東京瓦斯株式会社（以下、東京ガス）は、首都圏最大の都市ガス供給企業として、安定性と充実した福利厚生制度で多くの転職希望者から注目を集めています。この記事では、東京ガスの住宅関連制度、健康・医療制度、休暇制度、退職金制度などの福利厚生を詳しく解説し、転職を検討している方が知っておくべき重要な情報をまとめました。東京ガスの福利厚生の特徴や他社との比較、転職時のチェックポイントまで、実際の制度内容に基づいて包括的にご紹介します。

東京ガスの会社概要

東京ガスは1885年創立の長い歴史を持つ都市ガス最大手企業で、首都圏を中心に約1,200万件のお客さまに都市ガスを供給しています。国内都市ガス販売シェア約32％を占め、業界をリードする総合エネルギー企業として、ガス事業に加えて電力事業、海外事業、不動産事業など多角的な事業展開を行っています。従業員数は連結で約15,963名（2023年3月末時点）の大企業です。

東京ガスの基本情報

項目	詳細
会社名	東京瓦斯株式会社
本社所在地	東京都港区海岸一丁目５番20号
設立年	1885年（創立）
業種	電気・ガス業
事業内容	都市ガス製造・供給、電力販売、エネルギーサービス
上場市場	東京証券取引所プライム市場

東京ガスの事業は、都市ガスの製造・販売を中心とした「エネルギー・ソリューション」、都市ガスの託送供給を行う「ネットワーク」、海外での資源開発・投資を手がける「海外」、不動産開発・賃貸を行う「都市ビジネス」の4つのセグメントで構成されています。2022年4月からはホールディングス型グループ体制に移行し、より戦略的な事業運営を推進しています。脱炭素社会の実現に向けた取り組みも積極的で、2030年までにCO2削減貢献量1,700万トンの達成を目標に掲げています。

東京ガスの福利厚生制度の特徴

東京ガスの福利厚生制度は、従業員の多様なライフステージに対応した充実した内容が特徴です。インフラ企業としての安定性を背景に、住宅支援、健康管理、キャリア開発まで幅広い分野で従業員をサポートしています。特に、ワークライフバランスの実現と多様な働き方の推進に力を入れており、男性の育児休業取得率は74.1％（2023年度）と高い水準を維持しています。

住宅関連制度

東京ガスの住宅関連制度は、独身寮・家族寮を中心とした手厚いサポートが特徴です。独身寮は実家から職場まで通勤時間が2時間以上かかる場合に入居可能で、中目黒や両国など都心の一等地にも社宅を保有しています。借上社宅制度では、相場の2割程度の自己負担で主要駅近くの物件に住むことができます。家族寮は結婚後36歳まで利用可能で、約60㎡の広さを持つ物件も用意されています。ただし、住宅手当の支給はなく、寮・社宅制度が住宅支援の中心となっています。

健康・医療関連制度

東京ガスは東京ガス健康保険組合への加入に加え、充実した健康管理制度を提供しています。定期健康診断はもちろん、傷病等による休業時の所得補償制度、産業保健制度、外部カウンセリングサービスなど、従業員の心身の健康をトータルでサポートしています。2024年には「健康経営優良法人2024（大規模法人部門）」に認定され、従業員の健康管理を経営的な視点で戦略的に実践している企業として評価されています。また、不妊治療に関する特別休暇制度も設けており、多様なライフイベントに対応しています。

休暇・働き方制度

東京ガスの休暇制度は法定を大幅に上回る充実した内容となっています。年次有給休暇は入社日より付与され、最大40日まで保有可能で、2022年度の有給取得実績平均は17.4日となっています。特別休暇として、配偶者出産時の5日間の有給休暇（取得率100％）、キャリアリフレクション休暇、ボランティア休暇などが用意されています。育児関連では、法規定を上回る育児休職制度（子が満3歳に達した直後の4月末まで）、短時間勤務制度、子の看護休暇などが整備されており、男性の育児休業取得率は74.1％と高い水準を実現しています。また、フレックスタイム制度により、多様な働き方をサポートしています。

