名古屋鉄道株式会社（以下、名古屋鉄道）は、愛知県・岐阜県を基盤とする中部地方最大の私鉄として、地域に根ざした交通インフラを支えています。中京圏を代表する企業として、鉄道事業をはじめ不動産・流通・レジャーなど多角的な事業展開により、安定的な経営基盤を築いています。本記事では、名古屋鉄道への転職を検討されている方向けに、同社の平均年収や役職別・年齢別の年収推移、福利厚生、転職難易度について詳しく解説します。

名古屋鉄道の会社概要

名古屋鉄道は1921年の設立以来、100年以上にわたって中京圏の交通インフラを支えてきた老舗企業です。営業距離444.2kmは日本の私鉄第3位の規模を誇り、276駅を有する中部地方最大の私鉄として確固たる地位を築いています。JR東海との競合区間もありながら、地域密着型のサービスと多角的な事業展開により、名鉄グループとして総合的な生活関連サービスを提供しています。

名古屋鉄道の基本情報

項目	詳細
会社名	名古屋鉄道株式会社
本社所在地	愛知県名古屋市中村区名駅1丁目2番4号
設立年	1921年
業種	陸運業
事業内容	鉄道事業、運送事業、不動産事業、レジャー・サービス事業など
上場市場	東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場

名古屋鉄道の事業は、交通事業（鉄道・バス・タクシー）を中核としながら、運送事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、航空関連サービス事業と多岐にわたります。特に不動産事業は全社利益の約42%を占める最大の稼ぎ頭となっており、鉄道沿線の開発を通じて地域価値の向上に貢献しています。名鉄グループとしては約120社の企業を傘下に持ち、中京圏において生活に密着した総合サービス企業として地域経済の発展を支えています。

名古屋鉄道の平均年収はどのぐらい？

年度別の平均年収推移

年度	平均年収	平均年齢	平均勤続年数	従業員数
2024年3月期	612万円	44.7歳	24.0年	4,987人
2023年3月期	593万円	44.7歳	24.1年	4,987人
2022年3月期	576万円	44.1歳	23.5年	5,185人
2021年3月期	583万円	43.9歳	23.6年	5,086人
2020年3月期	605万円	43.8歳	23.4年	5,098人
2019年3月期	606万円	43.9歳	23.6年	5,086人

名古屋鉄道の平均年収は2024年3月期で612万円となり、前年の593万円から19万円増加しました。新型コロナウイルスの影響を受けた2021年から2022年にかけては一時的に下降していましたが、経済活動の正常化に伴い回復傾向を示しています。平均年齢は44.7歳、平均勤続年数は24.0年と、社員の定着率の高さが伺えます。

出典：名古屋鉄道株式会社 有価証券報告書（2024年3月期）

他企業との比較データ

企業名	平均年収	業界での位置
JR東海	735万円	鉄道業界トップクラス
名古屋鉄道	612万円	鉄道業界中位
JR東日本	767万円	鉄道業界最高水準
近畿日本鉄道	約580万円	大手私鉄平均的
愛知県平均	383万円	地域平均

名古屋鉄道の平均年収612万円は、同じ中部地方を基盤とするJR東海の735万円と比較すると約120万円の差がありますが、陸運業界の平均599万円を上回る水準です。また、愛知県内の上場企業平均580万円と比較すると約30万円高く、地域では比較的高い給与水準を維持しています。鉄道業界内では中位に位置しており、安定性の高い企業として評価されています。

名古屋鉄道の役職別年収データ

役職	推定年収（万円）
係長・主任クラス	公式データとしては非開示
課長クラス	公式データとしては非開示
部長クラス	公式データとしては非開示

名古屋鉄道では、役職別の詳細な年収データについて公式な開示は行っておりません。ただし、過去の社員による口コミ情報では、課長クラスで700万円程度という事例が報告されています。同社では近年、マネジメント職については年俸制への移行を進めており、評価制度の見直しも併せて実施されているようです。

職種別では、事務職が572万円、総合職が551万円、運転士職が496万円、運輸職が353万円、技術職が347万円という口コミベースの平均年収が報告されており、職種によって225万円程度の差があることが分かります。総合職は名古屋鉄道及び名鉄グループの幹部候補として採用され、約120社にも及ぶ名鉄グループにおいて経営を担うことを目指すポジションとなっています。

名古屋鉄道の年齢別年収推移

年代	推定年収範囲（万円）
20代	公式データとしては非開示
30代	公式データとしては非開示
40代	公式データとしては非開示
50代以上	公式データとしては非開示

