五洋建設株式会社(以下、五洋建設)は、1896年創業の海洋土木分野で国内最大手を誇る準大手ゼネコンです。海洋土木のリーディングカンパニーとして国内外で多数の実績を持ち、近年は陸上土木や建築事業も急成長しています。この記事では、五洋建設の最新の年収情報について、有価証券報告書などの公式データに基づき、役職別・年齢別の詳細な推移を解説します。転職や就職を検討されている方にとって、参考となる情報をお届けします。
五洋建設の会社概要
五洋建設は1896年に広島県呉市で創業された海洋土木最大手の準大手ゼネコンです。創業以来120年以上にわたり「水の土木」分野で培った技術力を基盤に、国内外の臨海部開発において圧倒的な実績を誇ります。近年では土木売上高で業界全体3位の地位を築き、建築事業も2014年から10年間で約175%の成長を遂げるなど、総合建設会社として着実な発展を続けています。東京証券取引所プライム市場に上場し、2025年3月期の売上高は6,177億円、従業員数は連結で3,888名の規模を持つ大手企業です。
五洋建設の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 五洋建設株式会社 |
本社所在地 | 東京都文京区後楽二丁目2番8号 |
設立年 | 1950年(創業1896年) |
業種 | 建設業(準大手ゼネコン) |
事業内容 | 海洋土木、陸上土木、建築工事の設計・施工 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード:1893) |
五洋建設の事業は大きく「海洋土木事業」「陸上土木事業」「建築事業」の3つに分かれています。海洋土木事業では港湾・空港・浚渫・埋立工事などで国内最大手の地位を確立し、スエズ運河改修工事やシンガポール・香港での大型プロジェクトなど海外でも豊富な実績を持ちます。陸上土木事業では道路・河川・トンネル・橋梁工事を手がけ、建築事業では超高層ビル・大型商業施設・マンションなどの設計・施工を行っています。特に近年は建築事業の成長が著しく、2024年度の建築売上高見込みは2,200億円に達し、業界9位の規模まで拡大しています。
五洋建設の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2019年3月期 | 838万円 | 41.2歳 | 16.7年 | 2,653名 |
2020年3月期 | 876万円 | 41.3歳 | 16.8年 | 2,672名 |
2021年3月期 | 878万円 | 41.6歳 | 17.0年 | 2,706名 |
2022年3月期 | 860万円 | 41.4歳 | 16.8年 | 2,656名 |
2023年3月期 | 884万円 | 41.3歳 | 16.9年 | 2,673名 |
2024年3月期 | 889万円 | 41.4歳 | 17.0年 | 2,681名 |
出典:五洋建設株式会社 有価証券報告書(2024年3月期)
五洋建設の2024年3月期における平均年収は889万円となっています。過去6年間の推移を見ると、2022年3月期に一時的に860万円まで下がったものの、その後は回復傾向にあり、直近では1.48%の上昇トレンドを示しています。平均年齢は41.4歳、平均勤続年数は17.0年と安定しており、従業員の定着率の高さがうかがえます。国税庁の民間給与実態統計調査による全国平均年収443万円と比較すると、五洋建設の年収は約2倍の水準にあり、高収入企業としての地位を確立しています。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界内順位 |
---|---|---|
長谷工コーポレーション | 967万円 | 1位 |
戸田建設 | 950万円 | 2位 |
熊谷組 | 942万円 | 3位 |
前田建設工業 | 933万円 | 4位 |
五洋建設 | 889万円 | 5位 |
西松建設 | 847万円 | 6位 |
三井住友建設 | 833万円 | 7位 |
安藤ハザマ | 803万円 | 8位 |
出典:各社有価証券報告書(2024年3月期)
準大手ゼネコン8社の中で五洋建設は5位の年収水準となっています。東証プライム上場企業の平均年収742万円、建設・資材業界の平均年収786万円と比較すると、五洋建設の889万円は業界平均を103万円上回る高い水準です。特に海洋土木分野での専門性と技術力が高く評価され、競合他社と比較しても遜色のない年収レベルを維持しています。
五洋建設の役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般社員 | 600〜750 |
主任クラス | 750〜850 |
係長・課長補佐クラス | 850〜950 |
課長クラス | 1,000〜1,200 |
部長クラス | 1,200〜1,500 |
執行役員クラス | 1,500万円以上 |
五洋建設の役職別年収は、一般社員から部長クラスまで段階的に上昇する体系となっています。総合職の場合、入社から数年で主任クラスに昇格し年収750万円〜850万円程度、課長クラスで1,000万円を超える水準に達します。部長クラスでは1,200万円〜1,500万円の年収が期待でき、建設業界の中でも競争力のある水準を維持しています。なお、これらの数値は基本給、諸手当、賞与を含んだ総額であり、個人の実績や勤務地、担当プロジェクトの規模によって変動する場合があります。
