ライオン株式会社(以下、ライオン)は、1891年の創業以来133年にわたって人々の健康と清潔な生活習慣づくりに貢献している大手生活用品メーカーです。ハミガキやハブラシなどのオーラルヘルスケア分野で国内トップクラスのシェアを誇り、「クリニカ」「システマ」「キレイキレイ」「バファリン」など数多くの有名ブランドを展開しています。転職を検討されている方にとって、ライオンの福利厚生制度がどのような内容なのかは重要な判断材料となるでしょう。
この記事では、ライオンの福利厚生制度について、住宅関連制度から退職金制度まで詳しく解説します。充実した人材開発制度、働きやすい環境づくりへの取り組み、同業他社との比較、転職時に注目すべきポイントまで、転職検討者が知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。安定した経営基盤を持つライオンが提供する福利厚生の全貌を把握して、転職活動の参考にしてください。
ライオンの会社概要
ライオンは1891年に小林富次郎によって設立された小林富次郎商店を前身とする、133年の歴史を持つ日本を代表する生活用品メーカーです。東京証券取引所プライム市場に上場し、連結売上高4,129億円、従業員数7,654名(連結)を誇る大企業として安定した経営基盤を築いています。特にハミガキ・ハブラシなどのオーラルヘルスケア分野では国内最大級のシェアを持ち、人々の健康と清潔な生活習慣づくりに深く関わる事業を展開しています。
ライオンの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | ライオン株式会社(Lion Corporation) |
本社所在地 | 東京都台東区蔵前1-3-28 |
設立年 | 1918年(創業1891年) |
業種 | 化学・生活用品製造業 |
事業内容 | ハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品等の製造販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード:4912) |
ライオンの事業は、消費者向けの生活用品事業を中心に、産業用化学品事業、海外事業の3つの柱で構成されています。生活用品事業では、オーラルケア製品、ビューティケア製品、ファブリックケア製品、リビングケア製品、薬品の5つのカテゴリーで多岐にわたる商品を展開し、日本の消費者の生活に密着したブランドを数多く提供しています。また、アジア諸国を中心とした海外展開にも積極的に取り組んでおり、グローバル企業としての地位を確立しています。化学品事業では、産業用洗浄剤や機能材料などの分野で専門性の高い製品を提供し、B to B市場でも重要な役割を果たしています。
ライオンの福利厚生制度の特徴
ライオンの福利厚生制度は「成長意欲のある者に対して、学べる環境を提供していくこと。社員ひとりひとりにとって、最も働きやすい環境を整えること」という理念のもと設計されています。133年の歴史を持つ安定企業らしく、住宅関連制度から教育・研修制度まで幅広い分野で手厚いサポートを提供しています。特に人材開発に対する投資は充実しており、MBA取得支援制度やグローバル人材育成プログラムなど、長期的なキャリア形成を支援する制度が整備されています。
住宅関連制度
ライオンの住宅関連制度については、借入社宅制度が設けられており、在籍期間中は住宅費の負担軽減が図られています。ただし、転職会議などの口コミサイトの情報によると、「住宅に対する手当はめっぽう弱い。住宅補助は借入社宅を出ると全く出ないので要注意。結婚してももらえない」という指摘もあり、借入社宅を退去後の住宅手当については限定的である可能性があります。具体的な支給額や適用条件については、採用面接時に詳細を確認することをお勧めします。
健康・医療関連制度
ライオンの健康・医療関連制度は、社会保険制度を基盤として充実した内容となっています。健康保険、厚生年金、雇用保険、労働災害補償保険などの各種社会保険制度が完備されており、従業員の安心・安全をサポートしています。また、定期健康診断の実施に加えて、ストレスチェックも年1回実施されており、従業員の心身の健康維持に配慮した取り組みが行われています。さらに、総合福祉団体定期保険制度も導入されており、万が一の場合に備えた保障も充実しています。
休暇・働き方制度
ライオンの休暇制度は、年間休日数124日と充実した内容となっています。年末年始は原則6連休が確保され、夏季休暇については事業所によって異なる設定となっています。有給休暇については、法定基準を上回る制度が整備されており、長期休暇の取得も可能です。特筆すべきは、満年齢30歳、40歳、50歳に到達した従業員に対するリフレッシュ休暇制度で、連続10日の休暇と補助金が支給される制度が設けられています。これにより、人生の節目において心身のリフレッシュを図ることができます。
