株式会社アルプス技研(以下、アルプス技研)は、技術者派遣と技術プロジェクトの受託開発を手がける技術系アウトソーシング業界のリーディングカンパニーです。創業55年以上の歴史を持ち、東証プライム市場に上場する同社の年収水準や働く環境について、有価証券報告書などの公式データを基に詳しく解説していきます。エンジニアとしての転職や就職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
アルプス技研の会社概要
アルプス技研は1968年に松井設計事務所として創業し、1971年に有限会社アルプス技研として設立されました。1981年に株式会社化し、2004年に東証一部(現プライム市場)に上場を果たしています。同社は「Heart to Heart」という経営理念のもと、人と人とのつながりを大切にし、技術者派遣事業と技術プロジェクト受託事業を展開しています。
アルプス技研の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社アルプス技研 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-5 クイーンズタワーC 18階 |
設立年 | 1971年1月(創業1968年7月) |
業種 | サービス業(技術者派遣・プロジェクト受託) |
事業内容 | 技術者派遣事業、技術プロジェクト受託事業 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場(コード4641) |
アルプス技研の事業は、機械・電気・電子・ソフトウェア・化学などの技術分野における技術者派遣事業と、開発・設計・試作・製造・評価を手がける技術プロジェクト受託事業を柱としています。取引先は約700社におよび、トヨタ自動車、日産自動車、日立製作所、東芝、三菱重工業などの大手製造業を中心に、上流工程である研究・企画・設計領域で高い技術力を提供しています。全国26拠点を展開し、海外では台湾、中国、ミャンマーにも進出しています。
アルプス技研の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年12月期 | 525万円 | 35.9歳 | 9.4年 | 4,712人 |
2023年12月期 | 505万円 | 35.7歳 | 9.0年 | 4,158人 |
2022年12月期 | 508万円 | 35.7歳 | 9.2年 | 4,337人 |
2021年12月期 | 494万円 | 35.1歳 | 8.1年 | 3,716人 |
2020年12月期 | 513万円 | 35.0歳 | 8.2年 | 3,678人 |
2019年12月期 | 510万円 | 34.8歳 | 8.0年 | 3,593人 |
出典:株式会社アルプス技研 有価証券報告書(2024年12月期)
アルプス技研の最新の平均年収は525万円となっており、前年から20万円の増加を示しています。過去6年間の推移を見ると、494万円から525万円の範囲で推移しており、技術系アウトソーシング業界では安定した水準を維持しています。平均年齢は35.9歳と若い世代が中心で、平均勤続年数は9.4年となっており、定着率の高い職場環境であることがうかがえます。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界での位置づけ |
---|---|---|
メイテック | 約750万円 | 技術者派遣業界1位 |
アルプス技研 | 525万円 | 技術者派遣業界2位 |
パーソルテクノロジースタッフ | 約480万円 | 中位グループ |
アウトソーシングテクノロジー | 約450万円 | 中位グループ |
全国平均 | 433万円 | 参考値 |
技術者派遣業界内での比較では、アルプス技研は業界トップのメイテックに次ぐ第2位の平均年収水準となっています。全国平均年収(433万円)を上回る水準であり、技術系アウトソーシング業界では高い給与水準を維持していることが分かります。メイテックとの差はありますが、同社は創業以来55年間の黒字経営を続けており、安定した収益基盤を背景とした待遇提供が可能となっています。
アルプス技研の役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般社員 | 公式データとしては非開示 |
係長・主任クラス | 公式データとしては非開示 |
課長クラス | 公式データとしては非開示 |
部長クラス | 公式データとしては非開示 |
アルプス技研では役職別の詳細な年収データは公式には開示されていません。ただし、同社は技術者の能力とスキルを重視した評価制度を採用しており、技術力向上と業績に応じた昇進・昇格の機会が提供されています。エンジニアから営業、採用担当、技術講師などへのキャリアチェンジも支援しており、多様なキャリアパスが用意されています。また、社内公募制度により海外勤務のチャンスもあり、グローバルな経験を積むことも可能です。
