「今のタイミングで転職すべきか、もう少し待つべきか」——エンジニアとして働いていると、ふとそんな迷いが頭をよぎることはないでしょうか。市場の動きは気になるけれど、情報が多すぎてどれを信じればいいのかわからない、そんな状態で立ち止まってしまっている方も多いはずです。実はいま、エンジニアの転職市場は転職者にとって非常に有利な状況が続いており、データを正しく読めば「動くべきタイミング」と「自分に必要なもの」が見えてきます。
この記事では、2025年のデータをもとに、エンジニア転職市場の全体動向から職種別の温度感、年収の変化、そして転職を有利に進めるための具体的な行動指針まで、転職を検討しているエンジニアの方に本当に必要な情報をまとめてお届けします。
エンジニア転職市場の現状|2025年も「売り手市場」が継続している理由
結論から言えば、2025年のエンジニア転職市場は「売り手市場」が引き続き続いています。求人数が転職者数を大きく上回っており、エンジニアにとっては自分の条件を交渉しやすい環境が整っています。ただし、「誰でも転職できる」という状況とは少し異なります。スキルや経験によって企業からの評価に大きな差がつく市場になっており、戦略なしに動いても満足のいく結果には結びつきにくくなってきています。まずは現状のデータを正確に把握することから始めましょう。
転職活動者は過去5年で最多水準に達している
LAPRASが2025年に実施した調査によると、「具体的に転職活動をしている」と回答したエンジニアの割合は9.5%に達し、2024年の6.4%から3.1ポイント増加しました。これは過去5年間で最も高い水準です。さらに「情報収集を始めている」層も合わせると、転職に向けて何らかの行動を起こしているエンジニアの割合は23.2%、つまりおよそ4人に1人という計算になります(出典:LAPRAS「2025年エンジニア採用市場調査」)。
一方、企業側の求人数も増加しています。dodaの「ITエンジニア中途採用マーケットレポート(2025年6月発行)」によると、2025年5月の求人件数は前3カ月期比で115%と大幅に増加しており、転職を検討しているエンジニアにとって選択肢が広がっている状況です。転職者が増えているにもかかわらず求人数がそれを上回るペースで伸びているという点が、売り手市場が継続している根本的な理由です。
IT人材不足は2030年まで続く長期的な構造問題
エンジニアが有利な立場に置かれているのは、単なる景気の波ではなく、構造的な人材不足が背景にあります。経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」みずほ情報総研株式会社)。企業のデジタル化(DX)やAI活用が加速する一方で、それを担う人材の供給が需要に追いつかない状態が続いており、この傾向はすぐに解消されるものではありません。
厚生労働省の一般職業紹介状況(2024年)においても、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.6倍を上回る水準で推移しており、全職種平均を大幅に超えています。これは、1人の転職希望者に対して1.6件以上の求人がある状態を意味します。エンジニアとして一定のスキルと実績を持っている方であれば、転職市場は今後も追い風が続くと見てよいでしょう。
エンジニア転職市場の最新動向|2025年を動かす4つのトレンド
転職市場全体が好調であることは確かですが、その内側では職種やスキルによって「熱さ」に大きな差があります。2025年のエンジニア転職市場を理解するうえで、特に押さえておきたいトレンドが4つあります。この4つを知っておくことで、自分のキャリアのどの部分が市場で評価されているのか、また今後どこを伸ばすべきかを判断する材料になります。
生成AIエンジニア職の求人が急拡大している
2025年のエンジニア転職市場で最も注目すべき変化は、生成AI関連の求人が爆発的に増えていることです。Lightcastのデータによると、生成AI関連スキルを求める求人は2021年1月の55件から2025年5月には約1万件へと急拡大しており、生成AIエンジニア職の求人数は2022年から2024年にかけて約7倍に増加しています(出典:studio-tale.co.jp「ITエンジニアの転職市場【2026年】」経由でのLightcast引用)。
