全国展開する調剤薬局チェーン大手として知られる日本調剤株式会社(以下、日本調剤)。薬剤師として安定したキャリアを築きたい方にとって、同社の年収水準や働き方は重要な検討材料です。本記事では、日本調剤の最新平均年収データをはじめ、役職別・年齢別の詳細な推移、充実した福利厚生制度、転職難易度まで、年収に関する情報を徹底解説します。調剤薬局業界への転職を検討している薬剤師の方や、医療業界でのキャリアを考える第二新卒・30代のビジネスマンは、ぜひ参考にしてください。
日本調剤の会社概要
日本調剤は、1980年の創業以来、「すべての人の『生きる』に向き合う」という理念のもと、全国で調剤薬局を展開する業界大手企業です。全都道府県に調剤薬局を出店し、4,000名超の薬剤師を有する日本国内有数の調剤薬局企業として位置づけられています。東証プライム市場に上場し、約6割を大病院門前薬局、残りを地域密着型薬局、医療モール型薬局として展開する戦略的な店舗配置により、安定した事業基盤を確立しています。特にICT活用に積極的で、スマートフォンアプリ「お薬手帳プラス」は2024年に200万人の会員数を突破するなど、デジタル技術を活用した次世代薬局サービスの先駆者としても注目されています。
日本調剤の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 日本調剤株式会社 |
本社所在地 | 東京都港区芝五丁目33番11号 田町タワー9階 |
設立年 | 1980年3月 |
業種 | 小売業(調剤薬局チェーン) |
事業内容 | 保険調剤薬局チェーンの経営 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード:3341) |
日本調剤の主力事業は保険調剤薬局チェーンの経営であり、全国746店舗を展開しています(2024年11月時点)。同社は調剤薬局事業を核とした総合ヘルスケアグループとして、医薬品製造販売事業、医療従事者派遣・紹介事業、情報提供・コンサルティング事業まで幅広く手がけています。特に在宅医療実施店舗の割合は95.8%に達し、超高齢社会に向けた良質な医療サービス提供に積極的に取り組んでいるのが特徴です。また、オンライン服薬指導システム「NiCOMS」の自社開発や、健康チェックステーションの設置など、薬局の枠を超えた健康サポート機能の強化を推進しています。
日本調剤の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
日本調剤の最新平均年収は549万円(2024年3月期)となっており、前年の532万円から17万円の増加を記録しました。これは2024年度に実施された給与水準の引き上げの効果が反映されたものです。過去の推移を見ると、平均年収は500万円台から550万円台で推移しており、調剤薬局業界では標準的な水準を維持しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
2024年3月 | 549万円 | 34.8歳 |
2023年3月 | 532万円 | 34.5歳 |
2022年3月 | 528万円 | 34.2歳 |
2021年3月 | 525万円 | 33.8歳 |
2020年3月 | 520万円 | 33.5歳 |
2019年3月 | 518万円 | 33.2歳 |
出典:日本調剤株式会社 有価証券報告書(2024年6月期)
他企業との比較データ
調剤薬局業界における年収水準を比較すると、日本調剤の549万円は業界内では中位から上位レベルに位置します。大手調剤薬局チェーンの中では、クオールが718万円(44.2歳)、アインホールディングスが654万円(41.7歳)となっており、日本調剤は平均年齢が若いことを考慮すると競争力のある水準と言えるでしょう。
企業名 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
クオール | 718万円 | 44.2歳 |
アインホールディングス | 654万円 | 41.7歳 |
日本調剤 | 549万円 | 34.8歳 |
調剤薬局業界平均 | 588万円 | – |
日本全体平均 | 458万円 | – |
日本調剤の平均年収549万円は、日本全体の平均年収458万円と比較すると約1.2倍の水準となっており、安定した収入レベルを提供していることがわかります。また、平均年齢が34.8歳と若いことから、将来的な昇給の伸びしろも期待できる企業と評価されています。2024年に実施された給与水準の引き上げは正社員だけでなく、準社員、契約社員、パート社員も対象としており、働く全ての従業員の処遇改善に積極的に取り組んでいる姿勢が評価されています。
日本調剤の役職別年収データ
日本調剤の役職別年収については、薬剤師と一般事務職で給与体系が異なります。薬剤師の場合、ポジショングレード制度が導入されており、店舗責任者で月額1万円、管理薬剤師で追加の手当が支給されます。また、全国コースとエリアコースによって給与水準に差があり、転勤の範囲に応じて地域手当が加算される仕組みとなっています。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
薬剤師(一般) | 450~550万円 |
店舗責任者 | 500~600万円 |
管理薬剤師 | 550~650万円 |
エリアマネージャー | 600~700万円 |
