フタバ産業株式会社(以下、フタバ産業)は、愛知県岡崎市に本社を置く自動車部品の大手メーカーです。マフラーやエキゾーストマニホールドなどの排気系部品、車体部品を得意とし、自動車用マフラーでは国内トップシェアを誇っています。トヨタ自動車をはじめ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツなど多くの完成車メーカーに製品を供給する、自動車業界の重要なサプライヤーです。
この記事では、転職や就職を検討されている方に向けて、フタバ産業の最新年収データを詳しく解説します。有価証券報告書に基づく正確な平均年収推移から、役職別・年齢別の年収データ、福利厚生制度、さらには転職難易度まで、フタバ産業への転職を成功させるために知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。
フタバ産業の会社概要
フタバ産業は、1945年創業の歴史ある自動車部品メーカーです。マフラーなど排気系部品のトップメーカーとして、国内外の自動車メーカーに製品を供給しています。東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所に上場し、トヨタ自動車が約31%を出資している筆頭株主となっています。「栴檀は双葉より芳し」という故事成語に由来する社名の通り、創業から約80年にわたり着実な成長を続けています。
フタバ産業の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | フタバ産業株式会社 |
本社所在地 | 愛知県岡崎市橋目町字御茶屋1番地 |
設立年 | 1945年(昭和20年)11月1日 |
業種 | 自動車部品製造業 |
資本金 | 168億円 |
上場市場 | 東証プライム・名証プライム |
従業員数 | 3,749人(2024年3月期有価証券報告書) |
フタバ産業の主要事業は大きく4つに分かれています。自動車部品事業では、マフラーやエキゾーストマニホールドなどの排気系部品、車体部品、足回り系部品、燃料系部品などを製造しています。特に主力のマフラーは国内トップクラスのシェアを誇り、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツなど多くの完成車メーカーに供給しています。外販設備事業では、自動車部品で培った技術を活かして生産設備・金型を外販しています。情報環境機器事業では、カラー複合機などのOA機器部品を製造し、農業事業では、コア技術を応用したハウス栽培用の温度管理装置やCO2処理装置などを手がけています。
フタバ産業の平均年収はどのぐらい?
フタバ産業の平均年収について、最新の有価証券報告書データをもとに詳しく解説します。2024年3月期の有価証券報告書によると、フタバ産業の平均年収は615万円(平均年齢38.2歳)となっています。これは日本の平均年収と比較して相当高い水準にあり、自動車部品メーカーとしては標準的な年収レベルと言えます。
年度別の平均年収推移
過去5年間のフタバ産業の平均年収推移を見ると、580万円から615万円の範囲で推移していることが分かります。近年は業績回復に伴い、2024年3月期は前年比で35万円の大幅増となっています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 勤続年数 | 従業員数 |
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2024年3月期 | 615万円 | 38.2歳 | 15.5年 | 3,749名 |
2023年3月期 | 580万円 | 38.0歳 | 15.4年 | 3,769名 |
2022年3月期 | 585万円 | 37.8歳 | 15.2年 | 3,812名 |
2021年3月期 | 587万円 | 37.5歳 | 15.0年 | 3,885名 |
2020年3月期 | 608万円 | 37.2歳 | 14.8年 | 3,940名 |
出典:フタバ産業株式会社 有価証券報告書(2020年3月期~2024年3月期)
他企業との比較データ
フタバ産業の年収水準を同業他社と比較すると、トヨタグループ系列の自動車部品メーカーの中では中位に位置しています。トヨタグループ内での年収ランキングでは、上位企業に比べると若干低めですが、安定した給与水準を維持しています。
企業名 | 平均年収 | 平均年齢 | 業界内順位 |
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トヨタ紡織 | 722万円 | 40.5歳 | 上位 |
小糸製作所 | 約650万円 | 40.0歳 | 中上位 |
フタバ産業 | 615万円 | 38.2歳 | 中位 |
