東鉄工業株式会社(以下、東鉄工業)は、JR東日本とつながりが深い中堅ゼネコンとして、鉄道関連工事を中心に事業を展開している建設会社です。1943年に鉄道省の指導により設立された歴史ある企業で、線路事業では国内最大規模のシェアを誇ります。本記事では、東鉄工業の平均年収や年齢別・役職別の年収推移、福利厚生、転職難易度まで詳しく解説します。転職を検討している方や就職活動中の学生にとって役立つ情報をお届けします。
東鉄工業の会社概要
東鉄工業は、JR東日本のパートナー会社として鉄道関連工事に強みを持つ中堅ゼネコンです。国内シェアNo.1の線路メンテナンス工事を手掛け、JR東日本管内の線路メンテナンスの約3割を担っています。線路・土木・建築・環境の4事業を柱とし、鉄道工事の専門技術をコアコンピタンスとする総合建設業として、建設業界に独自の地歩を確保しています。
東鉄工業の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 東鉄工業株式会社 |
本社所在地 | 東京都新宿区信濃町34 JR信濃町ビル 4F |
設立年 | 1943年(昭和18年)7月7日 |
業種 | 建設業(ゼネコン) |
事業内容 | 線路・土木・建築・環境事業 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
東鉄工業の事業は4つの分野に分かれています。線路事業では新幹線・在来線のレール削正やメンテナンス工事を行い、国内シェアNo.1を誇ります。土木事業では高架橋や橋梁、トンネルの新設・改良・補強工事、立体交差工事を手掛けています。建築事業ではマンションや店舗、学校建設のほか、駅舎や駅関連施設の建築も行っています。環境事業では再生水製造システムや省電システムの開発、壁面緑化などの環境保全技術に取り組んでいます。創業時の経緯から鉄道工事に特化した専門技術を持ち、現在もJR東日本との強固なパートナーシップを維持しています。
東鉄工業の平均年収はどのぐらい?
東鉄工業の2024年の平均年収は860万円でした。全国の平均年収が460万円(国税庁調べ)であることを考えると、400万円近く高い水準となっています。東証プライム上場企業の平均年収は742万円のため、プライム内でも高い給与水準と言えます。また、東証プライムの建設・資材業界の平均年収は786万円のため、業界内でも比較的年収の高い企業となっています。
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年 | 860万円 | 40.8歳 | 13.6年 | 1,662人 |
2023年 | 851万円 | 40.8歳 | 13.6年 | 1,658人 |
2022年 | 819万円 | 40.6歳 | 13.7年 | 1,710人 |
2021年 | 804万円 | 40.5歳 | 13.8年 | 1,705人 |
2020年 | 798万円 | 40.3歳 | 13.9年 | 1,698人 |
2019年 | 792万円 | 40.1歳 | 14.0年 | 1,695人 |
出典:東鉄工業株式会社 有価証券報告書(2020年3月期~2024年3月期)
年度別の平均年収推移を見ると、東鉄工業の年収は着実に上昇傾向にあります。2019年の792万円から2024年の860万円まで、5年間で68万円の増加となっています。平均年齢は40歳前後で安定しており、平均勤続年数は13〜14年程度を維持しています。従業員数は1,600〜1,700人台で推移しており、組織規模の安定性も確認できます。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業種 |
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鹿島建設 | 1,177万円 | 総合建設業 |
大成建設 | 1,050万円 | 総合建設業 |
清水建設 | 1,010万円 | 総合建設業 |
東鉄工業 | 860万円 | 建設業(鉄道特化) |
建設業界平均 | 786万円 | 建設・資材業界 |
同業他社との比較では、スーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社には及びませんが、業界平均から74万円高く、業界内順位は35位(全128社中)となっています。東鉄工業は鉄道関連工事に特化した中堅ゼネコンとして、専門性を活かした安定した収益基盤を築いており、その結果として業界平均を上回る年収水準を実現しています。
東鉄工業の役職別年収データ
東鉄工業の役職別年収については、公式データとしては非開示となっています。ただし、総合職の平均年収は998万円、管理職級の平均年収は1,326万円前後になります。また、2024年度の役員報酬は、役員全体で平均3,366万円でした。一般的な建設業界の役職別年収水準と東鉄工業の平均年収860万円を参考に、推定される年収レンジをご紹介します。
役職 | 推定年収(万円) |
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係長・主任クラス | 700〜800 |
課長クラス | 900〜1,100 |
部長クラス | 1,200〜1,500 |
執行役員クラス | 1,500〜2,000 |
東鉄工業では年功序列の要素が強い給与体系となっており、役職昇進とともに着実に年収がアップする仕組みです。特に課長クラス以上では、基本給に加えて管理職手当や成果報酬が加算されるため、大幅な年収向上が期待できます。ただし、管理職になると残業代が支給されなくなるため、昇進直前の残業代込みの年収と比較すると、一時的に下がる可能性もあります。
東鉄工業の年齢別年収推移
