食品業界への志望動機を書く際に「うまく書けず困っている」「食べることが好きという理由しか思いつかない」と悩む人は多いでしょう。
この記事では食品業界を目指す就活生向けに、志望動機の書き方・ポイントを例文付きで解説します。記事の内容は大きく分けると以下の通りです。
- 食品業界とは
- 食品業界の職種説明
- 食品業界向け志望動機の書き方・ポイント
- 食品業界向け職種別の志望動機【例文】
採用担当者の目に留まるような志望動機を書くためには、食品業界の特徴を理解することが大切です。この記事を読むことで食品業界への理解を深め、選考を突破できる志望動機を書けるようになりましょう!
食品業界とは
食品業界とは、原材料から加工食品、飲料、調味料などを製造する業界です。
業界内を大きく分けると「第一次産業」「食品メーカー」「商社」に分かれており、製造された食品は最終的にスーパーやコンビニなどの「小売店」で販売されます。「第一次産業」から「小売店」で販売されるまでの流れからわかるように、食品業界は基本的にBtoBの仕事です。
- 第一次産業:農業や漁業など、作った作物や採取したものを販売する
- 食品メーカー:原材料を仕入れ、食品を製造する
- 商社:原材料となる食品を第一次産業から仕入れて、食品メーカーに卸す
- 小売店:製造された食品を消費者に販売する
食品業界は人間が生きていくうえで欠かせない「食」を提供しており、人々の生活を直接的に支えている仕事と言えます。
食品業界【4つの職種】
食品業界には大きく分けると4つの職種があります。
- 商品企画・マーケティング
- 研究・開発
- 生産管理・品質管理
- 営業・販売促進
志望動機を考えるうえで、職種別に仕事内容を理解しておくことは大切です。特に食品業界では、エントリー時に職種別でコースが分かれている場合も少なくありません。自分が食品業界に入って「何がしたいのか」「どの分野で活躍したいのか」を企業研究する際に併せて考えておきましょう。
商品企画・マーケティング
商品企画・マーケティングとは、消費者ニーズや市場動向を基に、新商品や既存商品改良の企画を行う仕事です。売り出す商品のコンセプト立案から、パッケージデザイン、宣伝方法の企画など幅広い業務を担当します。
ヒット商品を生み出すために「消費者ニーズや市場調査から得られたデータを分析する力」と「アイディアを生み出す発想力」が求められる仕事です。また市場を調査・分析するだけでなく、トレンドや流行に敏感であることも消費者心理を理解するために必要だと言えます。
- 発想力が豊かな人
- 市場動向やトレンドに敏感な人
- 分析力がある人
研究・開発
研究・開発とは、商品企画部門で企画した製品を実際に作り上げる仕事です。開発だけではなく、味や冷凍技術など食に関するさまざまな研究も行っています。
農学・生物学・栄養学・化学などの専門知識が必要とされるため、理系大学出身の学生を応募条件に設けている企業が多くみられます。
研究・開発の仕事は、失敗を繰り返しても良い製品が完成するまで、諦めず仕事に取り組める粘り強い人におすすめです。
- 専門性が高く食に対する知識を持つ人
- 粘り強い人
生産管理・品質管理
生産管理は顧客からの受注を基に生産計画を立て、製品を効率よく生産するために人員や設備を管理する仕事です。特に食品業界は賞味期限や消費期限のある食品を扱うため、売上や在庫を確認し製造量をコントロールしながら生産する管理能力が求められます。また、新商品を生産する場合は、工程を設計する仕事もあります。
品質管理は製造された製品の安全性や品質基準を満たしているかチェックする仕事です。細菌検査や質の悪い商品の廃棄などを行っています。
生産管理・品質管理どちらの仕事でも工場で働く従業員へ指導を行うことがあり、マネジメント能力も求められる仕事です。
- 計画性がある人
- マネジメント能力が高い人
営業・販売促進
