株式会社七十七銀行(以下、七十七銀行)は、1878年(明治11年)に第七十七国立銀行として設立された、宮城県仙台市に本店を置く東北最大の地方銀行です。地元では「しちしち」の愛称で親しまれ、宮城県内では圧倒的なシェアを誇る地域金融機関として、長年にわたり東北地方の経済発展を支えてきました。
金融業界、特に地方銀行への転職を検討する際に最も気になるのが年収水準です。七十七銀行は東北地方の地方銀行の中でどの程度の待遇を提供しているのでしょうか。本記事では、七十七銀行の最新の平均年収データから役職別・年齢別の年収推移、他行との比較、充実した福利厚生制度、転職難易度まで、転職検討者が知りたい情報を詳しく解説していきます。
七十七銀行の会社概要
七十七銀行は1872年に制定された国立銀行条例により、1878年12月に77番目の国立銀行として設立されたことが行名の由来となっています。1932年に株式会社七十七銀行として新立してから90年以上の歴史を持ち、現在は東証プライム市場に上場する東北最大の地方銀行として、宮城県を中心とした東北地方の経済活動を支えています。
七十七銀行の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社七十七銀行 |
本社所在地 | 宮城県仙台市青葉区中央3丁目3番20号 |
設立年 | 1932年(昭和7年)1月31日 |
業種 | 銀行業 |
事業内容 | 預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、為替業務 |
上場市場 | 東証プライム市場 |
七十七銀行は預金・貸出業務を中心とした伝統的な銀行業務に加え、投資信託や保険商品の販売、法人向けコンサルティング業務、地域創生支援など多岐にわたる金融サービスを提供しています。特に宮城県内では預金・貸出金ともにシェア第1位を誇り、企業のメインバンクシェアでも第1位という圧倒的な地位を築いています。また、東北地方全ての県に店舗を展開するほか、東京、名古屋、大阪にも支店を設置し、海外では上海とシンガポールに駐在員事務所を構えるなど、広域的なネットワークを活用したコンサルティング営業を展開しています。宮城県および仙台市をはじめとする県内の多くの自治体の指定金融機関も受託しており、地域の社会インフラとしても重要な役割を担っています。
七十七銀行の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
七十七銀行の最新の平均年収は734万円(2024年3月期)で、平均年齢は38.9歳、平均勤続年数は16.1年となっています。過去10年間の推移を見ると、2014年度の733万円から一時的な下落を経て、近年は安定した上昇トレンドを示しており、2023年度から2024年度にかけて22万円の増加を記録しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
---|---|---|---|
2024年3月期 | 734万円 | 38.9歳 | 16.1年 |
2023年3月期 | 712万円 | 38.9歳 | 15.9年 |
2022年3月期 | 702万円 | 38.7歳 | 15.7年 |
2021年3月期 | 702万円 | 38.6歳 | 15.7年 |
2020年3月期 | 703万円 | 38.5歳 | 15.5年 |
2019年3月期 | 697万円 | 38.4歳 | 15.3年 |
出典:株式会社七十七銀行 有価証券報告書(2024年3月期)
他企業との比較データ
七十七銀行の平均年収734万円を他の金融機関と比較すると、地方銀行の中では中上位の水準に位置しています。メガバンクとは100万円以上の差がありますが、地方銀行の平均年収637万円を約100万円上回る水準となっています。
企業名 | 平均年収 | 分類 |
---|---|---|
三井住友銀行 | 865万円 | メガバンク |
三菱UFJ銀行 | 813万円 | メガバンク |
千葉銀行 | 766万円 | 地方銀行 |
スルガ銀行 | 735万円 | 地方銀行 |
七十七銀行 | 734万円 | 地方銀行 |
北陸銀行 | 627万円 | 地方銀行 |
出典:各社有価証券報告書(2024年度)
東証プライム上場企業の銀行業界の平均年収は772万円となっており、七十七銀行は業界平均から38万円低い水準ですが、全国の平均年収460万円(国税庁調べ)と比較すると約270万円高い水準にあり、十分に高年収企業と評価できます。特に東北地方の地方銀行の中では最上位クラスの年収水準を維持しています。
七十七銀行の役職別年収データ
七十七銀行の役職別年収については、公式データとしては非開示となっていますが、業界水準と口コミ情報を参考にした推定年収は以下の通りです。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
支店長代理クラス | 500-700 |
課長クラス | 800-1,000 |
副支店長クラス | 1,000-1,300 |
支店長クラス | 1,200-1,600 |
出典:業界推定値および口コミ情報
七十七銀行では3~5年置きに昇格試験が実施され、合格すれば昇格できる制度となっています。一般的な銀行員のキャリアパスとして、まず20代後半から30代前半にかけて支店長代理へ昇進し、その後課長、副支店長、支店長へと段階的に昇進していきます。地方銀行の中でもトップクラスの給与水準を維持しており、特に管理職に昇進すると年収1,000万円を超える水準に達することが可能です。昇進には個人の能力や実績、資格取得状況などが総合的に評価されます。
