株式会社電通総研(以下、電通総研)は、電通グループの中核IT企業として、金融・製造・ビジネスソリューションなど幅広い領域でITサービスを提供している企業です。2024年1月に電通国際情報サービス(ISID)から社名変更し、新たなブランドとして歩みを始めています。本記事では、電通総研の最新平均年収データから役職別・年齢別の詳細な年収推移、競合他社との比較、さらには転職を検討されている方向けの情報まで、年収に関する情報を包括的に解説いたします。
電通総研の会社概要
電通総研は、電通グループに属するIT企業として1975年に設立された歴史ある企業です。金融機関や大手製造業を主要顧客とし、日本のトップクラス企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。電通グループ内において売上規模は電通に次ぐ第2位であり、グループを支える中核会社として重要な位置を占めています。同社は東京証券取引所プライム市場に上場し、連結従業員数約4,400名を擁する準大手SIer企業として高い技術力と豊富な実績を誇ります。
電通総研の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社電通総研 |
本社所在地 | 東京都港区港南二丁目17番1号 |
設立年 | 1975年 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | ITコンサルティング、システムインテグレーション |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
電通総研の事業は、金融ソリューション、ビジネスソリューション、製造ソリューション、コミュニケーションITの4つの主要セグメントで構成されています。金融ソリューションでは、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関向けシステム開発・運用を手掛け、国内金融ITソリューション分野で高いシェアを持っています。製造ソリューションでは、製造業のプロダクトライフサイクル全体をカバーするソリューションを提供し、ビジネスソリューションでは企業の基幹システムや人事・経営管理分野のITソリューションを展開しています。また、コミュニケーションIT分野では、電通グループとの連携により、マーケティング・コミュニケーション領域でのデジタル化支援を行っています。
電通総研の平均年収はどのぐらい
電通総研の2024年12月期における平均年収は1,123万円(平均年齢40.1歳)となっており、非常に高い水準を記録しています。2020年度からは1,000万円以上をキープしており、IT業界の中でもトップクラスの年収水準を維持しています。この高水準な年収は、電通グループの一員としてのブランド力と、高付加価値なITソリューションサービスの提供による収益性の高さに支えられています。
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年12月期 | 1,123万円 | 40.1歳 | 11.6年 | 2,039人 |
2023年12月期 | 1,133万円 | 40.6歳 | 11.6年 | 2,039人 |
2022年12月期 | 1,047万円 | 41.0歳 | 12.3年 | 1,633人 |
2021年12月期 | 1,022万円 | 40.8歳 | 12.0年 | 1,574人 |
2020年12月期 | 1,000万円 | 40.5歳 | 11.8年 | 1,535人 |
2019年12月期 | 996万円 | 40.3歳 | 11.5年 | 1,498人 |
出典:株式会社電通総研 有価証券報告書(2024年12月期)
上記の推移を見ると、電通総研の平均年収は着実に上昇傾向にあり、特に2020年以降は安定して1,000万円を超える水準を維持しています。従業員数も年々増加しており、事業拡大に伴う積極的な人材採用が行われていることが分かります。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界分類 |
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野村総合研究所 | 1,272万円 | コンサルティング・シンクタンク系 |
電通総研 | 1,123万円 | 電通グループ系SIer |
大塚商会 | 937万円 | 独立系SIer |
TIS | 803万円 | 独立系SIer |
日立システムズ | 779万円 | メーカー系SIer |
情報・通信業平均 | 620万円 | 業界平均 |
電通総研の平均年収は、IT業界の年収ランキングで上位に位置し、同業他社と比較しても非常に高い水準にあります。野村総合研究所には及ばないものの、準大手SIerの中では最高水準の年収を実現しており、業界平均の620万円を大幅に上回っています。
電通総研の役職別年収データ
電通総研では「役職なし」「主任」「専門職」「専門職上級」「課長クラス」「部長クラス」という順番で昇進していきます。専門職になるまでは年功序列で昇進できる仕組みとなっています。
役職 | 推定年収(万円) | 備考 |
---|---|---|
新卒入社1~3年目 | 500~650万円 | 基本給+見込み残業代40時間分含む |
主任クラス | 650~800万円 | 入社5~8年目程度 |
専門職 | 800~1,000万円 | 裁量労働制開始 |
専門職上級 | 1,000~1,200万円 | 実力評価の要素が強まる |
課長クラス | 1,200~1,500万円 | マネジメント職 |
部長クラス | 1,500万円以上 | 経営幹部候補 |