営業・販売促進とは、自社製品を多くの消費者に届けるため、小売店への営業活動や広告・プロモーションを行う仕事です。原材料メーカーの営業なら食品メーカーへ、食品メーカーなら小売店に営業をかけます。食品業界の営業では、既存顧客を定期的に訪問するルートセールスが多いため、自社製品の採用担当者と良好な関係性を築けるコミュニケーション能力が求められます。
また、営業は自社製品の売り込みだけではなく、商品の売れ行きや消費者像をヒアリングすることも大切です。ヒアリングした内容を企画部門や開発部門と共有することで、新商品の開発に役立てます。
その他にも、販売促進のために広告作成を手がけたり、小売店にディスプレイ提案をしたりと様々なプロモーション企画を立てて実行する行動力が必要です。
- コミュニケーション能力が高い人
- 傾聴力がある人
- 行動力がある人
食品業界向け志望動機の書き方・ポイント
食品業界向けの志望動機の書き方・ポイントは以下の通りです。
- 食品業界を選んだ理由を書く
- 志望企業でなければならない理由を書く
- 食品業界で活かせる強みや経験を書く
志望動機を「食べることが好きだから」だけで終わらせず、3つのポイントを盛り込むことで採用担当者の印象に残る志望動機が作成できます。
食品業界向けの志望動機の書き方・ポイントをそれぞれ紹介します。
1.食品業界を選んだ理由を書く
志望動機の書き方・ポイントの1つ目は、食品業界を選んだ理由を書くことです。個人的な「食べることが好き」という感情を書くのではなく、「食を通じて社会的にどんな影響を与えたい」のかを意識して書きましょう。
食品に興味をもったきっかけやエピソードを思い出しながら、自分の体験を入れ込むことで説得力が増した志望動機になります。
- ダイエットで食事制限をした経験から、ダイエット中でも美味しく栄養も摂れる食品を提供して人々に喜んでもらいたいと思ったから
- 自身が食品アレルギーをもっているため、アレルギーを持っている人でも食べられる代替食品で人々を笑顔にしたいから
2.志望企業でなければならない理由を書く
志望動機の書き方・ポイントの2つ目は、志望企業でなければならない理由を書くことです。
企業を志望する理由として「志望企業が販売している商品が好きだから」だけでは不十分です。志望企業の特徴や強みを理解し、自身の想いと重なる部分を伝えましょう。
企業の特徴や強みを知るためには企業研究が欠かせません。志望企業のビジネスモデル・社風・理念・商品コンセプトなどが志望企業でなければならない理由のヒントになるでしょう。ホームページの情報だけでなく、OB・OG訪問や会社説明会に参加し、実際に働いている人の声を聞くこともおすすめです。
3.食品業界で活かせる強みや経験を書く
志望動機の書き方・ポイントの3つ目は、食品業界で活かせる強みや経験を書くことです。就活生には職務経歴がないので、採用担当者は就活生が入社後自社でどんな風に活躍してくれるのかイメージし難い部分があります。入社後の活躍がイメージし易くなるように、これまでの経験から食品業界で活かせる強みを志望動機に書くことが大切です。
職種によって求められる強みやスキルが異なるため、志望職種に合う自身の強みを書きましょう。
職種 | 求められる強み・スキル |
商品企画・マーケティング | ・発想力 ・トレンドに敏感 ・分析力 |
研究・開発 | ・専門性が高い「食」の知識 ・粘り強さ |
生産管理・品質管理 | ・計画性 ・マネジメント能力 |
営業・販売促進 | ・コミュニケーション能力 ・傾聴力 ・行動力 |
食品業界向け志望動機【例文】
ここでは職種別に志望動機の例文を紹介します。
- 商品企画・マーケティングの場合
- 研究・開発の場合
- 生産管理・品質管理の場合
- 営業・販売促進の場合
例文を参考に自分なりのエピソードを交えた志望動機を考えてみましょう。
商品企画・マーケティングの場合
私が商品企画の仕事を目指している理由は、お菓子をコミュニケーションツールとして利用し、人と人を繋ぐ商品を生み出したいからです。
