フジテック株式会社（以下、フジテック）は、エレベーター・エスカレーター・動く歩道を専門に取り扱う昇降機専業メーカーです。日本国内でエレベーター第4位、エスカレーター第5位のシェアを誇り、特に近畿地方や西日本では業界最大手として知られています。この記事では、フジテックの最新の平均年収データから役職別・年齢別の年収推移、福利厚生、転職難易度まで、転職検討者に役立つ情報を詳しく解説します。

フジテックの会社概要

フジテックは1948年に創業されたエレベーター・エスカレーターの専業メーカーです。国内では三菱電機、日立製作所、東芝などの重電メーカーと並んで業界大手4社の一角を占めており、エレベーターで国内シェア第4位、エスカレーターで第5位の実績を持っています。近畿地方を中心とした西日本地域では業界最大手として確固たる地位を築いており、駅や公共施設、大型商業施設などに多数の製品が採用されています。

フジテックの基本情報

項目	詳細
会社名	フジテック株式会社
本社所在地	滋賀県彦根市宮田町591-1
設立年	1948年2月9日
業種	機械
事業内容	エレベーター・エスカレーター・動く歩道の専業メーカー
上場市場	東京証券取引所プライム市場

フジテックの事業は、エレベーター・エスカレーター・動く歩道・新交通システムなどの研究開発から設計、製造、販売、据付、保守、リニューアルまでを一貫して手掛ける専業体制が大きな特徴です。同社は徹底した品質管理のもと、研究・開発から販売、生産、据付、保守、そしてリニューアルまで一貫体制で「安全・安心」な移動を実現しています。特に業界初となるエレベーターのドア閉時のひもやコード挟み込み検出機能「ドアエッジセンサー」の開発や、非接触ボタン「エアータップ」の導入など、革新的な技術開発で業界をリードしています。早くから海外展開に積極的で、世界24ヵ国と地域に営業拠点や生産拠点を展開し、特にシンガポールや香港では高いシェアを占めています。

フジテックの平均年収はどのぐらい？

フジテックの2024年3月期における平均年収は681万円となっています。これは全国平均年収460万円（国税庁調べ）と比較して221万円高い水準であり、日本の給与所得者全体において上位35.5%前後の年収帯に属します。機械業界における平均年収726万円と比較すると45万円低い水準ですが、業界内では68位（全113社中）という上位ランクに位置しています。

年度別の平均年収推移

年度	平均年収	平均年齢	従業員数	平均勤続年数
2024年3月期	681万円	41.0歳	3,192人	17.6年
2023年3月期	735万円	41.1歳	3,135人	17.9年
2022年3月期	719万円	41.2歳	3,046人	18.3年
2021年3月期	705万円	41.8歳	2,963人	18.7年
2020年3月期	738万円	41.4歳	2,909人	18.2年
2019年3月期	753万円	41.3歳	2,825人	17.9年

過去6年間の年収推移を見ると、2019年3月期の753万円をピークに、2024年3月期は681万円まで下降しています。これは主にコロナ禍の影響や事業環境の変化によるものと考えられます。一方で、従業員数は2,825人から3,192人へと着実に増加しており、事業拡大に伴う人員増強が進んでいることが分かります。

出典：フジテック株式会社 有価証券報告書（2024年3月期）

他企業との比較データ

企業名	平均年収	業界内順位	主要事業
フジテック	681万円	68位/113社	エレベーター・エスカレーター専業
三菱電機	約800万円	上位	重電・エレベーター等
日立製作所	約890万円	上位	重電・IT・エレベーター等
東芝	約860万円	上位	重電・エレベーター等
機械業界平均	726万円	–	機械製造業全般

同業他社との比較では、三菱電機、日立製作所、東芝などの重電メーカーと比較して年収水準は若干低めとなっています。これは、フジテックが昇降機専業メーカーである一方、他社は重電や IT など幅広い事業を展開する総合メーカーであることが影響しています。ただし、専業メーカーとしての技術力の高さや市場での確固たる地位を考慮すると、安定した年収水準を維持していると評価できます。

フジテックの役職別年収データ

フジテックの役職別年収について、公式データとしては非開示となっていますが、業界水準や規模を考慮した推定データをご紹介します。同社では能力に応じて中途入社者も役職に就いており、実力主義的な評価制度が整備されています。

役職	推定年収（万円）
係長・主任クラス	790～985万円
課長クラス	1,040～1,320万円
部長クラス	1,210～1,620万円

役職別年収の特徴として、係長から課長への昇進時に大幅な年収アップが期待できます。また、部長クラスでは1,200万円を超える年収となり、専業メーカーとしては高い水準を維持しています。昇進による年収増加幅は一般的に100万円～250万円程度となっており、役職に就くことで大幅な待遇改善が図れる制度設計となっています。なお、これらの数値は推定値であり、実際の年収は個人の能力や成果、部署によって変動する可能性があります。

