工具や作業用品の専門商社として業界をリードするトラスコ中山株式会社(以下、トラスコ中山)は、「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージに掲げ、製造業界に不可欠な存在として確固たる地位を築いています。
本記事では、トラスコ中山の2024年3月期有価証券報告書による平均年収は720万円(平均年齢43.7歳)について、年度別推移から役職別・年齢別の詳細データまで、転職や就職を検討している方に役立つ最新の年収情報を詳しく解説します。同業他社との比較や福利厚生についても触れており、キャリア形成の参考となる情報を網羅的にお届けします。
トラスコ中山の会社概要
トラスコ中山株式会社は、生産現場で必要とされる作業工具、測定工具、切削工具をはじめ、あらゆる工場用副資材(プロツール)の卸売業として1964年に設立されました。全国に28か所の物流センターを完備し、在庫アイテム数は60万という、業界でも圧倒的な在庫を保有しています。
現在では約3,500社から様々な作業用品・工具を仕入れ、日本全国の製造業・建設業・一般消費者にスピード配送する卸売・物流ビジネスを展開しており、TRUST(信頼)+COMPANY(企業):信頼を生む企業=TRUSCOという企業理念のもと、日本のモノづくりに貢献し続けています。
トラスコ中山の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | トラスコ中山株式会社 |
本社所在地 | 東京都港区新橋四丁目28番1号 トラスコ フィオリートビル |
設立年 | 1964年 |
業種 | 卸売業(専門商社) |
事業内容 | 機械工具、物流機器、環境安全用品をはじめとしたプロツール(工場用副資材)の卸売業及び自社ブランドTRUSCOの企画開発 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
トラスコ中山は、ファクトリールート事業(製造業・建設関連業向け卸売)、eビジネスルート事業(ネット通販企業向け販売、自社電子カタログ『オレンジブック』顧客向け販売など)、ホームセンタールート事業(ホームセンター・プロショップ向け販売)、海外ルート事業(ドイツ・タイ・台湾などにおける事業展開)、の4事業を展開しています。ファクトリールート事業が売上高の約66%を占め、主力事業として位置づけられています。また、プライベート・ブランド「TRUSCO」は約9万アイテムを展開しており、独自の商品開発力も強みの一つです。
トラスコ中山の平均年収はどのぐらい?
トラスコ中山の2024年3月期有価証券報告書による平均年収は720万円(平均年齢43.7歳)となっており、業界平均と比較しても高水準を維持しています。建設業における賃金実態調査によると、製造業・卸売業を含む関連業界の平均年収はおおよそ500万円台とされており、これと比較すると、トラスコ中山の平均年収720万円は明らかに高水準です。
年度別の平均年収推移
トラスコ中山の過去数年間における平均年収の推移を見ると、業績連動による変動がありながらも、近年は上昇傾向を示しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 720万円 | 43.7歳 | – | – |
2023年12月期 | 662万円 | 39.9歳 | 15.4年 | 1,593人 |
2022年12月期 | 661万円 | – | – | – |
2021年12月期 | 615万円 | – | – | – |
2020年12月期 | 618万円 | – | – | – |
2019年12月期 | 654万円 | – | – | – |
出典:トラスコ中山株式会社 有価証券報告書(2024年3月期)及び各期有価証券報告書
トラスコ中山の平均年収は2018年まで700万円台で推移していたが、同年以降は620万〜660万円ほどに後退。ただし、2024年には平均年収720万円まで再上昇を遂げていることがわかります。この上昇は企業の業績回復と人材確保への積極的な投資が背景にあると考えられます。
他企業との比較データ
同業他社と比較した場合のトラスコ中山の年収水準について見てみましょう。卸売業界での競合企業との比較では、トラスコ中山は業界内でも上位に位置しています。
企業名 | 平均年収 | 業界順位 |
---|---|---|
トラスコ中山 | 720万円 | 上位 |
業界平均(卸売業) | 626万円 | – |
全国平均(上場企業) | 614万円 | – |
トラスコ中山が属する商社・卸売業界の上場企業の平均年収は626.0万円です。そのため、トラスコ中山の年収は業界平均と比べて28.3万円高く、業界内順位を見ると330社中114位と高い順位となっています。また、日本の上場企業の平均年収と比べると41.8万円高く、上場企業以外も含めた全国平均の年収と比較すると222.1万円高くなっています。
トラスコ中山の役職別年収データ
トラスコ中山における役職別の年収について、公式データと推定値をもとに詳しく見ていきましょう。一般的な専門商社の昇進パターンと同社の平均年収をベースに算出した推定値となります。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 750-850万円 |
課長クラス | 850-950万円 |
部長クラス | 1,000-1,200万円 |
大卒総合職の場合、30歳で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収850万~950万円ほどという水準が示されています。また、他の情報源によると、係長の平均年収は821万円、課長の平均年収は1073万円、部長の平均年収は1294万円という推定値も報告されており、同業界の平均と比較して比較的高い水準にあることがわかります。