太平洋工業 | 572万円 | 39.5歳 | 中下位 |
出典:各社有価証券報告書、業界比較データ
国内平均と比較すると、フタバ産業の平均年収615万円は、国税庁発表の日本の平均年収(約460万円)を155万円上回る水準です。自動車・輸送機業界の平均年収が691万円であることを考慮すると、業界内では平均より76万円低く、業界内順位は46位(全52社中)となっています。
フタバ産業の役職別年収データ
フタバ産業では、一般社員から主任、係長、課長、部長という明確な役職体系が整備されています。年功序列の色合いが強く、役職昇進に伴い年収も段階的に上昇する仕組みとなっています。基本的には同期間で大きな差が付きにくい評価体制となっているため、安定したキャリア形成が可能です。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般社員 | 400-550 |
主任クラス | 550-650 |
係長クラス | 650-725 |
課長クラス | 850-950 |
部長クラス | 1,000-1,200 |
フタバ産業の役職別年収の特徴として、課長クラスから年収900万円を超え、部長クラスでは1,000万円を超える水準に達することが挙げられます。しかし、同業界の平均と比較すると、各役職レベルで若干低めの水準となっています。昇進は基本的に年功序列で進みますが、近年は成果主義の要素も取り入れられており、優秀な人材の早期昇進も見られるようになっています。
ボーナスは年2回(夏季・冬季)支給され、業績に連動した金額となっています。平均的なボーナス支給額は約94万円で、同業種の業界平均97万円と比較するとやや低めですが、安定した支給実績があります。残業代は1分単位で正確に支給されるため、働いた分はしっかりと給与に反映されます。
フタバ産業の年齢別年収推移
フタバ産業では、年齢と経験年数に応じた給与体系が整備されており、長期的なキャリア形成が可能です。新卒入社から定年まで、段階的に年収が上昇していく仕組みとなっています。以下は、年代別の推定年収データです。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 350-450 |
30代 | 450-600 |
40代 | 580-750 |
50代以上 | 650-850 |
20代では基本給を中心とした年収構成となり、残業代によって年収が変動します。30代に入ると主任や係長への昇進により年収が大幅に上昇し、40代以降は課長職への昇進により年収700万円を超える可能性が高まります。50代では部長クラスに昇進すれば年収800万円を超える水準に達します。
フタバ産業の年収体系は、基本給と諸手当、残業代、賞与で構成されています。平均勤続年数が15.5年と比較的長く、長期勤続によるメリットが大きいことが特徴です。ただし、住宅手当などの福利厚生手当は他社と比較してやや少なめとなっているため、基本給部分での勝負となります。
フタバ産業の福利厚生
フタバ産業は社員が安心して働けるよう、基本的な福利厚生制度を提供していますが、住宅関連の手当は限定的となっています。以下、主要な福利厚生制度をカテゴリ別にご紹介します。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 基本的に支給なし |
交通費 | 通勤手当支給 |
諸手当 | 家族手当、役職手当 |
退職金制度 | 退職金制度あり |
財形貯蓄 | 財形貯蓄制度あり |
保険制度 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険 |
有給休暇 | 平均取得日数17日/年、半日取得可 |
特別休暇 | 3日連続休暇取得制度、リフレッシュ休暇(5日間連続) |
働き方制度 | フレックスタイム制(コアタイムなし) |
育児・介護 | 育児休暇(男性取得実績有、女性取得率100%)、介護休暇 |
フタバ産業の福利厚生の特徴として、住宅手当は基本的に支給されないことが挙げられます。これは他の自動車部品メーカーと比較してデメリットとなる部分です。一方で、働き方に関する制度は充実しており、フレックスタイム制(コアタイムなし)の導入により、柔軟な働き方が可能です。
休暇制度では、年間3日間の連続休暇取得制度があり、土日と合わせて5連休を取得することができます。これを利用して海外旅行に行く社員も多く、ワークライフバランスを重視した取り組みが行われています。また、勤続の節目にはリフレッシュ休暇として5日間の連続休暇が付与され、長期的なリフレッシュが可能です。育児支援制度も整備されており、女性の育児休暇取得率は100%、男性の取得実績もあることから、安心して働ける環境が整っています。
フタバ産業の転職難易度は?