名古屋鉄道では年齢別の詳細な年収データについても公式な開示は行っておりません。ただし、社員の口コミ情報によると、30歳で500万円程度、運輸職では最速で運転士になった場合26歳頃から専門手当が支給されるなどの情報があります。

同社の平均年齢44.7歳、平均勤続年数24.0年という数値から、長期的な雇用を前提とした年功序列的な給与体系が基盤となっていることが推測されます。昇給については年2,500円程度の定期昇給があり、昇進試験制度により基本給が上がる等級制度も設けられています。全国の鉄道業界各社と比較すると給与水準はやや低めという声もありますが、安定性を重視する方には魅力的な環境といえるでしょう。

名古屋鉄道の福利厚生

制度・手当	内容
住宅手当	一律2,000円（全従業員対象）
交通費	通勤手当支給（最大2万3,000円程度）
家族手当	配偶者3,000円、子1人につき2,000円
自社線利用	名古屋鉄道全線無料利用可能
退職金制度	あり（手厚いとの評価）
社員寮	独身寮あり（条件により入居可能）

名古屋鉄道の福利厚生は、住宅手当が一律2,000円と他社と比較して少額ですが、その他の制度は充実しています。特に自社線の名古屋鉄道全線を無料で利用できることは大きなメリットで、家族にも乗車券が配布されます。福利厚生倶楽部（リロクラブ）に加入しており、育児支援サービスや健康サポートサービス、映画や旅行などの割引サービスを利用できます。

名鉄グループ施設の割引利用も可能で、百貨店での社割販売や名鉄病院での健康診断、保養所「木曽のはなれ」の利用、木曽駒高原カントリークラブでの割引ゴルフなど、グループならではの多様なサービスが用意されています。また、体育系12クラブ・文化系2クラブの会社公認クラブ活動があり、実業団の全国大会に出場するクラブもあるなど、社内の交流も盛んです。

名古屋鉄道の転職難易度は？

項目	内容
中途採用実績	総合職、鉄道エキスパート職で実施
求める人材像	地域貢献意識、チームワーク重視
応募条件	学歴不問、職種により経験年数要件あり
選考プロセス	書類選考、面接（複数回）

求められる人材像

名古屋鉄道が求める人材像は、地域貢献への強い意識とチームワークを重視する姿勢です。中部圏最大の私鉄として地域に根ざした事業を展開している同社では、「地元に貢献したい」という思いを持つ人材を歓迎しています。また、鉄道事業をはじめとするインフラ事業では安全性と確実性が最重要視されるため、責任感が強く、規則やルールを遵守できる人材が求められます。

総合職については、名古屋鉄道及び名鉄グループの将来の幹部候補として採用されるため、リーダーシップと経営的な視点を持つ人材が重視されます。約120社にも及ぶ名鉄グループで経営を担うことを目指すポジションであることから、広い視野と多角的な思考力が必要です。また、リニア中央新幹線開通に向けた名駅再開発など、大型プロジェクトに携わる機会もあるため、変化に対応できる柔軟性も重要な要素です。

転職成功のポイント

名古屋鉄道への転職を成功させるためには、まず中部地方への深い理解と愛着をアピールすることが重要です。面接では地元企業としての誇りと責任感を持っていることを具体的なエピソードとともに伝えましょう。名鉄沿線での生活経験や利用経験がある場合は、それらを積極的に話に盛り込むことで親近感を与えることができます。

技術系職種については、電気・土木・車両といった専門分野での実務経験が重視されます。建築関連職種では、駅舎や駅ビルなどの企画から管理までの一連の業務に携わるため、設計監理の経験やバリアフリー化への知見があると有利です。また、デジタル部門やデータ分析関連職種では、名鉄グループのDX推進に貢献できるスキルと経験が求められています。面接では「給料は安くて拘束時間が長いけど大丈夫か」といった現実的な質問もされるため、覚悟を持って臨むことが大切です。

まとめ

名古屋鉄道は平均年収612万円と、鉄道業界では中位の水準ですが、中部地方を代表する安定企業として高い評価を得ています。100年以上の歴史を持つ老舗企業でありながら、リニア中央新幹線開通に向けた名駅再開発や新規事業への取り組みなど、将来性のある企業として注目されています。

福利厚生では住宅手当こそ少額ですが、自社線無料利用や名鉄グループ施設の割引など、グループならではの充実したサービスが魅力です。転職を検討される方は、地域貢献への意識と長期的なキャリア形成への意欲を明確にし、安定性を重視した働き方を望む場合には非常に適した環境といえるでしょう。中部地方での転職を考える際には、ぜひ候補の一つとして検討してみてください。