三菱商事株式会社（以下、三菱商事）は、総合商社のトップ企業として高い給与水準で知られていますが、福利厚生制度についても業界トップクラスの充実ぶりを誇ります。本記事では、三菱商事への転職を検討中の方に向けて、住宅関連制度から退職金制度まで、同社の福利厚生を詳しく解説します。転職時の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

三菱商事の会社概要

三菱商事は、日本最大の総合商社として、エネルギー、金属資源、機械、化学品、生活産業など幅広い分野でグローバルに事業を展開しています。2024年3月期の売上総利益は約2.4兆円、当期純利益は約9,640億円を記録し、従業員数は連結で約8万人、単体で約4,400人の巨大企業です。

三菱商事の基本情報

項目	詳細
会社名	三菱商事株式会社
本社所在地	東京都千代田区丸の内二丁目3番1号
設立年	1950年
業種	総合商社
事業内容	地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.、電力ソリューション
上場市場	東京証券取引所プライム市場

三菱商事は、天然ガスや金属資源といった資源分野から、食品やコンビニエンスストア事業まで多岐にわたる事業ポートフォリオを展開しています。特に液化天然ガス（LNG）事業では世界有数の地位を占め、また銅鉱山事業でも大きな存在感を示しています。近年は脱炭素社会への移行を見据えた次世代エネルギー事業にも積極的に取り組んでおり、再生可能エネルギーの分野でも事業を拡大しています。

三菱商事の福利厚生制度の特徴

三菱商事の福利厚生制度は、総合商社の中でも特に充実していることで知られています。各種社会保険完備（雇用・労災・健康・厚生年金）、退職金・年金制度、診療所、研修所、独身寮・社宅、育児休職制度、配偶者の国内外の転勤に伴う再雇用制度など、社員の生活を多面的にサポートする制度が整備されています。

住宅関連制度

三菱商事の住宅関連制度は、新入社員から管理職まで幅広い層をカバーしています。現在は首都圏に5棟の独身寮を設置しており、2025年度に1棟を新設、統廃合の後、計4棟の体制（すべて都内・通勤時間40分以内の設置）となる予定です。

独身寮については「月1万円ほどで寮に入ることができる」との口コミがあり、非常にコストパフォーマンスの良い住環境が提供されています。また、「独身寮や新入社員用の寮も綺麗」という評価も多く見られます。

一方で、一般的な住宅手当については「住宅補助はありませんが、給与の中に含まれるという考え方です」という状況です。ただし、「海外転勤した際などには十分な額の住宅手当が支給されます」とあり、海外駐在時には手厚いサポートが受けられます。

健康・医療関連制度

健康・医療面でのサポートも充実しており、診療所の設置により、社員の健康管理をサポートしています。また、基本的な社会保険制度として各種社会保険完備（雇用・労災・健康・厚生年金）が整備されており、安心して働ける環境が整っています。

海外駐在時には「住宅補助・教育費・医療費など手厚い福利厚生」が提供され、駐在員とその家族の健康面もしっかりとサポートされています。

休暇・働き方制度

三菱商事の休暇制度は非常に充実しています。完全週休2日制（土・日）、祝祭日、年末年始、年次有給休暇、結婚休暇、妊娠休暇、配偶者出産休暇、子の看護休暇、子の学校行事休暇、特別傷病休暇（妊娠・育児事由）、介護休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇等が用意されています。

有給取得率についても「有給取得率も80パーセントを超えていて高水準」という状況で、ワークライフバランスの実現が図られています。

勤務時間については9時15分～17時30分（休憩1時間）※一部フレックスタイム制導入部署ありとなっており、月間平均残業時間29.2時間（2023年度実績）となっています。

教育・研修制度

三菱商事では、人材育成に力を入れており、充実した教育・研修制度を提供しています。社内研修を段階に応じて多数整備している他、海外ビジネススクール派遣（MBA/短期プログラム）制度等、職掌に応じた各種社外研修派遣プログラムを設けています。