フタバ産業への転職は、東証プライム上場の大手自動車部品メーカーということもあり、中程度から高めの難易度と言えます。ただし、技術系職種を中心に積極的な中途採用を行っており、適切な経験とスキルを持つ人材であれば十分に転職のチャンスがあります。特に自動車業界での経験や、機械・電気系の技術的背景を持つ人材は歓迎される傾向にあります。
求められる人材像
フタバ産業が求める人材像について、公式採用サイトでは「4つの資質」を重視すると明記されています。これらの資質を併せ持つ人材と一緒に未来を創っていきたいという姿勢を示しています。
項目 | 内容 |
---|---|
問題解決力 | 日頃から常に問題意識を持ち、小さな改善を積み上げることができる人 |
行動力 | 失敗を恐れずに何事にも挑戦し続ける人 |
チームワーク力 | 価値観の違いや立場の違いを尊重し、周囲を巻き込んで仕事を進めることができる人 |
好奇心・向上心 | 常に色々なことに興味を持ち、広い視野で知識や見識を高めることができる人 |
フタバ産業では、自動車業界の変化に対応できる柔軟性と、継続的な改善に取り組む姿勢を重視しています。特に、小さな改善を積み重ねるカイゼン活動に対する理解と実践能力が求められます。また、チームワークを重視する企業風土があるため、協調性を持って周囲と連携しながら仕事を進められる人材が歓迎されます。
転職成功のポイント
フタバ産業への転職を成功させるためのポイントをまとめました。自動車部品業界特有の知識や経験が重視される傾向にありますが、他業界からの転職者も歓迎される環境があります。
項目 | ポイント |
---|---|
技術的背景 | 機械・電気系の技術的知識、CAD/CAE操作経験(CATIA、NXなど) |
業界理解 | 自動車業界の動向、電動化トレンドへの理解 |
改善志向 | 継続的改善活動(カイゼン)への取り組み経験 |
チームワーク | 多様なメンバーとの協働経験、コミュニケーション能力 |
成長意欲 | 新技術への関心、グローバル志向(海外赴任への意欲) |
フタバ産業では、技術職を中心に生産技術、設計開発、品質管理などの職種で中途採用を行っています。特に排気系部品の設計開発には高い専門性が求められるため、関連する経験や知識を持つ人材は優遇される傾向にあります。また、近年は海外展開を積極化しており、トレーニー制度を利用した海外勤務の機会もあるため、グローバル志向を持つ人材も歓迎されます。
働き方については、フレックスタイム制(コアタイムなし)やリフレッシュ休暇など、ワークライフバランスを重視した制度が整備されており、プライベートも充実させながら働ける環境があります。転職検討者にとって、技術的な成長とプライベートの両立が図れる魅力的な職場環境と言えるでしょう。
まとめ
フタバ産業の年収について、有価証券報告書に基づく正確なデータを詳しく解説してきました。最新の平均年収は615万円(平均年齢38.2歳)で、自動車部品メーカーとしては標準的な水準にあります。役職昇進に伴い年収は段階的に上昇し、部長クラスでは1,200万円程度まで到達可能です。
フタバ産業の特徴は、自動車用マフラーで国内トップクラスのシェアを持つ安定した事業基盤にあります。トヨタグループの一員として安定した受注が見込め、長期的なキャリア形成が可能な環境が整っています。年功序列の色合いが強い評価制度により、着実な昇進・昇給が期待できます。
福利厚生面では、住宅手当がないというデメリットがある一方で、フレックスタイム制やリフレッシュ休暇など働き方に関する制度は充実しています。転職難易度は中程度から高めですが、技術系職種を中心に積極的な中途採用を行っており、適切な経験とスキルを持つ人材には十分なチャンスがあります。
フタバ産業への転職を検討されている方は、自動車業界への理解を深め、継続的改善への取り組み姿勢をアピールすることが重要です。国内トップクラスの技術力を持つ自動車部品メーカーで、安定したキャリアを築きたいと考える方にとって、フタバ産業は魅力的な転職先と言えるでしょう。