西松建設株式会社（以下、西松建設）は、1874年に創業した総合建設業者として、土木工事を中心に長年の実績を積み重ねてきました。準大手ゼネコンとして確固たる地位を築く同社では、社員の働きやすさを重視した充実した福利厚生制度を整備しており、特に健康経営にも力を入れています。本記事では、西松建設の福利厚生制度について、住宅関連制度から健康・医療関連制度まで詳しく解説します。転職を検討されている方にとって、同社の魅力的な働く環境を理解する参考になれば幸いです。

西松建設の会社概要

西松建設は1874年（明治7年）の創業から150年近い歴史を持つ総合建設業者で、準大手ゼネコンの一角を占めています。ダムやトンネルなどの大型土木工事を得意とし、強固な財務体質を備えた企業として知られています。近年では建築部門にも力を入れており、超高層ビルやマンション、学校・病院建設といった幅広い事業展開を行っています。また、東南アジアを中心とした海外事業にも積極的に取り組んでいます。

西松建設の基本情報

項目	詳細
会社名	西松建設株式会社（NISHIMATSU CONSTRUCTION CO.,LTD.）
本社所在地	東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー
設立年	1937年（昭和12年）9月20日
業種	総合建設業
事業内容	建設事業、開発事業、不動産事業
上場市場	東京証券取引所プライム市場
資本金	235億1,364万3,819円
従業員数	2,892人（2024年3月末現在）

西松建設の事業は建設事業を中核として、開発事業、不動産事業を展開しています。建設事業では、土木部門においてダム、トンネル、橋梁などの社会インフラ整備から、建築部門では超高層ビル、マンション、商業施設、医療・教育施設まで幅広く手がけています。開発事業では自社で土地の有効活用を図り、不動産事業では賃貸オフィスビルや住宅の運営を行っています。特に土木工事においては業界トップクラスの技術力を誇り、国内外の大型プロジェクトに数多く参画しています。

西松建設の福利厚生制度の特徴

西松建設の福利厚生制度は、建設業界の特性を踏まえつつ、社員の生活の質向上を重視した内容となっています。同社は2019年に「健康経営銘柄2019」に総合建設業として初めて選定されるなど、特に健康経営に力を入れており、社員の心身の健康をサポートする制度が充実しています。住宅関連制度、健康・医療関連制度、働き方に関する制度、教育・研修制度の各分野で、社員のライフステージや働き方に応じたサポートを提供しています。

住宅関連制度

西松建設では、社員の住居に関するサポートとして社宅・寮制度を中心とした住宅関連制度を整備しています。建設業の特性上、全国各地の現場への配属があるため、転勤や単身赴任に対応した住居支援が充実しています。独身者向けには格安で利用できる寮を提供しており、世帯向けには社宅制度を用意しています。現場配属時には、現場近くの借り上げ住宅を会社が手配し、家賃を会社が負担するケースもあります。ただし、個人で賃貸契約を行う場合の住宅手当については、公式データとしては非開示となっています。社宅・寮制度により、社員は住居費の負担を大幅に軽減できるため、建設業界の中でも手厚い住宅サポートとして評価されています。

健康・医療関連制度

西松建設は健康経営に力を入れており、社員の健康維持・増進のための制度が特に充実しています。30歳以上の社員には人間ドックと法定健診の年2回の健診を義務化し、30歳未満の社員にも年2回の健診を義務化しています。人間ドック受診に関しては、休暇付与および1人当たり30,000円を上限とした費用補助を行っており、2023年度の受診率は98.5％に達しています。被扶養配偶者についても30歳以上を対象として社員同等の人間ドック受診費用補助を実施しており、2023年度は384名が利用しました。がん検診については、2020年度から法定健診の際に年齢に関係なく会社全額補助による女性のがん検診補助制度を導入し、毎年10月のピンクリボン月間には女性の健康講座も実施しています。また、「要精密検査」と判断された社員への積極的な受診勧奨や、医療職による保健指導も行っており、疾病の重篤化防止に努めています。出典：西松建設株式会社 健康経営について（2024年）

休暇・働き方制度

西松建設では、多様な働き方をサポートするための休暇制度と働き方制度を整備しています。育児休業は満2歳まで取得可能で、育児短時間勤務制度は小学校3年時まで最大2時間の勤務時間短縮が認められています。介護休業は1要介護状態につき186日まで取得でき、子の看護休暇は中学校就学前の子につき年5日、子が2人以上の場合は年10日の取得が可能です。介護休暇についても要介護者1人につき年5日、要介護者が2人以上の場合は年10日の取得が認められています。また、フレックスタイム制度や在宅勤務制度の活用により、柔軟で個人の業務進捗に合わせた働き方を取り入れており、個人のタイムマネジメント意識の向上を促進しています。有給休暇については、法定の年5日取得義務を遵守し、社員の心身の健康維持とワークライフバランスの向上に努めています。出典：西松建設株式会社 採用サイト（2024年）

