ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD)は、全日本空輸(ANA)を中核グループ会社とする日本最大級の航空持株会社です。転職・就職先として高い人気を誇る同社ですが、「実際の年収水準はどのぐらいなのか」「近年の業績回復と連動して年収は上がっているのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
2024年3月期の有価証券報告書によると、ANAホールディングスの平均年収は714万円です。 本記事では、有価証券報告書や公式IR資料などの一次情報をもとに、ANAHDの年収水準・年度別推移・同業他社との比較を詳しく解説します。転職・就活を検討している方はぜひ参考にしてください。
なお、本記事で掲載している平均年収・従業員数・勤続年数などの数値はすべてANAHDの有価証券報告書(単体)の開示値を使用しています。 ANAホールディングスの従業員だけを対象とした平均年収であり、子会社の全日本空輸(ANA)の従業員は含まれていません。 グループ全体の雇用状況については、公式IRページを併せてご確認ください。
ANAホールディングスの会社概要
ANAホールディングス株式会社は東京都港区東新橋(汐留)に本社を置き、大手航空会社の全日本空輸(ANA)を中心とする企業グループ「ANAグループ」の持株会社です。 日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つでもあり、日本を代表するグローバル企業として広く認知されています。
2013年4月1日に純粋持株会社に移行し、旧商号の全日本空輸からANAホールディングス株式会社に変更されました。ANAホールディングスは航空輸送事業・旅行事業・商社事業を行う企業の株式を保有し、ANAグループの経営戦略の立案や経営管理を行っています。 近年は貨物事業の強化やLCC(格安航空会社)の取り込みも積極的に進めており、2024年2月には航空事業の第3ブランドとなる「AirJapan」が運航を開始しました。
ANAホールディングスの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | ANAホールディングス株式会社(ANA HOLDINGS INC.) |
| 証券コード | 9202(東証プライム) |
| 本社所在地 | 東京都港区東新橋1丁目5番2号 |
| 設立 | 1952年(昭和27年)12月27日 | 事業形態 | 純粋持株会社(2013年4月移行) |
| グループ従業員数 | 44,019名(2025年3月期末時点) |
| 連結売上高 | 2兆559億円(2024年3月期) |
| IRページ | ANAグループ 株主・投資家情報 |
ANAHDの事業内容は、グループ各社の経営管理・経営戦略立案が中心です。 全日本空輸株式会社(ANA)は国内外の旅客・貨物輸送を中心に、航空関連事業や非航空事業まで幅広く展開する日本最大級の航空会社です。ANAホールディングス傘下で、グローバルなネットワークを活かし、世界中の人とモノをつなぐ役割を担っています。 ANAグループは、ANAホールディングス株式会社を持株会社とし、全日本空輸株式会社を含む子会社142社、関連会社35社(連結対象範囲は連結子会社57社、持分法適用子会社・関連会社13社)により構成されています。
ANAホールディングスは2024年3月期に売上高2兆559億円、営業利益2,079億円と過去最高益を記録しました。 コロナ禍で大きな打撃を受けた航空需要は完全に回復し、現在は力強い成長軌道に乗っています。 グループ従業員数は、前期末から2,794人増加して44,019人となりました。
ANAホールディングスの平均年収はどのぐらい?
2024年3月期の有価証券報告書によると、ANAホールディングスの平均年収は714万円です。 これは持株会社(単体)の数値であり、グループ全体・子会社を含む平均ではない点に注意が必要です。それでも全国平均を大幅に上回る水準であり、大手航空グループの中核企業としての給与競争力を示しています。
ANAホールディングスの年度別平均年収推移
下表は有価証券報告書(単体)に基づく年度別の開示データです。各数値は当該年度の報告書記載値をそのまま掲載しています。
| 年度 | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 従業員数(名) |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 |
| 2023年3月期 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 | ※有価証券報告書で要確認 |
| 2024年3月期 | 714 | 45.3 | 2.33 | 260(連結ベース) |
ANAホールディングスの2024年度の従業員平均年齢は45.3歳でした。プライム市場での運輸・物流業界の平均年齢は41歳のため、比較的高年齢層の多い職場といえます。 また、ANAホールディングスの平均勤続年数は2.33年です。プライム全体平均が13.7年、プライム市場の運輸・物流業界の平均が15.2年であるため、業界内では比較的勤続年数が短く、一定の人の入れ替わりのある会社となっています。 これは純粋持株会社という性格上、グループ子会社との人事異動が頻繁に行われることが背景の一つとして考えられます。
ANAホールディングスと他企業の比較データ
航空・運輸業界における主要上場企業との平均年収を比較します。いずれも各社の有価証券報告書(2024年3月期)に基づく単体従業員の開示値です。
| 企業名 | 平均年収(万円) | 備考 |
|---|---|---|
| ANAホールディングス | 714 | 持株会社単体 |
| 日本航空(JAL) | 921 | 持株会社単体 |
| 運輸・物流業界平均(東証プライム) | 746 | 業界平均値 |
