株式会社八十二銀行(以下、八十二銀行)は、長野県長野市に本店を構える地方銀行の雄として、長野県全域で強固な営業基盤を築いています。創業90年を超える歴史を持ち、「健全経営をもって地域社会の発展に寄与」を経営理念に掲げる同行の年収水準は、転職を検討する方にとって重要な判断材料となるでしょう。
この記事では、八十二銀行の平均年収の詳細データをはじめ、役職別・年齢別の年収推移、福利厚生、転職難易度について、有価証券報告書や公式情報に基づいて詳しく解説していきます。地方銀行への転職を検討している方や、八十二銀行に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
八十二銀行の会社概要
八十二銀行は、長野県を代表する地方銀行として、県内全域に101店舗を展開し、地域密着型の金融サービスを提供しています。東証プライム市場に上場する同行は、預金量約8兆円、貸出金残高約6兆円を誇る地方銀行の上位行として、堅実な経営で知られています。近年は、長野銀行との経営統合やデジタル化への取り組みを通じて、さらなる成長を目指しています。
八十二銀行の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社八十二銀行 |
本社所在地 | 長野県長野市大字中御所字岡田178番地8 |
設立年 | 1931年(昭和6年) |
業種 | 銀行業 |
事業内容 | 預金業務、融資業務、為替業務、投資信託等の金融商品仲介業務 |
上場市場 | 東証プライム市場(証券コード:8359) |
八十二銀行の事業内容は、預金や融資などの基幹的銀行業務を中心に、投資信託や保険商品の販売、法人向けコンサルティング業務など多岐にわたります。特に地域企業のM&Aサポートや事業承継支援、SDGs推進支援などの非金融領域にも積極的に取り組み、地域経済の発展に貢献しています。また、グループ会社には八十二リース、八十二スタッフサービスなどがあり、総合金融サービスグループとして事業を展開しています。2024年3月期の連結売上高は2,122億円、純利益は370億円を記録し、地方銀行の中でも上位の業績を維持しています。
八十二銀行の平均年収はどのぐらい?
八十二銀行の2024年3月期の平均年収は691万円となっており、全国平均の460万円を大きく上回る水準です。地方銀行としては比較的高い年収水準を維持しており、長野県内企業の中でもトップクラスの待遇を提供しています。
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 691万円 | 42.1歳 | 14.5年 | 2,942人 |
2023年3月期 | 671万円 | 42.2歳 | 15.9年 | 2,966人 |
2022年3月期 | 649万円 | 42.2歳 | 15.9年 | 2,966人 |
2021年3月期 | 647万円 | 42.3歳 | 16.1年 | 2,990人 |
2020年3月期 | 659万円 | 42.0歳 | 15.8年 | 2,975人 |
2019年3月期 | 654万円 | 41.8歳 | 15.6年 | 2,987人 |
出典:株式会社八十二銀行 有価証券報告書(2024年3月期、2023年3月期、2022年3月期、2021年3月期、2020年3月期、2019年3月期)
八十二銀行の平均年収は、過去6年間で654万円から691万円の範囲で推移しており、2024年3月期には過去最高の691万円を記録しました。2021年3月期の647万円を底として上昇傾向にあり、直近では4.89%の上昇トレンドを示しています。この上昇は、同行の業績改善と人材確保に向けた待遇改善の取り組みが反映されています。
他企業との比較データ
銀行名 | 平均年収 | 分類 |
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八十二銀行 | 691万円 | 地方銀行 |
三井住友銀行 | 865万円 | 都市銀行 |
千葉銀行 | 766万円 | 地方銀行 |
横浜銀行 | 755万円 | 地方銀行 |
山陰合同銀行 | 699万円 | 地方銀行 |
北陸銀行 | 627万円 | 地方銀行 |
地方銀行の中では、八十二銀行の平均年収は中位程度の水準となっています。東証プライム上場の銀行業界全体の平均年収772万円と比較すると81万円低く、業界内では39位(全68社中)の位置にあります。しかし、地方銀行としては健全な水準を維持しており、生活コストの安い長野県内での勤務を考慮すると、実質的な生活水準は都市銀行と遜色ない待遇と言えるでしょう。
八十二銀行の役職別年収データ
八十二銀行の役職別年収について、有価証券報告書では詳細な役職別データは公開されていませんが、一般的な地方銀行の昇進体系と業界水準に基づく推定データをご紹介します。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般職員(入行1-5年目) | 400-500 |
係長・主任クラス | 550-650 |
課長クラス | 700-850 |
部長クラス | 900-1,200 |
執行役員クラス | 1,300-1,800 |
