株式会社マキタ(以下、マキタ)は、電動工具業界において世界シェア第3位、国内シェア60%以上を誇る電動工具のトップメーカーです。1915年の創業以来、100年以上にわたって「質実剛健」の社風を大切にし、世界100カ国以上に製品を展開するグローバル企業として成長を続けています。
同社への転職を検討されている方にとって、最も気になるのは「年収水準」ではないでしょうか。本記事では、マキタの最新平均年収データをはじめ、役職別・年齢別の年収推移、福利厚生、転職難易度まで詳しく解説いたします。転職活動の参考情報として、ぜひお役立てください。
マキタの会社概要
マキタは1915年にモータの販売修理会社として創業し、1958年に国産初の携帯用電気カンナを発売以来、電動工具メーカーとしての地位を確立してきました。現在では、充電式インパクトドライバーなどの電動工具、エア工具、園芸製品などの研究開発から製造・販売まで一貫して手がけています。特に18Vバッテリーシリーズでは400モデルを超える豊富な製品ラインナップを誇り、プロユーザーから園芸・清掃・アウトドア用途まで幅広いニーズに対応しています。
マキタの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社マキタ |
本社所在地 | 愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 |
設立年 | 1915年 |
業種 | 電動工具製造業 |
事業内容 | 電動工具・園芸用機器・エア工具等の製造・販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
同社の事業は電動工具分野において絶対的な強みを持ち、2005年他社に先駆けてリチウムイオンバッテリーを採用したプロ向け電動工具を販売開始。エンジン製品から充電製品への置き換えによる脱エンジン・コードレス化の推進により、業界随一の豊富な製品ラインアップを実現しています。従業員数は単体で3,086名、連結で18,624名(2024年3月期)と、機械業界でも有数の規模を誇る優良企業です。
マキタの平均年収はどのぐらい?
マキタの2025年3月期における平均年収は695万円となっており、平均年齢は39.9歳です。これは全国平均年収460万円を大きく上回る水準であり、機械業界の平均年収617万円と比較しても高い年収水準を維持しています。
年度別の平均年収推移
過去6年間のマキタの年収推移を見ると、安定した水準を保っています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2025年3月期 | 695万円 | 39.9歳 | 非開示 | 非開示 |
2024年3月期 | 647万円 | 40.5歳 | 17.1年 | 3,086名 |
2023年3月期 | 698万円 | 41.2歳 | 17.8年 | 2,959名 |
2022年3月期 | 716万円 | 40.2歳 | 16.8年 | 3,245名 |
2021年3月期 | 695万円 | 39.8歳 | 16.5年 | 3,189名 |
2020年3月期 | 685万円 | 39.5歳 | 16.2年 | 3,125名 |
出典:株式会社マキタ 有価証券報告書(各年度)
直近7年間の平均年収推移では2.9%増加と上昇トレンドを示しており、安定した成長を続けています。この堅調な年収推移は、同社の電動工具市場における競争力の高さと、世界的な需要拡大を背景とした事業の好調ぶりを反映しています。
他企業との比較データ
電動工具・機械業界における同業他社との年収比較を行うと、マキタの年収水準の妥当性が見えてきます。
企業名 | 平均年収 | 業界内での位置づけ |
---|---|---|
ファナック | 1,248万円 | 機械業界トップ |
DMG森精機 | 870万円 | 工作機械大手 |
ニデック | 814万円 | モーター専業大手 |
マキタ | 695万円 | 電動工具トップ |
工機ホールディングス | 650万円 | 電動工具2位 |
THK | 608万円 | 機械要素部品 |
出典:各社有価証券報告書(最新年度)
東証プライム上場企業の平均年収742万円と比較すると、マキタの平均年収647万円は業界内では平均的な給与水準と言えます。しかし、機械業界の平均年収726万円より若干低い水準となっているものの、電動工具専業メーカーとしては競合他社を上回る安定した年収水準を維持しています。
マキタの役職別年収データ
マキタの役職別年収について、公式に詳細なデータは開示されていませんが、同社の給与体系と業界水準から推定される年収データをご紹介します。
役職 | 推定年収範囲 |
---|---|
一般社員 | 400万円~600万円 |
係長・主任クラス | 600万円~750万円 |
課長クラス | 750万円~950万円 |
部長クラス | 950万円~1,200万円 |
役員クラス | 1,500万円以上 |
※上記は有価証券報告書データと口コミ情報を基にした推定値です。
マキタでは、総合職の平均年収は751万円、管理職級の平均年収は998万円前後になります。また、2024年度の役員報酬は、役員全体で平均3,166万円でした。職種別では管理職で660万円、開発職の655万円、技術職の630万円、営業職の587万円、事務職の543万円となっており、職種による年収差は一定程度存在しています。
基本給は他の企業に比べて低いですが、近年業績が良いためボーナスを含めると同世代と比較して高い水準にあります。賞与は比較的多く、概ね6ヶ月以上支給されており、年2回の賞与に加えて期末賞与も支給される年もあります。
マキタの年齢別年収推移
年齢別の年収推移については、同社の年功序列的な給与体系が反映された構造となっています。
年代 | 推定年収範囲 | 月収目安 |
---|---|---|
20代 | 407万円~550万円 | 27万円~36万円 |
30代 | 590万円~750万円 | 39万円~49万円 |
40代 | 658万円~850万円 | 43万円~56万円 |
50代以上 | 693万円~900万円 | 46万円~59万円 |
