能美防災株式会社(以下、能美防災)は、日本最大手の総合防災設備メーカーとして、約100年にわたり社会の安全を支え続けています。自動火災報知設備や消火設備をはじめとする防災システムの研究開発から製造、販売、施工、メンテナンスまでを一貫して手掛ける企業として、多くの転職希望者から注目を集めています。
この記事では、能美防災の最新年収データを基に、平均年収から役職別・年齢別の詳細な推移、さらには福利厚生や転職難易度まで、転職を検討している方が知りたい情報を包括的に解説します。有価証券報告書などの公式データを基にした正確な情報をお届けしますので、キャリア形成の参考にしてください。
能美防災の会社概要
能美防災は、1924年に創業した防災業界のリーディングカンパニーです。大正13年に日本で初めて自動火災報知機による防災事業を開始して以来、「防災のパイオニア」として業界をけん引しています。現在では東京証券取引所プライム市場に上場し、従業員数は連結で2,875名(2025年3月31日現在)の規模を誇る企業です。
能美防災の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 能美防災株式会社(NOHMI BOSAI LTD.) |
本社所在地 | 東京都千代田区九段南4丁目7番3号 |
設立年 | 1944年5月5日 |
業種 | 電気機器製造業 |
事業内容 | 防災設備・機器の開発・製造・販売・施工・保守 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
能美防災は火災報知設備、消火設備をはじめとした各種防災システムの研究、開発、製造、施工、保守まで一貫して行っています。一般的なオフィスビルや商業施設だけでなく、プラントやトンネル、文化財、船舶など、特殊な環境に応じた防災システムの開発も手掛けており、国内で初めての設置物件、開発したシステムが非常に多い企業として知られています。また、画像処理煙検知システムや消火ロボットといった先進技術の開発にも力を入れ、常に防災技術の最先端を追求しています。
能美防災の平均年収はどのぐらい?
能美防災は上場会社なので、有価証券報告書で平均年収を公開しています。有価証券報告書によれば、2024年3月期における能美防災の平均年収は611万円(平均年齢: 40.8歳)となっています。これは2023年度の全国の平均年収は460万円(出典:国税庁)のため、比較的年収の高い企業であることを示しています。
年度別の平均年収推移
能美防災の過去6年間の年収推移を見ると、安定した水準を維持していることがわかります。以下は有価証券報告書に基づく公式データです。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 611万円 | 40.8歳 | 16.2年 | 1,814名 |
2023年3月期 | 626万円 | 40.7歳 | 16.8年 | 1,716名 |
2022年3月期 | 639万円 | 40.6歳 | 16.0年 | 1,631名 |
2021年3月期 | 633万円 | 40.5歳 | 15.8年 | 1,612名 |
2020年3月期 | 647万円 | 40.3歳 | 15.5年 | 1,598名 |
2019年3月期 | 644万円 | 40.1歳 | 15.3年 | 1,585名 |
出典:能美防災株式会社 有価証券報告書(各年3月期)
データを見ると、能美防災の平均年収は過去6年間で611万円から647万円の範囲で推移しており、安定した給与水準を維持していることがわかります。平均勤続年数は16.2年で長めですであり、従業員の定着率の高さも特徴的です。
他企業との比較データ
能美防災の年収水準を同業他社と比較すると、防災業界における位置づけが明確になります。
企業名 | 平均年収 | 業界内での特徴 |
---|---|---|
ホーチキ | 700万円 | 火災報知設備に特化 |
能美防災 | 611万円 | 総合防災設備メーカー最大手 |
東証プライム電機業界平均 | 753万円 | 業界全体平均 |
全国平均年収 | 460万円 | 国税庁統計 |
ホーチキが属する電機・精密業界の平均年収は753万円でした。そのためホーチキの平均年収は、業界平均から-53万円低く、業界内順位は88位(全156社中)と比較すると、能美防災も業界平均を下回っていますが、全国平均の460万円と比較すると151万円高く、比較的高い年収水準を維持しています。同じ防災業界のホーチキとは約90万円の差がありますが、能美防災は火災報知器だけでなく消火設備も含む総合防災メーカーとしての事業規模の大きさが特徴です。
能美防災の役職別年収データ
能美防災では明確な役職制度が設けられており、昇進に伴って年収も段階的に上昇します。能美防災では「役職なし」「主任」「係長」「課長」「部長」という順番で昇進していきます。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般社員(役職なし) | 450~550 |
主任クラス | 550~650 |
係長クラス | 700~800 |
課長クラス | 900~1,000 |
部長クラス | 1,200~1,400 |
出典:転職口コミサイト及び業界水準を基にした推定値
能美防災における係長の年収は700-800万円程度、課長の年収は900-1,000万円程度になると推定されます。また、係長の平均年収は776万円、課長の平均年収は1015万円、部長の平均年収は1224万円という推定データもあり、役職が上がるにつれて大幅な年収アップが期待できます。
