株式会社アダストリア(以下、アダストリア)は、「GLOBAL WORK」「niko and…」「LOWRYS FARM」など30を超えるブランドを国内外で展開するカジュアルファッション専門店チェーンです。国内アパレル業界で第3位の売上高を誇る同社の年収水準や働く環境について、有価証券報告書など公式データを基に詳しく解説していきます。転職や就職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
アダストリアの会社概要
アダストリアは1953年に紳士服小売店として創業し、成長の過程で4回のビジネスモデル変革を実行してきました。現在はマルチブランド戦略により、幅広い顧客層にアプローチしています。2002年に東証二部上場、2004年に東証一部上場(現在はプライム市場)を果たし、業界内での地位を確立しています。
アダストリアの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社アダストリア |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ27F |
設立年 | 1953年10月22日 |
業種 | 小売業(衣料品・雑貨等の企画・製造・販売) |
事業内容 | カジュアルファッション専門店チェーン |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
アダストリアの事業は、SPA(製造小売業)モデルを採用し、企画から生産、物流、販売まで一貫して手がけています。主力ブランドには、幅広い年代に支持される「GLOBAL WORK」、ライフスタイル提案型の「niko and…」、20代女性をターゲットとした「LOWRYS FARM」などがあります。国内では約1,400店舗、海外では中国、台湾、韓国、タイなど約140店舗を展開し、グローバルな事業展開を推進しています。
アダストリアの平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年2月期 | 423万円 | 32.9歳 | 8.1年 | 4,520人 |
2023年2月期 | 423万円 | 32.3歳 | 6.6年 | 4,478人 |
2022年2月期 | 402万円 | 32.3歳 | 6.6年 | 4,478人 |
2021年2月期 | 410万円 | 31.8歳 | 6.0年 | 4,159人 |
2020年2月期 | 416万円 | 31.4歳 | 5.9年 | 4,482人 |
2019年2月期 | 432万円 | 31.2歳 | 5.8年 | 4,327人 |
出典:株式会社アダストリア 有価証券報告書(2024年2月期)
アダストリアの最新の平均年収は423万円となっています。過去6年間の推移を見ると、2019年の432万円をピークとして、その後やや下降傾向にありましたが、2023年以降は回復基調を示しています。平均年齢は32.9歳と若い世代が中心の職場環境となっており、アパレル業界の特徴が表れています。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界順位 |
---|---|---|
ファーストリテイリング(ユニクロ) | 964万円 | 1位 |
しまむら | 584万円 | 2位 |
アダストリア | 423万円 | 3位 |
ユナイテッドアローズ | 405万円 | 4位 |
ライトオン | 363万円 | 5位 |
アパレル業界内での比較では、アダストリアは業界第3位の平均年収となっています。業界トップのファーストリテイリングとは大きな差がありますが、同規模のアパレル企業と比較すると平均的な水準を維持しています。全国平均年収(433万円)と比較すると若干下回る水準ですが、アパレル業界全体の特徴として理解する必要があります。
アダストリアの役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 415-465 |
課長クラス | 545-625 |
部長クラス | 640-785 |
マネージャー職 | 700-800 |
アダストリアは「グレード制度」を採用しており、グレード1(一般)、グレード2(店長)、グレード3(エース店長)、グレード4(マネージャー)という4段階の体系となっています。グレードが一つ上がると年収が100万円以上アップするのが特徴です。店長までは比較的スムーズに昇格できるとされていますが、グレード3以上になると狭き門となり、MD(マーチャンダイザー)・企画・広報などの花形ポジションはかなりハードルが高いとされています。ただし、実力が認められれば20代でも新ブランド立ち上げのマネージャーに抜擢されるケースもあります。