また、doda編集長が公表した2025年度の転職市場トレンドによると、生成AI関連求人は約1年間で約4倍に拡大したとされており、複数の調査が同じ方向性を示しています(出典:doda「2025年度の転職市場はどうなる?」)。AIエンジニアやAIソリューションアーキテクト、プロンプトエンジニアといった新しいポジションが台頭し、AI人材の裾野も急速に広がっています。ChatGPTをはじめとする生成AIツールをプロダクトやサービスに組み込む実務経験を持つエンジニアは、現在の転職市場で特に高い評価を受けやすい状況です。
DX推進で上流工程・マネジメント人材の需要が高まっている
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が本格化するにつれ、単なる実装・コーディングができるエンジニアよりも、ビジネス課題を理解して設計や要件定義をリードできる上流工程の人材や、チームをまとめるマネジメント経験者への需要が高まっています。転職ドラフトのデータによると、2024年のEM(エンジニアリングマネージャー)の平均提示年収は900万円に達しており、マネジメント経験の有無によって提示年収に約67万円の差が生じています(出典:転職ドラフト「2025年版 ITエンジニア転職市場分析レポート」)。
アプリケーションエンジニアに関しても、業務効率化や自動化、ローコード開発の普及など、DXを推進する企業を中心に需要が高まっており、特に上流工程の経験者やマネジメント人材へのニーズが強まっているとdodaのマーケットレポートも指摘しています(出典:doda「ITエンジニア中途採用マーケットレポート2025年上半期」)。コードを書くだけでなく「プロジェクトを動かせる」という経験が、年収アップの大きな武器になる時代に入っています。
出社回帰を機に転職を検討するエンジニアが増加している
コロナ禍以降に広まったリモートワークが、大手企業を中心に見直される動きが2024年から2025年にかけて加速しています。転職ドラフトのデータによると、週0日出社(フルリモート)の企業の割合は2021年12月の60.1%から2025年5月には53.1%に減少し、週3日出社を求める企業の割合は2021年比で2倍以上に増加しています(出典:転職ドラフト「2025年版 ITエンジニア転職市場分析レポート」)。
この「出社回帰」の流れは、エンジニアの転職者数にも影響を与えています。dodaのマーケットレポートによると、地方在住でフルリモートで就業していたエンジニアが、リモートワーク廃止により居住地を移すことができず転職を検討するケースが増えており、特にWebサービス系エンジニアの登録者数増加の背景にこの動きがあると指摘されています。フルリモートを維持したい方にとっては転職の良いきっかけになる一方、出社条件が良くなった企業にとっても採用のチャンスが広がっているという両面があります。
副業・フリーランスの増加で人材の流動性が高まっている
正社員転職という選択肢に加えて、副業やフリーランスという働き方を選ぶエンジニアも増えています。LAPRASの調査によると、副業をしているエンジニアの割合は2024年の13.9%から2025年には17.0%へと3.1ポイント増加しており、本業以外でスキルを活かして収入を得るエンジニアが着実に増えています(出典:LAPRAS「2025年エンジニア採用市場調査」)。このような働き方の多様化は、エンジニアにとっては市場価値を確認する機会にもなっています。副業で得た経験やポートフォリオが、正社員転職の際の強みになるケースも増えており、転職活動に向けた準備として副業を活用する方も少なくありません。
職種別に見るエンジニア転職市場の温度感
「エンジニア転職市場は売り手市場」とひとくくりに言っても、職種によって求人の多さや競争度、転職のしやすさには大きな差があります。自分の職種が今どのような位置にあるのかを把握することが、転職戦略を立てる第一歩です。ここではdodaや各種調査のデータをもとに、主要な職種ごとの市場温度感を整理します。
| 職種 | 市場温度感 | 需要の背景 |
|---|---|---|
| AIエンジニア・機械学習エンジニア | ★★★★★(非常に高い) | 生成AI活用の急拡大。求人が2022〜2024年で約7倍増 |
| インフラ・クラウドエンジニア | ★★★★★(非常に高い) | クラウド移行・ゼロトラスト対応・レガシー刷新が続く |
| セキュリティエンジニア | ★★★★☆(高い) | サイバー攻撃の増加で企業の対策ニーズが急増 |
| 業務系アプリケーションエンジニア | ★★★★☆(高い) | DX推進で需要が安定。転職決定職種の中で最多割合 |
| 社内SE(情報システム部門) | ★★★★☆(高い) | 事業会社への転職先として人気が継続。働き方の改善を求める層に人気 |
