ニチアス株式会社（以下、ニチアス）は、断熱材やシール材のパイオニアとして1896年から120年以上の歴史を持つ、日本を代表する製造業です。転職を検討されている方にとって気になるのが年収水準ですが、本記事ではニチアスの最新平均年収データから、役職別・年齢別の年収推移まで詳しく解説します。同業他社との比較や福利厚生、転職難易度についても紹介しますので、ニチアスへの転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

ニチアスの会社概要

ニチアスは、断熱材やシール材の分野で国内トップクラスの技術力を誇る製造業です。石油精製プラントから自動車部品、住宅建材まで幅広い産業分野に製品を供給し、日本の基幹産業を支える重要な役割を担っています。特に「断つ・保つ」の技術を基盤とした6つの機能（シール、断熱、防音、耐火、耐食、クリーン）で、環境保全と産業発展に貢献しています。

ニチアスの基本情報

項目	詳細
会社名	ニチアス株式会社（NICHIAS Corporation）
本社所在地	東京都中央区八丁堀一丁目6番1号
設立年	1896年（明治29年）4月9日
業種	ガラス・土石製品
事業内容	断熱材・シール材・ふっ素樹脂製品等の製造・販売
上場市場	東京証券取引所プライム市場（証券コード：5393）

ニチアスの事業は5つのセグメントに分かれています。各種プラント設備向けに製品やエンジニアリングを提供する「プラント向け工事・販売事業」、基幹産業を主な市場とする「工業製品事業」、半導体産業に特化した「高機能製品事業」、自動車メーカーなどを主な客先とする「自動車部品事業」、ビルや住宅の建材を供給・施工する「建材事業」を展開しており、グローバルに事業を推進しています。連結従業員数は6,373名（2025年3月末現在）と、業界内でも大規模な企業として位置づけられています。

ニチアスの平均年収はどのぐらい？

ニチアスの平均年収について、最新の有価証券報告書に基づいたデータを詳しく見ていきましょう。2022年度（第207期）の平均年収は737万円となっており、全国平均年収458万円と比較すると、かなり高い水準にあることがわかります。従業員の平均年齢は40.6歳、平均勤続年数は14.9年となっています。

年度別の平均年収推移

ニチアスの過去6年間の平均年収推移を見ると、安定した上昇傾向にあることがわかります。特に2020年度以降は順調に年収が上昇しており、企業の成長性と従業員への還元姿勢が表れています。

年度	平均年収	平均年齢	平均勤続年数	従業員数
2022年度	737万円	40.6歳	14.9年	1,740名
2021年度	704万円	40.4歳	15.1年	1,729名
2020年度	691万円	40.1歳	14.8年	1,718名
2019年度	702万円	39.8歳	14.5年	1,707名
2018年度	695万円	39.5歳	14.2年	1,692名
2017年度	691万円	39.2歳	13.9年	1,681名

出典：ニチアス株式会社 有価証券報告書（2018年3月期～2023年3月期）

他企業との比較データ

ニチアスと同業他社の平均年収を比較すると、業界内での立ち位置が明確になります。ガラス・土石製品業界や関連する素材メーカーとの比較を見てみましょう。

企業名	平均年収	平均年齢	業界
日本碍子（日本ガイシ）	855万円	44歳	ガラス・土石製品
ダイキン工業	772万円	41歳	機械
ニチアス	737万円	40.6歳	ガラス・土石製品
業界平均	約650万円	43.2歳	ガラス・土石製品

この比較から、ニチアスの平均年収は同業界の平均を上回っており、競合他社と比較しても遜色のない水準であることがわかります。特に平均年齢が若いにも関わらず高い年収水準を維持している点は、同社の人材への投資と成長性を示している指標と言えるでしょう。日本碍子やダイキン工業といった大手企業と比較すると若干低めですが、安定した事業基盤と継続的な成長により、魅力的な年収水準を実現しています。

ニチアスの役職別年収データ

ニチアスの役職別年収について、公式データは非開示となっていますが、有価証券報告書の平均年収データと業界統計を基に推定値を算出することができます。一般的な製造業の昇進パターンと同様に、係長・課長・部長と段階的に年収が上昇する構造となっています。

役職	推定年収（万円）
係長・主任クラス	約870万円
課長クラス	約1,150万円
部長クラス	約1,380万円

これらの推定年収は、ニチアス株式会社が発表している有価証券報告書と国税庁が発表している民間給与実態統計調査を基に独自に算出したものです。ニチアスは年功序列的な昇進制度を採用しており、勤続年数と共に着実にキャリアアップできる環境が整っています。特に課長クラス以上では1,000万円を超える年収が期待でき、同業界内でも競争力のある水準となっています。

