老舗百貨店として190年以上の歴史を誇る株式会社高島屋(以下、高島屋)は、関東から関西・九州まで幅広く店舗展開し、百貨店業界でも屈指の規模を誇る企業です。インバウンド需要の回復もあり業績が好調な高島屋について、気になる平均年収や福利厚生について詳しく解説します。この記事では、高島屋の年収について有価証券報告書などの公式データを基に、年度別推移、同業他社との比較、役職別・年齢別の年収データ、転職難易度まで幅広くご紹介いたします。
高島屋の会社概要
高島屋は1831年の創業以来、約190年にわたって日本の小売業界をリードしてきた老舗百貨店です。大阪の難波に本社を置き、東京・大阪・京都などの大都市圏に基幹店舗を構える日本有数の百貨店チェーンです。近年は海外展開にも積極的で、シンガポールやベトナム、タイなどのアジア地域で店舗運営を行っています。グループ全体では百貨店業を中心として、商業開発業、金融業、建装業など多角的事業展開を進めており、連結子会社36社によるグループ経営を行っています。
高島屋の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社高島屋 |
本社所在地 | 大阪府大阪市中央区難波5丁目1番5号 |
設立年 | 1919年8月20日(創業1831年1月10日) |
業種 | 小売業(百貨店業) |
事業内容 | 百貨店業、法人事業、通信販売事業、グループ事業 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
高島屋の事業は大きく分けて4つの分野から構成されています。最も売上規模が大きいのは国内百貨店業で、グループ売上の約8割を占めるコア事業となっています。日本橋本店、新宿店、大阪店、京都店などの基幹店舗を中心に、全国に19店舗を展開しています。近年はオンラインストアの強化やインバウンド需要への対応として免税カウンターの拡張、多言語対応などデジタル化と国際化を積極的に進めています。また、百貨店業以外では商業開発業として不動産開発事業、金融業としてクレジットカード事業や友の会事業、建装業として店舗内装事業なども手がけ、百貨店で培った顧客基盤やノウハウを活かした事業展開を行っています。
高島屋の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年2月期 | 738万円 | 49.1歳 | 25.4年 | 6,643名 |
2023年2月期 | 706万円 | 48.5歳 | 25.1年 | 6,598名 |
2022年2月期 | 679万円 | 48.8歳 | 25.0年 | 6,589名 |
2021年2月期 | 685万円 | 47.9歳 | 24.6年 | 6,592名 |
2020年2月期 | 709万円 | 47.6歳 | 24.3年 | 6,691名 |
2019年2月期 | 702万円 | 47.3歳 | 24.0年 | 6,725名 |
出典:株式会社高島屋 有価証券報告書(2019年2月期~2024年2月期)
高島屋の2024年2月期の平均年収は738万円となっており、前年から32万円の増加を記録しています。コロナ禍の影響で一時的に年収が下がった時期もありましたが、インバウンド需要の回復と業績向上により年収水準も回復傾向にあります。平均年齢は49.1歳で、平均勤続年数は25.4年と非常に長く、一度入社すると長期間勤める傾向の強い会社であることがわかります。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
三越伊勢丹ホールディングス | 923万円 | 44.8歳 |
エイチ・ツー・オー リテイリング | 805万円 | 46.2歳 |
高島屋 | 738万円 | 49.1歳 |
J.フロント リテイリング | 681万円 | 47.8歳 |
小売業界平均 | 616万円 | 41.0歳 |
出典:各社有価証券報告書(2024年度)
高島屋の平均年収は業界平均から122万円高く、業界内順位は20位(全134社中)と上位に位置しています。百貨店大手との比較では、三越伊勢丹ホールディングスが最も高い923万円、次いでエイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神百貨店)の805万円、高島屋738万円、J.フロント リテイリング(大丸松坂屋)681万円という順位になっています。ただし、三越伊勢丹はホールディング経営を導入しており、実際に百貨店を運営する社員も含めた年収はもう少し低く、高島屋とそれほど変わらない待遇と推測されます。
高島屋の役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 非開示 |
課長クラス | 非開示 |
部長クラス | 非開示 |
高島屋の役職別年収について、公式データとしては非開示となっています。有価証券報告書や企業の公式情報では、役職ごとの詳細な年収データは公表されていません。一般的に百貨店業界では、総合職で入社後、販売業務や売場運営を経験した後、マネージャー、バイヤー、本社スタッフなどにジョブローテーションで配属されます。同社では2024年度の役員報酬として役員全体で平均4,288万円が支給されているとの情報がありますが、中間管理職レベルの具体的な年収は公表されていません。