教育・研修制度

東京ガスでは、従業員の継続的な成長とキャリア開発を支援する充実した教育・研修制度を提供しています。新入社員研修から管理職研修まで体系的なプログラムが組まれており、専門性の向上と多様なキャリアパスに対応しています。資格取得奨励金制度により、業務に関連する資格取得を経済的に支援しており、自己啓発にも積極的に投資しています。また、DX分野や脱炭素分野などの先進技術に関するリスキリング（学び直し）プログラムも導入し、変化する事業環境に対応できる人材育成に力を入れています。社内外の研修機会に加え、自主的な学習をサポートする仕組みも整備されています。

出典：東京瓦斯株式会社 有価証券報告書（2023年3月期）、東京ガス採用サイト、東京ガス公式ホームページ

東京ガスの各種手当・補助制度

東京ガスでは、従業員の生活を支える様々な手当・補助制度が整備されています。通勤手当は全額支給され、家族手当、交替勤務手当、年末年始手当などの各種手当があります。また、財政面での安定を図る制度として、社内預金制度、財形貯蓄制度（一般財形・住宅財形・年金財形）、東京ガスグループ従業員持株会などが用意されています。

制度・手当名	内容	対象者
通勤手当	交通費全額支給	全従業員
家族手当	東京ガス健康保険組合の扶養者	該当従業員
交替勤務手当	月約2万円	交替勤務者
年末年始手当	年末年始期間の勤務手当	該当従業員
資格取得奨励金	業務関連資格の取得支援	全従業員
財形貯蓄制度	一般・住宅・年金の3種類	全従業員
従業員持株会	1口1,000円から、会社奨励金あり	希望者
慶弔金制度	結婚・出産・弔事等の給付	該当従業員

特に従業員持株会制度では、毎月給与から1,000円単位で積立でき、会社からの奨励金も付与されるため、資産形成の有効な手段として多くの従業員が活用しています。また、会員制福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を通じて、宿泊施設やレジャー施設の特別料金利用、ショッピング割引などの多彩なサービスを受けることができます。

東京ガスの退職金・年金制度

東京ガスの退職金制度は、長期勤続を支援する充実した内容となっています。定年は60歳で、再雇用制度により65歳まで働くことが可能です。退職手当制度に加えて、確定拠出年金制度も導入されており、会社が掛金を負担し、従業員自らが年金資産の運用を行う仕組みとなっています。これにより、退職後の生活設計をより柔軟に行うことができます。

制度名	内容
退職手当制度	勤続年数・職位等に応じた退職一時金
確定拠出年金制度	会社掛金による企業型確定拠出年金
定年制度	定年60歳、再雇用制度あり（65歳まで）
財形年金	個人積立による年金準備制度

確定拠出年金制度では、運用商品の選択や配分変更を従業員が自主的に行うことができ、投資教育プログラムも提供されています。また、財形年金制度と組み合わせることで、より充実した老後資金の準備が可能となっています。ただし、具体的な退職金支給額については公式データとして非開示となっており、個別の勤続年数や職位により異なります。

東京ガスの福利厚生の評判・口コミ

従業員満足度調査や転職サイトの口コミによると、東京ガスの福利厚生は総じて高い評価を得ています。特に住宅関連制度については「社宅が中目黒などの一等地にあり立地が良い」「相場の2割程度で住める」といった好意的な意見が多く見られます。有給休暇の取得しやすさや、男性の育児休業取得推進についても評価が高く、「ワークライフバランスが取りやすい」「家族を大事にできる会社」という声が聞かれます。

一方で、「住宅手当がない」「寮・社宅の入居可能年齢が引き下げられた」といった指摘もあり、制度の変更に対する意見も見受けられます。しかし、全体的には「福利厚生が充実している」「安定した待遇」という評価が多数を占めており、特に首都圏で働く上でのメリットを実感している従業員が多いことが伺えます。健康経営の取り組みや女性活躍推進の施策についても、従業員から高い評価を得ています。