トラスコ中山では、年功序列的な昇進システムと実力評価を組み合わせた人事制度を採用しており、一定の年数を経て役職に就くことで年収の大幅な向上が期待できます。特に課長職以上になると、基本給に加えて管理職手当が支給されるため、年収水準が大きく向上する傾向にあります。
トラスコ中山の年齢別年収推移
年齢別の年収推移について、統計データをもとにした推定値をご紹介します。トラスコ中山の年齢別年収は、経験年数と役職への昇進に応じて段階的に上昇する特徴があります。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 400-550万円 |
30代 | 550-700万円 |
40代 | 700-900万円 |
50代以上 | 800-1,200万円 |
トラスコ中山の20代の想定平均年収は478万円、30代の想定平均年収は668万円という推定値が示されています。また、トラスコ中山の年代別の年収は50~59歳がピークで893万円となっており、20~24歳が最も低く324万円という情報もあり、年齢とともに着実に年収が上昇していく構造であることがわかります。
新卒入社の場合、大卒初任給は27万5,000円、住宅手当含む月収は月額平均約9.5%引き上げが実施されており、初任給水準も業界内では競争力のある水準となっています。
トラスコ中山の福利厚生
トラスコ中山では、従業員の働きやすさと生活の質向上を目的とした充実した福利厚生制度を整備しています。
住宅・生活支援
- 社宅や独身寮の提供により、住居費の負担軽減を図っています。
- 家賃補助制度があり、住宅購入時には金利優遇や融資制度も提供されています。
- 住宅補助手当の増額を実施しており、従業員の生活基盤をサポートしています。
休暇制度
- 年次有給休暇に加え、計画取得やバースデー休暇、永年勤続休暇制度があります。
- 産前産後休暇、育児休暇や育児時短勤務制度が充実しており、女性従業員の育休取得率は、100.0%を達成しています。
- 介護休暇や記念日休暇なども設けられています。
賞与・手当制度
- 賞与:年に2回(6月と12月)賞与が支給、業績と連携しているものの安定的に支給されています。
- 全社予算達成時には達成報奨金が全社員に支給されるため、会社の業績向上への意欲を高める仕組みがあります。
- 財産形成貯蓄制度や持株会制度、各種保険への加入サポートも提供されています。
働き方・労働環境
制度・指標 | 内容 |
---|---|
平均残業時間 | 一月あたり25.0時間 |
有給休暇取得率 | 57.4% |
有給取得日数 | 一年で13.8日 |
平均勤続年数 | 15.4年 |
トラスコ中山では、勤怠をシステム管理し、労働時間の把握と是正を実施しており、残業時間が30時間を超えた場合に報告書を提出する仕組みで長時間労働の防止に取り組んでいます。
トラスコ中山の転職難易度は?
トラスコ中山への転職難易度について、採用状況と求められる人材像から詳しく解説します。
トラスコ中山の就職難易度は、穴場です。採用倍率は約12倍で、ES通過率は90%です。学歴フィルターはないと考えられます。採用大学がMARCH・関関同立から地方の女子大まで幅広いためです。採用人数(90人)の割に応募者数(約1100人)が少なく、低倍率になっています。
求められる人材像
トラスコ中山では、以下のような人材を求めています。
- 製造業やモノづくりに対する理解と興味を持つ人材
- 顧客との長期的な関係構築を重視できるコミュニケーション能力
- 幅広い商品知識を習得する学習意欲のある人材
- チームワークを大切にし、360度評価システムに適応できる人材
転職成功のポイント
トラスコ中山への転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
- 企業理解の深化:「がんばれ!!日本のモノづくり」を企業メッセージとして掲げる同社の使命を理解し、モノづくり業界への貢献意欲をアピールすることが重要です。
- 業界知識の習得:工具や作業用品に関する基礎知識、専門商社のビジネスモデルについて理解を深めておきましょう。
- 営業経験の活用:BtoB営業経験がある場合は、ルートセールスや提案営業の実績を具体的にアピールしましょう。
- 長期的なキャリアビジョン:同社の平均勤続年数は15.4年と長く、長期的に腰を据えて働く意志を示すことが効果的です。
項目 | 内容 |
---|---|
中途採用実績 | 積極的に中途採用を実施 |
求める人材像 | モノづくりへの理解、顧客志向、学習意欲 |
応募条件 | 学歴不問、業界経験優遇 |
選考プロセス | ES・面接重視、人物評価中心 |
まとめ
トラスコ中山の平均年収は720万円(2024年3月期)で、業界平均を大きく上回る高水準を維持しており、充実した福利厚生と安定した雇用環境が魅力の企業です。
トラスコ中山は、工具・作業用品の専門商社として確固たる地位を築いており、平均年収720万円という業界上位の待遇を提供しています。年齢とともに着実に年収が上昇する仕組みが整備されており、特に30歳で550-600万円、課長職で850-950万円という水準は、同業他社と比較しても競争力のある条件といえます。
福利厚生面では、住宅支援から休暇制度まで幅広くサポートが提供されており、女性従業員の育休取得率100%など、働きやすい環境づくりにも力を入れています。また、平均勤続年数15.4年という数値が示すように、長期的に安定して働ける職場環境が整っています。
転職を検討されている方にとって、トラスコ中山は「日本のモノづくりを支える」という明確な使命感のもと、安定した収入と充実した福利厚生を両立できる魅力的な選択肢です。特に製造業界でのキャリア形成を希望する方や、BtoB営業の経験を活かしたい方には、長期的なキャリア発展の機会が豊富に用意されている企業といえるでしょう。