総合水処理業界のトップ企業として高い技術力を持つ栗田工業株式会社(以下、栗田工業)。その年収水準の高さでも知られる同社について、平均年収や昇進制度、福利厚生、転職難易度まで詳しく解説します。転職検討中の第二新卒・30代の若手ビジネスマンや就活中の大学生にとって、キャリア形成の参考となる情報をまとめました。
栗田工業の会社概要
栗田工業は1949年に創業された、水処理業界における国内最大手企業です。「”水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」という企業理念のもと、水処理薬品・水処理装置・メンテナンス・サービスを総合的に提供する水処理のリーディングカンパニーとして成長してきました。同社は東証プライム市場に上場しており、売上高3,446億円(2023年3月期)で水処理エンジニアリング企業の中でトップの売上規模を誇ります。
栗田工業の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 栗田工業株式会社(Kurita Water Industries Ltd.) |
本社所在地 | 東京都中野区中野4-10-1 中野セントラルパークイースト |
設立年 | 1949年7月 |
業種 | 機械(水処理装置・薬品事業) |
事業内容 | 水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービス |
上場市場 | 東証プライム |
栗田工業は水処理に関する3つの主要事業を展開しています。水処理薬品事業では、ボイラ水や冷却水のトラブル防止薬品、産業排水処理薬品を提供。水処理装置事業では、半導体製造に不可欠な超純水製造システムや医療用・飲料製造用の水処理システムを納入しています。さらに、設備の運転管理や化学洗浄を行うメンテナンス・サービス事業まで手がけており、水処理に関する総合的なソリューションを提供する国内唯一のビジネス構成を持つ企業として、幅広い業界から信頼を得ています。
栗田工業の平均年収はどのぐらい?
有価証券報告書によれば、2025年3月期における栗田工業の平均年収は932万円(平均年齢:43.1歳)となっており、非常に高い水準であることが分かります。全国平均の年収が614万円であることを考慮すると、栗田工業の年収は全国平均の約1.5倍に相当する高水準です。
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 従業員数 | 勤続年数 |
---|---|---|---|---|
2025年3月期 | 932万円 | 43.1歳 | 1,673人 | 17.6年 |
2024年3月期 | 909万円 | 43.0歳 | 1,673人 | 17.6年 |
2023年3月期 | 894万円 | 42.9歳 | 1,561人 | 17.4年 |
2022年3月期 | 884万円 | 42.5歳 | 1,554人 | 17.1年 |
2021年3月期 | 896万円 | 42.3歳 | 1,531人 | 16.9年 |
2020年3月期 | 886万円 | 41.8歳 | 1,518人 | 16.8年 |
出典:栗田工業株式会社 有価証券報告書(各年3月期)
直近6年間の年収推移を見ると、2020年の886万円から2025年の932万円まで順調に上昇しており、この期間で約46万円の増加を記録しています。2022年度は平均年収が前年度よりも15万円高く、5年前と比較して45万円増加するなど、安定した成長基調を維持していることが確認できます。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界内順位 |
---|---|---|
栗田工業 | 932万円 | 1位 |
オルガノ | 808万円 | 2位 |
野村マイクロ・サイエンス | 712万円 | 3位 |
メタウォーター | 695万円※ | 4位 |
※推定値を含む 出典:各社有価証券報告書
水処理業界の競合企業との比較では、栗田工業が909.5万円、オルガノが808.3万円、野村マイクロ・サイエンスが711.7万円となっており、栗田工業は水処理業界内で最高水準の年収を実現しています。2位のオルガノとは約120万円以上の差があり、業界内での優位性が顕著に表れています。
栗田工業の役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 1,127 |
課長クラス | 1,474 |
部長クラス | 1,777 |
出典:有価証券報告書および統計データに基づく推定値
栗田工業では係長の役職で1127万円、課長で1474万円、さらに部長になると1777万円まで年収が上がることが分かります。栗田工業では「役職なし」「主任」「課長」「副参事」「参事(部長級)」という順番で昇進していき、課長以降は管理職扱いで残業代は支給されなくなります。
30歳前後で主任昇進試験を受ける必要があり、合格すれば主任に昇進できるとともに年収も大きく上昇します。同社の昇進制度は年功序列の色合いが強く、基本的には年功序列の色合いが強く、同期間で差は付きづらいという構造となっているため、着実にキャリアを積み重ねることで高い年収水準に到達できるシステムが整っています。