東証プライムに上場する運輸・物流業界の平均年収は746万円であり、ANAホールディングスの平均年収は業界平均から32万円低く、業界内順位は27位(全59社中)となっています。業界内の最高年収は日本航空の921万円でした。 ただし、この数値はあくまで純粋持株会社(ANAHD単体)としての比較です。グループ全体の給与水準や、実際に多くの社員が所属する子会社・全日本空輸(ANA)の処遇については、各社の有価証券報告書を個別にご確認ください。
ANAホールディングスの役職別年収データ
ANAホールディングスの有価証券報告書(2024年3月期)では、一般従業員を対象とした役職別の年収内訳は開示されていません。そのため、本セクションでは公式に開示されている役員報酬のデータのみを掲載します。
ANAホールディングスの役員報酬(公式開示分)
有価証券報告書では、取締役・監査役等の報酬に関する情報が開示されています。下表は公式開示値に基づくまとめです。
| 区分 | 公式開示の内容 |
|---|---|
| 役員(社外役員を除く)の平均報酬 | 7,714万円 |
| 報酬1億円以上の役員数 | 3名(個別開示対象) |
| 一般従業員の役職別年収 | 非開示 |
役員(社外役員を除く)の平均報酬は7,714万円と、一般従業員の平均年収714万円に対して約10倍の水準です。日本の金融商品取引法では報酬が1億円以上の役員は個別開示義務が生じるため、ANAHDでは該当する3名の報酬が有価証券報告書に個別記載されています。
なお、一般従業員(社員・管理職)の役職別年収については、有価証券報告書・決算短信・統合報告書いずれにおいても公式データとしては非開示となっています。インターネット上で見られる役職別の年収例は、口コミサイトや独自推計に基づくものであり、一次情報ではありません。正確な処遇水準を確認したい場合は、採用選考を通じて企業に直接問い合わせるか、ANAHDの有価証券報告書等(IR資料室)をご参照ください。
ANAホールディングスの年齢別年収推移
ANAホールディングスの有価証券報告書・統合報告書・IR資料において、年齢別の年収内訳は公式データとしては非開示となっています。有価証券報告書(単体)に開示されているのは、従業員全体の平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の4項目のみです。
ただし、有価証券報告書の開示値から読み取れる属性情報として、以下を参考としてご確認ください。
| 項目 | 開示値(2024年3月期) | 開示値(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 平均年収 | 714万円 | 730万円 |
| 平均年齢 | 45.3歳 | 45.5歳 |
| 平均勤続年数 | 2.33年 | 2.83年 |
| 年齢別年収の内訳 | 非開示 | 非開示 |
2025年3月期の有価証券報告書では、平均年収が730万円、平均年齢が45.5歳と前期から微増しており、業績回復に伴う賃上げの動きが数値にも表れています。 持株会社という性格上、在籍する従業員の大半は経営管理・戦略企画といった管理部門の社員であり、年功序列的な賃上げだけでなく、グループ子会社との定期的な人事異動も行われています。そのため、平均勤続年数が2〜3年と短い一方で、平均年収は一定の高水準を維持しています。
年齢別の詳細な年収データを確認したい場合は、金融庁が提供するEDINET(電子開示システム)から有価証券報告書の原本を直接確認することをおすすめします。また、ANAグループ全体の人的資本に関する情報は、ANAHDが毎年公開している統合報告書に一部記載されており、ANAグループ 統合報告書ページからPDFで閲覧できます。
ANAホールディングスの福利厚生
ANAホールディングスの有価証券報告書および単体の公式採用ページでは、福利厚生の詳細な一覧は公式データとしては非開示となっています。ただし、ANAグループの各社採用サイト・公式プレスリリースには、グループ社員が共通して利用できる制度が一部記載されており、以下はそれらの一次情報をもとに整理したものです。なお、持株会社であるANAHD単体に適用される制度の詳細については、採用選考を通じて直接確認することを推奨します。
搭乗優待制度
ANAグループならではの制度として、国内・国際線の搭乗優待制度があります。ゴールデンウィークやお盆・年末年始など混雑時期を避け、帰省やリフレッシュ等に活用できる人気の制度です。 グループ社員とその家族が利用できる優待搭乗制度であり、航空グループならではの大きな特典といえます。
カフェテリアプラン(選択型福利厚生)
ANAグループではベネフィット・ワンの「カフェテリアプラン」を採用しており、1年間で1人あたり50,000円分のポイントが福利厚生費として付与されます。自己啓発や健康支援に関するメニューなど多岐にわたる福利厚生メニューをポイントで利用できます。 宿泊・リラクゼーション・スポーツ施設など幅広いカテゴリから選択できる柔軟な制度です。
保険・社会保険
ANAグループ健康保険・各種社会保険が完備されており、退職金制度(確定拠出年金制度)および退職後の再雇用制度(60歳〜65歳まで)も設けられています。 また、ANAグループでは、グループ社員の未来への備えや将来の計画を「保険」と「お金」の観点からサポートする福利厚生制度が用意されており、保険の加入・見直しや家計・資産形成に関する相談をグループ内の専門窓口で受けられます。
休暇制度
年次有給休暇は初年度12日間付与され、次年度以降は勤続年数に応じて最大20日間まで増加し、次年度への繰り越しも可能です。 このほか、特別休暇として、リフレッシュ休暇・結婚・忌引・出産・公務などが設けられています。 これらはグループ各社の採用サイトに記載されている共通の制度です。
育児・介護支援
育児・介護による休職・短時間勤務制度が整備されており、育児短時間勤務についてはお子様が小学校6年生まで適用可能です。短時間勤務制度は標準労働時間を6時間・6時間30分・7時間から選択できます。 育児休職は男性社員の取得実績もあり、グループ全体でワークライフバランスの向上に取り組んでいます。
ANAホールディングスの転職難易度は?
