株式会社京三製作所(以下、京三製作所)の年収について詳しく知りたい方へ。鉄道信号システムの大手メーカーとして、1917年の創業から100年以上にわたり日本の交通インフラを支えてきた京三製作所。この記事では、京三製作所の平均年収は783万円という最新データをもとに、年度別推移から役職別・年齢別の年収データまで、転職を検討している方に必要な情報を網羅的に解説します。同業他社との比較や福利厚生、転職難易度についても詳しくご紹介しています。
京三製作所の会社概要
株式会社京三製作所は、神奈川県横浜市鶴見区に本社を置く電気機器メーカー。交通信号機をはじめとする交通インフラ設備を製作しており、国内に13の事業所を持つほか、国内外に10のグループ企業を抱える規模の大きな企業です。1917年の創業以来、国産初の継電器、自動閉そく信号装置、ATS装置、電子連動装置、世界初の中距離新交通システム用信号保安設備(無人運転式)、ホームドア付帯の可動ステップなどの開発・製造を成功させ、信号システムのトップメーカーとしての地位を確立しています。
京三製作所の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社京三製作所(Kyosan Electric Manufacturing Co.,Ltd.) |
本社所在地 | 神奈川県横浜市鶴見区平安町二丁目29番地の1 |
設立年 | 1917年(大正6年)9月3日 |
業種 | 電気機器製造業 |
事業内容 | 鉄道信号システム、パワーエレクトロニクス |
上場市場 | 東京証券取引所(プライム市場) |
資本金 | 62億7,030万円 |
従業員数 | 2,075名(連結・2025年3月31日現在) |
京三製作所の事業内容は大きく2つの柱に分かれています。主力事業である信号システム事業では、鉄道信号をはじめ、鉄道輸送のあらゆる分野をサポートし、「フェールセーフ」を実現するためのテクノロジーの研究開発と実用化を推進しています。もう一つの柱であるパワーエレクトロニクス事業では、電力変換システムを鉄道信号・電力通信・産業機器など幅広い分野で提供しており、社会インフラの一翼を担っています。特に鉄道分野では民鉄との関係が強く、日本信号、京三製作所、大同信号が「信号三社」と称される業界の主要プレイヤーとして確固たる地位を築いています。
京三製作所の平均年収はどのぐらい?
京三製作所の平均年収は783万円です(2024年度有価証券報告書)。これは東証プライム上場企業の平均年収は742万円のため、プライム内では高い給与水準といえます。全国の平均年収は460万円(出典:国税庁)のため、比較的年収の高い企業であり、年収783万円は、給与所得者全体において上位16.6%前後の年収帯に属します。
年度別の平均年収推移
京三製作所の過去6年間の平均年収推移をみると、直近においても京三製作所の平均年収は6.48%の上昇トレンドにあり、平均年収が日々上昇している企業です。以下が年度別の詳細データです。
年度 | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 勤続年数(年) | 従業員数(人) |
---|---|---|---|---|
2024年 | 783 | 41.6 | 17.0 | 1,227 |
2023年 | 742 | 41.7 | 17.0 | 1,227 |
2022年 | 742 | 41.6 | 17.0 | 1,227 |
2021年 | 708 | 41.2 | 16.8 | 1,201 |
2020年 | 719 | 40.8 | 16.5 | 1,195 |
2019年 | 735 | 40.5 | 16.2 | 1,189 |
出典:株式会社京三製作所 有価証券報告書(2024年3月期)
他企業との比較データ
信号業界大手3社の平均年収を比較すると、京三製作所の給与水準が業界内でどの位置にあるかが分かります。
企業名 | 平均年収(万円) | 売上高(億円) | 従業員数(人) |
---|---|---|---|
日本信号 | 753 | 1,050 | 2,921 |
京三製作所 | 783 | 705 | 1,227 |
大同信号 | 623 | 222 | 非公開 |
信号三社の中では、京三製作所が最も高い平均年収を誇っています。業界内でも比較的年収の高い企業といえる水準で、従業員規模と売上高のバランスを考慮すると、効率的な経営が年収水準の高さに反映されていることが分かります。
京三製作所の役職別年収データ
京三製作所の役職別年収については、総合職の平均年収は909万円、管理職級の平均年収は1,208万円前後という推定データがあります。また、2024年度の役員報酬は、役員全体で平均4,200万円でした。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般職 | 600~700 |
主任・係長クラス | 700~800 |
課長クラス | 800~1,000 |
部長クラス | 1,000~1,300 |
役員クラス | 4,200(平均) |
京三製作所では年功序列の風潮があり、年齢とともに年収が上がっていくシステムを採用しています。年齢給と職能等級からなる給与体制で、年齢給は50歳がピークで山なりの構造となっており、安定したキャリア形成が可能です。
京三製作所の年齢別年収推移
