第一三共株式会社（以下、第一三共）への転職を検討している方にとって、福利厚生制度は重要な判断材料の一つです。「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」として知られる第一三共は、平均年収1,114万円という高い処遇水準と合わせて、充実した福利厚生制度を提供しています。この記事では、第一三共の住宅支援制度、健康・医療関連制度、休暇制度、教育・研修制度、各種手当、退職金制度について詳しく解説します。転職を検討されている方が、第一三共の福利厚生制度を正しく理解し、転職活動の参考にしていただけるよう、公式情報をもとに包括的にご紹介します。

第一三共の会社概要

第一三共は2005年に三共と第一製薬の経営統合により設立された大手製薬会社です。東京都中央区日本橋本町に本社を置き、東証プライム市場に上場しています。がん領域における革新的な抗体薬物複合体（ADC）技術に強みを持ち、特に抗がん剤「エンハーツ」は世界的に高い評価を受けています。2025年3月期の有価証券報告書によると、平均年収は1,114万円、平均年齢は46.0歳と、製薬業界でもトップクラスの処遇水準を維持しています。

第一三共の基本情報

項目	詳細
会社名	第一三共株式会社
本社所在地	東京都中央区日本橋本町三丁目5番1号
設立年	2005年（三共と第一製薬の経営統合）
業種	医薬品製造業
事業内容	医療用医薬品の研究開発、製造、販売等
上場市場	東京証券取引所プライム市場（証券コード：4568）

第一三共の事業は医療用医薬品事業を中核としており、特にがん領域において世界最先端の技術を有しています。同社の代表的な製品である「エンハーツ」は、HER2陽性乳がんをはじめとする様々ながん種において優れた治療効果を示し、グローバル市場で急速に普及が進んでいます。また、循環器・腎・代謝領域、ワクチン領域、痛み・中枢神経領域でも多数の医薬品を展開し、世界中の患者さんに革新的な治療選択肢を提供しています。研究開発に重点を置いた事業戦略により、継続的な成長を実現しています。

第一三共の福利厚生制度の特徴

第一三共の福利厚生制度は、製薬業界のリーディングカンパニーとして、従業員が安心して業務に取り組めるよう多岐にわたる制度を整備しています。住宅支援、資産形成支援、緊急時支援、自己啓発支援など、社員のニーズに応じた包括的な制度設計が特徴です。特に住宅支援制度は業界内でも高い水準を誇り、カフェテリアプラン（選択型福利厚生制度）も導入されており、従業員の多様なライフスタイルに対応しています。

住宅関連制度

第一三共の住宅支援制度は業界内でも特に充実しており、複数の選択肢が用意されています。借り上げ社宅制度では、会社が家賃の約8割を負担し、従業員の負担を大幅に軽減しています。具体的には、東京23区内の借り上げ社宅では最大月7万6千円の補助があり、地域によって上限額は異なりますが全国的に手厚い支援が提供されています。独身者向けには寮制度も完備されており、特に若手社員にとって大きな経済的メリットとなっています。また、持ち家を取得した場合にも住宅手当として月5万円が支給され、無期限での支給が特徴的です。これらの制度により、従業員は住居費の負担を大幅に軽減でき、生活の質の向上を図ることができます。

健康・医療関連制度

第一三共では従業員の健康維持・増進を重視し、充実した医療関連支援制度を提供しています。定期健康診断に加えて、人間ドックの費用補助制度が整備されており、早期発見・早期治療をサポートしています。製薬会社ならではの取り組みとして、各種ワクチン接種補助も行われており、従業員の感染症予防に力を入れています。また、事業所内保育施設の設置により、子育て中の従業員が安心して働ける環境を整備しています。健康保険組合の制度も充実しており、医療費が高額となった場合の補助制度や、メンタルヘルスケアのためのカウンセリングサービスも利用可能です。

休暇・働き方制度

第一三共では「ワークライフサイクル」という独自の概念を提唱し、仕事と生活の好循環を重視した働き方制度を整備しています。年次有給休暇については取得しやすい環境が整備されており、時間単位での有給取得も可能です。特別休暇制度では、慶弔、出産、産前産後、生理、赴任、災害、人間ドック、骨髄ドナー、ボランティア活動などの事由で休暇を取得できます。育児・介護支援制度も充実しており、育児休業は最長で子が2歳に達する前日まで取得可能です。また、育児短時間勤務制度、看護休暇制度、ベビーシッターサービスの利用支援なども提供されており、子育てと仕事の両立を強力にサポートしています。在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入により、柔軟な働き方も実現されています。