育児・介護支援制度も非常に充実しており、出産時には産前6週間、産後8週間の有給休暇が取得可能です。育児休業については、最長でお子様が2歳に達するまで取得でき、2021年度の女性社員の育児休業取得率は100%を達成しています。男性社員についても幅広い部署で育児休業を取得しており、男女を問わず子育てをサポートする環境が整っています。また、育児短時間勤務制度(ショートタイムフレックス制度)も導入されており、仕事と育児の両立を支援しています。
介護制度については、「介護休業」「介護短時間勤務」「介護休暇」の3つの制度を設けています。介護休業は家族1人につき累積して365日間、介護短時間勤務は365日以内の期間で1日2時間まで短縮可能、介護休暇は1時間単位または1日単位で1年間につき5日取得できる制度となっています。
教育・研修制度
ライオンの教育・研修制度は、従業員の成長意欲を支援する充実したプログラムが特徴です。最も注目すべきは、国内のビジネススクールに派遣してMBAを取得する制度で、高い就学意欲のある勤続3年以上の従業員から選抜され、派遣候補となります。実際に留学した先輩社員は大きな成長を遂げて実務に復帰しており、グローバルな視点と経営知識を身につけることができます。
2021年より開始されたアジアグローバル人材育成プログラムも特徴的で、問題解決、異文化理解、外国語学習等の研修や海外現地視察のカリキュラムを通じて、日本を含むアジア全域で活躍できる人材を育成しています。マーケティング学習プログラムでは、マーケティングに意欲のある方を公募し、将来のマーケティング人材を育成する仕組みが整っています。
その他にも、新価値創造プログラム、異業種研修、次世代リーダー育成研修、新入社員研修、階層別研修、管理職研修など、多様な研修プログラムが用意されており、キャリアステージに応じたスキルアップが可能です。所属部門にかかわらず、オンラインとオフラインを組み合わせた幅広い選択肢から自分で学習するプログラムも提供されており、自主的な学習をサポートしています。
ライオンの各種手当・補助制度
ライオンの各種手当・補助制度については、基本的な社会保険制度に加えて、従業員の生活を支援する様々な制度が設けられています。以下の表に主要な手当・補助制度をまとめました。
制度・手当名 | 内容 | 対象者 |
---|---|---|
借入社宅制度 | 住宅費の負担軽減 | 在籍期間中の従業員 |
通勤手当 | 通勤にかかる費用の支給 | 全従業員 |
リフレッシュ休暇手当 | 30歳、40歳、50歳到達時に連続10日の休暇と補助金支給 | 該当年齢到達者 |
総合福祉団体定期保険 | 万が一の場合の保障 | 全従業員 |
財形貯蓄制度 | 給与天引きによる自動積立 | 希望する従業員 |
持株制度 | 自社株式の取得支援 | 希望する従業員 |
これらの制度に加えて、資格取得支援制度も設けられており、業務に関連する資格取得を奨励しています。ただし、一定の要件を満たす必要があるため、詳細な条件については入社時に確認することが重要です。また、副業についても認められており、多様な働き方を支援する企業文化があります。
ライオンの退職金・年金制度
ライオンの退職金・年金制度については、退職一時金制度と確定拠出年金制度(企業型DC)が設けられていることが口コミサイトの情報から確認できます。これにより、従業員の退職後の生活の安定を図るための制度が整備されています。退職一時金制度では、勤続年数や退職時の職位に応じて一定の退職金が支給され、確定拠出年金制度では企業が拠出した掛金を従業員が運用し、将来の年金給付に備える仕組みとなっています。
ただし、具体的な給付水準や算定方法、拠出額については、ライオンの公式資料では詳細が非開示となっています。転職を検討される際には、面接プロセスにおいて退職金制度の詳細について確認することをお勧めします。一般的に、133年の歴史を持つ大手企業として、業界水準に見合った退職金制度が整備されていると推測されますが、正確な情報は直接企業に確認することが重要です。
出典:転職会議、エン カイシャの評判等の口コミサイト情報
ライオンの福利厚生の評判・口コミ
ライオンの福利厚生に関する従業員の評判・口コミを総合すると、基本的な制度は整っているものの、一部の手当については改善の余地があるという声が見られます。転職会議やOpenWork、エン カイシャの評判などの口コミサイトによると、「基本的には年功序列と成果主義のバランスが取れた仕組み」「福利厚生は充実している」といった肯定的な評価がある一方で、「住宅手当は借入社宅を出ると全く出ない」「住宅に対する手当はめっぽう弱い」という指摘も確認されています。
