株式会社リコー(以下、リコー)は、複写機やプリンターなどのオフィス機器を主力とする日本を代表するメーカーです。転職や就職を検討する際に重要な要素である福利厚生について、リコーはカフェテリアプランを中心とした充実した制度を提供しています。
この記事では、リコーの福利厚生制度の詳細から住宅関連制度、健康・医療制度、休暇制度、退職金制度まで、転職検討者が知っておくべき情報を包括的に解説します。同業他社との比較や実際の社員による評判も含めて、リコーへの転職を検討している方の意思決定をサポートします。
リコーの会社概要
リコーは1936年に理研感光紙株式会社として創業された老舗メーカーで、現在は複写機・プリンター・複合機などのオフィス機器を中心に、デジタルサービス、産業印刷、光学機器など幅広い事業を展開しています。日経平均株価の構成銘柄の一つでもあり、国内外で高い技術力と販売力を誇る企業として知られています。
リコーの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社リコー |
本社所在地 | 東京都大田区中馬込1-3-6 |
設立年 | 1936年2月6日 |
業種 | オフィス機器・光学機器製造業 |
事業内容 | デジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーションズ、インダストリアルソリューションズ |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
資本金 | 1,353億円(2025年3月31日現在) |
連結売上高 | 2兆5,278億円(2025年3月期) |
連結従業員数 | 78,665名(2025年3月31日現在) |
リコーの事業は大きく4つの分野に分かれています。デジタルサービス分野では複合機、プリンター、ドキュメント関連サービスを提供し、デジタルプロダクツ分野では機器の製造・OEMを行っています。グラフィックコミュニケーションズ分野では商用印刷機器を、インダストリアルソリューションズ分野ではサーマルペーパーや産業用光学部品を手がけており、多角的な事業展開により安定した経営基盤を築いています。また、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスにも注力し、顧客の働き方改革をサポートする企業として新たな価値創造に取り組んでいます。
リコーの福利厚生制度の特徴
リコーの福利厚生制度は、カフェテリアプランを中心とした柔軟性の高い制度設計が大きな特徴です。年間12万円のカフェテリアポイントが支給され、社員が自分のライフスタイルに合わせて福利厚生サービスを選択できる仕組みになっています。この制度により、旅行、自己啓発、健康増進、確定拠出年金への拠出など、多様なニーズに対応できる点が評価されています。
住宅関連制度
リコーの住宅関連制度は、一般的な住宅手当はありませんが、特定の条件を満たす社員に対して支援を行っています。新卒入社で実家から勤務地まで通勤時間が2時間以上かかる場合、若手独身社員に限り借上げ寮を利用することができます。これらの寮は主に神奈川県厚木エリアや東京都町田エリアに位置し、比較的安価な自己負担で利用可能です。
転勤が発生した場合には、転勤手当として家賃補助が支給されます。この制度は転勤により通勤時間が一定以上になった社員が対象で、最大10年間にわたって支給されるケースがあります。ただし、10年以降は支給が停止されるため、長期的な住宅計画を立てる際は注意が必要です。通勤手当については、申請した通勤経路の定期代が半年ごとに全額支給され、リモートワーク主体の社員には出社した分だけ実費が支給される仕組みになっています。
健康・医療関連制度
リコーは従業員の健康管理に積極的に取り組んでおり、健康経営優良法人2025(大規模法人部門)ホワイト500の認定を取得しています。基本的な健康保険制度に加えて、定期健康診断、人間ドック、各種健康チェックなどの予防医療サービスが充実しています。
カフェテリアプランの中には健康増進のための施設利用やスポーツクラブの利用料金補助も含まれており、社員の健康維持をサポートしています。また、ベネフィット・ワンとの提携により、全国のスポーツクラブや医療機関での優待サービスを受けることができます。メンタルヘルス対策についても、相談窓口の設置や研修プログラムの実施など、従業員の心身の健康をトータルでサポートする体制が整備されています。
休暇・働き方制度