他社との福利厚生比較

東京ガスの福利厚生を同業他社と比較すると、都市ガス業界の中でも特に充実した内容となっています。以下に主要な競合他社との比較表を示します。

制度	東京ガス	大阪ガス	ENEOS
住宅制度	独身寮・家族寮（36歳まで）	独身寮・社宅制度あり	独身寮・家族寮あり
住宅手当	なし（寮・社宅制度）	一部支給あり	支給あり
有給取得率	17.4日/年（2022年度）	約16-17日/年	約15-16日/年
男性育休取得率	74.1％（2023年度）	約50-60％	約40-50％
退職金制度	退職手当＋確定拠出年金	退職手当＋企業年金	退職手当＋確定拠出年金
定年年齢	60歳（再雇用65歳まで）	60歳（再雇用65歳まで）	60歳（再雇用65歳まで）

東京ガスは住宅手当の支給はありませんが、寮・社宅制度の充実度で他社を上回っています。特に都心部の好立地物件を格安で利用できる点は大きなメリットです。男性の育児休業取得率では業界トップクラスの水準を実現しており、働き方改革への取り組みが他社よりも進んでいることが分かります。有給取得率についても業界平均を上回る水準を維持しており、ワークライフバランスの実現に積極的な企業姿勢が表れています。

東京ガスへの転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

東京ガスへの転職を検討する際に確認すべき福利厚生のポイントをまとめました。まず住宅関連では、現在の住所から勤務地までの通勤時間を確認し、独身寮の入居条件を満たすかどうかを調べることが重要です。結婚予定がある場合は、家族寮の利用可能期間（36歳まで）も考慮に入れましょう。休暇制度については、現職と比較して有給取得のしやすさや特別休暇の種類を確認し、ライフステージに応じた制度の活用可能性を検討することをお勧めします。

キャリア開発の観点では、研修制度や資格取得支援の内容を詳しく確認し、自身のスキルアップ計画と照らし合わせることが大切です。また、確定拠出年金制度による資産形成や、従業員持株会制度の活用についても、長期的な資産計画の一環として検討する価値があります。女性の場合は、産休・育休制度の取得実績や復職率、時短勤務制度の利用状況なども確認しておくと良いでしょう。

入社後の手続きと利用方法

東京ガス入社後の福利厚生利用手続きについて説明します。独身寮への入居申請は内定通知後に人事部より案内があり、通勤時間や現住所の確認が必要となります。各種保険制度（健康保険、厚生年金等）は入社日から自動的に適用されますが、財形貯蓄や従業員持株会への加入は任意のため、入社後速やかに申請手続きを行うことをお勧めします。特別休暇の申請方法や有給休暇の取得ルールについては、入社時のオリエンテーションで詳しく説明されます。

研修制度については、新入社員研修の受講は必須ですが、その後の専門研修や資格取得支援については、上司との面談を通じて計画を立てることになります。資格取得奨励金の申請は事前申請が原則となっており、対象資格や支援金額についてはスキル開発部門に確認が必要です。確定拠出年金の運用商品選択についても、入社後に投資教育を受けた上で決定することができ、その後も年1回の見直し機会が提供されます。

まとめ

東京ガスの福利厚生制度は、都市ガス業界トップクラスの充実した内容となっており、特に住宅支援、休暇制度、健康管理の分野で他社を上回る手厚いサポートを提供しています。独身寮・家族寮制度による住居費負担の軽減、男性育児休業取得率74.1％に代表される働き方改革の推進、確定拠出年金制度による老後資金準備支援など、従業員のライフステージ全般をカバーする制度設計が特徴です。

転職を検討されている方にとって、東京ガスは安定したインフラ企業としての基盤に加え、変化に対応した人材戦略と福利厚生制度を持つ魅力的な選択肢といえます。ただし、住宅手当の支給がない点や、寮・社宅制度に年齢制限がある点については、個人の状況に応じて検討が必要です。転職活動においては、現在の待遇との比較はもちろん、将来のライフプランと照らし合わせて、東京ガスの福利厚生制度が自身のニーズに適合するかを慎重に判断することをお勧めします。