があります。50代では849万円に達するケースも報告されており、年齢とともに年収が大きく伸びやすい職種です(出典:doda「平均年収ランキング2025」)。
PMへのシフトを目指す場合、現職で「小規模案件のリードを担当する」「要件整理に関わる」といった小さなステップを意識的に積むことが近道です。転職市場において、PMは即戦力としての実務経験が強く問われます。PMの経験がゼロの状態で転職によって一気にシフトするのは難しいため、現職でPMに近い業務経験を積んでから転職するほうが、より高い年収での内定につながりやすくなります。
ITコンサルタントへのシフト
技術知識を活かしながらビジネス課題の解決に関わりたいエンジニアには、ITコンサルタントへのシフトも有力な選択肢です。クライアント企業のDX推進支援を担うITコンサルタントは、平均年収602万円と高水準であり、上位のコンサルティングファームでは1,000万円超えも珍しくありません。近年はDX需要の拡大により、技術的な理解を持つITコンサルタントの需要が急増しており、エンジニアからのキャリアチェンジが評価されやすい環境が整いつつあります。
高単価スキル領域へのシフト
マネジメント職を目指さず、技術を極めるスペシャリストとして年収アップを目指す場合は、市場での需要が高く供給の少ない領域に特化することが有効です。具体的には、AI・機械学習、クラウド(AWSやGCPなど)、セキュリティの3領域が特に高い市場価値を持っています。
転職ドラフトの2024年データでは、機械学習エンジニアの年収アップ額が平均185万円と全職種でトップとなっており、生成AIの急速な普及を背景にAI関連スキルへの需要が極めて高まっていることがわかります(出典:転職ドラフトREPORT「2025年版」)。セキュリティエンジニアも同様で、doda調査ではIT職種経験者の転職前後の平均年収増加幅が最も大きいポジションの1位に挙げられています(出典:doda「ITエンジニアの平均年収」)。AWS認定資格やセキュリティ関連資格の取得は、こうした高単価領域への転職を後押しする有効な手段のひとつです。
ただし、資格取得そのものが直接的に年収を上げるわけではありません。資格はスキルの裏付けとして機能するものであり、実務経験と組み合わせてはじめて転職市場での評価につながります。「資格を取れば年収が上がる」という単純な期待ではなく、「この実務経験をこの資格で補強することで、希望するポジションへの説得力が増す」という文脈で資格取得を位置づけるとよいでしょう。
内定後の年収交渉|エンジニア転職で「もう100万円」引き出す実践テクニック
企業選び、スキルの整理、面接対策と転職活動を進めてきて、内定をもらった。そこで終わりにしてしまうのは、実はもったいないことです。年収交渉を正しく行えば、最初の提示額からさらに数十万〜100万円以上の上乗せが実現できるケースもあります。この章では、エンジニアが内定後の年収交渉を成功させるための実践的なポイントをお伝えします。
交渉のベストタイミングは「内定後・承諾前」
年収交渉の最適なタイミングは、内定通知を受けてから内定承諾書を提出するまでの間です。内定前に年収の話を切り出すと、企業側に「スキルより待遇優先」という印象を与え、選考に悪影響を及ぼすリスクがあります。一方、内定承諾書を提出した後では、条件に合意したと見なされるため交渉の余地がなくなります。内定が出た直後が、企業側の「この人に入社してほしい」という気持ちが最も強い状態であり、交渉が成立しやすいタイミングです。企業がオファー面談を設定してくれた場合は、その場が最も自然な交渉の機会となります(出典:Offers Magazine「エンジニアの転職活動時の給与交渉」)。
希望額には必ず「根拠」を添える
年収交渉を成功させるうえで最も重要なのは、希望額に客観的な根拠を添えることです。「もう少し上げてほしい」という漠然とした要望では企業側に判断材料がなく、交渉は進みません。エンジニア向けの調査でも、給与交渉成功のコツとして「成果を具体的に示す」が32.7%、「市場価値を知る」が29.2%と上位を占めており、データと実績に基づく交渉が有効であることが示されています(出典:Offers Magazine「エンジニアの転職活動時の給与交渉」)。
具体的には、「前職では月間利用者50万人規模のAPIを設計・構築し、インフラコストを年間300万円削減しました。同等の役割と責任に見合う年収として、提示いただいた額から○○万円の上乗せをご検討いただけますでしょうか」というように、実績と希望額の根拠をセットで伝えるのが効果的です。感情的な要求ではなく、企業側が社内承認を通しやすい材料を提供するという意識で交渉に臨むことが大切です。
複数の内定は最大の交渉材料になる
複数の企業から内定を得ている場合、他社の提示年収を交渉材料として活用することができます。「他社から年収○○万円の提示をいただいていますが、御社を第一志望として考えているため、同水準に近づけていただくことは可能でしょうか」という伝え方は、交渉の根拠として企業側にも理解されやすいものです。ただし、実際に他社内定がない状態で虚偽の情報を伝えることは絶対に避けてください。入社後に発覚した場合、信頼関係に深刻なダメージを与えます。
自分での交渉が難しければエージェント代行を活用する
