「商社は、どんな仕事があるのか詳しく知りたい」
「商社に向いている人はどんな人だろう」
商社にはキラキラ輝くイメージがあって興味があるけど、実際にどんな仕事をする業界なのか、自分が向いているのか悩んでいる就活生もいるでしょう。
この記事では商社の業務内容や年収、どんな人が向いているのかについて詳しく解説します。
商社の業界を理解して自分に向いているか把握でき、就活活動の選択肢として検討することができるでしょう。
商社とは?
商社とは国内外の製品やサービスを仕入れ、取引先企業に販売する仲介業務を行う業種のことです。
商社で取り扱うものは製品といった形あるものだけでなく、金融や投資、インフラ整備などのサービスを提供する場合もあります。
商社には「総合商社」と「専門商社」の2種類があり、それぞれ取り扱い商品やサービスの種類が異なります。
総合商社
総合商社は、幅広い分野の商品やサービスを扱う大規模な商社です。
取り扱いはエネルギーや食品、化学品など、幅広い業界にわたって取引を行うのが特徴で「カップラーメンからロケットまで」と言われるほど多様な商材を扱っています。
活動拠点は世界中の市場で取引先も多岐にわたり、グローバルなネットワークと豊富な資金力を持っています。
一般的に総合商社とは、大手商社7社を指します。
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 三井物産
- 丸紅
- 住友商事
- 豊田通商
- 双日
その中でも大手総合総社と言われているのが三菱商事、住友商事、伊藤忠商事の3社です。
専門商社
専門商社は、特定の分野や商品に特化して取引を行っている商社です。
下記のような特定の業界に焦点を当て、分野への深い知識と専門性を持って取引を行います。
- 繊維
- 鉄鋼
- 食品
- 機械
- 医療機器
総合商社に比べて扱う商品や取引範囲は限定されますが、専門分野として独自のノウハウや取引先とのネットワークを持つことが強みです。
また、取引先に合わせてスピーディーかつ柔軟に対応できる点が強みであり、業界内での信頼を築きやすいという特徴もあります。
商社とメーカーの違いとは?
商社とメーカーは「モノ」を販売している点では同じですが、市場における役割や取り扱い商品に大きな違いがあります。
商社は国内外から製品やサービスを仕入れ、取引先に販売する「仲介業務」を行う企業で、自社で製品の製造をすることはありません。一方、メーカーは自社で製品の企画から製造までを担い、販売する企業です。
商社とメーカーの違いの比較
商社 | メーカー | |
製造機能 | 自社では製造せず、他社の商品を取り扱う | 自社で製品を製造する |
取り扱う商品 | 幅広い商品 | 自社製品に特化 |
主な役割 | 製品の調達・販売・流通 | 製品の開発・製造・販売 |
強み | 幅広い商材情報力ネットワーク | 製造技術製品開発力 |
商社は幅広い商品を取り扱い取引しているのに対し、メーカーは独自性と品質をアピールして自社製品を市場に販売しています。
商社の年収はどれくらい?
毎年発行されている会社四季報の「業界地図2023年度版 業界別平均年収ランキング」によると総合商社の平均年収は1319万円、専門商社の平均年収は726万円と、共に高水準です。
2023年に国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」によると、民間の給与所得者の平均年収は458万円です。
大手総合商社では、平均年収が1,000万円を超えることが多く、若手社員でも高い給与水準が期待できます。例えば、30代前半で800万円から1,000万円程度、さらに管理職や役職が上がると1,500万円以上の年収を得るケースも珍しくありません。
それぞれの有価証券報告書によると、上位3社の商社の平均年収は以下の通りです。
- 三菱商事株式会社 約1939万円
- 三井物産株式会社 約1783万円
- 伊藤忠商事株式会社 約1730万円
大手商社の商社の年収を平均すると1817万円であり、日本における平均年収の約4倍と、年収の水準が高い業界と言えるでしょう。
商社の業務内容
商社の主な業務内容は、以下の2つです。
- トレーディング
- 事業投資
それぞれの業務内容について、詳しく解説します。
トレーディング
トレーディングは商社の基本的な業務の1つで、国内外の企業から商品や原材料を調達し、他の企業に販売する重要な業務です。商社は売り手と買い手を結びつけるだけでなく、物流・品質管理や通関手続きなどのサポートも行います。
また、グローバル市場での取引となるので、取引先のビジネス習慣や法律を理解した上で業務にあたる必要があります。
トレーディング業務は、世界経済の状況によって大きく左右されるため、常に市場の変動に迅速に対応することが重要です。
事業投資