日本調剤の給与制度は基本給が低めに設定されており、各種手当によって年収を構築する仕組みとなっています。薬剤師手当、地域手当、住宅手当などの諸手当が充実しており、勤務地や役職に応じて年収に大きな差が生まれます。2024年から新たな評価制度が導入され、従来の出来高重視から個人の成長と貢献度を重視した昇給システムに変更されており、より公平で透明性の高い人事制度の構築が進められています。
日本調剤の年齢別年収推移
日本調剤の年齢別年収推移は、比較的緩やかな上昇カーブを描いています。25~29歳の平均年収は420万円程度からスタートし、30~34歳で467万円、35~39歳で528万円、40~45歳で580万円となっています。特に35歳以降において年収の大幅な上昇が見られ、管理職への昇格や専門性の向上が年収に反映される傾向があります。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 420~480万円 |
30代前半 | 450~520万円 |
30代後半 | 500~580万円 |
40代 | 550~650万円 |
日本調剤の初任給は職種により異なり、薬剤師の場合は月給25万円から38万円の範囲で設定されています。これは学歴や勤務地、コース選択によって決定されます。年功序列的な側面もありますが、評価制度の見直しにより能力や成果に応じた昇進・昇格も可能になっています。また、同社では薬剤師ステージ制度を独自で設けており、社内認定資格の取得推奨や外部認定資格の取得支援を通じて、個人の専門性向上と年収アップを両立できる環境が整備されています。
日本調剤の福利厚生
日本調剤の福利厚生制度は、調剤薬局業界の中でも特に充実した内容となっています。特に住宅支援制度が手厚く、全国コースおよびブロックコースの社員には会社が8割負担する住宅手当制度があり、地方勤務者にとって大きなメリットとなっています。また、医療従事者ならではの健康管理支援や、長期的なキャリア形成を支援する各種制度が整備されています。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 全国・ブロックコース:会社8割負担、エリアコース:規定額支給 |
交通費 | 通勤交通費全額支給 |
退職金制度 | 退職一時金制度・企業年金制度 |
薬剤師手当 | 資格手当として月額支給 |
地域手当 | 勤務地に応じた地域手当 |
医薬品割引 | 本人:全額会社負担、扶養者:半額会社負担 |
特筆すべきは医薬品費用の補助制度で、本人が服用する医薬品は全額会社負担、扶養者が服用する場合も半額を会社が負担するという業界でも珍しい手厚い保障となっています。また、薬剤師の専門性向上を支援するため、社内外の研修制度や学会参加費の補助、資格取得支援制度も充実しており、継続的な学習とキャリア発展をサポートする環境が整っています。年間休日は120日以上確保されており、有給取得率向上にも積極的に取り組んでいます。
日本調剤の転職難易度は?
日本調剤への転職難易度は、薬剤師職については比較的低く、定期的な中途採用を実施しています。全国に746店舗を展開する同社では常に薬剤師の需要があり、新卒採用と並んで中途採用にも積極的です。ただし、管理職や専門性の高いポジションについては、相応の経験と実績が求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
中途採用実績 | 薬剤師を中心に積極的に実施 |
求める人材像 | 患者様第一の医療人マインドを持つ薬剤師 |
応募条件 | 薬剤師免許取得者(新卒・既卒問わず) |
選考プロセス | 書類選考→面接(複数回)→内定 |
求められる人材像
日本調剤が求める人材は、「すべての人の『生きる』に向き合う」という企業理念に共感し、患者様第一の医療人マインドを持つ薬剤師です。調剤業務だけでなく、在宅医療や健康サポート、服薬指導に積極的に取り組める人材が高く評価されます。また、ICT活用に積極的な同社では、デジタル技術を活用した薬局サービスに興味を持ち、新しいことにチャレンジする姿勢も重視されています。コミュニケーション能力が高く、チーム医療の一員として他の医療従事者と連携できる協調性も求められる要素の一つです。
転職成功のポイント
日本調剤への転職成功のためには、まず調剤薬局での実務経験をしっかりとアピールすることが重要です。特に在宅医療経験、がん化学療法への対応経験、服薬指導スキルなどは高く評価されます。また、同社の理念や事業方針について十分に理解し、なぜ日本調剤で働きたいのかを明確に説明できるよう準備することが大切です。薬剤師専門の転職エージェントを活用することで、非公開求人の紹介や面接対策、条件交渉などのサポートを受けることができ、転職成功率を高めることができます。
まとめ
日本調剤の平均年収549万円は、調剤薬局業界では標準的なレベルでありながら、日本全体と比較すると十分に高い水準を維持しています。同社は全国展開する調剤薬局チェーン大手として安定した事業基盤を持ち、ICT活用による次世代薬局サービスの先駆者として今後の成長も期待されます。
転職を検討される薬剤師の方は、調剤業務だけでなく在宅医療や健康サポートへの取り組み意欲をアピールすることが成功の鍵となります。充実した福利厚生制度と薬剤師の専門性向上を支援する教育制度により、長期的なキャリア形成が可能な企業と言えるでしょう。調剤薬局業界でのキャリアアップを目指す薬剤師にとって、日本調剤は安定性と成長性を兼ね備えた魅力的な転職先の一つとして検討する価値があります。