「就活の軸」や「志望業界」を決めてから就職活動に臨んだ方がいいと聞いたけど、どうやって決めたらいいかわからないという方が、多いのではないでしょうか?
この記事では、これから就職活動を行う大学生の方に向けて、就活の軸や志望業界の決め方について解説していきます。
記事を読み終える頃には、就活の軸や志望業界の決め方が明確になり、積極的に就職活動へ臨むことができます。
「就活の軸」とは何か?
「就活の軸」とは、「譲れない自分の価値観」のことで、「就活の方向性を定めるコンパス」の役割を果たしてくれます。なぜなら、就活の軸が定まることで自分が就職したい業界や職種、企業が明確になるからです。
たとえば、絵を描くことやTVゲームのファイナルファンタジーが大好きで、自分もあんなゲームを作りたいという価値観があったとします。その場合、ゲーム業界(業界)のデザイナー(職種)としてスクウェア・エニックス(企業)で働けるよう就活を進める、といった具合に方向性が明確になります。
就活の軸を決めるメリット
就活の軸を決めることで得られるメリットは次の通りです。
- 企業選びの基準が明確になる
- 面接やエントリーシートの解答が的確になる
詳しく解説していきます。
企業選びの基準が明確になる
就活の軸を見つけられると就活の方向性が定まるため、企業選びの基準が明確になります。就活の軸(譲れない自分の価値観)と各企業の社風や待遇、職種を見比べて、自分にマッチする企業を絞ることができるからです。
たとえば、自分の就活の軸が「ワークライフバランスを取りたい」という価値観を持っていたとします。その場合、企業の社風や待遇面で重視するのは「残業を減らす姿勢のある社風」「年間休日の多さ」、「有給や育児休暇の取りやすさ」などになります。
面接やエントリーシートの解答が的確になる
就活の軸(譲れない自分の価値観)は志望理由にも活用できることから、面接やエントリーシートの解答に一貫性が生まれます。
たとえば、就活の軸が「放送作家になって面白い番組を作りたい」場合、志望理由は「放送作家のポジション(職種)があるからこの会社を志望した」となります。就活の軸と志望動機に一貫性を持たせることができ、説得力や信頼感を高められるのです。
就活の軸の見つけ方、決め方
就活の軸の見つけ方や決め方は次の通りです。
- 過去の経験から「モチベーショングラフ」をつくる
- 自己分析をする
- 他己分析で客観視する
- 複数の企業を比較する
- 会社説明会やインターンに参加してみる
詳しく解説していきます。
過去の経験から「モチベーショングラフ」をつくる
「モチベーショングラフ」を作ることで、就活の軸(譲れない自分の価値観)を見つけやすくなります。
モチベーショングラフとは縦軸がモチベーションの増減、横軸が時系列を表しており、過去の経験から「自分がどんな出来事でモチベーションが上下したのか」を可視化できるツールです。出来事に対して、モチベーションが上下したのは「なぜ?」なのか問いかけることで、「自分の価値観」が浮き彫りになります。
たとえば、高校生の時に海外へ修学旅行に行って、モチベーションが80まで上がったとします。「なぜ?」上がったのか考えた結果「異文化を体験して、知的好奇心が満たされたのが楽しかったから」という価値観を持っていることに気づけた、という具合です。
自己分析をする
適切な質問を自分に投げかけて自己分析することで、就活の軸(譲れない自分の価値観)が見えてきます。
たとえば、「休日は何をして過ごしていたか」自問した結果、「独りで山頂まで登山をしていた」という答えが出たとします。出した答えに「なぜ独りで山頂まで登山をしていたのか?」と問いかけたところ、「達成感を得られるのが好きだから」ということがわかりました。
自己分析に有用な質問を厳選して以下にまとめましたので、一度試してみて下さい。また、出した答えに「なぜそう思うのか?」深堀りすることで、就活の軸が見えてきます。
【過去に対する質問】 ・休日は何をして過ごしていたか ・一番後悔していることは何か |
【現在に対する質問】 ・大学に在学中、一番嬉しかったことは何か ・大学に在学中、一番嫌だったことは何か |
【未来に対する質問】 ・1年後、3年後にどんな生活をしていたいか ・何のために働くのか |
他己分析で客観視する
自己分析だけでは就活の軸(譲れない自分の価値観)が明確にならなかった場合、他己分析がおすすめです。
他己分析とは自分の長所や短所、性格などの特徴を第三者(家族や友人)に聞くことで、客観的に自己分析をする方法です。
他己分析をするのに有用な質問を、以下にまとめましたのでご活用下さい。
・私の長所はなんだと思うか? ・私の短所はなんだと思うか? ・何の仕事が向いてそうか? ・上記3つの各解答に対して、なぜそう思うのか?(理由を聞く) |
複数の企業を比較する
複数の企業を比較することで、就活の軸(譲れない自分の価値観)を見つけやすくなります。2社ずつ比較すると優劣がつけやすくなるのでおすすめです。
優劣を付けた項目の中から魅力的に見えたポイントに対して、「なぜ?そう思ったのか」を深堀りすることで、就活の軸を見つけるための足掛かりになります。
たとえば、A社とB社を比較して優劣をつけた結果、魅力的なポイントが「残業時間の少なさや年間休日の多さ」だったとします。「なぜ?」魅力的なのか問いただしたところ、「プライベートで趣味の時間を充実させられるから」という就活の軸が見つかったという具合です。
会社説明会やインターンに参加してみる
会社説明会やインターンに参加した経験をもとに、就活の軸(譲れない自分の価値観)を見つけられます。