| Webサービス系エンジニア | ★★★☆☆(やや競争激化) | 登録者数は多いが希望職種と決定職種にギャップあり |
| データサイエンティスト | ★★★★☆(高い) | 希望者の65%がデータサイエンティストへ決定。実務経験者は希少 |
特に需要が高い職種|インフラ・AIエンジニア・セキュリティエンジニア
インフラエンジニアは、2025年のエンジニア転職市場において特に旺盛な需要が続いています。背景にあるのは、企業のオンプレミス環境からクラウドへの移行(クラウドマイグレーション)、ゼロトラストセキュリティへの対応、そして老朽化したレガシーシステムの刷新といった大規模プロジェクトの増加です。dodaの2025年上半期マーケットレポートでは、SIerやクラウドベンダー、SESなどでインフラエンジニアの求人が大きく増加しており、ネットワークやセキュリティ、クラウドの設計・構築スキルを持つ人材が特に求められていると報告されています(出典:doda「ITエンジニア中途採用マーケットレポート2025上半期」)。AWSやGCPなどのクラウドプラットフォームの実務経験がある方は、複数の企業からアプローチを受けやすい状況です。
セキュリティエンジニアについても、企業のサイバーセキュリティへの意識が高まるなかで需要が底堅く推移しています。dodaのマーケットレポートによると、セキュリティ以外の領域のエンジニアにセキュリティエンジニア職を提案すると、特に若手エンジニアからの反応が良く、キャリアの選択肢として検討する方が一定数いるという状況も報告されています。クライアントワークよりも自社のセキュリティ施策に携わりたい、働き方を改善したいという動機で転職を検討するケースが多く、スキルと経験を活かしてスペシャリストとしてステップアップできるのが魅力です。
競争が激しくなってきた職種|Webサービス系エンジニア
Webサービス系エンジニアは、転職希望者の登録数自体は多い一方で、希望職種と実際の決定職種にギャップが生じやすい傾向があります。dodaのマーケットレポートによると、登録時にWebサービス系エンジニアを希望する方は多いものの、実際の転職先では業務系アプリケーションエンジニアや社内SEへ転職するケースが相当数あります。これは、Webサービス系の求人が少ないというよりも、競争が激化しているため企業側の選考基準が上がっており、ポートフォリオや実績の見せ方が転職の成否を大きく左右するためです。フレームワークの経験だけでなく、チーム開発の経験や設計力、パフォーマンス改善の実績など、「課題解決の文脈でスキルを語れる」ことが選考通過のポイントになっています。
エンジニア転職市場での年収相場と上昇トレンド
転職を検討するうえで、現在の自分の年収が市場水準と比べてどの位置にあるのかを把握することは非常に重要です。エンジニアの年収は過去5年間で明確な上昇トレンドが続いており、転職によって年収をアップさせやすい環境が整っています。ただし、その恩恵を受けられるかどうかはスキルや経験の内容によって大きく変わります。
提示年収は5年間で147万円増。全体的な底上げが続いている
転職ドラフトのデータによると、企業がエンジニアに提示する年収の平均値は2020年1月の644万円から2024年12月には791万円へと、5年間で147万円もの大幅な上昇を見せています。さらに注目したいのは中央値の動きです。中央値は2020年1月の624万円から2024年12月には800万円へと推移しており、平均値と中央値がほぼ同水準で上昇していることから、一部のハイクラスエンジニアだけが引き上げているのではなく、エンジニア全体の年収水準が底上げされていることがわかります(出典:転職ドラフト「2025年版 ITエンジニア転職市場分析レポート」)。
dodaの調査では、ITエンジニアの平均年収は469万円(doda「平均年収ランキング2025年」)となっており、全職種平均の429万円を上回っています。転職を経由した場合の年収アップ幅については、技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)の平均アップ幅は113万円超という数字も報告されており、転職がエンジニアにとって年収改善の現実的な手段になっていることが示されています(出典:日経クロステック「ITエンジニア需要増で転職は売り手市場に」、dodaデータをもとに作成)。
年収800万円以上の求人が5年間で約2.6倍に増加している
