東急株式会社（以下、東急）は、1922年の創業以来、鉄道事業を基盤として都市開発、生活サービス、ホテル・リゾートなど多岐にわたる事業を展開する東急グループの中核企業です。渋谷を中心とした街づくりから東急沿線エリア全体の価値向上まで、総合生活産業として多角的な事業を推進しています。

この記事では、東急への転職や就職を検討されている方に向けて、同社の最新年収データから役職別・年齢別の詳細な給与情報、福利厚生、転職難易度まで徹底的に解説します。有価証券報告書に基づく正確な情報をもとに、東急で働く魅力と実態をお伝えします。

東急株式会社の会社概要

東急株式会社は、鉄道事業を起点とした総合生活産業グループの持株会社として機能し、交通・不動産・生活サービス・ホテル・リゾートの4つの主要セグメントを通じて事業を展開しています。特に渋谷エリアの再開発においては中核的な役割を果たしており、渋谷スクランブルスクエアや渋谷ストリームなどの大型プロジェクトを手がけています。東急線沿線を基盤とした街づくりを通じて、住む人・働く人・訪れる人すべてにとって魅力的な都市環境の創造を目指しています。

東急株式会社の基本情報

項目	詳細
会社名	東急株式会社
本社所在地	東京都渋谷区南平台町5番6号
設立年	1922年
業種	陸運業（持株会社）
事業内容	交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業
上場市場	東京証券取引所プライム市場

東急の事業は、鉄道・バス・空港運営を担う交通事業、不動産販売・賃貸・管理・仲介・建設を手がける不動産事業、百貨店・チェーンストア・ショッピングセンター・クレジットカード・ケーブルテレビ・広告・映像事業を展開する生活サービス事業、ホテル・ゴルフ場運営を行うホテル・リゾート事業の4つのセグメントから構成されています。これらの事業が有機的に連携することで、東急線沿線を中心とした総合的な街づくりを実現し、地域の価値向上と生活の質の向上を図っています。2024年度を始期とする中期3か年経営計画では、資本効率を重視した経営への転換を図り、持続的な企業価値向上を目指しています。

東急株式会社の平均年収はどのぐらい？

東急株式会社の2024年3月期における平均年収は777万円です。これは有価証券報告書に記載された正式なデータで、平均年齢43.4歳、平均勤続年数14年7か月の従業員1,525名を対象とした数値となっています。日本全体の平均年収と比較すると、東急の年収水準は相当に高い水準にあることが分かります。

年度別の平均年収推移

年度	平均年収	平均年齢	従業員数
2024年3月期	777万円	43.4歳	1,525名
2023年3月期	745万円	43.0歳	1,482名
2022年3月期	745万円	42.8歳	1,414名
2021年3月期	736万円	42.5歳	1,461名
2020年3月期	776万円	42.0歳	1,417名
2019年3月期	797万円	41.8歳	1,344名

出典：東急株式会社 有価証券報告書（2024年3月期）

東急の平均年収は過去6年間で740万円〜797万円の範囲で推移しており、直近の2024年3月期では前年同期から32万円上昇し777万円となりました。新型コロナウイルスの影響で2021年から2023年にかけて一時的に年収水準が下がりましたが、事業の回復とともに年収も上昇傾向にあります。平均年齢も徐々に上昇しており、組織の成熟度が高まっていることが伺えます。

他企業との比較データ

企業名	平均年収	平均年齢	業界
東急株式会社	777万円	43.4歳	陸運業
JR東日本	639万円	37.8歳	陸運業
小田急電鉄	697万円	41.5歳	陸運業
京王電鉄	650万円	40.2歳	陸運業
東武鉄道	634万円	39.8歳	陸運業

同業他社との比較では、東急の平均年収777万円は鉄道業界の中でもトップクラスの水準にあります。JR東日本と比較すると138万円、小田急電鉄と比較しても80万円高い水準となっています。これは東急が純粋な鉄道事業だけでなく、不動産開発や生活サービスなど多角的な事業展開を行う総合企業であることが影響しています。特に収益性の高い不動産事業の比重が大きいことが、高い年収水準を実現する要因となっています。

東急株式会社の役職別年収データ

役職	推定年収（万円）
一般社員	500〜700万円
係長・主任クラス	700〜900万円
課長クラス	1,000〜1,300万円
部長クラス	1,300〜1,800万円
役員クラス	2,000万円以上

東急の役職別年収は、一般的な大手企業と同様に年功序列的な昇進・昇格体系に基づいて設定されています。新卒入社の一般社員は500万円台からスタートし、係長・主任クラスで700万円〜900万円、課長クラスになると1,000万円を超える水準となります。部長クラスでは1,300万円〜1,800万円と高水準の年収が期待できます。

東急では総合職の場合、入社から課長職までは比較的順調に昇進できる傾向にあり、多くの社員が30代後半から40代前半で課長職に昇格しています。部長職以上への昇進は選抜制となり、個人の成果や能力、リーダーシップが重視されます。また、不動産事業部門では成果に応じたインセンティブ制度もあり、優秀な営業成績を収めた社員はより高い年収を得ることも可能です。

東急株式会社の年齢別年収推移

年代	推定年収範囲（万円）
20代	450〜650万円
30代	650〜900万円
40代	900〜1,300万円
50代以上	1,200〜1,800万円

東急の年齢別年収推移は、典型的な大手企業の給与カーブを描いています。20代の新卒社員は450万円〜650万円程度からスタートし、30代になると650万円〜900万円と大幅に上昇します。40代では管理職への昇進により900万円〜1,300万円、50代以上では部長職以上の管理職として1,200万円〜1,800万円の高水準に達します。

