KYB株式会社(以下、KYB)は、油圧機器の総合メーカーとして世界トップクラスの技術力を誇る企業です。四輪車用ショックアブソーバーや建設機械用油圧機器を主力製品として、自動車部品から産業機械まで幅広い分野で事業を展開しています。1919年の創業以来、100年以上にわたって培ってきた振動制御・パワー制御技術を基盤に、国内外で高い評価を獲得している上場企業です。
この記事では、KYBへの転職を検討している方に向けて、同社の平均年収データや福利厚生、転職難易度について詳しく解説します。有価証券報告書などの公式データに基づいた最新の年収情報をお伝えしますので、転職活動の参考にしてください。
KYB株式会社の会社概要
KYBは、油圧機器業界において世界屈指の技術力を持つ総合メーカーです。特にショックアブソーバーの分野では世界最大規模の生産量を誇り、建設機械用油圧シリンダーと合わせて、グループ全体で圧倒的な市場シェアを確保しています。芙蓉グループの一員として安定した経営基盤を持ち、現在は東京証券取引所プライム市場に上場し、JPX日経インデックス400の構成銘柄にも選ばれています。
KYB株式会社の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | カヤバ株式会社(KYB Corporation) |
本社所在地 | 東京都港区浜松町二丁目4番1号 |
設立年 | 1935年(創業1919年) |
業種 | 輸送用機器・油圧機器製造業 |
事業内容 | 油圧緩衝器、油圧機器、システム製品の製造・販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
KYBの事業は大きく3つの分野に分かれています。まず油圧緩衝機器事業では、四輪車・二輪車用ショックアブソーバー、鉄道車両用・産業機械用緩衝器などを製造しています。油圧機器事業では、建設機械・産業車両用油圧機器、航空機用油圧機器などを手がけ、システム製品事業では特装車両、免震・制振装置、環境機器などを提供しています。同社の技術力の高さは、東京ドーム13個分の敷地面積を持つ「KYB開発実験センター」からも見て取れます。このテストコースは自動車部品メーカーとしては最大規模を誇り、様々な路面状況を再現できる設備により、世界中の顧客ニーズに対応した製品開発を行っています。また、世界24か国に拠点を展開し、グローバルに事業を展開していることも同社の強みの一つです。
KYB株式会社の平均年収はどのぐらい
年度別の平均年収推移
KYBの直近5年間の平均年収推移を見ると、安定した高水準を維持していることがわかります。有価証券報告書に記載されている公式データによると、2024年3月期の平均年収は642万円となっており、輸送用機器業界の中でも競争力のある水準を確保しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 642万円 | 40.8歳 | 16.3年 | 4,032人 |
2023年3月期 | 641万円 | 40.7歳 | 16.2年 | 4,010人 |
2022年3月期 | 635万円 | 40.5歳 | 16.0年 | |
2021年3月期 | 628万円 | 40.3歳 | 15.8年 | 3,952人 |
2020年3月期 | 639万円 | 40.1歳 | 15.6年 | 3,924人 |
出典:KYB株式会社 有価証券報告書(2020年3月期~2024年3月期)
このデータから、KYBの平均年収は過去5年間で約14万円上昇しており、着実な成長を示しています。平均年齢は40.8歳と働き盛りの世代が中心となっており、平均勤続年数16.3年という長期定着率の高さが、同社の働きやすい環境を物語っています。従業員数も安定的に増加傾向にあり、事業拡大に伴う堅実な成長が確認できます。
他企業との比較データ
自動車部品・輸送用機器業界における他社との年収比較を見ると、KYBの競争力が明確になります。業界大手各社との比較では、KYBは業界内でも上位に位置する年収水準を維持しています。
企業名 | 平均年収(万円) | 業界内順位 | 事業分野 |
---|---|---|---|
デンソー | 823 | 上位 | 自動車部品総合 |
アイシン | 720 | 上位 | 自動車部品総合 |
KYB | 642 | 中上位 | 油圧機器専門 |
日本精工 | 635 | 中上位 | ベアリング |
業界平均 | 594 | – | – |
KYBの平均年収642万円は、自動車部品業界の平均594万円を約50万円上回っており、業界内でも高い水準にあることがわかります。特に油圧機器という専門性の高い分野に特化していることもあり、技術力に対する適正な評価が年収に反映されています。総合部品メーカーのデンソーやアイシンには及ばないものの、専門メーカーとしては十分に競争力のある水準を維持していると評価できます。
KYB株式会社の役職別年収データ
KYBでは、年功序列を基本としつつ、実力に応じた昇進制度を採用しています。役職別の年収データについて、同社では詳細な公式データは開示していませんが、社員の口コミや業界水準から推定される年収データをご紹介します。
役職 | 推定年収(万円) | 備考 |
---|---|---|
一般社員 | 400~600 | 新卒~主任クラス |
主任・係長クラス | 600~750 | 現場リーダー |
課長クラス | 750~900 | 中間管理職 |
部長クラス | 900~1,200 | 上級管理職 |
KYBの昇進制度は比較的安定しており、大きな問題を起こさない限り年功序列で昇進していく傾向があります。特に20代前半はほぼ年功序列で昇給幅も小さいものの、年間6,000円程度の確実な昇給があります。管理職になるまでは残業代込みで世間一般と比較して遜色ない水準を確保でき、管理職登用後は基本給の大幅な向上が期待できます。自動車部品メーカーとしては標準的な給与体系となっており、安定した昇進・昇給が見込める環境です。