五洋建設の年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 400〜650 |
30代 | 650〜950 |
40代 | 850〜1,200 |
50代以上 | 1,000〜1,500 |
年齢別の年収推移では、20代で400万円〜650万円からスタートし、30代で大幅な上昇を見せ650万円〜950万円の範囲となります。40代では管理職への昇格により850万円〜1,200万円、50代以上では1,000万円〜1,500万円と着実に上昇していく傾向にあります。特に30代から40代にかけての年収上昇幅が大きく、技術者としての経験を積み、現場責任者や管理職としてのキャリアパスが明確に示されています。なお、海外勤務やプロジェクトマネージャーなどの専門職に就く場合は、これらの水準を上回る年収が期待できます。
五洋建設の福利厚生
五洋建設では、従業員の生活を支える充実した福利厚生制度を整備しています。以下、カテゴリ別に主要な制度をご紹介します。
- 住宅関連
住宅手当(配偶者または扶養義務のある子を持つ主たる生計維持者で、会社から社宅の提供を受けない総合職社員に対し、地域により21,000円〜32,000円を支給)、社宅・寮の提供、住宅ローン支援制度 - 手当・補助
交通費全額支給、家族手当、時間外労働手当、深夜勤務手当、休日勤務手当、海外勤務手当 - 保険制度
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、団体生命保険、退職金制度(確定給付企業年金制度) - 休暇制度
年次有給休暇、夏季休暇、年末年始休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児休業、介護休業、リフレッシュ休暇 - 教育・研修
新入社員研修、階層別研修、技術研修、資格取得支援制度、海外研修制度 - その他
カフェテリアプラン、社員食堂、健康診断、人間ドック補助、クラブ活動支援、財形貯蓄制度
特に注目すべきは、住宅手当制度と教育・研修制度の充実です。住宅手当は地域に応じて最大32,000円まで支給され、若手社員の生活基盤を支えています。また、技術者としてのスキルアップを重視し、資格取得支援や海外研修制度を通じて、グローバルに活躍できる人材育成に力を入れています。
五洋建設の転職難易度は?
求められる人材像
五洋建設では、以下のような人材を求めています。
- 技術系職種
土木工学、建築学、機械工学、電気工学などの専門知識を持ち、施工管理技士などの資格を有する人材。特に海洋土木や大型インフラプロジェクトの経験者が優遇されます。 - チャレンジ精神
創業以来の「チャレンジスピリット」を体現し、困難なプロジェクトにも積極的に取り組める人材。海外勤務への意欲や語学力も重視されます。 - コミュニケーション能力
現場での職人や協力会社との調整、顧客との折衝など、建設業界特有の多様なステークホルダーとの関係構築能力。 - 責任感と粘り強さ
長期間にわたる大型プロジェクトを最後まで責任を持って完遂できる人材。品質・安全・工程管理への高い意識。
転職成功のポイント
五洋建設への転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
- 専門性の訴求
土木・建築分野での具体的な実績と専門知識を明確に示すことが重要です。特に海洋土木や大型インフラプロジェクトの経験は高く評価されます。 - 資格の取得
施工管理技士(土木・建築)、技術士、一級建築士などの国家資格は転職に有利に働きます。入社後の資格取得支援制度も充実しているため、学習意欲も重要な評価ポイントです。 - グローバル志向
五洋建設は海外事業に積極的なため、英語力や海外勤務への意欲は大きなアドバンテージとなります。TOEICスコアや海外経験をアピールしましょう。 - 面接対策
「人物本位」の選考を重視しているため、面接での人柄や価値観の伝達が重要です。チャレンジ精神や責任感を具体的なエピソードで示すことが求められます。
中途採用では即戦力としての活躍が期待されるため、建設業界での実務経験が重視されます。直近5年の中途採用データによると、入社時からの年収アップ額は平均220万円となっており、スキルと経験に応じた適正な処遇が期待できます。
まとめ
五洋建設の平均年収889万円は、建設業界の中でも高い水準にあり、海洋土木最大手としての技術力と実績が適正に評価されています。年収は役職や年齢に応じて段階的に上昇し、課長クラスで1,000万円を超える水準に達します。充実した福利厚生制度と併せて、総合的な待遇の良さが魅力的な企業です。
転職を検討される方には、建設業界での実務経験と専門資格の取得、そして五洋建設の企業風土に合致するチャレンジ精神をアピールすることをお勧めします。特に海洋土木や大型インフラプロジェクトの経験をお持ちの方、グローバルに活躍したい方には、非常に魅力的なキャリアパスが用意されています。中途採用でも年収アップの実績が豊富にあるため、現在の待遇に満足されていない建設技術者の方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。