年代別の年収推移については、25~29歳の平均年は529万円で、30~34歳になると609万円と平均年収が80万円プラスとなります。以下が詳細な年代別年収データです。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代前半 | 450~500 |
20代後半 | 500~580 |
30代前半 | 580~650 |
30代後半 | 650~750 |
40代前半 | 750~850 |
40代後半 | 800~900 |
50代以上 | 850~950 |
月々の平均手取りについては、20代では32万円前後、最高年収となる50代では52万円前後となります。京三製作所では長期勤続が前提とされており、平均勤続年数は17.0年と安定した雇用環境が整っています。
京三製作所の福利厚生
京三製作所の福利厚生は大手メーカーとして充実した内容となっています。以下、主要な制度をカテゴリ別にご紹介します。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 住宅手当は5000円程度で借家の方、持ち家の方などを問わずに全員一律で支給 |
交通費 | 交通費は全額支給 |
退職金制度 | DB、DC、一時金の3本で構成されており、経団連水準と同等の退職金が支給される制度 |
住宅制度 | 独身寮(男・女)、若手社員の寮や借り上げ住宅を完備 |
休暇制度 | 年間130日程度の休日、FV休暇と呼ばれる休暇が別途支給 |
育児・介護支援 | 最長で子の3歳の誕生日前日まで育児休業取得可、育児短時間勤務は小学校6年修了まで利用可 |
その他の福利厚生として、財形貯蓄制度・社員持株制度や、WELBOXを活用した各種サービスの利用が可能です。福利厚生は比較的充実していて、暦通りの休日で夏季冬季の休みもきちんと取れる環境が整っています。在宅勤務制度も導入されており、働き方の多様性にも対応しています。
京三製作所の転職難易度は?
京三製作所への転職難易度は中程度といえます。東証プライム上場企業として安定した経営基盤を持つ一方、専門性の高い技術職が中心のため、関連する経験やスキルが重要になります。
求められる人材像
京三製作所が中途採用で求める人材は、主に以下の分野での経験者です。
職種 | 求められる経験・スキル |
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電気設計職 | 鉄道信号システム、電力変換回路の設計経験 |
機械設計職 | ホームドア、転てつ機、踏切遮断機などの機械設計経験 |
システム設計職 | 鉄道信号システムのサイバーセキュリティ対応経験 |
回路設計職 | 列車検知装置、センサーを用いた製品設計経験 |
同社は100年以上続く老舗メーカーであり、創業当初から社員を大切にしてきました。風通しの良い社風であり、長く腰を据えて働きたい方にはお勧めの会社とされており、安定志向の人材を求める傾向があります。また、信号関連は日本市場でのシェアが高く、インフラ基盤であるため、極めて安定性が高い事業を展開しているため、社会インフラへの貢献意識の高い人材が評価されます。
転職成功のポイント
京三製作所への転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。第一に、鉄道業界や信号システムに関する基礎知識を身につけることです。「フェールセーフ」とは、万一の故障や事故の際、装置やシステムが必ず「安全」側に作動する、という基本理念であり、この考え方を理解し、面接で具体的に語れることが重要です。
第二に、技術職の場合は関連する設計経験や資格の保有が有利になります。電気系、機械系いずれの職種でも、製品の安全性と信頼性に関わる設計経験があれば高く評価されるでしょう。第三に、長期的なキャリア形成への意欲を示すことです。平均勤続年数が17.0年という環境で、長く腰を据えて働きたい方が求められているため、安定した就業継続への意思を明確に伝えることが重要です。
なお、転職時期については通年採用を行っているものの、年間休日126日という働きやすい環境から離職率は比較的低く、ポジションによっては募集が限定的な場合もあります。早めの情報収集と準備が成功の鍵となるでしょう。
まとめ
京三製作所の平均年収は783万円と、業界内でも高水準を維持しており、信号業界大手3社の中でも最高の年収水準を誇っています。創業100年以上の歴史を持つ安定企業として、年功序列による着実な昇進・昇給システムが確立されており、長期的なキャリア形成を重視する方には非常に魅力的な環境といえるでしょう。
福利厚生も大手メーカーとして充実しており、特に退職金制度は経団連水準と同等という手厚い内容です。ただし、住宅手当については一律5,000円程度と控えめな水準のため、住宅費を重視する方は事前に検討が必要です。転職を検討されている方は、鉄道インフラという社会的意義の高い事業に携わりながら、安定した高収入を得られる貴重な機会として、早めの準備と情報収集をお勧めします。
京三製作所は技術系人材を中心とした採用を行っているため、関連分野での経験や専門知識があれば転職成功の可能性は高いといえます。日本の交通インフラを支える重要な役割を担う企業で、やりがいと安定した収入の両方を実現したい方にとって、検討する価値の高い転職先といえるでしょう。