「もう3回も転職してしまった……次の選考、大丈夫だろうか」と不安を抱えていませんか。20代のうちに複数回の転職を経験すると、履歴書を前にして手が止まってしまう方も少なくありません。
でも実際のところ、採用担当者が「転職回数」をどう見ているかは、世間のイメージよりずっと複雑です。回数そのものより、転職の文脈と一貫性のほうが評価の軸になるケースが多いのです。
この記事では、公的調査や採用側のアンケートデータをもとに、20代の転職回数の平均・採用担当者の本音・選考を突破するための具体的な対策まで、まとめて解説します。
20代の転職回数の平均はどのくらいか
「転職回数が多い」と判断される前に、まず自分の回数が平均と比べてどのあたりに位置するかを把握しておきましょう。客観的なデータを知るだけでも、漠然とした不安は和らぎます。
マイナビ調査で見る20代の転職回数の実態
マイナビ「転職動向調査2024年版」によると、20代の転職回数は男女ともに1回と回答した人が最も多く、約半数を占めています。
また、男女ともに2回までで約8割を占めており、3回以上の転職回数があると、平均値から見ると「多い」と評価されることが分かります。
つまり、20代で転職が1〜2回であれば統計的には多数派です。3回を超えると少数派の領域に入るため、採用担当者の目が向きやすくなる点は頭に入れておきましょう。
転職回数は3回以上から注目されやすく、説明の準備が重要になります。
厚生労働省の調査が示す傾向
厚生労働省「令和2年転職者実態調査」によると、20代の転職回数で最も多いのが1回であり、特に20〜24歳では1〜2回までと答えた人が大多数を占めています。20代前半で3回以上転職している人は少数にとどまっています。
20代後半になると転職の経験を重ねる方が増えてきますが、それでも3回以上は少数派であることに変わりはありません。自分の転職回数をこのデータに照らし合わせてみてください。
採用担当者は転職回数をどう見ているか
平均値の話だけでは「では実際に選考でどう評価されるの?」という疑問が残ります。採用担当者のリアルな声を見ていきましょう。
3回以上から警戒されやすいというデータ
マイナビ「中途採用状況調査2025年版」によると、中途採用担当者に応募者の転職回数を気にするか聞いたところ、気にする割合は77.6%と約8割を占めました。また、20代の採用において転職回数が「3回以上」の場合に採用を躊躇すると回答した割合は66.4%と過半数に及びました。
dodaのアンケートでも、20代の転職希望者に対して「転職回数が選考に影響する」のは「3回目から」が最も多い回答で28.2%、次いで「2回目から」の22.3%、「転職回数は選考に影響しない」の18.4%の順になりました。
一方で、採用担当者のすべてが転職回数を重視しているわけではありません。
リクルートエージェントのアンケートでは、一定数の採用担当者が「転職回数は気にならない」と回答しており、転職回数を重視しない担当者も少なくないことが分かっています。
採用担当者は回数だけで判断せず、転職理由の納得感や一貫性を重視しています。
採用担当者が本当に懸念しているのは「在籍期間の短さ」
採用担当者は「転職回数」より「在籍期間」の短さを気にする傾向があります。たとえば「転職回数4回」でも、40代でどの職場もある程度の在籍期間があればそれほど気にならないが、20代半ばで1年ごとに転職していると「何かあったのかな」「うちも半年で辞めてしまわないかな」と不安になるといいます。
dodaの調査で「3回目から」と答えた採用担当者は、「3年続けられるかが一つの目安と考える。辞めぐせがついていないか確認したい」「転職回数よりは、1社で平均3年程度は経験してもらいたい」という理由を挙げており、「3年以上勤めることで得られる経験」に注目していることがうかがえます。
20代は年齢そのものがひとつの評価ポイント
採用担当者の本音として、「回数」と「年齢」を切り分けて見ているケースは少なくありません。