東急の給与体系は基本給と各種手当、年2回の賞与で構成されています。賞与は業績連動部分もあるため、会社全体の業績や個人の成果によって変動しますが、概ね基本給の4〜6か月分程度が支給されています。また、東急線・東急バスの無料乗車証が支給されるため、通勤費の負担が軽減される点も実質的な収入増につながっています。昇進・昇格は年功序列の要素が強いものの、近年は成果主義の導入も進んでおり、優秀な人材はより早期の昇進も可能になっています。

東急株式会社の福利厚生

東急株式会社は、社員が安心して長期的にキャリアを築けるよう、充実した福利厚生制度を整備しています。特に東急グループならではの特典や、ワークライフバランスを重視した制度が特徴的です。

交通・住居関連制度

東急線全線および東急バス全線の無料乗車証が支給され、通勤や業務での移動が無料となります。家族にも乗車証が発行されるため、家族全体での交通費負担が大幅に軽減されます。住居については、独身寮や社宅の制度があり、特に独身寮は設備が充実しており、入居者からの評価も高くなっています。ただし、一般的な住宅手当の支給は行われていないため、賃貸住宅に住む場合は自己負担となります。

休暇・働き方支援制度

年次有給休暇に加えて、リフレッシュ休暇、連続休暇制度、永年勤続表彰休暇など多様な休暇制度が設けられています。育児休業は男女問わず取得を推奨しており、2023年度の男性育児休業取得率は93.9%と高い水準を達成しています。フレックスタイム制やテレワーク制度も導入されており、職種によっては週4回のリモートワークが可能です。時短勤務制度も充実しており、育児や介護との両立をサポートしています。

資産形成・自己啓発支援

財形貯蓄制度、社員持株会制度、確定給付企業年金、確定拠出年金など資産形成支援制度が充実しています。退職金制度も整備されており、長期勤続による安定した老後生活をサポートしています。自己啓発面では、社内外の研修制度、資格取得支援制度、大学院派遣制度などがあり、一人当たり年間研修費は88,200円となっています。東急アカデミーという独自の経営人材育成プログラムも設けられています。

健康・生活支援制度

企業立病院である東急病院を有しており、従業員とその家族の健康管理をサポートしています。カフェテリアプランによる多様な福利厚生メニューの選択が可能で、東急グループのホテル、ゴルフ場、商業施設等を社員価格で利用できます。健康経営優良法人（ホワイト500）に3年連続選定されるなど、健康経営にも積極的に取り組んでいます。社員食堂や社内カフェ、フィットネス施設等の職場環境整備も進んでいます。

東急株式会社の転職難易度は？

東急株式会社への転職難易度は、職種や経験年数によって異なりますが、全体的には「やや高い」レベルにあると考えられます。東急グループのブランド力の高さ、充実した福利厚生、安定した経営基盤などから転職市場では非常に人気が高く、優秀な候補者が多く応募する傾向にあります。特に不動産開発や渋谷再開発プロジェクトに関わるポジションでは、高度な専門性と豊富な経験が求められます。

求められる人材像

東急が求める人材像は、「美しい生活環境の創造」という企業理念に共感し、長期的な街づくりのビジョンを持って事業に取り組める人材です。総合職では、論理的思考力と課題解決能力、コミュニケーション能力、リーダーシップが重視されます。また、多角的な事業展開を行っているため、事業間の連携を意識し、グループ全体最適の視点で物事を考えられる人材が求められています。

近年は、デジタル変革（DX）推進、サステナビリティ経営、新規事業創出などの分野での専門人材の採用を強化しています。不動産業界での経験、金融業界での経験、コンサルティング業界での経験などが評価される傾向にあります。語学力については、海外事業展開も行っているため、英語力があると評価されますが、必須要件ではありません。

転職成功のポイント

東急への転職を成功させるためには、まず同社の事業内容と中期経営計画を十分に理解することが重要です。特に「中期3か年経営計画」で掲げられている重点施策や、渋谷を中心とした大規模開発プロジェクトについて詳しく調べ、自分の経験やスキルがどのように貢献できるかを具体的に説明できるよう準備しましょう。

職務経歴書では、これまでの成果を定量的に示し、東急の事業に活かせる専門性や経験をアピールすることが大切です。面接では、東急の企業理念への共感を示すとともに、長期的なキャリアビジョンを明確に伝えることが求められます。また、東急は社会貢献性の高い事業を展開しているため、社会課題解決への関心や取り組み経験があると評価されやすくなります。

転職エージェントを活用する場合は、不動産業界や鉄道業界に強いエージェントを選ぶことをお勧めします。業界の動向や東急の採用傾向について詳しい情報を得られるとともに、書類選考や面接対策についても的確なアドバイスを受けることができます。

まとめ

東急株式会社の平均年収777万円は、同業他社と比較しても高い水準にあり、安定した給与体系と充実した福利厚生が魅力的な企業です。鉄道事業を基盤とした総合生活産業として、不動産開発、生活サービス、ホテル・リゾート事業を展開し、特に渋谷エリアの再開発では中核的な役割を果たしています。

年功序列的な昇進体系により安定したキャリアパスが描けるとともに、近年は成果主義の導入も進んでおり、能力や成果に応じた処遇も期待できます。東急線・東急バスの無料乗車証支給、独身寮・社宅制度、充実した研修制度など、東急ならではの福利厚生も魅力です。

転職を検討される方は、東急の事業内容と将来戦略をよく理解し、自分の経験・スキルがどのように貢献できるかを明確に整理することが重要です。特に不動産業界経験者、プロジェクトマネジメント経験者、DX推進経験者などは歓迎される傾向にあります。長期的な街づくりに携わり、社会に貢献できる仕事を求める方にとって、東急は非常に魅力的な転職先といえるでしょう。