七十七銀行の年齢別年収推移
七十七銀行の年齢別年収推移については、公式データとしては非開示となっていますが、平均年収と業界動向から推定した年収範囲は以下の通りです。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 400-550 |
30代 | 550-750 |
40代 | 700-950 |
50代以上 | 900-1,200 |
出典:業界推定値および口コミ情報
新卒入社の場合、フリーコースで約20万円、エリアコースで約19万円程度の初任給からスタートします。20代のうちは基本給は控えめですが、各種手当や賞与により、手取り額は一定程度確保されます。30代に入ると昇格機会が増え、支店長代理などの役職に就くことで年収が大幅にアップします。40代以降は課長職以上の管理職として、地域の金融機関の中核を担う立場となり、年収も安定して高水準を維持することができます。年収のピークは50代前半頃で、その後は定年に向けて緩やかに減少する傾向にあります。
七十七銀行の福利厚生
七十七銀行は地方銀行として充実した福利厚生制度を整備しており、特に住宅関連の支援制度や休暇制度が手厚く設計されています。長期間勤務する社員が多いことからも、働きやすい環境が整備されていることがうかがえます。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 独身寮、借上社宅制度、住宅補助 |
交通費 | 実費支給 |
退職金制度 | 勤続年数に応じて支給 |
有給取得 | 年2回の1週間連続休暇(半強制) |
特別休暇 | 9連休制度(年2回) |
資格取得支援 | 奨励金制度あり |
出典:各種口コミ情報および企業情報
住宅支援制度は特に充実しており、若手社員には独身寮が用意され、既婚者には借上社宅制度が適用されます。実家から通勤が困難な場合の住宅補助制度もあり、地方勤務でも安心して生活できる環境が整備されています。休暇制度では年2回の1週間連続休暇が制度として設けられており、これは半強制的に取得することになるため、確実にリフレッシュの機会を得ることができます。また、勤続年数の節目では9連休を取得できる制度もあり、長期休暇を活用した旅行や自己研鑽の時間を確保できます。資格取得支援制度では、銀行業務に関連する各種資格の取得に対して奨励金が支給され、キャリアアップをサポートする体制が整っています。その他、各種社会保険、財形貯蓄制度、持株会制度、確定拠出年金制度なども完備されており、総合的に見て地方銀行として高水準の福利厚生を提供しています。
七十七銀行の転職難易度は?
七十七銀行への転職難易度は中程度から高めと考えられます。東北最大の地方銀行として安定した経営基盤を持ち、地域での圧倒的なブランド力を誇ることから、転職市場でも人気の高い企業です。特に宮城県をはじめとする東北地方での転職を希望する金融系人材にとっては、非常に魅力的な転職先となっています。
求められる人材像
七十七銀行が求める人材像は、経営方針である「Vision 2030」に掲げられた「飽くなき向上心」「旺盛な挑戦力」「主体的な実行力」「豊かな人間力」「高い倫理観」を持つ人材です。特に中途採用では、銀行業務の多様化・専門性の高まりに対応できる能力と経験を有した即戦力人材を求めています。メガバンク、地方銀行、一般事業会社、コンサルティング会社出身者が多数活躍していることからも、多様なバックグラウンドを持つ人材を歓迎していることがわかります。また、地域密着型サービスを提供する金融機関として、地域への貢献意識が高く、顧客との信頼関係を大切にする姿勢を持つ人材が重視されます。
転職成功のポイント
七十七銀行への転職を成功させるためには、まず金融業界での実務経験を積むことが重要です。特に銀行業務に関連する経験(融資、預金、投資商品販売、法人営業など)があると高く評価されます。未経験者の場合は、コンサルティング業務や営業経験など、顧客折衝能力を活かせる職歴があることが望ましいでしょう。面接では、課題解決力と行動力を具体的な事例とともにアピールすることが重要です。現職(前職)での目標達成経験、困難を乗り越えた体験、チームワークを発揮した事例などを準備しておきましょう。また、東北地方への貢献意識や地域密着型サービスへの理解を示すことも重要なポイントです。七十七銀行の企業理念や事業戦略を十分に理解し、自身の経験やスキルがどのように活かせるかを明確に説明できるよう準備することが転職成功の鍵となります。
まとめ
七十七銀行の平均年収734万円は、地方銀行の中では上位の水準にあり、特に東北地方では最上位クラスの待遇を提供しています。メガバンクと比較すると差はありますが、全国平均を大きく上回る高年収を実現しており、地方での安定したキャリアを築きたい方には魅力的な選択肢と言えるでしょう。
福利厚生制度は非常に充実しており、特に住宅支援制度や休暇制度は他の地方銀行と比較しても手厚く、長期間安心して働ける環境が整備されています。年2回の1週間連続休暇制度など、ワークライフバランスを重視した制度設計も魅力的です。
転職を検討する際は、金融業界での実務経験や顧客折衝能力、課題解決力などが重要な評価ポイントとなります。東北地方での地域貢献を通じたキャリア形成を目指す方、安定した経営基盤を持つ地方銀行でのキャリアアップを希望する方にとって、七十七銀行は非常に魅力的な転職先となるでしょう。地域のリーディングカンパニーとして、金融業界の変化に対応しながら新たな挑戦を続ける同行で、充実したキャリアを築くことが期待できます。