フジテックの年齢別年収推移

フジテックの年齢別年収推移について、公式データとしては非開示となっていますが、平均年収681万円をベースとした推定データをご紹介します。同社の平均年齢は41.0歳、平均勤続年数は17.6年となっており、長期勤続による安定したキャリア形成が可能な環境です。

年代	推定年収範囲（万円）
20代	400～600万円
30代	550～750万円
40代	650～900万円
50代以上	750～1,000万円

年齢別年収推移の特徴として、30代で全国平均を大きく上回る水準に達し、40代以降は安定して高い年収を維持する傾向があります。特に50代では最高年収帯に到達し、専門性を活かした高い報酬が期待できます。新卒入社の場合、大卒初任給は約21.1万円、院卒は約23.5万円からスタートし、着実な昇給により30代で600万円台後半の年収に到達することが一般的です。ただし、これらの数値は推定値であり、実際の年収は個人の能力や成果、配属部署によって変動します。

フジテックの福利厚生

フジテックは充実した福利厚生制度を整備しており、従業員の働きやすさと生活の安定をサポートしています。住宅支援や各種手当、保険制度、休暇制度など幅広い福利厚生メニューを提供しており、長期勤続を支える環境が整っています。

制度・手当	内容
住宅手当	首都圏勤務者36,000円、地方は数千円～、転勤時借上社宅制度
交通費	全額支給
独身寮・社宅	新卒26歳まで約8,000円/月、転勤時1割自己負担
ボーナス	年2回、4～6.4ヶ月分（約110～235万円）
退職金制度	あり
各種保険	健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険
年次有給休暇	年20日（初年度は入社時期により異なる）
その他制度	持株制度、リフレッシュ休暇費用補助、資格取得支援

特に住宅支援制度が充実しており、新入社員向けには格安の独身寮（月額約8,000円）を提供しています。転勤時には借上社宅制度があり、単身者は1ルーム、家族連れは2DK程度のマンションを月額数千円の負担で利用できます。ただし、一般的な住宅手当については地域によって差があり、都市部でも十分とは言えない水準との声もあります。交通費は全額支給され、年2回のボーナスは4～6.4ヶ月分と業界水準を上回る支給額となっています。

フジテックの転職難易度は？

フジテックの転職難易度は中程度から高めと考えられます。エレベーター・エスカレーター業界での確固たる地位と専門性の高い事業内容により、一定の技術的知識や経験が求められる傾向があります。ただし、中途採用にも積極的で、能力に応じて役職に就けるなど実力主義的な環境が整備されています。

求められる人材像

フジテックが求める人材像は、公式サイトによると「コミュニケーション力・行動力・協働力がある人」とされています。具体的には以下のような特徴を持つ人材が歓迎されています。

項目	内容
技術系職種	機械・電気・情報系の専門知識、CAD経験、設計経験
営業職	顧客折衝能力、提案力、個人で考え行動できる能力
ITシステム	クラウド基盤、ネットワーク、セキュリティの実務経験
共通スキル	関連部門との円滑なコミュニケーション、主体的行動力
語学力	グローバル展開に対応できる英語力（歓迎条件）

転職成功のポイント

フジテックへの転職成功には、以下のポイントを押さえることが重要です。まず、エレベーター・エスカレーター業界への理解と同社の専業メーカーとしての特徴を把握することが基本となります。技術系職種では、機械設計やCADの実務経験、ITシステム系では クラウド基盤やセキュリティの専門知識が重視されます。また、グローバル展開を積極的に進めている企業のため、英語でのコミュニケーション能力があると評価が高まります。営業職では、顧客との長期的な関係構築能力と、安全性を重視する業界特性への理解が求められます。面接では、安全・安心への取り組みに対する意識の高さと、専業メーカーとしてのプライドを共有できるかが重要な評価ポイントとなります。

まとめ

フジテックの平均年収は681万円と、全国平均を大きく上回る水準を維持しています。エレベーター・エスカレーター専業メーカーとしてのポジションを活かし、安定した給与体系と充実した福利厚生制度を提供している企業です。

年収面では、30代で600万円台後半、40代で700万円台後半、50代で800万円台と着実な昇給が期待でき、役職に就くことで1,000万円を超える年収も実現可能です。福利厚生では、住宅支援制度や各種手当が充実しており、特に転勤時のサポート体制が手厚く整備されています。

転職を検討される方には、エレベーター業界の専門性と安全・安心への取り組みを理解し、グローバル展開に対応できる能力を身につけることをお勧めします。長期的なキャリア形成と安定した収入を重視する方にとって、フジテックは魅力的な転職先といえるでしょう。特に技術系職種や営業職において、専門性を活かしながら成長できる環境が整っています。