アルプス技研の年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 342-380 |
30代 | 418-510 |
40代 | 551-580 |
50代以上 | 628-629 |
年齢別の年収推移では、25-29歳で342万円、30-34歳で418万円、35-39歳で504万円、40-45歳で551万円、50-54歳で628万円という推移となっています。30代前半から中盤にかけて大きく年収が上昇する傾向があり、技術力の向上とキャリアの積み重ねが年収に反映される仕組みとなっています。同社では大卒初任給が21万円(修士了23万円)となっており、上場企業の平均初任給とほぼ同水準でスタートし、その後の成長により着実に年収が向上していく構造です。
アルプス技研の福利厚生
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 家賃4万円超過分を最大1万円まで補助 |
交通費 | 通勤距離に応じて全額支給 |
退職金制度 | あり |
社会保険 | 健康保険(アルプス技研グループ健康保険組合)、厚生年金、雇用保険、労災保険 |
有給取得率 | 71.8% |
年間休日 | 126日 |
育児休業取得率 | 女性100%、男性42.6% |
資格取得 | 資格取得報奨金制度あり |
アルプス技研の福利厚生制度は東証プライム上場企業として充実した内容となっています。住宅手当は家賃4万円を超える分について最大1万円まで補助されますが、競合他社と比較するとやや控えめな水準です。一方で、年間休日126日、有給取得率71.8%と働きやすい環境が整備されており、ワークライフバランスを重視した職場環境が特徴です。育児休業取得率も女性100%、男性42.6%と高い水準を維持しており、子育て支援制度「くるみんマーク」認定企業でもあります。また、技術者のスキルアップを支援する資格取得報奨金制度や、年間1000回以上開催される社内勉強会など、技術力向上のための環境が充実しています。
アルプス技研の転職難易度は?
求められる人材像
項目 | 内容 |
---|---|
採用方針 | 現時点のスキルより成長する可能性・意欲を重視 |
人物重視 | 技術力だけでなくヒューマンスキルも評価 |
未経験者条件 | 理工系学科履修者で既卒3年以内 |
求める姿勢 | Heart to Heartの理念への共感 |
アルプス技研では人物を最も重視した採用活動を行っており、現時点のスキルよりも成長する可能性と意欲を重視しています。同社の経営理念「Heart to Heart」に共感し、人と人とのつながりを大切にできる人材を求めています。技術力だけでなく、派遣先から「一緒に働きたい」と思ってもらえるヒューマンスキルも重視しており、そのためのビジネスマナーやヒューマンスキル研修にも力を注いでいます。
転職成功のポイント
アルプス技研への転職成功のポイントは以下の通りです。まず、技術への情熱と成長意欲を明確に示すことが重要です。同社は約700社の大手製造業との取引実績があり、最先端技術に携わる機会が豊富にあるため、技術者としてスキルアップしたい意欲をアピールする必要があります。次に、チームワークとコミュニケーション能力が求められます。派遣先で円滑に業務を進めるためには、技術力だけでなく人間関係構築能力が不可欠です。また、同社は異業種からの転職や未経験者も受け入れているため、理工系学科履修者であれば挑戦の機会があります。さらに、長期的なキャリアビジョンを持つことも重要で、同社ではエンジニアから営業、採用担当、技術講師などへのキャリアチェンジも支援しているため、多様な可能性を視野に入れた志望動機が評価されます。面接では、同社の「Heart to Heart」の理念への理解と共感を示し、技術を通じて社会に貢献したいという志を伝えることが成功の鍵となります。
まとめ
アルプス技研の平均年収は525万円で、技術者派遣業界では第2位の水準を維持しています。同社の特徴は、創業55年以上の歴史と安定した経営基盤、そして技術者の成長を重視した教育環境にあります。東証プライム上場企業として充実した福利厚生を提供し、年間休日126日、有給取得率71.8%という働きやすい環境を整備しています。
転職を検討される方は、技術への情熱と成長意欲、そして人とのつながりを大切にする姿勢を持つことが重要です。同社は「Heart to Heart」という経営理念のもと、技術力とヒューマンスキルの両面でエンジニアの成長を支援しており、長期的なキャリア形成を望む技術者にとって魅力的な環境が用意されています。年収水準だけでなく、技術者としての市場価値向上と安定した働く環境を重視する方にとって、アルプス技研は検討に値する企業と言えるでしょう。