森永乳業株式会社(以下、森永乳業)は、「森永のおいしい牛乳」「ビヒダスヨーグルト」「PARM(パルム)」などの人気商品で知られる大手乳業メーカーです。長い歴史と安定した経営基盤を持つ森永乳業では、社員が安心して働ける充実した福利厚生制度を整備しています。
本記事では、転職を検討されている方に向けて、森永乳業の福利厚生制度について詳しく解説します。住宅関連制度から休暇制度、退職金制度まで、実際の制度内容と他社との比較を通じて、森永乳業の働きやすさの実態をお伝えします。
森永乳業の会社概要
森永乳業は1917年に創設された日本煉乳株式会社を祖とし、現在は東京都港区東新橋に本社を置く日本の乳製品メーカーです。森永製菓とは兄弟会社の関係で、モリナガグループを形成しています。2025年3月31日現在の従業員数は単体で3,310名(男子2,597名、女子713名)、連結では7,453名(男子5,511名、女子1,942名)の規模を誇ります。
森永乳業の基本情報
項目 | 詳細 |
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会社名 | 森永乳業株式会社(MORINAGA MILK INDUSTRY CO., LTD.) |
本社所在地 | 東京都港区東新橋一丁目5番2号 |
設立年 | 昭和24年(1949年)4月13日 |
業種 | 乳業 |
事業内容 | 牛乳、乳製品、アイスクリーム、飲料その他の食品等の製造、販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
森永乳業の主力事業は牛乳・乳製品の製造販売で、「森永のおいしい牛乳」などの市乳、「ビヒダスヨーグルト」「アロエヨーグルト」などの発酵乳、「PARM(パルム)」「ピノ」などのアイスクリーム、チーズや粉ミルクなど幅広い乳製品を手がけています。また、機能性食品や栄養食品の分野でも独自の技術力を活かした商品開発を行っており、ビフィズス菌をはじめとする腸内環境改善に関する研究開発に強みを持っています。
森永乳業の福利厚生制度の特徴
森永乳業の福利厚生制度は、仕事と育児の両立を目指す社員を支援するため、様々な制度やサービスを導入しており、厚生労働省から、高い水準で子育て支援に取り組む企業として「プラチナくるみん」の認定を受けています。特に住宅関連制度と子育て支援制度が充実していることで知られています。
住宅関連制度
森永乳業では住宅関連制度として、社有社宅、社有独身寮、若年者自立支援住宅手当、転勤者住宅手当、住宅手当を提供しています。30歳到達後最初の3月31日まで家賃または住宅ローンの8割を毎月支給してもらえる制度があり、補助額は4万〜5万円程度となっています。
社宅制度も充実しており、勤務地によっては独身寮や社宅を利用でき、1万4千円で利用できる制度があります。住宅手当については、家賃の8割、地域によって異なりますが最低でも3万5000円を上限に30歳までは支払われ、30歳以降も住宅手当や転勤手当など手厚い手当があります。
健康・医療関連制度
森永乳業では健康関連制度として、団体生命保険、団体傷害保険、医療保険、がん保険、自動車保険などの各種保険制度を完備しています。また、食品関連企業らしく社員の健康管理にも力を入れており、各種健康診断や健康相談窓口の設置、インフルエンザ予防接種費用補助なども実施しています。
健康診断については、法定の定期健康診断に加えて、人間ドックの受診補助や歯科検診も無料で提供されており、社員の健康維持をしっかりとサポートしています。
森永乳業の休暇・働き方制度
森永乳業では多様な働き方を支援する制度が充実しています。勤務形態はフレックスタイム制で、1日の労働時間は7時間30分となっています。ただし、製造・品質管理の工場勤務についてはシフト制が採用されており、早朝や夜勤での出勤があります。
育児や妊娠を理由に就業時間を短縮する制度と、時差勤務・フレックスタイム制度や在宅勤務制度を組み合わせることができます。また、配偶者の出産時に使用できる「配偶者出産休暇」や「出生時育児休業(いわゆる産後パパ育休)」があり、有給で最大33日間まで取得できます。男性育休取得率は2023年度時点で95%超となっています。
休暇種類 | 日数・条件 |
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年次有給休暇 | 法定通り付与(取得率については公式データとしては非開示) |
育児休業 | 法定を上回る制度、男性育休取得率95%超(2023年度) |
配偶者出産休暇 | 有給で最大33日間取得可能 |
つわり休暇 | 妊娠期間中に取得可能 |
看護休暇 | 子の看護のため取得可能 |
介護休業・介護休暇 | 法定に準じて取得可能 |
森永乳業の教育・研修制度
森永乳業では人材育成に力を入れており、充実した研修制度を提供しています。新入社員に対してはメンター制度を導入し、先輩社員がマンツーマンでサポートする体制を整えています。
特徴的な制度として、生産部門の教育機関である「ミルク大学」があり、技術の維持向上を目的とした専門教育を実施しています。また、資格取得支援制度、通信教育の受講料負担、語学研修、海外留学支援制度なども整備されており、社員のスキルアップを幅広くサポートしています。
森永乳業の各種手当・補助制度
制度・手当名 | 内容 | 対象者 |
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住宅手当 | 家賃の8割補助(30歳まで)、最低35,000円上限 | 全社員(年齢制限あり) |
転勤者住宅手当 | 転勤に伴う住宅費用補助 | 転勤対象者 |
家族手当 | 配偶者・子女に対する手当 | 対象家族を有する社員 |
