会員制リゾートホテル業界で国内最大手の地位を築くリゾートトラスト株式会社(以下、リゾートトラスト)について、最新の年収データを詳しく解説します。エクシブやベイコート倶楽部などの高級会員制リゾートホテルを全国展開し、ホテル事業に加えてメディカル事業やゴルフ事業、シニアライフ事業も手がける同社の給与水準や福利厚生、転職難易度について、有価証券報告書をもとにした公式データを中心にお伝えします。転職を検討されている方の参考になれば幸いです。
リゾートトラストの会社概要
リゾートトラストは1973年に設立された総合リゾート企業で、会員制リゾートホテル事業において日本国内で独占的な地位を築いています。1974年に岐阜県高鷲村で第一号の会員制リゾートホテル「サンメンバーズひるがの」を開業して以来、50年にわたって会員制リゾートビジネスのパイオニアとして業界をリードしてきました。現在では全国に30を超える施設を展開し、19万人を超える会員様から信頼をいただいています。富裕層をターゲットにしたビジネスモデルにより競合が少なく、安定した収益基盤を構築しています。
リゾートトラストの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | リゾートトラスト株式会社 |
本社所在地 | 愛知県名古屋市中区栄2-6-1 RT白川ビル |
設立年 | 1973年4月2日 |
業種 | サービス業 |
事業内容 | 会員制リゾートホテル事業、ゴルフ事業、メディカル事業、シニアライフ事業 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場 |
リゾートトラストの事業は大きく4つの分野に分かれています。主力事業である会員制リゾートホテル事業では、「エクシブ(XIV)」「ベイコート倶楽部」「サンクチュアリコート」「ホテルトラスティ」などのブランドを運営しています。エクシブは14名で1室を利用するコンセプトから命名され、会員制タイムシェアリゾートの先駆けとして全国各地に展開されています。ベイコート倶楽部は日本初の完全会員制都市型リゾートホテルとして2008年に東京有明で開業し、その後横浜、芦屋、蒲郡にも展開しています。ゴルフ事業では全国に高品質なゴルフ場を運営し、メディカル事業では会員制メディカルクラブ「ハイメディック」を通じて予防医療サービスを提供しています。さらにシニアライフ事業では介護付有料老人ホーム「フェリオ」を運営し、高齢者の豊かな生活をサポートしています。
リゾートトラストの平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
リゾートトラストの平均年収は、有価証券報告書によると2024年3月期で615万円となっています。同社の年収水準は過去10年間で比較的安定して推移しており、近年は上昇傾向にあります。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 615万円 | 36.5歳 | 9.2年 | 5,413人 |
2023年3月期 | 583万円 | 36.2歳 | 9.3年 | 5,275人 |
2022年3月期 | 537万円 | 35.9歳 | 9.0年 | 5,025人 |
2021年3月期 | 506万円 | 35.6歳 | 8.7年 | 4,845人 |
2020年3月期 | 533万円 | 35.3歳 | 8.4年 | 4,721人 |
2019年3月期 | 515万円 | 35.0歳 | 8.1年 | 4,512人 |
出典:リゾートトラスト株式会社 有価証券報告書(2024年6月期、2023年6月期、2022年6月期、2021年6月期、2020年6月期、2019年6月期)
2024年3月期の平均年収615万円は、前年度比で32万円の大幅な増加となり、2019年からの5年間で約100万円上昇しています。平均年齢は36.5歳、平均勤続年数は9.2年と、ホテル・サービス業界の中では比較的若い年齢層で構成されていることがうかがえます。従業員数も順調に増加しており、事業拡大に伴う積極的な採用が行われていることが分かります。
他企業との比較データ
リゾートトラストの平均年収を同業他社および関連業界と比較すると、以下のような位置づけとなります。
企業名・指標 | 平均年収 | 業界・分類 |
---|---|---|
リゾートトラスト | 615万円 | 会員制リゾートホテル(最大手) |
帝国ホテル | 約444万円 | 高級ホテル |
ニュー・オータニ | 約444万円 | 高級ホテル |
藤田観光 | 約526万円 | 総合ホテル事業 |
東証プライム平均 | 742万円 | 全上場企業平均 |
サービス業界平均 | 559万円 | 業界平均 |
全国平均年収 | 460万円 | 民間給与実態統計調査(国税庁) |