リコーの休暇・働き方制度は、「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の一つとして位置づけ、社員一人ひとりが自分に合った働き方を選択できる環境を整備しています。基本的な年次有給休暇に加えて、計画年休制度を導入しており、社員があらかじめ休暇日を設定することで、周囲の理解を得やすくしています。
有給取得率は55%程度で、前年比108.7%と向上傾向にあります。特別休暇制度も充実しており、育児休業、介護休業、結婚休暇、忌引休暇などが設けられています。勤務形態については、エフェクティブ・ワーキング・タイム(EWT)制を導入し、7時から20時の間でコアタイムなしのフレックスタイム制を実現しています。リモートワークも積極的に推進しており、2020年以降は標準的な働き方として定着しています。
教育・研修制度
リコーの教育・研修制度は、「自律型人材」の育成を基本方針として、社員の自発的な学びを支援する多様なプログラムを提供しています。2022年には「リコーデジタルアカデミー」を開校し、全社員のデジタルスキル向上を目指しています。21次中期経営計画では、国内で「リコーデジタルスキル レベル2以上の人数」を4,000人に拡充することを目標としています。
カフェテリアプランの年間12万円ポイントは、自己啓発や通信教育の費用にも利用可能で、資格取得支援制度では公的資格の取得者に1〜30万円の奨励金を支給しています。また、「スキルアップ支援特別長期休暇制度」により、国内外の大学院やMBA取得のための留学も支援しており、社員のキャリア開発を全面的にバックアップする体制が整っています。語学スクールや通信教育の費用は会社が半分を負担し、資格手当の支給もあります。
リコーの各種手当・補助制度
リコーの各種手当・補助制度は、基本的な労働条件に関わる手当から家族構成に応じた手当まで幅広くカバーしています。特徴的なのは、カフェテリアプランを活用した柔軟な福利厚生制度で、社員のライフスタイルに合わせて自由に選択できる点です。
制度・手当名 | 内容 | 対象者 |
---|---|---|
通勤手当 | 申請した通勤経路の定期代を半年ごとに全額支給 | 全社員 |
家族手当 | 配偶者・子供に対する手当 | 扶養家族を持つ社員 |
カフェテリアポイント | 年間12万円のポイント支給(旅行・自己啓発・健康増進等に利用可能) | 全社員 |
住宅補助 | 転勤時の家賃補助(最大10年間) | 転勤対象者 |
借上げ寮 | 新卒・若手独身社員向け(30歳未満かつ独身限定) | 条件を満たす新卒社員 |
資格取得奨励金 | 公的資格取得者に1〜30万円支給 | 資格取得者 |
持株会奨励金 | 社員持株会への拠出に対し15%程度の奨励金 | 持株会参加者 |
リモートワーク手当については、現時点では導入されていませんが、出社主体の社員には通勤定期代が、リモートワーク主体の社員には出社した分だけ実費が支給される仕組みになっています。ベネフィット・ワンとの提携により、全国の宿泊施設、スポーツクラブ、映画館、居酒屋などで会員割引を受けることができます。
リコーの退職金・年金制度
リコーの退職金制度は、確定拠出年金制度を中心とした制度設計になっています。従来の退職金制度も維持されており、ポイント制による退職金計算システムが導入されています。社員は専用システムで現在の退職金見込み額を確認することができ、将来設計を立てやすい仕組みになっています。
確定拠出年金については、会社からの拠出に加えて、カフェテリアプランの12万円ポイントを確定拠出年金に充当する社員も多く、柔軟な資産形成が可能です。社員持株会制度では月々1,000円から積み立てが可能で、15%程度の奨励金が付与されるため、中長期的な資産形成手段として活用されています。財形貯蓄制度も完備されており、給与天引きによる計画的な資産形成をサポートしています。退職金の給付水準は大手企業と同等かそれ以上の水準とされており、長期勤続者への配慮が行き届いた制度となっています。
リコーの福利厚生の評判・口コミ
リコーの福利厚生に対する社員の評判は総じて良好で、特にカフェテリアプランの柔軟性と働き方制度の充実度が高く評価されています。年間12万円のカフェテリアポイントについては「旅行、自己啓発、健康増進など多様な用途に使えて便利」という声が多く聞かれます。
ワークライフバランスについては、「有給が取りやすい環境」「フレックス制度により時間の調整がしやすい」「リモートワークが定着しており働きやすい」といった高評価の口コミが目立ちます。有給取得率80%以上を目指す会社の方針もあり、休暇を取ることに対する理解が浸透しています。一方で、住宅手当については「基本的に住宅補助はないが、転勤者には手厚い支援がある」という条件付きの評価となっています。退職金制度については「大手企業と同等かそれ以上の水準」という評価が多く、ポイント制で将来の見込み額を確認できる透明性も好評です。