高島屋の年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 非開示 |
30代 | 非開示 |
40代 | 非開示 |
50代以上 | 非開示 |
高島屋の年齢別年収推移についても、公式データとしては非開示となっています。有価証券報告書では全体の平均年収738万円、平均年齢49.1歳の情報のみが公開されており、年代別の詳細な年収分布は明らかにされていません。ただし、平均勤続年数が25.4年と長く、年功序列的な要素が残る企業であることから、勤続年数や年齢に応じた安定的な昇給制度が整っていると推測されます。新卒初任給については、大学卒で228,500円、大学院卒で267,900円が設定されています。
高島屋の福利厚生
高島屋の福利厚生制度は非常に充実しており、従業員の働きやすい環境作りに力を入れています。小売業界でありながら年間休日120日を確保し、年に4回の6連休取得が必須となっているほか、有給取得率は90%近くと高い水準を維持しています。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 地域により異なる(一定の条件あり) |
交通費 | 全額支給 |
退職金制度 | 有 |
有給取得率 | 約90% |
年間休日 | 120日 |
特別休暇 | 年4回の6連休取得必須 |
育児支援 | プラチナくるみん認定取得 |
その他 | 社内預金制度、社員持株会、職販制度など |
特筆すべきは、2015年に「子育てサポート企業」として「プラチナくるみん」の認定を受けていることです。これは厚生労働大臣の認定を既に受けている企業のうち、より高い水準の取り組みを行った企業として認定されるもので、育児休職制度、育児勤務制度、短期育児休暇制度、出産休暇、配偶者分娩休暇、介護休暇制度など、ワークライフバランスを重視した制度が整っています。また、社員の学習支援として奨学金補助制度もあり、月1万円の支給が行われています。住宅手当については一定の条件(自宅から2時間以上の通勤時間など)を満たす場合に支給されますが、多くの社員が対象となるわけではないようです。
高島屋の転職難易度は?
求められる人材像
高島屋が求める人材像は、経営理念である「人を信じ、人を愛し、人につくす」という精神を体現できる人材です。同社は関わる全ての人(お客様、取引先、従業員、地域住民)に対して思いやりを持ち、誠実に行動することを重視しています。また、百貨店業界の変革期において、伝統を大切にしながらも新しい価値を創造できる柔軟性と先進性を併せ持つ人材を求めています。
新卒採用では「マネジメント職」「バイイング職」「企画職」「セールス職」「スタッフ職」を一括採用し、入社後は販売を基本とした売場運営を経験してから、適性や本人の希望に応じてジョブローテーションを行います。中途採用においても、百貨店業界への理解と顧客サービスへの強い意欲を持つ人材が評価される傾向にあります。
転職成功のポイント
高島屋への転職を成功させるためには、まず百貨店業界の現状と将来性について深い理解を持つことが重要です。面接では「百貨店業界はどのように向かっていくと思いますか?」といった業界全体に関する質問が投げかけられることもあります。また、高島屋の歴史と伝統を理解した上で、自分がどのような販売員やスタッフになりたいかという明確なビジョンを持つことが求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
中途採用実績 | 積極的に実施 |
求める人材像 | 「人を信じ、人を愛し、人につくす」精神を体現できる人材 |
応募条件 | 職種により異なる |
選考プロセス | 筆記試験・複数回面接 |
選考プロセスでは筆記試験がありますが、結果はあまり重視されない傾向があります。むしろ面接での人柄や販売への熱意が重要視されるため、リラックスして笑顔で明るく臨むことが大切です。高島屋の企業理念や事業内容について事前にしっかりと調査し、なぜ高島屋を選んだのかという明確な理由を持って面接に挑むことが転職成功の鍵となります。
まとめ
高島屋の平均年収は738万円と業界平均を大きく上回り、百貨店業界でも上位の水準を誇っています。平均勤続年数25.4年という長期雇用の安定性と、年間休日120日、有給取得率90%という働きやすい環境が整っていることが大きな魅力です。福利厚生も充実しており、特に育児支援制度では「プラチナくるみん」認定を取得するなど、ワークライフバランスを重視した制度が整備されています。
転職を検討される方は、百貨店業界の変革期という背景を理解し、伝統を大切にしながらも新しい価値創造に挑戦する高島屋の姿勢に共感できるかどうかが重要なポイントになります。安定した経営基盤と充実した待遇を求める方、顧客サービスに情熱を持って取り組みたい方にとって、高島屋は魅力的な転職先の一つと言えるでしょう。ただし、役職別・年齢別の詳細な年収データは非公開となっているため、具体的な待遇については面接時に確認されることをお勧めします。