また、研修所も設置されており、体系的な人材育成が行われています。これにより、社員一人ひとりのスキルアップとキャリア形成をサポートしています。

三菱商事の各種手当・補助制度

三菱商事では、基本給以外にも様々な手当や補助制度が用意されています。特に海外駐在時の手当が非常に充実していることが特徴的です。

制度・手当名	内容	対象者
通勤費	支給	全社員
海外駐在手当	基本給に加え十分な額を支給	海外駐在員
出張手当	ビジネスクラス利用可能	出張者
結婚休暇	特別休暇として支給	該当者
育児関連制度	育児休職制度等	該当者

通勤費支給は基本的な手当として全社員に提供されています。また、「出張時や駐在時の飛行機移動は社員全員ビジネスクラスらしい」という口コミもあり、出張時の待遇も充実しています。

海外駐在時には「住宅手当、結婚手当、出産手当などに関してはかなり期待して入社されても、それほどギャップは感じない」レベルの手厚いサポートが受けられます。

三菱商事の退職金・年金制度

三菱商事の退職金制度は、総合商社の中でも特に手厚いことで知られています。退職金諸制度は、「退職金」「確定拠出年金（401k）」「企業年金」の3つで構成されています。

退職金は、新卒入社の場合大体2,000万円程度支給されます。さらに、確定拠出年金（401k）が加わります。年金への年間拠出額は33万円です。これを仮に平均利回り5％程度で試算した場合、60歳までに4,000万円程度が貯蓄される計算になります。

企業年金制度については、企業年金は65歳から受給でき、年間160万円が支給されますとされており、社員1人が亡くなるまでに6,000万円～1億円程度が支給される計算になり、とても手厚い制度となっています。

制度名	内容
退職金	新卒入社で約2,000万円
確定拠出年金（DC）	年間拠出額33万円、60歳時に約4,000万円見込み
企業年金	65歳から年間160万円支給
生涯受給総額	約6,000万円～1億円

出典：外資就活「三菱商事（総合職）の年収・初任給・給与制度」

三菱商事の福利厚生の評判・口コミ

実際に三菱商事で働く社員からの福利厚生に関する評価は総じて高いものとなっています。複数の口コミサイトからの情報をまとめると、以下のような評価が見られます。

「全般的に福利厚生は充実しており、国内企業としてはトップクラスだと思います」という評価や、「流石は最大手企業であるだけのことはあり、福利厚生は抜群にいいです」といった声が多く聞かれます。

特に高く評価されているのは以下の点です：

• 「寮や保養所などが全国にあり、有給取得率も80パーセントを超えていて高水準」
• 「独身寮や新入社員用の寮も綺麗。育児休暇や長期休暇後の配偶者の再雇用制度もある」
• 「とても良いです。海外駐在、育休制度、寮制度、医療など多方面で手厚いサポート」

一方で、国内勤務時の住宅手当について「寮があるが全て立地は悪い。住宅手当は無いので、寮を出たら全額自己負担に」という意見もあり、寮退寮後の住宅費負担が課題として挙げられています。

他社との福利厚生比較

5大総合商社（三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅）の福利厚生を比較してみると、各社ともに高水準の制度を整備していますが、それぞれに特徴があります。

項目	三菱商事	三井物産	伊藤忠商事
平均年収（2024年3月期）	2090万円	約1899万円	約1754万円
住宅関連	独身寮・社宅あり（国内住宅手当なし）	独身寮・住宅手当制度	独身寮・住宅補助制度
退職金制度	退職金＋確定拠出年金＋企業年金	退職金＋企業年金制度	退職金＋年金制度
海外駐在手当	充実（住宅・教育・医療費等）	充実した駐在員制度	手厚い海外駐在サポート

三菱商事の特徴として、平均年収が5大商社でトップレベルであることに加え、退職金制度が「退職金」「確定拠出年金」「企業年金」の3層構造になっている点が挙げられます。これにより、老後の生活保障が非常に手厚くなっています。