教育・研修制度

第一三共では従業員の専門性向上とキャリア形成を支援するため、体系的な教育・研修制度を提供しています。新入社員向けには導入研修から始まり、職種別の専門研修、管理職向けのマネジメント研修まで、階層別の研修プログラムが充実しています。特に製薬会社として重要な研究開発力の向上を目的とした技術研修や、グローバル企業として必要な語学力強化支援も手厚く行われています。自己啓発支援制度では、ビジネス通信教育支援、ビジネススキルアップ研修、語学力強化支援などが提供されており、従業員の自主的な学習を促進しています。資格取得支援制度も整備されており、業務に関連する資格の取得費用や受験費用の補助が行われています。

第一三共の各種手当・補助制度

第一三共では基本給に加えて、従業員の生活を支援する多様な手当・補助制度を設けています。特筆すべきは充実した家族関連手当で、子ども手当では子ども一人につき月2万円が22歳まで継続して支給されます。これは単純計算で一人当たり528万円となる非常に手厚い制度です。営業職には日当として1日2,000円が支給され、出張・外勤手当も充実しています。通勤手当は全額支給され、時間外労働手当・休日労働手当も適正に支払われています。

制度・手当名	内容	対象者
借り上げ社宅	家賃の約8割を会社負担	条件を満たす従業員
住宅手当	持ち家の場合月5万円（無期限）	持ち家所有者
子ども手当	子ども一人につき月2万円（22歳まで）	扶養家族のいる従業員
営業日当	1日2,000円	営業職
通勤手当	全額支給	全従業員
カフェテリアプラン	年間約20万円相当のポイント	全従業員
財産形成貯蓄	財形貯蓄制度	全従業員
社員持株会	自社株購入制度	全従業員

カフェテリアプラン（選択型福利厚生制度）では、年間約20万円相当のポイントが付与され、従業員が自身のニーズに応じて様々な福利厚生サービスを選択できます。これにより、従来の画一的な福利厚生制度では対応しきれない多様なライフスタイルに柔軟に対応しています。資産形成支援制度では、財産形成貯蓄制度や社員持株会が設けられており、従業員の長期的な資産形成をサポートしています。

第一三共の退職金・年金制度

第一三共では退職金制度としてポイント制を採用しており、従業員の企業への貢献度を適正に反映する仕組みとなっています。ポイント制退職金制度では、勤続年数、職能等級、役職、人事考課などに基づいて単年度ポイントが付与され、退職時のポイント累計にポイント単価と退職事由別係数を掛けて退職金額が算出されます。この制度により、年功序列的な要素を廃しつつ、企業への貢献度を退職金額に適正に反映することが可能となっています。

企業年金制度については、第一三共グループ企業年金基金が設立されており、確定給付企業年金制度を採用しています。この制度では退職時に一時金または年金を選択でき、老後の所得保障の充実を図っています。企業年金基金では類似キャッシュバランス制度を導入しており、加入期間や退職時期によって変わる給付内容が明確に定められています。退職金制度は従業員がウェブ上で現在の退職金見込み額を確認できるシステムが整備されており、将来の資産形成計画を立てやすい環境が提供されています。

第一三共の福利厚生の評判・口コミ

従業員からの評価を見ると、第一三共の福利厚生については非常に高い評価を得ています。特に住宅支援制度については「福利厚生説明会があるほどに充実している」「家族世帯の住宅補助は18万円と破格」「持ち家に対しても住宅補助が出る点が魅力的」といった高評価の声が多数寄せられています。借り上げ社宅制度についても「非常に安い家賃で住むことができる」「若手社員にとって大変ありがたい制度」として評価されています。

子ども手当についても「子供一人につき月二万円、それが22歳まで継続される」制度に対して驚きの声が上がっており、子育て世代の従業員から高く評価されています。カフェテリアプランについても「年間20万ほど貰える」制度として評価される一方で、「その他の補助がなくなるため」という移行に伴う変化への言及もあります。研究職の勤務環境についても「裁量勤務中心で有休を取得しやすい環境」「事業所内保育施設がある」など、働きやすさを評価する声が見られます。

他社との福利厚生比較

第一三共の福利厚生を同業他社と比較すると、製薬業界内でもトップクラスの水準を維持していることがわかります。特に住宅支援制度と子育て支援制度については、他社を大きく上回る手厚い支援を提供しています。平均年収1,114万円という高い処遇水準と合わせて、総合的な待遇パッケージとして非常に魅力的です。