高年収帯の求人が増えていることも、2025年のエンジニア転職市場の大きな特徴です。転職ドラフトのデータによると、提示年収800万円以上の求人の割合は2020年の16.1%から2024年には41.8%へと、5年間で約2.6倍に拡大しています。以前は一部のシニアエンジニアやマネージャー層に限られていた高年収ポジションが、より多くのエンジニアにとってリーチできる選択肢になりつつあります(出典:転職ドラフト「2025年版 ITエンジニア転職市場分析レポート」)。
職種別の年収水準についても整理しておきましょう。
| 職種・ロール | 年収目安(2024〜2025年) | 備考 |
|---|---|---|
| エンジニアリングマネージャー(EM) | 平均900万円 | マネジメント経験の有無で約67万円の差 |
| AIエンジニア・機械学習エンジニア | 558万円〜1,200万円 | 専門性により大きく変動 |
| ITコンサルタント | 685万円〜900万円超 | 複数調査で高水準を維持 |
| インフラエンジニア(クラウドスキルあり) | 経験3年以上で500万円台〜、クラウドスキルで+100万円程度 | クラウド関連スキルが年収の分岐点 |
| 業務系アプリケーションエンジニア | 経験5年以上で600万円台 | 需要が安定しており年収も着実に上昇 |
| エンジニア全体(IT技術系)平均 | 469万円 | doda平均年収ランキング2025年 |
転職で年収をアップさせるための条件
年収アップを実現するためには、市場が好調であることに加えて、いくつかの条件を意識することが重要です。まず、マネジメント経験の有無は年収に直結します。前述のとおりマネジメント経験のあるエンジニアとそうでないエンジニアでは提示年収に平均67万円の差があり、チームリーダーやテックリードの経験は非常に評価されます。プレイヤーとしての実績に加えて、「チームに対してどう貢献してきたか」を具体的に語れると、選考での評価が大きく変わります。
次に、使用する技術・言語の希少性も年収を左右します。転職ドラフトのデータでは、C++やScalaといった習得が難しい言語や、SwiftやKotlinなど需要が伸びているアプリ開発言語の経験者は、提示年収が高い傾向があります。主要なプログラミング言語の経験に加えて、AIやクラウドなど旬な領域のスキルを1つでも持っていると、選考の幅が広がりやすくなります。そして、転職活動においては「自分の経験をどう言語化するか」が年収交渉の起点になります。単に「〇〇を開発した」という事実だけでなく、「どんな課題があり、どう解決したか、その結果どんな成果につながったか」という文脈で実績を整理しておくことが、希望年収を勝ち取るための準備です。
エンジニア転職市場で有利に動くための3つのポイント
市場環境がいくら整っていても、準備と戦略なしに動いては本来の市場価値を下回る条件で転職してしまうことがあります。エンジニア転職市場の特性を踏まえ、転職活動を有利に進めるために特に意識してほしい3つのポイントをお伝えします。
ポイント①|スキルを「課題解決の文脈」で言語化する
エンジニアの転職活動において、最も重要でありながら多くの方が苦手としているのが「自分のスキルと経験の言語化」です。職務経歴書や面接で「Pythonが使えます」「AWSの経験があります」という技術スタックの羅列だけで終わってしまうと、採用担当者には差別化ポイントが伝わりません。企業が本当に知りたいのは「その技術を使って何をどう解決してきたか」です。
たとえば、「バッチ処理の遅延が問題になっていたシステムを、処理フローの見直しとキャッシュ導入によって処理時間を70%削減した」というような、課題→アプローチ→成果という構造で実績を整理することで、技術力だけでなく問題解決力が伝わります。数字で成果を示せると説得力がさらに増します。転職活動を始める前に、直近2〜3年の業務をこの構造で棚卸しすることを強くお勧めします。ベイジが2025年に実施した調査によると、エンジニアが転職を考えるきっかけとして「給与が低い」(41.68%)が最多で、続いて「仕事量や残業が多い」(35.01%)が挙げられており、待遇改善を目的とした転職では、年収交渉の根拠となる実績の言語化が特に重要になります(出典:株式会社ベイジ「エンジニアの転職実態調査2025年版」)。
ポイント②|スカウト型サービスを活用して市場価値を把握する
自分から求人に応募するだけでなく、スカウト型の転職サービスやダイレクトリクルーティングプラットフォームを活用することで、自分の市場価値を客観的に把握しながら転職活動を進めることができます。スカウト型のサービスでは、企業側が候補者のプロフィールを見て声をかけてくるため、どのような企業がどんな条件でオファーを出してくるかを見ることで、現在の自分の市場評価を知る良い機会になります。