※上記は有価証券報告書データと各種統計を基にした推定値です。
新卒直後の20代では年収407万円からスタートし、働き盛りの30代では年収590万円、管理職割合が増えだす40代では年収658万円、最高年収に到達する50代では、年収693万円に到達します。マキタに勤める20代の平均年収は510万円で、全国の平均年収と比べると134万円プラスとなり、30代になると629万円で、20代の時よりも119万円プラスと着実な昇給が期待できます。
初年度は大学院卒で基本給が月24万円程度が支給され、数年に1度昇格試験があり、そこに合格すると給料は上がる仕組みとなっています。所謂日本型の年功序列型で、毎年耐え忍べばベアで給与が上がる構造です。
マキタの福利厚生
マキタは創業100年以上の歴史を持つ企業として、充実した福利厚生制度を整備しています。
手当・給与関連制度
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 寮・社宅制度で安価な住居を提供(金銭支給ではない) |
独身寮・社宅 | 月額1万円程度で借り上げ社宅を利用可能 |
持株会 | 最大100口まで加入可能、10%の奨励金あり |
財形貯蓄 | 住宅資金融資制度あり |
退職金制度 | ポイント制による確定給付制 |
企業型確定拠出年金 | 最大27,500円まで拠出可能 |
出典:株式会社マキタ公式採用サイト(2025年3月期実績)
休暇・働き方制度
制度 | 内容 |
---|---|
年間休日 | 127日 |
マキタホリデー | 毎年7月に土日含めた5連休の夏休み |
有給休暇 | 必ず年5日は取得する制度 |
育児・介護制度 | 育児休業、時短勤務制度 |
平均残業時間 | 16.2時間/月(短い水準) |
女性従業員比率 | 32.9%(2023年度) |
マキタホリデーという独自の休暇があり、毎年七月に土日含めた5連休の夏休みを取ることができます。また、年に5日休まないといけない制度があり、管理職が注意される仕組みになっているため、堂々と休める環境が整っています。
その他の福利厚生
制度 | 内容 |
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保険制度 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険 |
マキタ共済会 | 休業補償、教育資金支援、育英年金等 |
マキタ社友会 | 退職者同窓会(食事会、小旅行、長寿祝等) |
文体レク活動 | 映画鑑賞会、スポーツ大会、果物狩り等 |
通信教育補助制度 | 年1回のスキルアップ支援 |
契約保養所 | 全国の連携施設を格安で利用可能 |
長期勤続表彰 | 10年、20年、30年で自社製品を贈呈 |
福利厚生施設は充実しており格安で全国の連携施設を利用できる点や、年に一度バームクーヘンが配られるなど、伝統的な企業ならではの温かみのある制度が特徴的です。一通りの福利厚生が整っているため、非常に満足度の高い環境となっています。
マキタの転職難易度は?
マキタへの転職難易度は中程度(難易度C)と評価されています。年収の高さや大企業ならではの待遇によって転職市場における人気は高い一方で、中途採用に積極的であることから、転職難易度はそれほど高くないと言えます。
求められる人材像
項目 | 求められる要素 |
---|---|
人物像 | 質実剛健の社風にマッチする人材 |
専門性 | 職種に応じた専門知識・経験 |
語学力 | あれば良いが必須ではない(合否の決め手にならない) |
成長意欲 | グローバル企業での成長意欲 |
働き方 | マキタでの働き方への理解と熱意 |
事務系・技術系問わず、海外に行く機会はありますので、語学力はあれば良いでしょう。ただし、語学力が合否の決め手になることはありません。選考段階では、「マキタでの働き方をどれ程理解して、どれだけやってみたいと熱意を持っているか」を重視しています。
転職成功のポイント
ポイント | 詳細 |
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職種別採用の理解 | 内定時点で具体的な職種が決定する仕組み |
企業研究の徹底 | 電動工具業界やマキタの強みの理解 |
面接対策 | 急な英語質問やカタログ分析への準備 |
熱意のアピール | なぜマキタなのかを具体的に説明 |
長期的視点 | グローバル企業でのキャリア形成意欲 |
マキタでは、職種別の採用を実施しており、説明会・選考段階から全て職種別となっています。つまり内定時点においては、「マキタの内定者」ではなく「マキタ国内営業職の内定者」や「マキタ技術職の内定者」となるため、志望職種への明確な意志が重要です。
選考フローは書類選考→Web適性検査→面接2回→定例会(内定前最終確認)となっており、面接では急に英語での回答を求められたり、カタログを見て悪いところを言うなど、心構えしておかないと回答できない内容も多いので、しっかりと対策が必要です。
まとめ
底辺ライン:マキタは平均年収695万円と機械業界で安定した年収水準を実現している電動工具業界のリーディングカンパニーです。年功序列的な安定した昇給制度により、長期的なキャリア形成が可能な環境が整っています。
同社の魅力は年収の高さだけでなく、年間休日127日やマキタホリデーなどの充実した休暇制度、借り上げ社宅による住居サポート、そして何より世界トップクラスの電動工具メーカーとしての安定性と成長性にあります。無借金高収益企業として健全な財務体質を維持し続けており、長期的な雇用安定性も高く評価できます。
転職を検討される方は、マキタが職種別採用を実施していることを理解し、「なぜその職種なのか」「なぜマキタなのか」という志望動機を明確にすることが成功の鍵となります。中途採用に積極的で転職難易度は中程度ですが、グローバル企業での成長意欲と質実剛健な社風への共感をアピールすることで、転職成功の可能性を高めることができるでしょう。創業100年以上の歴史と世界展開の規模を持つ同社は、安定志向とチャレンジ精神を両立したい方にとって理想的な転職先といえます。