日本空調サービス株式会社(以下、日本空調サービス)は、1964年の創業以来60年にわたり建物設備メンテナンス業界を牽引する東証プライム市場上場企業です。空調設備を中心とした建物設備のワンストップサービスを展開し、病院や製造工場などの特殊施設から一般オフィスビルまで幅広い顧客基盤を有しています。
転職や就職を検討されている方にとって、年収水準は重要な判断材料の一つでしょう。この記事では、日本空調サービスの平均年収や役職別年収、福利厚生、転職難易度について、有価証券報告書などの公式データに基づいて詳しく解説します。建設設備業界での年収水準や他社との比較も含めて、皆さんのキャリア選択にお役立ていただける情報をお届けします。
日本空調サービスの会社概要
日本空調サービスは愛知県名古屋市に本社を構える建物設備メンテナンス業界の大手企業です。創業60周年を迎えた同社は、「予防保全」の概念をいち早く業界に導入し、建物設備の故障や事故を未然に防ぐメンテナンスサービスを主軸事業として成長を続けています。
独立系企業としての強みを活かし、特定メーカーに制約されることなく、お客様にとって最適な設備や機器を選定・提案できることが大きな特徴です。全国47都道府県に88拠点、海外6カ国に10拠点を展開し、連結売上高は582億円(2024年3月期)に達しています。
日本空調サービスの基本情報
| 項目 | 詳細 | 
|---|---|
| 会社名 | 日本空調サービス株式会社 | 
| 本社所在地 | 愛知県名古屋市名東区照が丘239-2 | 
| 設立年 | 1964年 | 
| 業種 | 建設業(設備工事業・メンテナンス業) | 
| 事業内容 | 建物設備の保守・メンテナンス、リニューアル工事 | 
| 上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 | 
日本空調サービスの中核事業は、既存建物における設備メンテナンスです。空調設備を中心として、電気設備、給排水衛生設備、消防設備など建物設備システム全般にわたってワンストップサービスを提供しています。従業員数3,202名のうち約8割にあたる2,552名が技術系従業員で構成されており、高い技術力を誇ります。特に病院や研究施設、製造工場などの特殊環境を有する施設での実績が豊富で、売上高の約7割をこうした特殊施設が占めています。これらの施設では、クリーンルーム管理や放射線関連設備の保守など、高度な専門技術が求められており、同社の技術力と信頼性が評価されています。
日本空調サービスの平均年収はどのぐらい
日本空調サービスの平均年収について、公式データに基づいて詳しく見ていきましょう。同社の年収水準は建設設備業界の中でも安定した水準を維持しており、従業員の働きやすさと処遇の充実に配慮した経営を行っています。
年度別の平均年収推移
日本空調サービスの平均年収は、過去5年間で安定した水準を維持しています。最新の有価証券報告書によると、2024年3月期の平均年収は626万円となっており、平均年齢は40.2歳、平均勤続年数は14.5年です。
| 年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 従業員数 | 
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 626万円 | 40.2歳 | 1,433人 | 
| 2023年3月期 | 596万円 | 39.8歳 | 1,412人 | 
| 2022年3月期 | 588万円 | 39.5歳 | 1,396人 | 
| 2021年3月期 | 575万円 | 39.2歳 | 1,385人 | 
| 2020年3月期 | 567万円 | 38.9歳 | 1,371人 | 
出典:日本空調サービス株式会社 有価証券報告書(2020年3月期〜2024年3月期)
過去5年間の推移を見ると、平均年収は着実に上昇しており、2020年3月期の567万円から2024年3月期の626万円まで59万円の増加となっています。これは年平均約3.3%の上昇率で、従業員の処遇改善に継続的に取り組んでいることがうかがえます。また、平均年齢も40歳前後で安定しており、働き盛りの年代が多く在籍していることが特徴です。