特に評価が高い制度としては、退職金制度、財形貯蓄制度、持株制度などが挙げられており、長期的な資産形成をサポートする環境が整っています。また、年3回の賞与支給や年1回の昇給制度についても、「昇給、賞与はとてもしっかりしている会社」という評価を得ています。副業制度についても認められており、「時折副業している人の話を耳にする」という口コミもあり、多様な働き方を支援する企業文化があることがうかがえます。
他社との福利厚生比較
同業他社である花王、ユニ・チャーム、小林製薬と比較すると、ライオンの福利厚生制度には特徴と課題の両面が見えてきます。特に住宅関連制度では、他社との差が顕著に表れています。
制度 | ライオン | 花王 | ユニ・チャーム |
---|---|---|---|
住宅手当 | 借入社宅制度のみ | 住宅加算手当(地域・年齢・家族形態に応じて支給) | 住宅手当制度あり |
平均年収 | 665万円(2023年) | 802万円(2023年) | 843万円(2023年) |
退職金制度 | 退職一時金・確定拠出年金 | 企業年金基金 | 退職金制度あり |
特別休暇 | リフレッシュ休暇(30・40・50歳時) | 特別休暇(10年ごと) | 特別休暇制度あり |
この比較から、ライオンは住宅関連制度において他社に劣る面があることが分かります。花王では「住宅加算手当」として地域・年齢・家族形態に応じた支給があり、より包括的な住宅サポートを提供しています。一方で、ライオンの特徴的な制度として、30歳、40歳、50歳の節目でのリフレッシュ休暇制度があり、人生の重要な節目でのワークライフバランス支援に力を入れています。平均年収については、業界内では中位の水準となっており、年収以外の福利厚生制度での差別化が重要となっています。
ライオンへの転職で注目すべき福利厚生ポイント
転職時の福利厚生チェックポイント
ライオンへの転職を検討する際には、以下の福利厚生ポイントを重点的にチェックすることをお勧めします。まず、住宅関連制度については、借入社宅制度の適用条件と期間、退去後のサポートの有無を詳細に確認することが重要です。口コミ情報では住宅手当の限定性が指摘されているため、長期的な住宅計画を考慮して判断する必要があります。
教育・研修制度については、MBA取得支援制度やグローバル人材育成プログラムなど、キャリアアップに直結する制度が充実しているため、自身のキャリア目標と照らし合わせて活用可能性を検討してください。また、退職金制度の詳細(算定方法、給付水準、確定拠出年金の企業拠出額等)について、面接プロセスで具体的な情報を確認することが重要です。年収水準が同業他社と比較してやや低めであることを踏まえ、福利厚生制度や働きやすさでの価値を総合的に評価することが必要です。
入社後の手続きと利用方法
ライオンへの入社が決定した場合、福利厚生制度の利用開始時期と手続き方法を把握しておくことが重要です。社会保険制度(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)については入社と同時に適用されますが、その他の制度については適用開始時期が異なる場合があります。
財形貯蓄制度や持株制度については、入社後一定期間経過後の申し込みとなる可能性があるため、人事担当者に具体的な手続きスケジュールを確認してください。借入社宅制度を利用予定の場合は、入居可能な物件の所在地や条件、申し込み時期について事前に詳細を把握しておくことが重要です。また、教育・研修制度については、勤続年数や評価に応じた参加条件があるため、キャリアプランと併せて利用可能なタイミングを確認することをお勧めします。
まとめ
ライオンの福利厚生制度は、133年の歴史を持つ安定企業らしく、基本的な制度が整備されている一方で、住宅関連制度については同業他社と比較して改善の余地があることが分かりました。特に注目すべきは、MBA取得支援制度やグローバル人材育成プログラムなど、従業員の長期的な成長を支援する教育・研修制度の充実です。また、30歳、40歳、50歳の節目でのリフレッシュ休暇制度など、ワークライフバランスを重視した独自の制度も評価できます。
転職検討者にとっては、年収水準が同業他社と比較してやや低めである点を考慮し、福利厚生制度や働きやすさ、キャリア開発機会を総合的に評価することが重要です。特に、人材開発制度の充実度やワークライフバランスを重視する方、安定した企業環境での長期的なキャリア形成を希望する方には魅力的な選択肢となるでしょう。ただし、住宅手当については限定的であるため、住宅費の負担を重視する方は事前に詳細な条件確認を行うことをお勧めします。
ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスのもと、社会的意義の高い事業を展開している企業です。福利厚生制度を含めた総合的な働く環境を検討し、自身のキャリア目標や価値観と照らし合わせて転職の判断を行ってください。