採用担当者は転職回数よりも年齢要件の方を気にしているケースが多く、たとえば20代で転職回数が4社目となると、大手企業の採用条件こそ厳しいものの、書類選考の時点で転職回数が足切りの条件にはなっていないことが多いとされています。
また、採用担当者の中には20代の転職希望者に対して「転職回数は選考に影響しない」と答える層も存在し、その理由として「やりたい仕事を見つける段階だから」「納得する理由があれば問題はない」「人物を重視するので」「むしろさまざまな社風に触れてほしい」といった声がありました。
転職回数が多いと感じたときに出やすい懸念点
採用担当者の目線から見たとき、転職回数が多い求職者に対してどのような懸念が生まれやすいのかを知っておくと、面接での準備がしやすくなります。
定着性への不安が最大の懸念
採用担当者が最も懸念するのは、「入社してもすぐに辞めてしまうのではないか」という点です。採用や育成には多大なコストがかかります。求人広告費、面接対応の人件費、入社後の研修費用などが発生するため、短期間で退職されてしまえば、それらのコストすべてが無駄になってしまいます。
スキルの蓄積が見えにくくなる
20代で転職回数が多いということは、それだけ一社での在職期間が短いということを意味します。社会人としての基本的なマナーや、例えば営業職であれば営業職の基本的なスキルも身に付いていないと判断されてしまうこともあります。
複数回の転職を経ても職種が定まらない、業務範囲が広がっていないといった場合は、スキルが蓄積されていないのではという印象を与えてしまう可能性があります。採用する企業としては「この人は自社でどんな成果を出せるのか」「どんなスキルを持っているのか」を重視するため、強みが見えないと採用判断が難しくなります。
「キャリアに一貫性がない」と見られやすい
転職するごとに業界や職種が大きく異なると、キャリアの方向性が不明確なのではと受け取られることもあります。特定の分野への専門性がないことはもちろんのこと、キャリアにおける継続性もないと判断されてしまうと、採用に至るのは困難になりえます。
転職回数が多くても内定を勝ち取るための対策
回数は変えられませんが、「伝え方」と「見せ方」で印象は大きく変わります。ここからは、具体的な対策を整理していきます。
転職理由を一貫したストーリーに整理する
転職の理由を自分自身で整理し、一貫したストーリーとして説明できるようにしておくことが非常に重要です。これにより、企業側に多くの転職経験をポジティブに捉えてもらえる可能性が高まります。まずは、今までの軌跡を客観的に振り返り、自身のキャリアの全体像を明確にすることで、一貫性のあるストーリーがつくりやすくなります。
それぞれの転職について、「なぜ移ったのか」「そこで何を学んだのか」「次のステップとどうつながるのか」という3点を言語化しておくと、面接での説明に説得力が生まれます。
ネガティブな退職理由はポジティブに言い換える
転職回数の多さに関わらず、面接では「転職理由」と「志望動機」に一貫性がないと納得感が得られず採用に繋がりません。転職回数が多い場合は特にキャリアの一貫性が見られるため、「なぜ転職したのか」と「どうしてその会社を志望したのか」を1社ごとに詳しく聞かれることが多いです。
人間関係の悩みや給与への不満など、ネガティブな退職理由があったとしても、そこから得た学びや気づきをセットで語ることで、前向きな印象へと転換できます。
入社後のキャリアビジョンを具体的に伝える
入社後にしたいことやキャリアビジョンについて転職目的をしっかりと伝えられるようにしておくと、転職回数が多い20代の人でも内定率がぐっと高くなります。入社後1〜3年の具体的なキャリア目標があれば、採用担当者からは3年くらいは会社にいることができるかなと短期離職の懸念も対策できます。
「なぜ今回の企業でなければいけないのか」を、応募先の事業内容や組織課題と結びつけて話せると、さらに説得力が増します。
転職回数よりも「何を積み上げてきたか」をアピールする