特にまだ「転職するかどうか迷っている」という段階でも、スカウト型のサービスに登録しておくことには大きな意味があります。実際にオファーが来てみると「自分はこのくらいの評価なのか」という現実が見え、転職するかどうかの判断材料になります。LAPRASの調査では、転職先候補のリスト化など転職に前向きなアクションを取るエンジニアが増えているとされており、情報収集としてのスカウト活用は今や標準的なアプローチになっています(出典:LAPRAS「2024年エンジニア採用市場調査」)。
ポイント③|転職タイミングは「市場」と「自分の状態」を両軸で判断する
「市場が良いから今すぐ転職すべき」とは一概に言えません。転職のタイミングは、市場環境と自分自身のキャリアの状態の両方を考慮して判断することが大切です。たとえば、現職で大きなプロジェクトの完了が近い場合は、その実績を携えてから転職活動をするほうが選考での評価が高まることがあります。逆に、現職でのスキルアップの機会が少なく停滞感がある場合は、早めに動くことが中長期的なキャリアにとってプラスになることも多いです。
また、エンジニア転職市場では1〜3月と9〜10月が求人数の多い時期とされており、この時期に合わせて応募活動を集中させると選択肢が広がりやすくなります。ただし、良い求人は時期に関係なく出てくるため、常にアンテナを張っておくことの方が大切です。転職活動にかかる平均期間は2〜3カ月程度が一般的とされており、在職中に動く場合は余裕を持ったスケジュールで進めることをお勧めします。
エンジニア転職市場に合わせた転職エージェントの選び方
エンジニアの転職活動において、転職エージェントは心強い味方になります。ただし、エージェントならどこでも同じというわけではなく、自分のキャリアフェーズや目指す方向性によって相性が変わります。エージェント選びで迷ったときに意識してほしい軸をお伝えします。
まず、IT・エンジニア領域に特化したエージェントと、総合型の大手エージェントの使い分けを意識することが大切です。IT特化型のエージェントは、担当者がエンジニアリングの知識を持っていることが多く、技術スタックやキャリアの方向性についての会話が深くできます。また、企業のエンジニア組織の実態や技術的な環境についての情報を持っていることが多いため、入社後のミスマッチが起きにくいというメリットがあります。一方、総合型の大手エージェントはリクルートエージェントやdodaなどに代表されるように求人数が圧倒的に多く、幅広い選択肢の中から比較検討したい方や、IT業界から事業会社の社内SEや上流工程職種へのキャリアチェンジを考えている方に適しています。
キャリアフェーズ別に考えると、20代で経験年数が浅い方はポテンシャル採用の案件が多い総合型エージェントやIT特化型の若手向けサービスが向いています。30代以上で一定の実績があり年収アップやハイクラス転職を目指す方は、ビズリーチのようなスカウト型ハイクラスサービスや、転職ドラフトのように実績ベースで企業が指名してくれる仕組みのサービスを活用すると、より市場価値に見合った条件の案件に出会いやすくなります。いずれにしても、1社だけに絞らず2〜3社を並行して活用し、それぞれから得られる情報や求人を比較することが、転職活動の質を高めるうえで有効です。
まとめ|エンジニア転職市場は追い風が続くが、戦略が成否を分ける
2025年のエンジニア転職市場は、有効求人倍率の高水準維持、求人数の前年比増、そして転職活動者が過去5年で最多水準に達するなど、あらゆる指標が活況を示しています。経済産業省の試算では2030年までに最大79万人のIT人材が不足するとされており、この構造的な需給ギャップはすぐに解消されるものではなく、エンジニアにとって有利な市場環境は中長期的に続くと考えられます。
ただし、市場全体が好調であることと、自分が満足のいく転職を実現できることは別の話です。生成AIエンジニアやインフラ・クラウドエンジニアのように需要が急拡大している領域がある一方で、職種によっては競争が激しくなっているケースもあります。年収についても、マネジメント経験の有無や希少スキルの保有によって提示条件に大きな差が生まれており、「市場が良いから何もしなくても年収が上がる」というほど単純ではありません。
転職を成功させるために今からできることは、大きく3つです。まず、自分のスキルと実績を課題解決の文脈で言語化すること。次に、スカウト型サービスを活用して市場からの評価を把握すること。そして、市場環境と自分のキャリアの状態を両軸で見ながら最適なタイミングで動くことです。追い風の市場をしっかりと活かすために、情報武装と準備を丁寧に進めていきましょう。