リゾートトラストの平均年収615万円は、全国平均年収460万円を155万円上回っており、サービス業界平均559万円も56万円上回る高い水準にあります。同じホテル業界の帝国ホテルやニュー・オータニと比較しても150万円以上高く、会員制リゾートホテルという独特のビジネスモデルによる収益性の高さが給与水準にも反映されています。一方で、東証プライム上場企業の平均年収742万円と比較すると約130万円低い水準となっていますが、ホテル・サービス業界においては上位クラスの給与水準を維持しています。特に同業の藤田観光と比較すると約90万円高く、業界内での優位性が明確に表れています。
リゾートトラストの役職別年収データ
リゾートトラストの役職別年収については、同社の実力主義的な評価制度を反映した水準となっています。業績を上げることで段階的に昇進・昇格が可能な制度が整備されており、特に営業職においては成果に応じたインセンティブ制度により大幅な年収アップが期待できます。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 560~620万円 |
課長クラス | 735~815万円 |
部長クラス | 900~985万円 |
係長・主任クラスでは年収560万円~620万円程度、課長クラスでは735万円~815万円程度、部長クラスでは900万円~985万円程度の水準となっています。これらの数値は業界内でも比較的高い水準にあり、同社の安定した収益基盤と成長性が反映されています。特に営業職においては、会員権販売の成績に応じて基本給の上昇やインセンティブ報奨金の支給があるため、優秀な営業成績を残すことで入社3年目で1,000万円を超えるケースも報告されています。一方で、ホテル運営職や事務職などでは比較的安定した昇給カーブを描いており、長期的なキャリア形成を図ることができます。同社では女性の活躍推進にも力を入れており、2019年には「あいち女性輝きカンパニー」優良企業表彰を受賞するなど、性別に関係なく実力に応じた昇進が可能な環境が整備されています。
リゾートトラストの年齢別年収推移
リゾートトラストの年齢別年収は、有価証券報告書のデータと一般的な賃金カーブをもとに推定すると、安定した上昇傾向を示しています。同社の平均年齢36.5歳、平均年収615万円という基準から、各年代の年収レンジを算出することができます。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 340~390万円 |
30代 | 470~520万円 |
40代 | 570~620万円 |
50代以上 | 670~720万円 |
20代では年収340万円~390万円程度からスタートし、30代で470万円~520万円程度、40代で570万円~620万円程度、50代で670万円~720万円程度の推移が想定されます。この年収カーブは、サービス業界の中では比較的良好な水準にあります。初任給については職種によって差があり、営業職(大卒)で月給242,500円、ホテル運営職(大卒)で月給213,100円となっています。年2回のボーナス支給(7月・12月)があり、平均支給額は約60万円~170万円となっており、勤続年数が長くなるにつれて支給額も増加する傾向にあります。営業職においては売上実績に応じたインセンティブ制度があるため、年代に関係なく高い年収を実現する可能性があり、年齢や役職よりも成果を重視する評価制度が特徴的です。
リゾートトラストの福利厚生
リゾートトラストの福利厚生制度は、総合リゾート企業としての特色を活かした独自性の高い制度が充実しており、社員からも高い評価を受けています。同社は「ハタラクエール2024」において「福利厚生推進法人」に認証されるなど、従業員の働きやすさと働きがいの向上に積極的に取り組んでいます。
制度・手当 | 内容 |
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住宅手当 | 地方勤務者に対して月額2万円~6万円の住宅補助あり |
社員寮制度 | 各施設の近隣に完備、寮費月額約1万6千円~(光熱費別) |
退職金制度 | 選択制確定給付企業年金制度を導入 |
有給取得 | 年間125日の休日(業界トップクラス)、有給取得率は比較的良好 |
カフェテリアプラン | 年間4万円相当のポイント支給、自社施設利用や研修・商品購入に使用可能 |
リゾートトラストの福利厚生の最大の特徴は、自社が運営するリゾートホテルやゴルフ場、メディカル施設を社員優待価格で利用できる制度です。年間4万円相当のポイントが支給されるカフェテリアプランにより、エクシブやベイコート倶楽部などの高級リゾートホテルでの宿泊や食事、エステサービスなどを格安で利用することができます。住宅関連では、地方勤務者には月額2万円~6万円の住宅補助が支給され、各施設の近隣には社員寮が完備されています。退職金制度としては選択制確定給付企業年金制度を導入し、将来の資産形成をサポートしています。休暇制度では年間125日という業界トップクラスの休日数を確保し、有給取得についても積極的に推進されています。その他、財形貯蓄制度、社員持株制度、資格取得支援制度、通信講座補助制度、次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん」認定も取得しており、仕事とライフイベントの両立しやすい環境づくりに力を入れています。
リゾートトラストの転職難易度は?