他企業との比較データ
日本空調サービスの年収水準を建設設備業界の他社と比較してみましょう。空調系サブコン(設備工事会社)の大手企業との比較では、以下のような位置づけとなっています。
| 企業名 | 平均年収 | 平均年齢 | 
|---|---|---|
| 大気社 | 1,068万円 | 43.2歳 | 
| 高砂熱学工業 | 1,028万円 | 42.5歳 | 
| 新日本空調 | 955万円 | 43.8歳 | 
| ダイダン | 905万円 | 41.9歳 | 
| 日本空調サービス | 626万円 | 40.2歳 | 
出典:各社有価証券報告書(2024年3月期)
大手空調系サブコンとの比較では、日本空調サービスは5位の水準となっています。上位企業との年収差はありますが、これは事業内容や規模の違いによるところが大きく、日本空調サービスはメンテナンス事業に特化している点が特徴的です。一方で、全国平均年収443万円(国税庁調査)と比較すると183万円高く、建設業界全体の平均年収544万円と比較しても82万円高い水準にあります。安定した事業基盤を背景に、業界内でも良好な処遇水準を実現していると言えるでしょう。
日本空調サービスの役職別年収データ
日本空調サービスの役職別年収については、同社の有価証券報告書や公式採用情報では詳細な開示がされていません。しかし、業界水準や同社の平均年収から推定される年収レンジをご参考としてお示しします。
| 役職 | 推定年収(万円) | 
|---|---|
| 一般社員 | 400-550 | 
| 係長・主任クラス | 550-700 | 
| 課長クラス | 700-900 | 
| 部長クラス | 900-1,200 | 
日本空調サービスでは、技術系職種が全従業員の約8割を占めており、技術力と経験に応じた処遇体系が構築されています。同社では公的資格の取得を奨励しており、管工事施工管理技士や電気主任技術者、エネルギー管理士などの資格取得に対して褒賞金制度を設けています。これらの資格は昇進・昇格の重要な要素となっており、技術者としてのキャリアアップが年収向上に直結する仕組みとなっています。
なお、上記の推定年収は一般的な業界水準をもとにした参考値であり、実際の年収は個人の経験年数、技術力、資格取得状況、担当業務の内容などによって大きく異なります。転職や就職を検討される際は、面接時に直接確認されることをおすすめします。
日本空調サービスの年齢別年収推移
日本空調サービスの年齢別年収についても、公式データとしては詳細な開示がされていませんが、同社の平均年収626万円と平均年齢40.2歳のデータ、および建設業界の年収カーブを参考に推定年収をお示しします。
| 年代 | 推定年収範囲(万円) | 
|---|---|
| 20代 | 400-500 | 
| 30代 | 500-700 | 
| 40代 | 600-800 | 
| 50代以上 | 700-1,000 | 
日本空調サービスは技術系企業として、経験年数と技術力の蓄積に応じて年収が上昇していく傾向にあります。新卒入社者は約400万円程度からスタートし、技術習得と資格取得を重ねながら30代で600万円台、40代で700-800万円台の年収を期待できると推定されます。同社では新卒に対する10年カリキュラムを設けており、体系的な技術教育により着実なキャリアアップをサポートしています。
また、同社は平均勤続年数が14.5年と長く、長期安定雇用を重視する経営方針が年収の安定性にもつながっています。技術者として専門性を高めながら、長期的なキャリア形成を図れる環境が整っていると言えるでしょう。
日本空調サービスの福利厚生
日本空調サービスでは、社員が長期にわたって安心して働ける環境づくりに力を入れており、多様な福利厚生制度を整備しています。特に「社員想い」な制度として評価されているのが家族旅行補助制度です。
住宅・生活支援
住宅手当、家族手当、交通費全額支給などの基本的な手当に加え、従業員持株会制度も設けられています。住宅手当については地域によって支給額が異なりますが、従業員の生活基盤をしっかりと支援する内容となっています。
休暇制度・働き方