KYB株式会社の年齢別年収推移
年齢別の年収推移について、KYBでは公式データとしては非開示となっていますが、統計データと業界水準から推定される年収データをご紹介します。同社の年収水準は業界平均を上回る競争力のある水準を維持しています。
年代 | 推定年収範囲(万円) | 業界平均との比較 |
---|---|---|
20代 | 400~500 | 業界平均+30万円程度 |
30代 | 550~650 | 業界平均+50万円程度 |
40代 | 650~800 | 業界平均+60万円程度 |
50代以上 | 750~950 | 業界平均+70万円程度 |
年齢別の年収推移を見ると、30代~50代にかけて約229万円以上の年収増加が期待できます。新卒時の初任給は20.9万円からスタートし、経験年数と昇格に応じて段階的に上昇していく傾向があります。特に50代で最高年収に達する傾向があり、長期勤続による恩恵を受けやすい給与体系となっています。平均勤続年数16.3年という長期定着率の高さも、同社の安定した昇給制度を裏付けています。ただし、これらの数値は推定値であり、個人の能力や担当業務、勤務地域によって実際の年収には差が生じることがあります。
KYB株式会社の福利厚生
KYBでは、製造業大手企業として安定した福利厚生制度を整備しています。特に住宅関連サポートが充実しており、転勤者や若手社員に対する手厚い住宅支援が特徴的です。ただし、住宅手当は支給されない代わりに基本給が高めに設定されているという特色があります。
住宅関連サポート
制度・手当 | 内容 |
---|---|
独身寮 | ワンルームタイプ、安価で利用可能 |
社宅 | 家族構成に応じた部屋数で提供 |
住宅手当 | 基本的に支給なし(その分基本給で調整) |
転勤者支援 | 転勤者向けの住宅確保サポート |
給与・賞与制度
制度 | 内容 |
---|---|
賞与 | 年2回、4~5か月分の安定支給 |
昇給 | 年1回、約6,000円程度の確実な昇給 |
残業代 | 管理職以外は全額支給 |
学歴差 | 大卒・院卒で約2万円の基本給差 |
その他の福利厚生
制度 | 内容 |
---|---|
退職金制度 | 確立された制度(詳細は非公開) |
財形貯蓄 | 寮入居者は強制加入 |
通勤手当 | 支給(社バス運行あり) |
社会保険 | 各種社会保険完備 |
研修制度 | 技術系・管理系研修充実 |
KYBの福利厚生の特徴は、住宅手当を基本給に組み込むことで透明性を高めている点です。また、自動車連合の一員として、業界標準に合わせた昇給・賞与制度を導入しており、安定した給与体系を確保しています。寮や社宅制度は充実しており、特に地方工場への転勤者には手厚いサポートが提供されています。
KYB株式会社の転職難易度は
KYBの転職難易度は中程度と評価できます。油圧機器という専門性の高い分野であるため、関連する技術的バックグラウンドがあると有利ですが、同社では多様な職種で中途採用を実施しており、異業種からの転職も積極的に受け入れています。
求められる人材像
項目 | 内容 |
---|---|
基本姿勢 | モノづくりに情熱を持ち、技術革新に挑戦する意欲 |
専門性 | 機械・電気・化学系の技術的知識(職種により異なる) |
グローバル志向 | 世界24か国の拠点で活躍できる国際感覚 |
成長意欲 | 常に進化と挑戦を続ける向上心 |
転職成功のポイント
KYBへの転職を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
選考プロセスの理解:書類選考、面接(複数回)、適性検査という標準的な流れで進行します。希望職種以外でも、スキルに適した他職種での選考を提案される場合があります。
企業理念の理解:「お客様第一、品質第一」をモットーとしたグローバル展開への理解と、振動制御・パワー制御技術の社会的価値について明確な認識を持つことが重要です。
技術的バックグラウンドのアピール:油圧機器、自動車部品、機械工学などの関連分野での経験があると有利です。未経験分野でも、基礎的な技術知識と学習意欲をアピールすることで評価されます。
グローバル志向の表明:同社は世界24か国で事業展開しているため、国際的な環境での業務に対する意欲や語学力をアピールすることが効果的です。
まとめ
KYB株式会社の平均年収は642万円と、輸送用機器業界では競争力のある水準を維持しており、油圧機器という専門性の高い分野での技術力が適正に評価されている企業です。
同社の強みは、100年以上の歴史を持つ技術力と、ショックアブソーバーで世界第2位のシェアを誇る市場での地位にあります。年功序列を基本としながらも実力に応じた昇進制度により、長期的なキャリア形成に適した環境が整っています。
転職を検討している方にとって、KYBは以下のような魅力があります。安定した給与体系と確実な昇給制度により、計画的なライフプランを立てやすい環境です。また、世界24か国での事業展開により、グローバルな視野でのキャリア形成が可能です。技術系職種では、最先端の油圧技術に携わることで、専門性を高めることができます。
一方で、年功序列の色合いが強いため、短期間での大幅な昇進を期待する方には向かない面もあります。また、製造業特有の安定志向が強く、急激な変化よりも着実な成長を重視する企業文化があります。
転職を成功させるためには、同社の技術への情熱と品質第一の理念を理解し、長期的な視点でのキャリア形成を志向することが重要です。油圧機器・自動車部品業界で専門性を高めながら、安定した環境でキャリアを積みたい方にとって、KYBは非常に魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。