教育・研修制度

西松建設では「西松社会人大学」を本社に設置し、2019年4月に開校して体系的な人材育成を行っています。「西松社員能力」として人間力・基礎知識・専門力の3つの能力を定義し、階層別教育と技術者・資格取得教育を継続実施しています。新入社員研修では入社後3ヶ月間で企業人・技術者としての基礎を固め、2〜8年目には基礎的スキルの習得を目指します。1級建築士研修は選抜制で実施され、資格取得支援も充実しています。8〜15年目以降は組織を引っ張るリーダーシップの養成、16年目以降は管理者として組織運営を行う能力の習得に焦点を当てた研修を行っています。全社員共通研修や事業本部・部署別研修も整備されており、生涯教育を通じて多様な人材を育成し、社員一人ひとりが様々な業務に対応できるよう支援しています。出典：西松建設株式会社 採用サイト（2024年）

西松建設の各種手当・補助制度

西松建設では、社員の生活をサポートするための各種手当・補助制度を整備しています。具体的な手当金額については公式データとしては非開示となっていますが、一般的な建設業界の福利厚生制度に準じた内容となっています。

制度・手当名	内容	対象者
住宅関連制度	社宅・寮の提供、現場近くの借り上げ住宅	全社員（条件による）
通勤費	実費支給（上限は公式データ非開示）	全社員
人間ドック費用補助	上限30,000円まで会社補助	30歳以上の社員・被扶養配偶者
がん検診費用補助	会社全額補助	女性社員（年齢制限なし）
各種保険	健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険	全社員
資格取得支援	研修費用補助、受験費用補助	対象資格による

西松建設では、2025年4月入社の大卒初任給を30万円に設定し、3年連続の賃上げを実施するなど、基本給与水準の向上にも積極的に取り組んでいます。また、手当制度については個人の事情や業務内容に応じて適切に支給されており、社員の生活の安定と働きやすさの向上を図っています。詳細な手当金額や支給条件については、採用面接時や内定後に確認することをお勧めします。

西松建設の退職金・年金制度

西松建設の退職金・年金制度については、公式データとしては詳細な制度内容は非開示となっています。一般的に準大手ゼネコンクラスの企業では、確定給付企業年金制度や退職一時金制度を併用したハイブリッド型の制度を採用することが多く、西松建設においても同様の制度設計がなされていると考えられます。同社は強固な財務体質を備えた企業として知られており、退職後の生活保障についても適切な制度を整備していることが推測されます。具体的な制度内容、支給額の算定方法、企業年金の詳細については、転職を検討される際に人事担当者に直接確認していただくことをお勧めします。また、失効有給付与制度として、がんなどで1か月以上の療養・治療が必要な場合に、直近3年間に失効した有給休暇のうち最大30日分を利用できる制度も整備されており、社員の安心・安全に配慮した制度運営を行っています。

西松建設の福利厚生の評判・口コミ

西松建設の福利厚生に関する社員の評判・口コミは、全体的に肯定的な評価が多く見られます。エンゲージ会社の評判などの口コミサイトでは、総合評価が3.1点（5点満点）となっており、特に住宅関連制度や健康経営の取り組みが高く評価されています。社宅・寮制度については「格安で利用できる」「現場近くの住宅を会社が手配してくれる」といった肯定的な声が多く、建設業界の特性を踏まえた充実したサポートとして評価されています。また、ベネフィット・ワンの福利厚生サービスや持株会、財形貯蓄制度についても「手厚い」という評価が見られます。健康経営については、人間ドック費用補助や健康診断の充実、禁煙サポートプログラムなど、社員の健康をサポートする取り組みが評価されており、健康経営銘柄に選定された背景がうかがえます。一方で、一部の口コミでは「個人契約の場合の住宅補助がない」といった指摘もありますが、全体的には建設業界の中では福利厚生が充実した企業として認知されています。