「年収交渉は気まずくてなかなか言い出せない」という方は少なくありません。そのような場合は、転職エージェントに交渉を代行してもらうことが非常に有効です。エージェントは第三者として企業と交渉するため、求職者が直接要求するよりも企業側の心証を損ないにくく、業界の年収相場を熟知しているため適切な根拠を持って交渉を進めてもらえます。エージェント経由での応募であれば、多くの場合この交渉代行サービスは無料で利用できます。
なお、年収交渉の現実的な相場感として、転職経験者の場合は現年収の10〜20%アップが一般的な目安とされています。これを大きく超える要求は、企業の給与テーブル上で対応できないケースも多く、交渉が決裂するリスクが高まります。まずは根拠を持って10〜20%のアップを目指し、複数内定がある場合にそれを材料としてさらに上積みを狙う、という段階的なアプローチが現実的です。
エンジニア転職の年収アップに強い転職エージェント比較
年収アップを目指すエンジニアの転職活動において、転職エージェントの選択は非常に重要です。エージェントによって得意とする年収帯や職種が異なるため、自分の状況に合ったサービスを使い分けることが大切です。代表的な4つのエージェントの特徴と使い分けの目安を整理します。
レバテックキャリア
IT・Web・ゲーム業界に特化したエンジニア向けエージェントです。技術領域に精通したアドバイザーが在籍しており、エンジニアのキャリアや使用技術に合わせた的確なアドバイスが受けられます。公式サイトによると、サービスを利用したエンジニアの80%が収入アップを実現しているとのデータがあります。エンジニア・クリエイター職専門として業界に深く根ざしており、年収交渉の代行実績も豊富です。現職がIT・Web系のエンジニアで、同業界内での転職を考えている方に特に向いています。
doda(dodaエンジニアIT)
国内最大級の転職サービスであるdodaは、求人数の多さと幅広い職種への対応が強みです。エンジニア向けの専門サービス「dodaエンジニアIT」では、IT・通信・インターネット領域に特化したキャリアアドバイザーによるサポートが受けられます。求人数が多い分、自社開発企業からSIer、ITコンサルまで幅広い選択肢の中から自分に合った転職先を比較検討したい方に向いています。
ビズリーチ
ハイクラス・即戦力人材に特化したスカウト型の転職サービスです。年収600万円以上のエンジニアや、PMクラス以上のポジションを目指す方に向いています。企業や優良エージェントから直接スカウトが届く形式のため、非公開求人へのアクセスや複数企業との同時比較がしやすいのが特徴です。Qiita Job Changeの情報によると、ビズリーチを利用したITエンジニアの多くが平均130万円の年収アップを実現しているとのデータもあります(2025年1月末時点)。現年収がある程度高く、さらなるキャリアアップを目指す方に適しています。
転職ドラフト
ITエンジニア限定のスカウト型転職サービスです。最大の特徴は、現年収を企業に非公開にした状態で、企業側がエンジニアのスキルと実績を見て年収付きのスカウトを送ってくる仕組みです。現年収に引きずられない、実力に基づいた年収提示を受けやすく、自分の市場価値を客観的に把握するツールとしても活用できます。自社サービス系企業やWeb系企業への転職を希望するエンジニアに特に親和性が高いサービスです。
| サービス名 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| レバテックキャリア | IT・Web特化、技術理解の深いアドバイザー | IT・Web系での転職を検討中のエンジニア全般 |
| doda(エンジニアIT) | 求人数が豊富、幅広い業界をカバー | 選択肢を広く比較したい人 |
| ビズリーチ | ハイクラス特化のスカウト型 | 年収600万円以上・PM以上を目指す人 |
| 転職ドラフト | 現年収非公開のエンジニア限定スカウト型 | 自分の市場価値を正確に把握したいWeb系エンジニア |
なお、転職エージェントは1社だけでなく複数を同時に活用することをおすすめします。各サービスで保有する求人や担当者の得意領域が異なるため、複数登録することで選択肢が広がり、年収交渉の際に比較材料も増えます。ただし、並行して管理できる数には限りがあるため、2〜3社程度に絞って活用するのが現実的です。
エンジニア転職で年収アップを実現するために
この記事でお伝えしてきた内容を振り返ると、エンジニアの転職で年収アップを実現するための道筋は、実はシンプルです。自分の市場価値を正確に把握し、年収が決まる構造を理解した上で、商流が浅く評価制度が明確な企業を狙い、スキルと実績を正しく言語化して選考に臨む。そして内定後には根拠を持って年収交渉を行う。この一連の流れを意識するかどうかが、結果に大きな差を生みます。
最初の一歩として最もおすすめなのは、転職エージェントへの登録や転職ドラフトへの参加を通じて「自分の市場価値を数字で確認すること」です。転職を決意していなくても、自分のスキルが市場でどう評価されるかを知るだけで、今後のキャリア判断が大きく変わります。現職での年収が市場より低いとわかれば動くきっかけになりますし、適正水準であることがわかれば現職でのキャリア構築に集中できます。いずれにせよ、知らないよりも知っていたほうが、あなたのキャリアにとってプラスになることは間違いありません。
エンジニアにとって、転職は年収を上げる強力な手段のひとつです。2025年もIT人材への需要は高く、適切な戦略を持って動けば、年収アップは十分に現実的な目標です。ぜひこの記事を参考に、自分のキャリアを主体的に切り開いてみてください。