電通総研の昇進制度は、専門職までは年功序列的な要素が強く、真面目に業務を遂行していれば1年に1ランクずつ昇進し、3ランク上がるごとに役職が変わる仕組みです。専門職以降は裁量労働制となり、残業代は基本給に含まれる形式となります。また、専門職上級以降は実力評価の要素が強まり、個人の成果や貢献度によって年収に大きな差が生まれる可能性があります。
電通総研の年齢別年収推移
電通総研の年齢別年収推移について、転職口コミサイトの情報を基に推定データをご紹介いたします。ただし、個人の能力や経験、担当業務によって大きく変動する点にご注意ください。
年代 | 推定年収範囲(万円) | 特徴 |
---|---|---|
20代 | 500~750万円 | 新卒~主任クラス、年功序列要素強 |
30代 | 750~1,200万円 | 専門職~専門職上級、実力評価開始 |
40代 | 1,000~1,500万円 | 課長クラス中心、マネジメント能力重視 |
50代以上 | 1,200万円以上 | 部長クラス以上、経営幹部候補 |
電通総研では、20代から他の企業と比較して高い年収水準を実現できる環境が整っています。30代で専門職に昇進すると年収1,000万円台に到達する可能性が高く、40代以降はマネジメント能力や専門性の高さによってさらなる年収アップが期待できます。ただし、これらの数値は推定であり、実際の年収は個人の評価や業績、担当プロジェクトによって大きく変動する点にご留意ください。
電通総研の福利厚生
電通総研は多様な人材が活躍できる環境づくりの一環として、社員ひとりひとりがより豊かな創造性と高い生産性を発揮できるよう、働き方改革に取り組んでいます。「第6回日経スマートワーク経営調査」において、4星に認定され、「人材活用力」「イノベーション力」の分野でSランクの評価を受けています。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 住宅補助制度あり(詳細は公式データとしては非開示) |
交通費 | 全額支給 |
退職金制度 | 確定拠出年金制度(前払い退職金含む) |
有給取得率 | 高水準(具体的数値は非開示) |
働き方制度 | テレワーク勤務、フレックスタイム制、裁量労働制 |
休暇制度 | 年次有給休暇、特別休暇各種 |
育児・介護支援 | 育児休業、介護休業、看護休暇制度 |
健康管理 | 定期健康診断、人間ドック補助 |
電通総研の福利厚生は、ワークライフバランスの向上に重点を置いた制度設計となっています。介護休業は分割して利用することが可能で、通算で最大1年間取得できます。また、介護休暇や家族看護休暇は、それぞれ年間10日間まで取得が認められています。2022年には「働きがい認定企業」に認定されており、社員が自律的に働ける環境整備に積極的に取り組んでいることが評価されています。
電通総研の転職難易度は
電通総研は年収の高さや大企業ならではの待遇によって転職市場における人気は高く、転職難易度は高いです。一方で、中途採用に積極的であることから、転職できる可能性は十分にある状況です。2024年度の電通総研における中途採用比率は47%となっており、電通総研は中途採用に積極的な企業と言えます。
求められる人材像
電通総研が求める人材像は以下の通りです。まず、IT分野における専門知識と実務経験を有していることが基本要件となります。特に、金融・製造・ビジネスソリューション分野での経験がある方は高く評価される傾向にあります。また、電通グループの一員として、クライアントとの協働や新規事業開発への積極的な参画意欲も重要な要素となります。
項目 | 内容 |
---|---|
必要なスキル | IT分野の専門知識、システム開発経験、コンサルティング能力 |
歓迎される経験 | 金融・製造業界での業務経験、プロジェクトマネジメント経験 |
求める人物像 | 変革への挑戦意欲、協働・共創への積極性、継続的学習意欲 |
語学力 | 英語力(グローバル案件対応のため) |
転職成功のポイント
電通総研への転職を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。第一に、IT業界での実務経験と専門性をしっかりとアピールすることです。特に、同社の主力事業である金融・製造業界での経験があれば大きなアドバンテージとなります。第二に、電通グループの企業文化や価値観への理解と共感を示すことです。変革への挑戦意欲や協働・共創への姿勢を具体的なエピソードとともに伝えることが効果的です。
選考フローは書類選考、適性検査(SPI)、複数回の面接(2回程度)で構成されています。面接では技術的な質問に加えて、同社のビジネスモデルへの理解や入社後のキャリアビジョンについても詳しく聞かれる傾向があります。また、企業からのスカウト経由で選考を受ける場合は選考フローが短縮されたり、通過率が大幅にUPすることがあるため、転職サイトへの登録も有効な戦略となります。
まとめ
電通総研は、平均年収1,123万円という高い水準を誇る優良IT企業です。電通グループの一員として安定した事業基盤を持ち、金融・製造・ビジネスソリューション分野で高い専門性を発揮しています。年功序列と実力主義をバランス良く組み合わせた評価制度により、若手からベテランまで幅広い層で高い年収を実現できる環境が整っています。
福利厚生面でも充実した制度を備え、働き方改革にも積極的に取り組んでいることから、ワークライフバランスを重視する方にとっても魅力的な職場と言えるでしょう。転職難易度は高めですが、中途採用に積極的であり、適切な準備と戦略により転職成功の可能性は十分にあります。
IT業界でのキャリアアップを目指す方、特に高い年収と安定した環境を求める方にとって、電通総研は非常に魅力的な転職先の一つです。転職を検討される際は、同社の事業内容や企業文化をしっかりと研究し、自身の経験やスキルがどのように活かせるかを明確にした上で、挑戦されることをお勧めいたします。