制度	第一三共	武田薬品工業	アステラス製薬
住宅手当	家賃8割負担・持ち家月5万円	借り上げ社宅制度あり	住宅補助制度あり
子ども手当	月2万円（22歳まで）	家族手当あり	扶養手当あり
退職金制度	ポイント制	確定給付・確定拠出併用	確定拠出年金
カフェテリアプラン	年間約20万円	選択型福利厚生あり	カフェテリアプラン導入
平均年収	1,114万円	1,100万円台	1,000万円台

同業他社と比較して、第一三共は特に住宅支援制度と子育て支援制度に強みがあります。借り上げ社宅制度での8割負担や、持ち家での無期限住宅手当月5万円は業界内でも例を見ない手厚さです。子ども手当についても、月2万円を22歳まで支給する制度は他社にはない独自性の高い制度です。カフェテリアプランの年間20万円相当のポイントも業界標準を上回る水準であり、従業員の多様なニーズに対応しています。

第一三共への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

第一三共への転職を検討する際は、以下の福利厚生ポイントを重点的に確認することをおすすめします。まず、住宅支援制度については転勤の可能性と合わせて確認し、借り上げ社宅制度の利用条件や地域別の上限額を把握しておきましょう。特に家族がいる場合は、家賃の8割負担という破格の条件を活用できるかが重要な判断材料となります。子育て世代の場合は、子ども手当の22歳まで月2万円支給という制度の経済的インパクトを十分に検討する必要があります。

カフェテリアプランについては、年間20万円相当のポイントでどのようなサービスが利用できるかを事前に確認し、自身のライフスタイルに合致するかを検討しましょう。退職金制度については、ポイント制の仕組みを理解し、自身のキャリアプランと照らし合わせて将来的な資産形成効果を評価することが重要です。また、企業年金基金の給付内容や受給条件についても詳細を確認し、老後の資産形成計画に組み込んで考えることをおすすめします。研究職や開発職を希望する場合は、教育・研修制度の内容と自己啓発支援制度の充実度を確認し、専門性向上の機会があるかを評価しましょう。

入社後の手続きと利用方法

第一三共に入社後は、福利厚生制度の利用に必要な手続きを速やかに行うことが重要です。住宅支援制度を利用する場合は、入社前または入社直後に申請手続きを行う必要があるため、人事担当者と事前に相談しておきましょう。借り上げ社宅制度の場合、希望条件を申請すれば複数の物件候補を提示してもらえるシステムとなっています。カフェテリアプランについては入社後にポイントが付与され、専用システムを通じて様々なサービスを選択・利用できます。

子ども手当をはじめとする家族関連手当については、扶養家族の届出と合わせて申請を行います。財産形成貯蓄や社員持株会への参加は入社後に申し込み可能ですが、資産形成の観点から早期の開始が有効です。企業年金基金への加入は入社と同時に自動的に行われますが、制度の内容については入社時のオリエンテーションで詳細な説明があります。各種制度の詳細については社内イントラネットで随時確認でき、制度の変更や追加についても適時更新されるため、定期的にチェックする習慣をつけることをおすすめします。また、不明な点は人事担当部署に積極的に確認し、制度を有効活用することが重要です。

まとめ

第一三共の福利厚生制度は、製薬業界のリーディングカンパニーとして非常に充実した内容を提供しており、特に住宅支援、子育て支援、ワークライフサイクル支援において業界トップクラスの水準を維持しています。家賃の8割負担による借り上げ社宅制度、持ち家での無期限住宅手当月5万円、子ども一人につき月2万円を22歳まで支給する子ども手当、年間20万円相当のカフェテリアプラン、ポイント制による公正な退職金制度など、従業員の生活全般を手厚くサポートする包括的な制度設計がなされています。

転職を検討される方は、これらの福利厚生制度が自身のライフプランやキャリア目標にどの程度適合するかを慎重に検討することが重要です。特に家族がいる場合や将来的に家族を持つ予定がある場合は、住宅支援制度と子育て支援制度の経済的メリットは非常に大きく、長期的な家計設計において重要な要素となります。平均年収1,114万円という高い処遇水準と合わせて、これらの充実した福利厚生制度は、転職先として第一三共を選択する大きなメリットとなるでしょう。第一三共は安定した経営基盤と革新的な事業展開のもとで、従業員が安心して働ける環境を提供しており、製薬業界での転職を検討する方にとって非常に魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

出典：第一三共株式会社 採用サイト、第一三共株式会社 有価証券報告書（2025年3月期）、第一三共ヘルスケア株式会社「福利厚生・働く環境」、第一三共グループ企業年金基金 公式サイト