ANAホールディングスは日本最大級の航空グループの中枢を担う純粋持株会社であり、在籍する社員の多くは経営戦略・コーポレート機能を担う高度な専門職です。採用人数は非常に限定的であり、転職難易度は高い水準にあります。
求められる人材像
ANAグループが公式プレスリリースで示している採用方針からは、グループ全体の成長を支える多様な専門人材を求めていることが読み取れます。 採用はセグメント採用(オペレーション、ビジネス・マーケティング、コーポレート、整備技術、運航技術)と専門採用(ITデータ、経理・財務・IR)に区分されており、ビジネス・マーケティング、コーポレート領域では新規事業創出に向けて多様な経験を持つ人材の発掘を目指しています。
2026年度入社の新卒採用ではグループ37社・約3,000名の募集枠が設定され、グローバルスタッフ職は文系・理系を問わず幅広くエントリーが可能です。また、ANA・ANA X・ANAシステムズではDX戦略の推進を支えるIT・デジタル人材の採用も継続して行われています。 転職(中途採用)においても、経営企画・財務・IRといったコーポレート機能、またはDX推進に関わるIT・デジタル領域のスキルを持つ人材が特に求められる傾向にあります。
転職成功のポイント
ANAホールディングスへの転職では、持株会社の業務特性を深く理解したうえでの準備が欠かせません。以下の3点が特に重要です。
第一に、グループ経営・事業戦略への理解です。ANAHDは単体での事業部門を持たず、グループ全体の経営管理・資本戦略・統合報告が主な業務です。IRや統合報告書を精読し、ANAグループが掲げる中期経営戦略や非航空事業への多角化方針を自分の言葉で語れる準備が必要です。
第二に、専門スキルの具体的な提示です。 専門採用ではITデータ、経理・財務・IRが明示されており、これらの領域では前職での定量的な実績(例:財務モデル構築経験、DXプロジェクトのリード実績など)を具体的に示すことが選考通過の鍵となります。
第三に、グループ子会社での経験を活かしたキャリアパスの提示です。ANAグループ内ではグループ会社から持株会社への異動も行われており、グループ内のビジネスモデルや現場業務への理解は大きなアドバンテージになります。転職エージェントを活用する場合は、航空・運輸業界に特化した担当者に相談することを推奨します。
ANAホールディングスのまとめ
本記事では、ANAホールディングス株式会社の平均年収・年度別推移・同業他社比較・福利厚生・転職難易度について、有価証券報告書や公式IR資料などの一次情報をもとに解説しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平均年収(2024年3月期) | 714万円 |
| 平均年収(2025年3月期) | 730万円 |
| 平均年齢(2024年3月期) | 45.3歳 |
| 平均勤続年数(2024年3月期) | 2.33年 |
| 役職別・年齢別年収内訳 | 非開示 |
| 福利厚生(搭乗優待・カフェテリアプラン等) | ANAグループ共通制度あり |
| 転職難易度 | 高い(採用枠が限定的・高度な専門性が必要) |
ANAホールディングスの平均年収は714万円(2024年3月期)から730万円(2025年3月期)へと上昇しており、業績回復に伴う賃上げの動きが数値に表れています。ただし、この数値は純粋持株会社単体の従業員(約260名)を対象としたものであり、多くの社員が在籍する子会社・全日本空輸(ANA)の年収水準とは異なる点に注意が必要です。
転職・就職を検討している方は、有価証券報告書や統合報告書などの一次情報で企業理解を深めたうえで、ANAグループ 株主・投資家情報およびANAグループ 採用情報を必ずご確認ください。最新の採用状況・募集職種・処遇条件は各社の公式採用ページに随時更新されます。