新卒直後の20代では年収541万円からスタートし、働き盛りの30代では年収784万円、管理職割合が増えだす40代では年収874万円、最高年収に到達する50代では、年収921万円に到達します。東鉄工業では年功序列の要素が強いため、年齢とともに着実に年収が上昇していく傾向にあります。
年代 | 推定年収範囲(万円) | 主な役職・ポジション |
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20代 | 500〜650 | 一般社員・主任候補 |
30代 | 650〜850 | 主任・係長クラス |
40代 | 800〜1,000 | 課長クラス |
50代以上 | 900〜1,200 | 部長・執行役員クラス |
年齢別の年収推移を見ると、東鉄工業では20代から30代にかけて年収が大きく伸びる傾向があります。これは主任や係長への昇進時期と重なるためです。40代以降は管理職への昇進により、さらなる年収アップが期待できます。50代では部長クラスへの昇進により、年収1,000万円を超える社員も多数存在します。ただし、60歳での役職定年制があるため、定年後の再雇用時には年収が下がることが一般的です。
東鉄工業の福利厚生
東鉄工業では、社員の働きやすさと充実した生活をサポートするため、幅広い福利厚生制度を整備しています。住宅支援として、独身社員には家賃補助60,000円、結婚している社員が家族と一緒に暮らす場合は家賃補助90,000円が支給されます。また、退職金は3年目から出る仕組みになっており、長期勤続をサポートしています。
制度・手当 | 内容 |
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住宅手当 | 独身60,000円、家族有90,000円 |
住宅取得援助金 | マイホーム取得後、月5,000円(最大10年間) |
退職金制度 | 勤続3年目から支給開始 |
人間ドック補助 | 35歳以上4万円、配偶者2万円 |
資格取得手当 | 技術士・一級建築士:月13,000円 |
資格取得補助金 | 技術士・一級建築士取得時:250,000円 |
宿泊補助 | ベネフィット・ステーション:1泊2,500円 |
持株会制度 | 拠出金の10%を奨励金として支給 |
東鉄工業の福利厚生の特徴は、建設業界で働く社員のニーズに合わせた実用的な制度が充実している点です。技能手当では、建設業にとって必須資格である一級土木、建築施工管理技士や、会社として必要な資格である一級建築士、技術士などの資格を取得した社員に毎月技能手当を支給しています。また、東京ヤクルトスワローズのオフィシャルスポンサーとして、年に1回「東鉄工業ファミリーナイター」を開催し、社員やご家族を招待するなど、社員の家族も含めた交流機会を提供しています。
東鉄工業の転職難易度は?
東鉄工業への転職難易度は、職種や経験によって異なりますが、建設業界での実務経験と相応の資格を持つ方にとっては比較的転職しやすい企業と言えます。中途採用比率は2021年度、2022年度ともに9%となっており、新卒採用中心ながらも一定数の中途採用を実施しています。
求められる人材像
東鉄工業が求める人材像は、仕事に対する情熱がある方、自ら考えて行動するバイタリティのある方、チームワークを大切にできる豊かな人間性を兼ね備え未来の東鉄工業を一緒に作り上げてくのは自分だという強い意志を持った方です。特に鉄道関連工事の専門性を重視しており、関連する実務経験や資格を持つ人材を積極的に採用しています。
項目 | 内容 |
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中途採用実績 | 2022年度:9%(全採用者に占める割合) |
主な募集職種 | 施工管理(線路・土木・建築)、技術営業、積算業務 |
推奨資格 | 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士等 |
必要経験 | 関連職種で実務経験3年以上 |
選考プロセス | 筆記試験(一般・専門)、面接試験、適性検査 |
試用期間 | 3ヵ月間 |
転職成功のポイント
東鉄工業への転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。まず、建設業界、特に鉄道関連工事での実務経験をアピールすることが最も重要です。線路工事の施工管理、土木工事の施工管理、建築工事の施工管理など、専門性の高い職種での経験が求められています。次に、関連資格の取得が転職成功の鍵となります。1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士などの国家資格は特に評価されます。また、東鉄工業はJR東日本のパートナー会社という特性上、鉄道業界への理解と興味を示すことも重要です。面接では、なぜ東鉄工業を選んだのか、鉄道インフラの重要性への理解を具体的に伝えることが求められます。
まとめ
東鉄工業は、鉄道関連工事に特化した専門性の高い中堅ゼネコンとして、安定した経営基盤と高い年収水準を実現している企業です。平均年収860万円は建設業界の中でも高い水準にあり、年功序列の要素が強い給与体系により、長期的なキャリア形成が可能です。福利厚生も充実しており、特に住宅支援や資格取得支援などが手厚く、働きやすい環境が整備されています。
転職を検討している方にとって、東鉄工業は建設業界での実務経験と相応の資格があれば比較的入社しやすく、入社後は安定した収入とキャリアアップが期待できる魅力的な企業と言えるでしょう。ただし、鉄道関連工事という専門性の高い分野であるため、業界への理解と専門知識の習得が継続的に求められます。長期的に建設業界でのキャリアを積みたい方、特に鉄道インフラの維持・発展に貢献したい方にとって、東鉄工業は理想的な転職先の一つと考えられます。