基本的には年功序列な評価体制となっており、特に若手の間は給料水準に差が付きづらい傾向にありますが、管理職になると責任と共に年収も大きく向上する仕組みとなっています。
能美防災の年齢別年収推移
能美防災では年功序列制度を基本としており、年齢と共に着実に年収が上昇していく傾向があります。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代前半(22~25歳) | 350~420 |
20代後半(26~29歳) | 420~480 |
30代前半(30~34歳) | 480~580 |
30代後半(35~39歳) | 580~650 |
40代前半(40~44歳) | 620~720 |
40代後半(45~49歳) | 670~780 |
50代以上(50歳~) | 720~850 |
出典:有価証券報告書データ及び賃金構造基本統計調査を基にした推定値
25歳で386万4607円、29歳で465万6936円と給与は上昇し、20代後半の平均年収は428万1515円となっています。日本全体の20代後半の平均年収の402万7000円(男性平均)と比較すると、世間一般の水準よりは若干高い給与水準になっています。
30代前半の平均年収は513万9157円、30代後半の平均年収は596万3598円。働き盛りの年齢であり、大きな年収アップが望めるでしょう。能美防災の50代前半の平均年収は772万4016円、50代後半の平均年収は777万8309円となっており、長期勤続により安定した高年収を実現できることがわかります。
能美防災の福利厚生
能美防災では、社員が安心して長期間働けるよう、充実した福利厚生制度を整備しています。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅関連 | 社宅・独身寮・住宅手当(転勤者には手厚い補助) |
休暇制度 | 完全週休2日制・年末年始休暇・夏季休暇5日・有給休暇(最大80日繰越可能) |
特別休暇 | ライフサポート休暇(治療・介護用に年20日付与) |
育児・介護支援 | 育児休業(最長3歳まで)・短時間勤務制度(4~7時間) |
手当各種 | 時間外手当・家族手当・通勤手当・勤務地手当 |
その他 | 確定拠出年金・財産形成貯蓄・社員持株会・福利厚生倶楽部 |
仕事と介護や育児の両立には、周囲の理解と会社の支援が不可欠です。能美防災には、それを支える多くの社内制度があり、中には法律の基準を上回るルールも設けられています。
特筆すべき制度として、従業員が安心して治療・介護・看護と仕事を両立できるよう支援することを目的として、年次有給休暇とは別に、自身の療養通院、家族の看病・介護を行う際に取得できるライフサポート休暇を20日分付与しています。これは法定を大きく上回る手厚い支援制度です。
住宅関連では、転勤者は数年間は手厚い補助がでるが6年目を境に何年減少し、10年目まで段階的に変化する仕組みとなっており、中途入社でも遠方からの転居がある際は借り上げ社宅制度を利用し実質家賃負担80%~20%で5年間は生活できる制度が用意されています。
能美防災の転職難易度は?
能美防災は年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。防災業界のリーディングカンパニーとしての安定性と成長性が魅力的な企業です。
求められる人材像
能美防災が求める人材の特徴は以下の通りです。
・創造性豊かな方 ・挑戦心(チャレンジ精神)旺盛な方 ・行動力(考えて行動する力)のある方 能美防災は「人財」を企業の柱として考えています。そのため、選考についても「人物重視」の観点で取り組んでいます。
特に防災業界では、安全に対する高い意識と責任感が重要視されます。技術職であれば電気工事や防災設備に関する専門知識、営業職であれば建設業界での経験や法人営業経験が評価されやすい傾向があります。
転職成功のポイント
近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。
転職成功のためのポイントは以下の通りです。防災業界への深い理解と同社の事業内容の把握が必要です。特に能美防災の「防災のパイオニア」としての歴史と技術力について理解を深めておくことが重要です。また、社会貢献への強い意識も求められます。防災事業は人命に関わる重要な仕事であり、社会の安全に貢献したいという強い志を持つことが大切です。
技術系職種では、電気工事士などの関連資格や建設業界での実務経験があると有利になります。営業系職種では、法人営業経験やBtoB営業の実績が評価されます。同社は「人物重視」の選考を行っているため、専門スキルだけでなく、人柄やコミュニケーション能力も重要な評価要素となっています。
まとめ
能美防災は平均年収611万円という安定した給与水準を維持しており、防災業界のリーディングカンパニーとして魅力的な転職先の一つです。年功序列制度により着実な昇進・昇給が期待でき、充実した福利厚生制度も整備されています。
特に係長クラスで700~800万円、課長クラスで900~1,000万円という役職別年収は、長期的なキャリア形成において魅力的な水準といえるでしょう。また、平均勤続年数16.2年という高い定着率は、働きやすい職場環境を示しています。
転職を検討されている方は、防災業界への理解を深め、社会貢献への強い意識を持って選考に臨むことをお勧めします。能美防災で培われる防災技術の専門性は、今後ますます重要性が高まる分野であり、長期的なキャリア形成において大きな価値となるはずです。