電源開発株式会社（以下、電源開発）は、日本最大の卸電気事業者として国内外でエネルギー事業を展開している大手電力会社です。風力発電と水力発電では国内トップクラスの発電能力を誇り、近年は再生可能エネルギーの開発にも積極的に取り組んでいます。

この記事では、電源開発への転職を検討している方に向けて、同社の平均年収や役職別・年齢別の年収推移、充実した福利厚生制度、転職の難易度まで詳しく解説します。有価証券報告書に基づく最新の年収データと同業他社との比較を通じて、転職を成功させるための情報をお届けします。

電源開発の会社概要

電源開発は、1952年に電源開発促進法によって設立された元国策企業で、現在は東証プライム市場に上場している日本最大の卸電気事業者です。J-POWERの愛称で親しまれ、全国約100ヵ所の発電設備を運営しています。特に水力発電と風力発電では国内第2位の発電規模を誇り、再生可能エネルギーの分野でも業界をリードする存在となっています。

電源開発の基本情報

項目	詳細
会社名	電源開発株式会社
本社所在地	東京都中央区銀座六丁目15番1号
設立年	1952年（昭和27年）
業種	電気・ガス業
事業内容	電気事業、電力卸供給事業、海外コンサルティング事業
上場市場	東証プライム市場（証券コード：9513）

電源開発の事業は国内にとどまらず、1960年代から海外での発電所開発や技術協力にも積極的に取り組んでいます。現在では、水力発電、火力発電、風力発電、地熱発電など多様な電源を保有し、日本の電力安定供給に重要な役割を果たしています。また、CO2フリー電源の拡大を通じてエネルギーの脱炭素化にも取り組み、持続可能な社会の実現に貢献しています。近年は洋上風力発電や水素製造事業など、新たな事業領域への挑戦も続けており、エネルギー業界の変革をリードする企業として注目されています。

電源開発の平均年収はどのぐらい？

電源開発の2025年3月期の平均年収は1117万円となっており、電力・ガス業界においてトップクラスの水準を誇っています。この高い年収水準は、2024年3月期から管理職を含めた平均年収の算定に変更したことが主要因ですが、それでも業界全体の中で非常に競争力のある給与体系となっています。

年度別の平均年収推移

電源開発の過去の平均年収推移を見ると、着実な成長を続けていることがわかります。特に近年は業績の好調を背景に年収水準が向上しています。

年度	平均年収	平均年齢	従業員数	平均勤続年数
2025年3月期	1117万円	41.4歳	1899名	18.6年
2024年3月期	1045万円	41.7歳	1862名	19.1年
2023年3月期	804万円	41.9歳	1832名	19.2年
2022年3月期	787万円	42.0歳	1785名	19.7年
2021年3月期	794万円	42.1歳	1803名	19.5年
2020年3月期	773万円	41.8歳	1847名	19.1年

出典：電源開発株式会社 有価証券報告書（2020年3月期～2025年3月期）

直近5年間で電源開発の平均年収は49.5%増加しており、明確な上昇トレンドを示しています。2024年3月期から管理職を含む算定方式に変更されたため大幅な増加となっていますが、それ以前でも着実に年収水準が向上していることがわかります。

他企業との比較データ

電力業界における電源開発の年収水準を他の大手電力会社と比較すると、その競争力の高さが明確になります。

企業名	平均年収	業界内順位
電源開発	1117万円	1位
中部電力	854万円	5位
東京電力ホールディングス	832万円	7位
関西電力	831万円	8位
中国電力	790万円	9位
東北電力	755万円	11位

出典：各社有価証券報告書（2024年3月期）

電源開発の平均年収は業界平均から275万円高く、電力・ガス業界21社中で第1位の地位を占めています。全国平均の年収681万円と比較すると、大幅に高い水準となっており、転職先として非常に魅力的な企業と言えるでしょう。

電源開発の役職別年収データ

電源開発の役職別年収について、公式データとしては詳細な数値は非開示となっています。ただし、総合職の平均年収は1213万円、管理職級の平均年収は1612万円前後とされています。

役職	推定年収（万円）
係長・主任クラス	非開示
課長クラス	1000～1200
部長クラス	1400～1800
役員クラス	3133（平均）

大卒総合職で能力があれば、40歳前後には課長級に昇進して年収1000万円を超えるとされており、昇進スピードも比較的早いことが特徴です。大卒・院卒の昇進スピードが速い制度設計であるが、高専卒・高卒であっても年収800万円には横並びで到達可能となっており、学歴に関係なく実力を評価する体制が整っています。

2024年度の役員報酬は、役員全体で平均3133万円となっており、経営層の待遇も非常に優遇されています。電源開発は実力主義の評価制度を採用しており、成果に応じて適切な報酬が支払われる環境が整備されています。