他社との福利厚生比較

西松建設の福利厚生を準大手ゼネコン他社と比較すると、特に健康経営の分野で他社を上回る充実度を示しています。以下は主要な準大手ゼネコンとの比較になります。

制度	西松建設	戸田建設	熊谷組	三井住友建設
人間ドック補助	上限30,000円（30歳以上義務化）	一般的な補助制度	一般的な補助制度	一般的な補助制度
健康経営認定	健康経営銘柄2019（総合建設業初）	健康経営優良法人	健康経営優良法人	健康経営優良法人
住宅制度	社宅・寮・借り上げ住宅	社宅・寮制度	社宅・寮制度	社宅・寮制度
教育研修	西松社会人大学運営	体系的研修制度	階層別研修制度	人材育成プログラム
働き方制度	フレックス・在宅勤務	働き方改革推進	働き方改革推進	多様な働き方支援

西松建設が他社と比較して特に優れている点は、健康経営への取り組みの先進性です。2019年に総合建設業として初めて健康経営銘柄に選定され、人間ドック受診の義務化や被扶養配偶者への費用補助、女性特有のがん検診の全額補助など、他社を上回る健康サポート制度を展開しています。また、「西松社会人大学」の設置による体系的な人材育成や、失効有給付与制度などのユニークな制度も他社との差別化要因となっています。一方で、基本的な福利厚生制度については、準大手ゼネコン各社とも概ね同水準の制度を整備しており、業界標準を上回る内容となっています。

西松建設への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

西松建設への転職を検討する際に特に注目すべき福利厚生のチェックポイントは以下の通りです。まず、健康経営の充実度は同社の大きな魅力の一つです。人間ドック費用補助（上限30,000円）は30歳以上で義務化されており、被扶養配偶者も同等の補助を受けられます。また、女性のがん検診は年齢制限なく全額補助されるため、長期的な健康管理の観点から非常に有利です。住宅関連制度では、社宅・寮制度に加えて現場配属時の借り上げ住宅制度があり、建設業界特有の転勤に対する手厚いサポートが期待できます。教育研修制度では「西松社会人大学」による体系的な人材育成プログラムがあり、キャリア形成を重視する方には魅力的な環境です。働き方制度では、フレックスタイム制度や在宅勤務制度により、ワークライフバランスの向上が図れます。これらの制度は転職後の生活の質や将来のキャリア形成に大きく影響するため、面接時に詳細を確認することをお勧めします。

入社後の手続きと利用方法

西松建設入社後の福利厚生制度の利用開始時期と手続き方法について解説します。健康診断・人間ドック制度は、入社後の定期健康診断時から利用可能で、30歳以上の方は年2回の健診が義務化されています。人間ドック費用補助の申請は、受診前に所定の申請書を提出し、受診後に領収書等を添えて精算手続きを行います。社宅・寮制度については、内定通知後に住宅担当部署から案内があり、配属先確定後に具体的な住居が決定されます。入居時期は原則として入社日からとなりますが、研修期間中は研修所近くの宿泊施設が提供される場合があります。教育研修制度の「西松社会人大学」プログラムは入社と同時に自動的に対象となり、階層別研修は人事部から個別に案内されます。フレックスタイム制度や在宅勤務制度は、入社後の研修期間を経て、配属先の上司との相談により利用開始となります。各種手当の申請については、入社時のオリエンテーションで詳細な説明があり、人事システムを通じて申請手続きを行います。

まとめ

西松建設の福利厚生制度は、建設業界の中でも特に健康経営に力を入れた充実した内容となっています。1874年創業の歴史ある準大手ゼネコンとして、社員の働きやすさと生活の質向上を重視した制度設計が特徴的です。特に注目すべきは、人間ドック費用補助や女性のがん検診全額補助などの健康サポート制度の手厚さで、2019年に総合建設業として初めて健康経営銘柄に選定された実績がその充実度を物語っています。

住宅関連制度では、社宅・寮制度に加えて現場配属時の借り上げ住宅制度があり、建設業界特有の転勤や単身赴任に対する手厚いサポートが整備されています。また、「西松社会人大学」による体系的な人材育成プログラムや、フレックスタイム制度・在宅勤務制度による働き方の柔軟性も、現代の働き方ニーズに対応した魅力的な制度です。

転職を検討されている方にとって、西松建設は安定した経営基盤を持つ準大手ゼネコンとして、長期的なキャリア形成と生活の安定を両立できる環境を提供しています。特に健康管理を重視する方、建設業界でのスキルアップを目指す方、ワークライフバランスを重視する方には、同社の福利厚生制度は大きな魅力となるでしょう。詳細な制度内容や最新の情報については、転職活動時に人事担当者に直接確認し、ご自身のライフプランに最適な選択をされることをお勧めします。