また、海外駐在時の待遇については各社とも充実していますが、三菱商事は「出張時や駐在時の飛行機移動は社員全員ビジネスクラス」など、細かい部分でも高い水準のサービスを提供しています。

三菱商事への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

三菱商事への転職を検討する際に、特に注目すべき福利厚生のポイントは以下の通りです。

1. 住宅関連制度の理解
三菱商事では国内勤務時の住宅手当は基本的に支給されず、給与に含まれる考え方を取っています。一方で、独身寮は非常に安価で利用でき、海外駐在時には手厚い住宅補助が受けられます。転職時には、自身のライフプランと照らし合わせて住宅費の負担を検討することが重要です。

2. 退職金・年金制度の充実度
三菱商事の退職金制度は業界でもトップクラスの充実ぶりです。転職により退職金の勤続年数がリセットされることを考慮しても、長期的に見れば非常に有利な制度設計となっています。特に30代前半までの転職であれば、十分にメリットを享受できる可能性が高いです。

3. 海外勤務の可能性とサポート体制
総合商社である三菱商事では、多くの社員が海外駐在を経験します。海外駐在時の福利厚生は極めて充実しており、「駐在手当や地域手当、危険な新興国に駐在する場合の危険手当が支給され、海外駐在中の年収は国内勤務時の2倍になることもある」とされています。

4. ワークライフバランスの実現度
月間平均残業時間29.2時間という数字や、有給取得率80%超という実績は、総合商社としては良好なワークライフバランスが実現されていることを示しています。

入社後の手続きと利用方法

三菱商事への入社が決まった場合の福利厚生利用に関する手続きについて、重要なポイントをまとめます。

入社時期と福利厚生開始時期
基本的な福利厚生（社会保険、有給休暇等）は入社日から利用可能となります。ただし、独身寮への入居については事前の申請と空室状況により決定されるため、早めの相談が必要です。

退職金・年金制度への加入
確定拠出年金制度については入社と同時に加入となり、掛金の運用方法については入社後の研修で説明が行われます。企業年金制度についても自動的に加入となります。

研修制度の活用
海外ビジネススクール派遣（MBA/短期プログラム）制度などの教育制度については、入社後の人事評価や上司との面談を通じて申請・選考が行われます。積極的な自己啓発姿勢が重要となります。

海外駐在制度について
海外駐在の機会は、入社後の業務実績や語学力、希望等を総合的に判断して決定されます。駐在前には十分な準備期間と研修が提供され、駐在中は現地での生活サポートも充実しています。

まとめ

三菱商事の福利厚生制度は、総合商社業界の中でもトップクラスの充実度を誇っています。特に以下の点で優れた制度設計となっています。

住宅関連では、独身寮の提供により新入社員の生活基盤をサポートし、海外駐在時には手厚い住宅補助を提供。国内の住宅手当は給与に含まれる考え方を取っているものの、高い給与水準でカバーされています。

退職金・年金制度では、「退職金」「確定拠出年金」「企業年金」の3層構造により、新卒入社者で生涯受給総額6,000万円～1億円という手厚い保障を実現しています。

働き方・休暇制度では、有給取得率80%超という高水準を実現し、月間平均残業時間29.2時間という総合商社としては良好なワークライフバランスを提供しています。

教育・研修制度では、海外ビジネススクール派遣制度をはじめとする充実した人材育成プログラムにより、社員のキャリア形成を長期的にサポートしています。

転職を検討される方にとって、三菱商事の福利厚生制度は非常に魅力的な要素となるでしょう。特に長期的なキャリア形成と安定した老後生活を重視する方には、業界トップクラスの待遇が期待できます。ただし、国内勤務時の住宅手当がない点や、海外駐在の可能性が高い点など、個人のライフプランとの適合性をしっかりと検討することが重要です。

三菱商事への転職をお考えの方は、これらの福利厚生制度を総合的に評価し、自身のキャリアプランと照らし合わせながら検討することをお勧めします。