年間休日122日(土日祝休)を確保し、有給休暇の取得促進にも積極的に取り組んでいます。育児休業制度も整備されており、直近では複数の男性社員が育児休業を取得するなど、ワークライフバランスの実現を支援しています。残業時間は月平均10時間程度と少なく、定時退社が基本となっています。
特別な福利厚生制度
日本空調サービスの特徴的な制度として「家族旅行補助制度」があります。正社員入社から2年目以降に利用可能で、年間最大10万円の旅行補助を受けることができます。独身の場合は宿泊補助1万5千円とお小遣い2万円、家族4人旅行では最大10万円まで補助されます。この制度は「日々の疲れを旅行でしっかりリフレッシュしてほしい」という会社の想いから生まれたものです。
資格取得支援
技術系企業として、公的資格取得に対する褒賞金制度を設けています。主な資格の褒賞金額は以下の通りです。
管工事施工管理技士1級:52,000円、電気主任技術者第三種:156,000円、エネルギー管理士:195,000円、技術士機械部門:130,000円など、高度な技術資格ほど高額な褒賞金が設定されています。これらの資格取得は昇進・昇格にも直結するため、技術者のキャリア形成を多面的にサポートしています。
日本空調サービスの転職難易度は
日本空調サービスは東証プライム市場上場企業として安定した経営基盤を持ち、建設設備メンテナンス業界のリーディングカンパニーとして高い技術力を誇るため、転職市場でも人気の高い企業です。
求められる人材像
日本空調サービスでは、技術系従業員が全体の8割を占めることから、技術職での採用が中心となります。特に求められるのは、建物設備に関する専門知識と実務経験です。管工事施工管理技士、電気工事士、建築設備士、エネルギー管理士などの国家資格を有する人材は高く評価されます。
また、同社の事業の特性上、病院や製造工場などの特殊環境での設備メンテナンス経験がある人材は特に歓迎されます。顧客との信頼関係を重視する事業であるため、コミュニケーション能力や責任感、安全に対する高い意識も重要な要素となります。
転職成功のポイント
日本空調サービスへの転職を成功させるためのポイントをいくつか挙げてみましょう。まず、建設設備業界での実務経験、特にメンテナンス業務の経験があることが大きなアドバンテージとなります。設計、積算、施工管理の経験も評価対象となります。
資格面では、管工事施工管理技士や電気主任技術者などの国家資格の取得を進めておくことをおすすめします。これらの資格は入社後の処遇にも直結するため、転職前の取得が有利に働きます。普通自動車第一種免許は必須要件となっているため、必ず取得しておきましょう。
同社は独立系企業として幅広い顧客にサービスを提供しているため、柔軟性と適応力も重視されます。面接では、これまでの経験をどのように同社の事業に活かせるかを具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。また、技術者として継続的な学習意欲と成長への意識を持っていることをアピールできれば、採用の可能性が高まるでしょう。
まとめ
日本空調サービスは平均年収626万円と、建設設備業界において安定した処遇水準を実現している企業です。創業60周年を迎えた同社は、建物設備メンテナンス分野での豊富な実績と高い技術力を背景に、着実な成長を続けています。
年収面では過去5年間で継続的な上昇傾向を示しており、従業員の処遇改善に積極的に取り組んでいることがうかがえます。全国平均を大きく上回る年収水準に加え、家族旅行補助制度や資格取得褒賞金制度など、社員想いの福利厚生が充実している点も魅力的です。
転職を検討される方にとって、日本空調サービスは安定した経営基盤と良好な処遇、技術者としての成長機会を提供する魅力的な企業と言えるでしょう。特に建設設備業界で技術を磨きながら長期的なキャリアを築きたい方には、おすすめできる転職先の一つです。ただし、技術系職種が中心となるため、関連する実務経験や資格の取得が転職成功の鍵となります。しっかりと準備を整えた上で、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。


 
 
 
 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			