採用担当者が「この人は欲しい」と魅力を感じるのは、それぞれの職歴での経験・得たスキル・学んだことを認識し、自身の言葉でアピールできる人です。環境適応力の高さや、メンバー・上司・クライアントとのコミュニケーションが円滑にできることも重要になってきます。
各転職に明確な意思があり、各職場での成果や積み上げてきたスキルを証明できれば、転職回数の多さも「多様な経験を持つ人材」として評価されるケースもあります。
転職回数を重視しない企業・業界を選ぶ
転職回数は年代によって少しバラツキがありますが、20代であれば企業側もポテンシャルを重視して未経験業界や職種であっても採用を進める傾向があります。IT業界は転職をするのが一般的といっても過言ではないほど、多くの人がスキルアップやプロジェクト単位で転職を行います。
IT業界やベンチャー企業など、転職回数を重視しない業界を狙えば、まだチャンスはあります。重要なのは、各転職に明確な目的があり、スキルを積み上げてきたことを証明できるかどうかです。
面接での説明は簡潔に・練習を重ねる
転職回数が多いとどうしても気後れしてしまい、面接で説明が長くなったり、余計な情報まで話してしまう傾向があります。しかし採用担当者は「自分のキャリアをどう整理しているか」「自分の価値をどう説明できるか」を見ています。事前に想定される質問と答えをまとめ、自分の言葉で整理しておくことが非常に重要です。
面接では「簡潔で一貫した説明」が、転職回数への不安を払拭する有効な対策です。
転職回数を誤魔化すのは絶対に避ける
転職回数が多くなると「少なく伝えてしまいたい」という気持ちが芽生えることもあるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべきです。
人事担当者なら、転職を隠してブランク期間が長くなる方がむしろマイナスイメージです。職歴を誤魔化すのは経歴詐称になるだけで何のメリットもありません。最悪の場合、入社後に発覚した場合は懲戒解雇の対象となり得るほか、状況によっては法的責任を問われることもあります。
事実を正直に伝えたうえで、「それでもあなたにとって自分が価値ある人材である」と伝える姿勢が、採用担当者に誠実さと信頼を感じさせます。
転職回数が多い20代が活用すべきサポートとは
転職回数が多い状況で一人で活動を進めようとすると、書類作成や面接対策に行き詰まることがあります。そんなときは、転職エージェントのサポートを活用することも選択肢のひとつです。
転職回数が多い人が就職を成功させるには、「職歴が多いことをポジティブに伝える」「納得できる転職理由を用意しておく」「転職回数を重視しない企業を選ぶ」「転職エージェントを利用する」がポイントです。職歴が多いことはネガティブに捉えられがちですが、ポジティブに考えれば様々な経験をしているとも言えます。
転職エージェントはキャリアアドバイザーが個別に相談に乗ってくれるため、自分では気づきにくい「強みの言語化」や「転職回数の伝え方」を一緒に整理してもらえます。複数のエージェントに登録して比較しながら活用するのも、選択肢を広げるうえで有効な方法です。
転職エージェントの比較情報はこちらでまとめています。
まとめ
最後にこの記事の要点を整理します。
- 20代の転職回数は1〜2回が多数派。3回以上から「多い」と評価されやすく、採用担当者が選考で意識し始めるラインとなる傾向がある
- 採用担当者が本当に懸念しているのは「転職回数の数字」ではなく、「在籍期間の短さ」と「なぜ辞めたかの説明の曖昧さ」であることが多い
- 転職回数を変えることはできないが、一貫したキャリアストーリーと具体的なビジョンを伝えることで、選考の印象は大きく変えられる
- 20代は年齢そのものがポテンシャルとして評価される時期。転職回数が多くても、転職エージェントのサポートを活用しながら戦略的に動くことが大切
転職回数が多いからといって、次のチャンスが閉ざされるわけではありません。自分のキャリアの意味を整理し、前向きに次の一歩を踏み出してください。
回数そのものより、転職理由の一貫性と将来ビジョンの伝え方が評価を左右します。