電源開発の年齢別年収推移

電源開発の年齢別年収について、公式データとしては詳細な数値は非開示となっています。ただし、業界の一般的な傾向と同社の給与体系を踏まえると、以下のような推移が想定されます。

年代	推定年収範囲（万円）
20代	450～700
30代	650～900
40代	800～1400
50代以上	1000～1800

25～29歳の平均年収は746万円で、30～34歳になると883万円と平均年収が137万円プラスとなります。さらに、35～39歳になると1021万円で、40～45歳になると1117万円、40～45歳になると1241万円となります。これらの数値は有価証券報告書と賃金構造基本統計調査を基に算出されており、一定の信頼性があります。

総合職30歳で年収650万～700万円ほどとなっており、若手社員でも業界平均を上回る給与水準が確保されています。年功序列的な側面もありながら、実力に応じた昇進・昇格により、30代後半から40代前半にかけて大幅な年収アップが期待できる給与体系となっています。

電源開発の福利厚生

電源開発は福利厚生制度が非常に充実している企業として知られています。全国転勤があることを考慮した住宅関連の制度から、ワークライフバランスを重視した各種制度まで、社員の生活を幅広くサポートしています。

住宅関連制度

各拠点に社宅、独身寮があり、社宅費、寮費も格安で提供されています。寮や社宅は各地点で整備されており、自社設備の社宅や寮がない勤務地は、借り上げ住宅を用意してもらえるため、全国転勤に対応した住宅支援が充実しています。社宅寮管理で年齢制限もないため、額面給与に対して可処分所得がかなり高いことが大きなメリットとなっています。

休暇・勤務制度

カフェテリアプランや、育児・介護をサポートする休暇制度が完備されています。有給が他社と比較して5日くらい多く、メーデーもお休みとなっており、休暇制度が充実しています。時短勤務やフレックス勤務など、働き方改革に沿った勤務体系の選択肢も用意されており、多様な働き方に対応しています。

その他の福利厚生

制度・手当	内容
社会保険	各種社会保険完備
退職金制度	ポイント制退職金制度
カフェテリアプラン	年間5万円相当のポイント付与
保養所	自社所有の保養所を複数箇所設置
人間ドック	社員本人および配偶者まで対応
資格祝金	簿記3級レベルから支給

年間5万円までカフェテリアプランを利用できたり、寮や社宅は全国に完備。スポーツ施設も法人契約のプランが複数あるなど、生活の質を向上させる制度が充実しています。ポイント制退職金制度により、職能や勤続年数に応じた退職金が支給される仕組みも整備されています。

電源開発の転職難易度は？

電源開発への転職は、高い年収水準と充実した福利厚生により非常に人気が高く、転職難易度は高めとなっています。特に技術系職種については、専門的な知識と経験が重視される傾向にあります。

求められる人材像

J-POWERは、人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献することを企業理念として定め、個性豊かでチャレンジ精神あふれる方を募集しています。具体的には以下のような人材が求められています。

電源開発では、エネルギー業界の変革期において新たな事業領域に挑戦する意欲のある人材を重視しています。再生可能エネルギーの拡大やCO2フリー電源の開発など、脱炭素化に向けた取り組みに積極的に貢献できる技術力と創造性を持った人材が特に歓迎されます。また、全国・海外での事業展開があるため、転勤に対応できる柔軟性と、多様な環境での業務遂行能力も重要な要素となります。

転職成功のポイント

電源開発への転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。まず、電力業界全般に関する知識と、同社の事業戦略への理解を深めることが必要です。特に再生可能エネルギーや脱炭素化への取り組みについて、具体的な知識と経験をアピールできると有利です。

技術系職種の場合は、電気工学や機械工学などの専門知識に加えて、実際のプロジェクト経験や問題解決能力を具体的に示すことが重要です。事務系職種では、エネルギー業界での営業経験や企画業務経験、さらに海外事業に関連する語学力や国際的な視野があると評価が高まります。

選考では、同社の企業理念である「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、持続可能な発展に貢献する」という考えに共感し、長期的なキャリア形成への意欲を示すことが大切です。全国転勤への対応や、地方の発電所勤務への覚悟も重要な評価ポイントとなります。

まとめ

電源開発は平均年収1117万円と電力業界トップクラスの給与水準を誇り、充実した福利厚生制度により社員の生活を幅広くサポートしている魅力的な企業です。日本最大の卸電気事業者として安定した事業基盤を持ちながら、再生可能エネルギーの拡大など将来性のある事業にも積極的に取り組んでいます。

転職を検討される方は、同社の事業戦略と企業理念への理解を深め、エネルギー業界での専門性を活かしたキャリア形成を目指すことが重要です。全国転勤や地方勤務への対応が求められる一方で、業界トップクラスの待遇と安定した企業基盤により、長期的なキャリア形成には非常に適した環境が整っています。電力業界でのキャリアアップを目指す方にとって、電源開発は検討すべき優良企業の一つと言えるでしょう。