栗田工業の年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代後半(25-29歳) | 606 |
30代前半(30-34歳) | 698 |
30代後半(35-39歳) | 795 |
40代前半(40-44歳) | 850 |
40代後半(45-49歳) | 909 |
50代前半(50-54歳) | 982 |
50代後半(55-59歳) | 981 |
出典:有価証券報告書および厚生労働省賃金構造基本統計調査に基づく推定値
25~29歳の平均年収は606万円で、30~34歳になると698万円と平均年収が92万円プラスとなり、さらに35~39歳になると795万円と順調に上昇していきます。最大年収を迎える50代の年収が979万円で、栗田工業で働き盛りの30代の年収はおよそ808万円になると推定されます。
年収の事例としては、役職に就かない35歳の場合で750万円程度。30歳前後から主任試験を受けて管理職に登用された場合は、30代前半でも年収が800万円に上がる例もあり、その後は主任クラスで45歳になると1000万円を超えていき、50~55歳で年収のピークを迎えるという傾向があります。
栗田工業の福利厚生
栗田工業は充実した福利厚生制度で知られており、特に住宅関連の手当が手厚いことで有名です。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 若手社員向けの借り上げ寮制度、月額8,000円程度 |
住宅支援 | 水道光熱費全額会社負担、持家援助制度 |
諸手当 | 家族手当、扶養手当、出張手当 |
賞与 | 年2回(6月、12月) |
退職金制度 | 退職金制度、企業年金制度完備 |
財産形成 | 財形貯蓄制度、社員持株会制度 |
保険関連 | 社会保険完備 |
休暇制度 | 完全週休2日制、有給休暇制度 |
出典:企業公式採用情報および従業員口コミ
若手の住宅手当が非常に手厚く、借り上げ寮に月8000円で住むことができ、水道光熱費は全額会社負担となっています。東京に社宅制度があり、光熱費込みで5000円で住むことが出来るため、福利厚生は非常に整っているという評価も見られます。
独身寮、社宅制度あり(入寮・入居条件による)。住宅手当、家賃補助制度、持家援助制度(住宅ローン利子補給など)も提供し、財形貯蓄制度(一般・住宅・年金)、社員持株会制度(奨励金あり)、退職金制度、企業年金制度(確定給付企業年金、確定拠出年金)など、社員の資産形成を支援する制度が充実しています。賞与については年に2回(6月、12月)賞与を支給し、会社の業績や個人の評価に基づき決定され、安定的な生活をサポートされています。
栗田工業の転職難易度は?
栗田工業は年収の高さや大企業ならではの待遇によって転職市場における人気は高く、転職難易度は高いのが実情です。同社は転職難易度Bランクに分類され、機械業界の有名企業の中でも高い人気を誇っています。
項目 | 内容 |
---|---|
転職難易度 | Bランク(高難易度) |
中途採用実績 | 積極的に実施中 |
選考プロセス | 書類選考→面接(複数回)→最終面接 |
選考倍率 | 30倍程度(推定) |
出典:転職サイト情報および業界動向
求められる人材像
栗田工業は「責任感を持ち、粘り強く仕事熱心な人が協力し合って、仕事を成し遂げる」社風であることを理解し、企業理念と新企業ビジョンを理解したうえで自己分析をおこない自己PRを考える必要があります。
中途採用では、水関連事業や海外事業などの高い専門性があることはもちろん、水を究め豊かな環境を創造したいという熱い想いも兼ね備えていることもアピールすることが重要とされています。求める人物像として、専門性を高めものづくりにこだわる人、自分に枠を設けず可能性を広げてゆける人、人にしてもらうのではなく進む道を自ら切り開く人であることが求められています。
転職成功のポイント
面接では「なぜ栗田工業でなければならないのか」という質問が出されるため、競合他社との差別化をしっかりと理解しておくことが不可欠です。競合他社についても研究し、「栗田工業でなければならない」答えを出しておく準備が求められます。
一方で、中途採用も十分に行っていることから、転職できる可能性はあるのも事実です。近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能な状況となっています。転職成功のためには、水処理業界への深い理解と同社の事業戦略への共感を示すことが重要なポイントとなります。
まとめ
栗田工業は平均年収932万円という高い水準を実現しており、水処理業界内でもトップクラスの待遇を提供しています。年功序列を基本とした安定した昇進制度、充実した福利厚生制度、特に手厚い住宅支援制度により、長期的なキャリア形成に適した環境が整備されています。
転職難易度は高いものの、中途採用を積極的に行っており、専門性と企業理念への共感を示すことで転職成功の可能性は十分にあります。第二新卒・30代の若手ビジネスマンにとって、安定した高収入と充実した福利厚生を求める場合には、非常に魅力的な転職先として検討に値する企業と言えるでしょう。