リゾートトラストの転職難易度は中程度とされています。会員制リゾートホテル業界のリーディングカンパニーとして安定した事業基盤を持ち、売上高も右肩上がりで成長を続けている優良企業である一方で、同社の独特なビジネスモデルと企業文化に適合する人材を求めているため、一定の選考基準があります。
求められる人材像
リゾートトラストが求める人材像は、同社のブランド・アイデンティティである「お客さまひとり一人の豊かで幸せな人生に向き合い、一生涯お付き合いしたいと思っていただける企業」を体現できる人材です。具体的には、高級サービスに対する理解と提供能力、お客様との長期的な関係構築への意欲、チームワークを重視する協調性が重要視されています。営業職においては実力主義・成果主義の環境で結果を出すことへの意欲と、富裕層顧客との接客経験や会員制ビジネスへの理解があることが望ましいとされています。
項目 | 内容 |
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中途採用実績 | 積極的に中途採用を実施、多様な職種で募集 |
求める人材像 | ホスピタリティ精神、実力主義への適応、チームワーク重視 |
応募条件 | 職種により異なるが、接客・営業経験者は優遇される傾向 |
選考プロセス | 書類選考→適性検査→複数回の面接→最終面接 |
転職成功のポイント
リゾートトラストへの転職を成功させるためには、同社の会員制リゾートビジネスモデルの特徴をしっかりと理解することが重要です。エクシブやベイコート倶楽部などの会員制ホテルが富裕層顧客に提供する価値について具体的に語れるよう準備しておくことが求められます。面接では自己PRが重要視される傾向があるため、これまでの経験で培ったホスピタリティ精神や成果への貢献を具体的なエピソードとともに説明できるようにしておくことが効果的です。営業職を希望する場合は、実力主義・成果主義の環境で結果を出すことへの意欲を明確に示し、可能であれば過去の営業実績を数値で示すことが有効です。また、同社は「ONとOFFのメリハリ」「チームで助け合いながら目標に向かう」企業風土を大切にしているため、協調性と目標達成への強い意志をバランスよくアピールすることも重要なポイントとなります。
まとめ
リゾートトラストの平均年収は615万円で、ホテル・サービス業界の中では上位クラスの給与水準を維持しています。会員制リゾートホテル業界の最大手として独占的な地位を築いており、富裕層をターゲットにした安定性の高いビジネスモデルが給与水準にも反映されています。営業職においては実力主義・成果主義により大幅な年収アップが期待でき、ホテル運営職においても業界平均を上回る待遇が用意されています。
転職を検討される方にとって、リゾートトラストは福利厚生が充実した魅力的な転職先といえます。自社施設を優待価格で利用できる制度や年間4万円のカフェテリアプランなど、総合リゾート企業ならではの独自の福利厚生制度が整備されています。転職難易度は中程度であり、同社の企業文化とビジネスモデルを理解し、ホスピタリティ精神と実力主義への適応力を示すことができれば、内定獲得の可能性は十分にあります。特に、高級サービス業界での経験や富裕層顧客との接客経験がある方には適した職場環境といえるでしょう。ただし、地方のリゾート施設への配属や転勤の可能性があることを理解し、柔軟性を持って臨むことが重要です。