事業投資は商社が自社の資本を活用して、他の企業やプロジェクトに出資し、長期的な利益を得る業務です。
代表例として製造業に対して生産性向上のために新規設備を投資することや、投資先企業の成長を支援する役割も事業投資のひとつです。
事業投資は商社の収益源の一つであり、リスクを分散させながら多様な分野に展開されています。
商社での仕事内容とは
商社では職種によって仕事内容が異なり、役割に応じた専門的なスキルが求められます。
- 営業
- 事業企画
- 事務職
企業の成長に重要な役割を果たしている職種について、説明します。
営業
商社の営業は、顧客との関係構築や新規顧客の開拓を行うことが主な業務です。
商社営業は単に商品を売買するだけでなく、物流や金融、品質管理などの様々なサポートを提供し、取引全体をコーディネートします。また、顧客のニーズを把握して最適な商品やサービスの提案により、信頼関係を構築することが求められます。
商社は国際的な取引が多く、営業担当者には語学力や異文化対応力も重要です。他にも、取引先との良好な関係を長期的に築く必要があるため、コミュニケーション能力も大切です。
事業企画
事業企画職は新規事業や戦略立案のために「どのような企業と取引すべきか」「どの分野に進出すべきか」を検討し、プロジェクト立ち上げを担当する職種です。
市場の分析や競合他社の動向などの多面的な視点から、最適なビジネスパートナーや進出先を検討し、具体的な事業計画を立てることが求められます。他にも、事業企画では市場動向を長期的に予測し、新規プロジェクトを打ち出す能力も必要です。
また、プロジェクトの成功に向けて社内外の関係者との連携を図りながら、実行までのプロセスをリードしていく役割も担っております。
事務職
商社の事務職は会社のプロジェクトが円滑に進むために、電話対応や書類作成などを担当します。
契約書の作成や確認などの一般事務から、取引先が海外となると税関を通すのに必要な通関手続きなど、事務職でも専門知識が必要な場合があります。商社では海外の取引先も多いため、電話や来客対応では語学力とコミュニケーション能力が必要です。
営業部門を支えるためにスケジュール管理や会議の準備など、幅広い業務をこなすことが求められるため、会社のスムーズな運営を支える大切な役割を担っています。
商社に向いている人の特徴
商社に向いている人の特徴は、以下の通りです。
- コミュニケーション能力が高い
- 体力がある
- 言語力がある
- リーダーシップや実行力が高い
どのような人が商社に向いているのか、自分の強みと照らし合わせながら、参考にしてください。
コミュニケーション能力が高い
商社では顧客や取引先とのやり取りが多いため、コミュニケーション能力が重要です。
取引先の要望を的確に「聞く能力」や、良い商品やサービスを宣伝する「伝える能力」を身につけると、業務に関わる人との信頼関係を構築できます。
また、社内のチームメンバーとの連携も大切です。プロジェクトを円滑に進めるためには、互いを思いやる円滑なコミュニケーションスキルが欠かせません。
体力がある
商社は国内外の取引先との交渉をタイムリーに行う必要があるため、体力が重要です。
職種によってはオフィスで作業するのではなく、1日中外出先で動き回ることもあります。商社の業務では取引先との交渉や会議が夜遅くまで続く場合もあり、高いパフォーマンスを維持するためには、日々の健康管理やスタミナが大切です。
また、国際的な取引の場合には海外出張だけでなく、現地時間でのオンライン会議により生活リズムが崩れる場合もあります。
商社マンとしてプロジェクトを達成するための体力は、必要不可欠でしょう。
語学力がある
商社での取引先は国外にも及ぶため、語学力がある人が向いているでしょう。
よく使用される言語は英語と中国語で、日常会話だけでなくビジネス会話ができると、信頼関係を深めやすくなります。取引先の言語が話せると、商談や交渉を有利に進めることができます。
英語力を証明するためにはTOEICなどの資格を取得し、選考でアピールするといいでしょう。
リーダーシップや実行力が高い
商社ではプロジェクト業務をやり抜くためのリーダーシップや、実行力が高い人が向いています。
プロジェクトを成功させるためには全体を見渡して指示を出し、チームを成功へとリードするリーダーシップが不可欠です。
また、どのような状況に立たされても柔軟に対応し、決断力を発揮してスピーディーに行動できることも必要です。
まとめ
今回は、商社の職種や業務内容、向いている人について解説しました。
商社は世界を舞台に仕事ができる業界で、幅広い業界を取引先としている総合商社と特定分野に特化した専門商社に区別されます。
商社ではコミュニケーション能力が高い人や体力がある人、語学力が高くリーダーシップや実行力が高い人が向いています。
商社について理解を深めることで、自分に適した業界を見つける手助けとなり、就職活動にも役立つでしょう。