ニチアスの年齢別年収推移

ニチアスの年齢別年収推移について、厚生労働省の賃金構造基本統計調査と同社の平均年収データを基に分析すると、20代から50代にかけて順調な年収上昇が見込めることがわかります。同社は比較的若い従業員が多く、平均年齢40.6歳で737万円という高い年収水準を実現している点が特徴的です。

年代	推定年収範囲（万円）
20代	450～600万円
30代	580～750万円
40代	700～900万円
50代以上	800～1,200万円

20代の初期では450万円程度からスタートし、30代で600万円台、40代で700万円台後半、50代では800万円以上の年収が期待できます。特に30代後半から40代前半にかけての年収上昇が顕著で、この時期に係長・課長クラスへの昇進が多く見られます。ニチアスでは技術系・営業系問わず、実力と経験に応じた適正な評価が行われており、長期的なキャリア形成において魅力的な環境と言えるでしょう。

ニチアスの福利厚生

ニチアスは従業員の働きやすさを重視し、充実した福利厚生制度を整備しています。特に住宅関連の支援制度や各種手当が手厚く、従業員の生活基盤を支える体制が整っています。

住宅・生活支援制度

制度・手当	内容
住宅手当	社宅・寮以外居住者に月数万円支給
家族手当	扶養家族に応じた手当支給
社宅・寮制度	独身寮・家族社宅完備
転勤支援	転勤に伴う引越費用等の補助

休暇・勤務制度

制度・手当	内容
年間休日	128日（土日祝、夏季・年末年始休暇含む）
有給休暇	入社時期に応じて付与、継続勤務により増加
平均残業時間	月約12～20時間程度
退職金制度	確定拠出年金制度導入

ニチアスの福利厚生は製造業の中でも特に手厚いとの評価があります。住宅手当については、社宅や寮に入居していない場合でも月数万円程度の支給があり、家族手当と合わせて生活面でのサポートが充実しています。また、年間128日の休日確保と平均残業時間の少なさにより、ワークライフバランスの取りやすい環境が整備されている点も魅力的です。

ニチアスの転職難易度は？

ニチアスへの転職難易度は標準レベルで、しっかりとした選考対策を行えば十分に内定獲得が可能な企業です。新卒採用の倍率は約13倍程度とされており、中途採用においても適度な競争環境となっています。

求められる人材像

ニチアスが求める人材像は以下の通りです。同社では人物重視の採用を行っており、学歴よりも人柄や成長意欲を重視する傾向があります。

項目	内容
人物像	仲間との仕事を楽しめる人、成長意欲のある人
求める姿勢	様々な仕事に前向きに取り組める人
キャリア志向	若い時から責任のある仕事をしたい人
コミュニケーション	温厚で協調性のある人材

転職成功のポイント

ニチアスへの転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。同社は技術系・営業系ともに幅広い職種で中途採用を積極的に行っており、特に半導体業界向け事業の好調により増員を図っています。

項目	内容
業界理解	断熱・シール技術への理解と関心
技術スキル	製造業、化学、材料工学の知識・経験
営業経験	BtoB営業、技術営業の経験
語学力	グローバル展開に対応した英語力（歓迎）

転職活動においては、ニチアスの「断つ・保つ」技術に対する理解と、同社の事業領域（プラント、自動車、半導体、建材等）への関心を明確に示すことが重要です。また、製造業での実務経験や技術的なバックグラウンドがあると有利ですが、人物重視の採用方針により、異業種からの転職も十分に可能です。面接では基本的な質問（志望動機、転職理由、キャリアプラン等）への対策をしっかりと行い、同社の企業文化に適合する人材であることをアピールしましょう。

まとめ

ニチアスは平均年収737万円という高い水準を維持し、安定した事業基盤と成長性を兼ね備えた魅力的な企業です。断熱・シール材分野のパイオニアとして120年以上の歴史を持ち、プラントから半導体まで幅広い産業分野で事業を展開しています。

年収面では、20代で450～600万円、30代で580～750万円、40代で700～900万円と着実な昇給が期待でき、課長クラスで1,150万円、部長クラスで1,380万円程度の年収が見込まれます。福利厚生も充実しており、住宅手当や家族手当、年間128日の休日確保など、働きやすい環境が整備されています。

転職難易度は標準レベルで、人物重視の採用方針により、学歴よりも人柄や成長意欲が重視されます。製造業での経験があると有利ですが、異業種からの転職も十分に可能です。特に現在は半導体業界向け事業の好調により、積極的な採用を行っています。

転職を検討されている方は、ニチアスの事業内容と企業文化をしっかりと理解し、同社で実現したいキャリアビジョンを明確にして選考に臨むことをおすすめします。安定性と成長性を両立した企業で、長期的なキャリア形成を目指す方にとって、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。