大学入学当初、コロナの影響からオンライン授業ばかりで友達がほとんどできませんでした。対面授業が始まってからもなかなか周りの人と馴染めなかったのですが、新商品のお菓子を大学に持っていた時に、近くにいた子が「新発売のお菓子だ!」と声をかけてくれたことがきっかけで友達ができました。この経験からお菓子はコミュニケーションツールになるものだと確信しています。
貴社の「社内コミュニケーションを円滑にするためのお菓子」が発売しているというニュースを知った時に、自身の考えと共通するものを感じました。
大学時代に人の興味を引くデザインの研究をしてきた経験を活かして、コミュニケーションツールとして人と人を繋ぐお菓子の商品企画に挑戦したいと考えています。
ただ単に「お菓子が好きだから」という理由ではなく、コミュニケーションツールとしてお菓子を捉え、社会的に役立つことを志望理由にしているところがポイントです。
研究・開発の場合
私が貴社を志望した理由は「食で健康な社会を実現する」という企業理念に強く共感し、私も健康的な食品を通して人々の生活の質を向上させたいと考えているからです。
大学時代栄養学の研究を通じて、食事が健康に与える影響の大きさを実感しました。貴社ではおいしさだけではなく健康にも着目し、自社で健康研究施設を持つほど「健康」に対して想いが強いところに魅力を感じました。
貴社に入社した際には、大学時代に学んだ栄養学の知識を活かして、おいしさと健康を兼ね備えた商品の開発をしたいと考えています。
企業研究を行うことで、志望企業の企業理念や重要視している事業を把握し、志望企業ではならない理由を明確に書いています。企業研究は志望動機を書くためだけではなく、今後の面接にも役立つので必ず行いましょう。
生産管理・品質管理の場合
私が貴社を志望した理由は、「環境にも優しい食の提供」という経営理念に共感したからです。
大学時代スーパーのアルバイトをしていた時、売れ残りの商品が大量に廃棄されていくのを見ました。「まだ食べられるのにもったいない、どうにか出来ないかな」と思い、発注数を日によって変えてみたり、期限が近くなったら少し値引きして売ったりするなど店長と相談しながら色々なことを試しました。実施した様々な施策のおかげでお店の廃棄ロスを20%削減することに成功した経験があります。自分の行動でお店の利益をあげ、環境にも優しいことができた経験から、生産管理の仕事に興味を持ちました。
貴社は利益を求めた過剰生産をしておらず、会社説明会で社員の方から「生産する段階から食品ロスをしないためにはどうするか常に考え続けている」というお話を聞きいたことで、貴社で働きたいという思いがつ。
スーパーのアルバイトで得た経験を活かして、貴社の生産管理部門で活躍したいと考えています。
アルバイトという自身の身近な経験から生産管理職への志望動機を明確に伝えています。また実際に数字を用いて自身の強みをアピールしているところもポイントです。
営業・販売促進の場合
私が食品業界を志望したのは、海外に留学した時に1年で5キロ体重が増量した経験から、栄養バランスが良くカロリーが控えめな日本食の良さに気づき、健康的な日本食を世界に広める仕事がしたいと考えたからです。
貴社の会社説明会で、海外展開へさらなる力を入れることを社員の方から教えていただき、貴社で働きたいという気持ちがいっそう強くなりました。
海外留学経験で得た語学力とコミュニケーション能力を活かして、貴社の海外事業部で活躍したいと考えています。
「食品業界を選んだ理由」「食品業界で活かせる強み」が自身の留学という経験を元にしているため、説得力が増した文章になっています。
まとめ
この記事では食品業界を目指す就活生向けに、志望動機の書き方・ポイントを例文付きで解説しました。
食品業界向けに志望動機を書く際は、「食べることが好き」という感情だけではなく、「食を通じて社会的にどんな影響を与えたい」のかを意識して書きましょう。
「なぜ食品業界を選んだのか」「なぜ志望企業ではならないのか」「食品業界で活かせる自分の強みはなんなのか」を自身が経験したエピソードを交えて伝えることで、選考を突破できる魅力的な志望動機が作成できるでしょう。