別居手当 | 単身赴任者向けの手当 | 単身赴任者 |
交通費 | 通勤にかかる交通費の支給 | 全社員 |
資格取得支援 | 業務に関連する資格取得費用の補助 | 全社員 |
育児支援補助 | 延長保育等費用補助(パパママ活躍支援) | 子育て中の社員 |
介護帰省補助 | 介護のための帰省費用補助 | 介護を行う社員 |
森永乳業では出産・育児・介護関連の手当として、つわり休暇、通院時間有給制度、育児休業、妊娠・育児・介護による短時間勤務制度、妊娠・育児・介護による時差勤務制度、看護休暇、配偶者出産休暇、パパママ活躍支援(延長保育等費用補助)、介護休暇、介護休業、介護帰省補助、介護両立支援一時金を提供しています。
賞与については年2回(6月・12月)支給され、近年は5.4ヶ月分程度となっています。また、社員持株会制度も導入されており、購入額の7%程度の補助があることで資産形成もサポートしています。
森永乳業の退職金・年金制度
森永乳業では退職金制度として、退職一時金と確定拠出年金制度の両方を導入しています。これにより、社員は退職時に一時金を受け取ることができるほか、確定拠出年金による長期的な資産形成も可能となっています。
退職金制度の詳細な支給額や計算方法については、公式データとしては非開示となっています。ただし、大手食品メーカーとして一般的な水準の退職金制度を整備していると考えられます。確定拠出年金については、社員自身が運用商品を選択し、将来の年金受給に向けた資産形成を行うことができます。
森永乳業の福利厚生の評判・口コミ
森永乳業の福利厚生については、社員からの評価が非常に高く、特に住宅関連制度と子育て支援制度について好評の声が多く聞かれます。「社宅制度や家賃補助があるのはとてもありがたい」「30歳頃まで高額な家賃補助がもらえるので、可処分所得が大きくなる」といった住宅手当に関する評価が目立ちます。
育児支援についても「産休や育休の制度が充実している」「男性育休取得率が90%超えとかなり高い」「ワークライフバランスがとりやすい」など、働きやすさを評価する声が多く見られます。
一方で、30歳を超えると住宅手当が減額・廃止されることや、副業が原則NGであることについては改善を求める声もあります。また、長期の休暇が取りにくいという指摘もありますが、全体的には福利厚生の充実度に対する満足度は高い水準にあります。
他社との福利厚生比較
制度 | 森永乳業 | 明治 | 雪印メグミルク |
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住宅手当 | 家賃の8割補助(30歳まで) | 家賃の8割補助(30歳まで) | 家賃の75%補助 |
男性育休取得率 | 95%超(2023年度) | 公表データなし | 公表データなし |
退職金制度 | 退職一時金+確定拠出年金 | 退職一時金+企業年金 | 退職一時金+企業年金 |
平均年収 | 782万円(2024年3月期) | 公表データなし | 公表データなし |
年間休日 | 一般的な水準 | やや多め | 一般的な水準 |
乳業大手3社の福利厚生を比較すると、住宅手当については森永乳業と明治が同水準の8割補助を30歳まで提供している一方、雪印メグミルクは75%補助となっています。森永乳業の特徴は、男性育休取得率の高さと「プラチナくるみん」認定に象徴される子育て支援制度の充実度にあります。
年収水準については、森永乳業の平均年収は782万円(2024年3月期)となっており、食品メーカー全体の平均を大きく上回る水準です。福利厚生の充実度と合わせて、総合的な待遇の良さが森永乳業の魅力といえるでしょう。
森永乳業への転職で注目すべき福利厚生ポイント
転職時の福利厚生チェックポイント
森永乳業への転職を検討する際に確認すべき福利厚生のポイントを以下にまとめました。
- 住宅手当の適用条件と支給期間(30歳までの年齢制限に注意)
- 転勤の可能性とそれに伴う住宅手当の内容
- 子育て支援制度の詳細(育児休業期間、復職後の時短勤務制度など)
- 有給休暇の取得状況と取得しやすさ
- 退職金制度の詳細(勤続年数による支給額の変化)
- 社宅・寮の利用可能性と入居条件
入社後の手続きと利用方法
森永乳業入社後の福利厚生利用については、以下のような流れになります。
住宅関連制度については、入社と同時に申請可能で、賃貸契約時に会社指定の手続きを行うことで住宅手当の支給が開始されます。社宅や寮の利用を希望する場合は、配属先の決定後に申し込みを行います。
各種保険制度は入社手続きと同時に加入手続きを行い、初回給与から控除が開始されます。健康診断は入社後3ヶ月以内に受診することが一般的です。
確定拠出年金については、入社後に説明会を受講し、運用商品の選択を行います。掛金の拠出は入社翌月から開始されることが多く、年1回の運用商品の見直しも可能です。
まとめ
森永乳業の福利厚生制度は、住宅関連制度の充実度、子育て支援制度の手厚さ、健康管理支援の充実などが特徴的で、社員の生活をトータルでサポートする制度が整備されています。特に30歳までの住宅手当(家賃の8割補助)や男性育休取得率95%超という実績は、大手食品メーカーの中でも高い水準にあります。
転職を検討されている方にとって、森永乳業は安定した経営基盤の上に充実した福利厚生制度を構築している魅力的な転職先といえるでしょう。ただし、住宅手当の年齢制限や転勤の可能性については事前にしっかりと確認し、ご自身のライフプランと照らし合わせて検討することをおすすめします。
森永乳業への転職を通じて、充実した福利厚生制度のもとで安心して働くことができる環境を手に入れることができるでしょう。
出典: 森永乳業株式会社 採用サイト、森永乳業株式会社 有価証券報告書(2024年3月期)、各種転職口コミサイト