八十二銀行では、入行後の昇進は比較的安定したペースで進み、総合職であれば入行10年前後で係長・主任クラス、15年前後で課長クラスへの昇進が期待できます。同行の人事制度では、人物評価と業績評価を組み合わせた総合的な査定が行われており、地域貢献への意欲と専門性の向上が重視されています。管理職になると年収は大幅に上昇し、課長クラスでは平均年収を上回る水準となります。
八十二銀行の年齢別年収推移
八十二銀行の年齢別年収推移について、有価証券報告書では年齢別の詳細データは非開示となっていますが、業界平均と同行の平均年収データから推定される年収推移をご紹介します。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代(22-29歳) | 350-480 |
30代(30-39歳) | 500-720 |
40代(40-49歳) | 650-900 |
50代以上(50歳-) | 750-1,100 |
八十二銀行では、新卒入行時の初任給は23万円(大卒)からスタートし、年次昇給と賞与により着実に年収が上昇していきます。20代後半までは400万円台後半、30代で600万円台、40代で800万円前後が平均的な水準となります。50代以降は管理職への昇進により大幅な年収増加が期待でき、部長クラスでは1,000万円を超える年収も可能です。同行では年功序列的な要素と成果主義的な要素をバランス良く組み合わせた人事制度を採用しており、長期的なキャリア形成を支援しています。
八十二銀行の福利厚生
八十二銀行は充実した福利厚生制度を整備しており、職員の働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。特に住宅支援や育児支援の制度が手厚く、長期的なキャリア形成をサポートしています。
住宅・生活支援制度
- 家賃補給金制度:独身寮や社宅、賃貸住宅への家賃補助を実施
- 独身寮・社宅:新入行員向けの独身寮と世帯向け社宅を県内各地に完備
- 住宅融資制度:職員向けの優遇金利による住宅ローン制度
休暇・労働時間制度
- 年間有給休暇取得日数:16.0日(全国平均を上回る取得率)
- 平均残業時間:月間11.7時間(働き方改革により大幅に削減)
- 勤務時間:8時30分~17時00分(月末営業日は17時30分終業)
育児・介護支援制度
- 育児休業制度:法定を上回る育児休業期間を設定
- 男性育児休業取得率:101.9%(全国トップクラスの取得率)
- 育児休業者向け復職サポート研修:スムーズな職場復帰を支援
- 介護休業制度:家族の介護が必要な職員への支援体制
その他の制度
- 各種労働社会保険:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険完備
- 退職金制度:企業年金基金による退職給付制度
- 持株会制度:職員の資産形成を支援
- 養育手当:子育て世帯への経済的支援
八十二銀行の転職難易度は?
八十二銀行への転職難易度は、地方銀行の中では比較的高めとなっています。長野県を代表する金融機関として安定性が高く、待遇面でも県内トップクラスであることから、優秀な人材からの応募が多い傾向にあります。
求められる人材像
八十二銀行では、「お客さまに『あなただから』と信頼されるために頑張れる人」を求めています。具体的には以下のような人材が評価されます。
- 地域への愛着:信州・長野県に対する愛着と地域貢献への意欲
- 人間力重視:知識や資格よりも人柄や人間力を重視する選考方針
- 変革への意欲:デジタル化や新規事業への積極的な取り組み姿勢
- 顧客志向:形のないサービスを通じてお客さまに価値を提供する意識
転職成功のポイント
八十二銀行への転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 金融業界経験の活用:銀行や証券、保険業界での実務経験は高く評価されます
- 地域ネットワーク:長野県内での人脈や事業経験があると有利
- デジタルスキル:DXやFinTech分野のスキルは特に求められています
- コンサルティング能力:企業の課題解決や事業承継支援の経験
- 資格取得:FP技能士、証券外務員、中小企業診断士などの金融関連資格
項目 | 内容 |
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中途採用実績 | 年間10-20名程度のキャリア採用を実施 |
求める経験 | 金融業界経験3年以上が望ましい |
応募条件 | 大学卒業以上、年齢制限は原則35歳まで |
選考プロセス | 書類選考→適性検査→面接(2-3回) |
まとめ
八十二銀行の平均年収691万円は、地方銀行としては標準的な水準でありながら、長野県内では非常に魅力的な待遇といえます。特に注目すべきは、近年の年収上昇トレンドと充実した福利厚生制度です。男性育児休業取得率101.9%や年間有給取得16.0日など、ワークライフバランスの改善にも積極的に取り組んでいる点は、現代の働き方を重視する方にとって大きな魅力でしょう。
転職を検討される方にとっては、同行の地域密着型経営と安定した業績基盤、そして長野銀行との経営統合による更なる成長期待が重要な判断材料となります。特に、金融業界での経験を活かして地域貢献を実現したい方や、長野県での長期的なキャリア形成を目指す方には、八十二銀行は非常に魅力的な転職先といえるでしょう。ただし、転職難易度は決して低くないため、しっかりとした準備と地域への熱意を示すことが成功の鍵となります。