アダストリアの年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 290-340 |
30代 | 410-460 |
40代 | 530-580 |
50代以上 | 490-540 |
年齢別の年収推移では、25-29歳で337万円、30-34歳で374万円、35-39歳で423万円、40-45歳で465万円、50-54歳で534万円という推移となっています。職種別では、総合職と地域限定職で年収差があり、入社1年目の販売スタッフで総合職319万円、地域限定職296万円、入社4年目の店長で総合職410万円、地域限定職380万円と、20万円程度の差が生じています。30代以降では、店長職で450-500万円、課長クラスで600-800万円の年収レンジとなっています。
アダストリアの福利厚生
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 転勤者のみ支給(地域により金額差あり) |
交通費 | 月額上限5万円まで全額支給 |
退職金制度 | 前払退職金制度(毎月給与に上乗せ) |
社員割引 | 自社商品50%割引 |
年次有給休暇 | 入社時10日、勤続年数に応じて増加 |
季節休暇 | 春夏冬各3日間(計9日間) |
店長手当 | 15,000-20,000円 |
帰省手当 | 転勤者の帰省旅費一部補助 |
アダストリアの福利厚生制度は充実しており、特に前払退職金制度が特徴的です。一般的な退職金制度ではなく、退職金相当額を毎月の給与に上乗せして支給するシステムを採用しています。全額または半額を確定拠出年金に拠出することも可能です。住宅手当は転勤者のみが対象となっており、地域によって支給額が異なります。社員割引は自社商品が50%割引で購入でき、アパレル業界では一般的な福利厚生として社員に好評です。残業代については「アパレル業界にはめずらしく、きっちりと支給される」との口コミが多く見られます。
アダストリアの転職難易度は?
求められる人材像
項目 | 内容 |
---|---|
採用方針 | スキルや学歴よりも挑戦する気持ちを重視 |
求める人物像 | アダストリアのポリシーに共感し自ら考え行動できる人 |
重視する要素 | 個性への自信と変化を楽しめる姿勢 |
企業文化 | 変化を恐れず新たな答えを生み出し続ける |
アダストリアは人物重視の採用を行っており、経験やスキルよりも「挑戦したいという気持ち」を大切にしています。同社の行動規範「いつもお客様の立場で考え、行動します」「新しいことに挑戦し、変化と成長を続けます」「多様性を尊重し、チームで前へ進みます」「誰かの役に立つことで、社会に貢献します」「私は、毎日をワクワクさせます」に共感できることが重要とされています。
転職成功のポイント
アダストリアへの転職成功のポイントは以下の通りです。まず、ファッション業界への情熱と顧客サービスへの理解が不可欠です。同社は「Play fashion!」をミッションに掲げており、ファッションを通じて人々を幸せにするという理念への共感が求められます。また、変化の激しいファッション業界において、柔軟性と適応力を持つことが重要です。販売職からスタートする場合も多いため、接客スキルや店舗運営への理解があると有利になります。さらに、同社は女性管理職比率30%超えを実現しており、ダイバーシティを重視する企業文化のため、多様な働き方への理解と協調性が評価されます。中途採用では販売職、MD、生産管理、エリアマネージャーなどの職種で積極的に採用を行っているため、該当職種での経験があると転職の可能性が高まります。
まとめ
アダストリアの平均年収は423万円で、アパレル業界内では中位クラスの水準を維持しています。同社の特徴は、若い世代が活躍できる環境と充実した福利厚生制度、そして実力に応じた昇進の機会があることです。グレード制度により明確なキャリアパスが示されており、店長までは比較的スムーズに昇格できる一方、それ以上の役職は実力次第という仕組みになっています。
転職を検討される方は、ファッション業界への情熱と変化を楽しめる姿勢を持つことが重要です。同社は「変化を恐れず、常に世界中のお客様の新たな答えを生み出し続けていく」という企業文化を持っており、この考え方に共感できる方には魅力的な職場環境となるでしょう。給与水準だけでなく、やりがいのある仕事とキャリア成長の機会を重視する方にとって、アダストリアは検討に値する企業と言えます。