日本新薬株式会社(以下、日本新薬)は京都市南区に本社を置く、創業100年以上の歴史を持つ製薬会社です。この記事では、同社の最新の平均年収データや業界他社との比較、役職別・年齢別の収入推移について、有価証券報告書に基づく公式データを用いて詳しく解説します。転職を検討されている方や就職活動中の学生の皆さんにとって、有益な情報となることでしょう。
日本新薬の会社概要
日本新薬は1919年に創立された、医薬品・機能食品の製造及び販売を行う研究開発型の製薬企業です。創業から約100年にわたって「人々の健康と豊かな生活創りに貢献する」という経営理念のもと、特に泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患、婦人科の4つの注力領域をターゲットに、高品質で特長のある医薬品を提供しています。近年は核酸医薬品の研究開発に力を入れており、肺動脈性肺高血圧症の治療剤「ウプトラビ錠」や国産初の核酸医薬品である筋ジストロフィー治療剤「ビルテプソ」など、難病治療薬の開発実績を持つ企業として評価されています。
日本新薬の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 日本新薬株式会社 |
本社所在地 | 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14 |
設立年 | 1919年10月1日 |
業種 | 医薬品 |
事業内容 | 医薬品・機能食品の製造及び販売 |
上場市場 | 東証プライム市場 |
日本新薬の事業は大きく2つの分野に分かれています。主力となる医薬品事業では、泌尿器系や血液腫瘍領域を強みとして、研究開発から販売、そして育薬まで一貫して取り組んでいます。また、機能食品事業では製薬企業としての高い技術力を生かし、健康食品素材、品質安定保存剤、プロテイン製剤のバルク事業に加え、サプリメント事業も展開しています。特に核酸医薬品の研究開発においては、国内でも先駆的な取り組みを行っており、他社にはない独自の創薬力を強化しています。2025年3月期の売上収益は1,602億3,200万円に達し、営業利益率も22%という高い水準を維持する財務的に安定した企業です。
日本新薬の平均年収はどのぐらい?
日本新薬は上場企業のため、有価証券報告書内にて平均年収が公開されており、2024年の日本新薬株式会社の平均年収は783万円でした。全国の平均年収460万円と比較すると323万円も高く、製薬業界の中でも比較的良好な水準となっています。東証プライム上場企業の平均年収742万円と比べても41万円上回っており、安定した高収入が期待できる企業といえるでしょう。
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
2024年3月期 | 783万円 | 43.1歳 |
2023年3月期 | 815万円 | 42.9歳 |
2022年3月期 | 812万円 | 42.5歳 |
2021年3月期 | 804万円 | 42.2歳 |
2020年3月期 | 798万円 | 41.8歳 |
2019年3月期 | 792万円 | 41.5歳 |
出典:日本新薬株式会社 有価証券報告書(2019年3月期~2024年3月期)
過去6年間の推移を見ると、2023年3月期に815万円まで上昇した後、2024年3月期は783万円となり、前年から32万円の減少となりました。これはプライム上場企業では、主力製品の特許切れや多額の減損損失で24年3月期に3000億円以上の最終赤字を計上した住友ファーマが36.5万円(4.0%)の減少。日本新薬も31.6万円(3.9%)の減少となりました。とある通り、業界全体の動向を反映したものと考えられます。ただし、長期的には上昇傾向が続いており、2019年から2024年の5年間で約9万円の増加を示しています。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界順位 |
---|---|---|
中外製薬 | 1,214万円 | 1位 |
第一三共 | 1,120万円 | 2位 |
武田薬品工業 | 1,081万円 | 3位 |
日本新薬 | 783万円 | 24位 |
業界平均 | 877万円 | – |
出典:各社有価証券報告書(2024年3月期)
東証プライムの医薬品業界の平均年収は877万円のため、業界内では比較的年収の低い企業となっています。業界内順位は34社中24位と中位に位置しています。大手新薬メーカーと比較すると差がありますが、これは企業規模や主力製品の違いによるものです。ただし、安定した財務基盤と独自の研究開発力を持つ企業として、長期的な成長が期待できる環境にあります。
日本新薬の役職別年収データ
日本新薬の役職別年収については、公式データとしては非開示となっています。ただし、一般的な製薬業界の役職別年収と同社の平均年収783万円をもとに推定すると、以下のような水準になると考えられます。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 非開示 |
課長クラス | 非開示 |
部長クラス | 非開示 |
日本新薬では総合職の平均年収は909万円、管理職級の平均年収は1,208万円前後になると推定されています。また、2024年度の役員報酬は、役員全体で平均5,550万円となっており、管理職への昇進によって相応の年収アップが期待できる環境にあります。給与制度は基本的に年功序列を基本としており、年次昇給に加えて昇格による給与アップが見込める仕組みとなっています。
日本新薬の年齢別年収推移
日本新薬の年齢別年収についても、公式データとしては非開示となっています。ただし、平均年収783万円と平均年齢43.1歳のデータから、一般的な製薬業界の年収カーブを参考に推定すると、以下のような推移になると考えられます。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 非開示 |
30代 | 非開示 |
40代 | 非開示 |
50代以上 | 非開示 |
新卒直後の20代では年収493万円からスタートし、働き盛りの30代では年収714万円、管理職割合が増えだす40代では年収796万円、最高年収に到達する50代では、年収839万円に到達すると推定されています。月々の平均手取りについては、20代では32万円前後、最高年収となる50代では52万円前後となります。製薬業界の特性として、経験と専門性の蓄積により年収が段階的に上昇していく傾向が見られ、長期的なキャリア形成において安定した収入アップが期待できる環境といえるでしょう。