他社との福利厚生比較
リコーの福利厚生を同業他社と比較すると、カフェテリアプランの充実度と働き方制度の先進性で優位性を保っています。複写機・OA機器業界の主要3社(リコー、キヤノン、富士フイルム)との比較では、それぞれに特色のある福利厚生制度を展開しています。
制度 | リコー | キヤノン | 富士フイルム |
---|---|---|---|
住宅手当 | 転勤者向け家賃補助(最大10年) | 借上社宅制度あり | 住宅手当・社宅制度あり |
カフェテリアプラン | 年間12万円ポイント | 類似制度あり | 福利厚生制度充実 |
有給取得率 | 55%(向上傾向) | 適正な取得推進 | 取得しやすい環境 |
働き方制度 | EWT制(コアタイムなし) | フレックス制度 | 多様な働き方支援 |
退職金制度 | 確定拠出年金+従来型 | 確定拠出年金制度 | 退職金制度充実 |
リコーの特徴は、カフェテリアプランによる選択の自由度と、転勤者への手厚い住宅支援にあります。キヤノンは全般的にバランスの取れた福利厚生制度を提供し、富士フイルムは大企業らしい充実した制度を展開しています。働き方改革の推進度では、リコーのリモートワーク標準化やコアタイムなしのフレックス制度は業界内でも先進的と評価されています。
リコーへの転職で注目すべき福利厚生ポイント
リコーへの転職を検討する際は、同社の福利厚生制度の特徴を理解し、自分のライフスタイルや価値観との適合性を見極めることが重要です。特に注目すべきは、カフェテリアプランの活用方法と働き方制度の柔軟性です。
転職時の福利厚生チェックポイント
転職検討者がリコーの福利厚生を評価する際の重要なチェックポイントは以下の通りです。まず、年間12万円のカフェテリアポイントをどのように活用できるかを確認しましょう。自己啓発、旅行、健康増進、確定拠出年金への拠出など、自分の価値観に合った使い道があるかが重要です。
住宅関連制度については、現在の住居と勤務予定地の関係、将来の転勤可能性を考慮して評価する必要があります。一般的な住宅手当はありませんが、転勤時の家賃補助は最大10年間と手厚いため、転勤の可能性がある場合は大きなメリットとなります。働き方については、リモートワークの利用可能性、フレックスタイム制の活用方法、有給取得のしやすさを具体的に確認することが大切です。
入社後の手続きと利用方法
リコー入社後の福利厚生利用は、入社時のオリエンテーションで詳細な説明が行われます。カフェテリアプランのポイントは入社年度から比例配分で支給され、専用システムから簡単に利用申請できます。ベネフィット・ワンのサービスも入社と同時に利用可能になり、全国の提携施設で優待を受けることができます。
社員持株会への参加は任意ですが、15%程度の奨励金があるため多くの社員が利用しています。月々1,000円から参加可能で、給与天引きにより自動的に積み立てられます。確定拠出年金については、会社拠出分に加えて、カフェテリアポイントからの追加拠出も可能です。資格取得支援制度を利用する場合は、事前申請が必要で、取得後に奨励金の申請を行う流れになります。
まとめ
リコーの福利厚生制度は、年間12万円のカフェテリアプランを中心とした柔軟性の高い制度設計が大きな特徴です。一般的な住宅手当はありませんが、転勤者への家賃補助は最大10年間と手厚く、働き方制度についてもコアタイムなしのフレックスタイム制やリモートワークの標準化など、先進的な取り組みを行っています。
転職検討者にとって重要なのは、自分のライフスタイルや価値観とリコーの福利厚生制度がどの程度マッチするかという点です。カフェテリアプランの活用方法、転勤の可能性、働き方の柔軟性への期待値などを総合的に考慮して判断することをお勧めします。特に、自己啓発や資産形成に積極的で、ワークライフバランスを重視する方にとっては、リコーの福利厚生制度は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
同業他社と比較しても、リコーの福利厚生は充実度と柔軟性のバランスが取れており、長期的なキャリア形成を考える上で安心できる制度が整っています。転職を検討される際は、面接や企業説明会で具体的な制度の詳細を確認し、自分にとって最適な働き方ができる環境かどうかを慎重に見極めることが大切です。
出典:リコーグループ企業・IRサイト、株式会社リコー採用サイト、厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイト、OpenWork、エンゲージ会社の評判