会社説明会では企業概要を網羅的に確認することができ、「その企業のどこに魅力を感じたのか」把握しやすい上、「なぜそう思うのか?」考えることで、就活の軸を見つけやすくなります。
また、インターンでは実際の職場の雰囲気を確かめることで、「どこが魅力的」で「何に幻滅したのか」を把握できます。
あとは、魅力的なポイントと幻滅したポイントに対して、「なぜそう思うのか?」問いかけることで、就活の軸が見えてくるのです。
業界別、就活の軸の例
業界ごとの就活の軸の参考例をご紹介します。
- IT業界の例
- 広告業界の例
- 金融業界の例
例を参考にする際、「自分にもあてはまりそうだな」と感じたら「なぜそう思うのか?」自問することで、自分の就活の軸(譲れない自分の価値観)が見えてきます。
IT業界の例
- 今後も成長が見込める業界で働きたい
- 最新のテクノロジーに触れながら働きたい
- 社会へ大きな影響を与えたい
IT業界(Webサービスやアプリの提供をする業界)は技術の進歩が目覚ましいため、他の業界に比べて、新しい技術に触れる機会が多いです。
また、スマートフォンで使用できる便利なアプリケーションを提供したり、インターネット回線などの社会的インフラを提供したりしているため、社会へのインパクトが大きい業界です。
広告業界の例
- 商品やサービスの魅力を、より多くの人たちに伝えたい
- 経済発展に大きな影響力を与えたい
- 自分のアイディアで、顧客の利益を向上させたい
広告業界は商品やサービスの魅力を人々に発信するため、華やかで人気のある業界です。
また、 マス広告(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の広告)や、インターネット広告(Webサイトやスマホのアプリに掲載される広告)を用いるため、人や企業に多大な影響を与えます。
金融業界の例
- 地元に根ざした中小企業の支援がしたい
- 数字やお金に関わる仕事がしたい
- 1つの会社で長く働きたい
金融業界は企業へお金を貸して支援したり、顧客から預かった資産を運用して利益を生み出したりしてます。
また、市場規模が大きく業界全体が安定している傾向にあるため、待遇や福利厚生の良さから1つの会社で長く働ける可能性が高いです。
採用担当者が就活の軸を聞いてくる理由
採用担当者が就活の軸(譲れない自分の価値観)を聞く理由は次の通りです。
- なぜ自社でなければだめなのか理由を知りたいから
- 自社が求める人物像とマッチしているか知りたいから
詳しく解説していきます。
なぜ自社でなければだめなのか理由を知りたいから
採用担当者は就活の軸を聞くことで、「なぜ自社への就職でないとだめなのか」理由を把握し、企業に対する本気度を測っています。
なぜなら、求人募集の広告を載せたり採用担当者が面接を行ったりするのにコスト(会社のお金や社員の時間)をかけているからです。入社後すぐに辞められてしまうと、企業側としては大きな損失になってしまうのです。
自社が求める人物像とマッチしているか知りたいから
就活の軸を聞くことで、自社が求める人物像とマッチしているか(自社の社風に合うか、何のポジションなら活躍してくれそうか)を知りたいからです。
就活生に人気のある企業ほど、多くの就職希望者と面接しなければならず、企業側の予算や時間には限りがあるので、応募者の本質を効率よく見極めるために就活の軸を聞いてくるのです。
エントリーシートや面接で就活の軸を聞かれたときの解答例
エントリーシートへの記入や面接時に活かせるよう、就活の軸を聞かれたときの解答例をご紹介します。
- IT業界の例文
- 広告業界の例文
- 金融業界の例文
詳しく見ていきましょう。
IT業界の例文
私の就活の軸は「社会へ大きな影響を与えたい」ということです。
私は学校の勉強でわからないことがあると、スタディサプリから解説動画を探して不明点を解消することができ、とても助かりました。
この時の経験から、私も便利なWebサービスやアプリケーション開発をして、多くの人に使ってもらうことで、社会により大きな影響を与えていきたいと考えています。
広告業界の例文
私の就活の軸は「商品やサービスの魅力を、より多くの人たちに伝えたい」ということです。
私はお菓子を食べるのが好きで、新商品のお菓子が出るとすぐ買うようにしています。美味しかった物は友人に勧めて食べてもらい、美味しいと喜んでくれる姿を見ることに喜びを感じています。
この時の経験から、魅力的な商品やサービスをより多くの人達に知ってもらいたいと考えるようになりました。
金融業界の例文
私の就活の軸は「数字やお金に関わる仕事がしたい」ということです。
在学中に簿記3級を取得したことで、企業の財務状況を読み解く面白さに気づき、数字やお金に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
まとめ
この記事では以下の内容についてまとめました。
- 「就活の軸」とは何か?
- 就活の軸を決めるメリット
- 就活の軸の見つけ方、決め方
- 業界別、就活の軸の例
- 採用担当者が就活の軸を聞いてくる理由
- エントリーシートや面接で就活の軸を聞かれたときの解答例
就活の軸(譲れない自分の価値観)を明確にすることで、自分の就活の方向性が定まり、効率よく就職活動を行えるようになります。
また、自分の就活の軸とマッチする企業に就職することで、入社後も後悔のないキャリアを築けることでしょう。
すぐには見つけられないかもしれませんが、時間を割くだけの価値はありますので、ご紹介した方法や例を参考に、一度試してみることをおすすめします。