20代のうちに転職を重ねてきた方が、次の転職活動を前にして「これ以上回数が増えたらもう無理かも」と不安を感じるのは、ごく自然なことです。書類選考で弾かれそう、面接でどう説明すればいいかわからない——そんな焦りを抱えている方も少なくないでしょう。
ただ、転職回数が多いこと自体が「終わり」を意味するわけではありません。採用担当者が実際に重視しているのは回数そのものではなく、転職の背景とその先にある意思です。
この記事では、20代の平均的な転職回数のデータから、採用担当者が何回目から気にし始めるのかのリアルな傾向、そして転職回数が多い状況から内定を勝ち取るための具体的な対策まで、順を追ってお伝えします。
20代の転職回数の平均はどれくらいか
まず、自分の転職回数が客観的に見て多いのかどうかを把握しておくことが大切です。「多い」かどうかは、同世代のデータと照らし合わせてはじめて判断できます。
厚生労働省「令和2年転職者実態調査」によると、20代の転職回数で最も多いのは1回(20〜24歳:69.7%、25〜29歳:49.3%)でした。20〜24歳では、1〜2回までと答えた人が8割を超えており、20代前半で3回以上転職している人は1割程度となっています。25〜29歳の調査でも1〜2回と回答した人が7割を超えていますが、20代後半になると3回以上転職している人の割合も増えています。
マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、転職回数で最も割合が高いのは1回(28.7%)で、2回(23.5%)と合わせると2回までで半数以上を占めています。20代においても同様の傾向がみられ、3回以上の転職回数があると、平均値から見ると「多い」と評価される傾向があります。
つまり、20代における転職回数は「1〜2回」が標準的な水準であり、3回以上になると「多い」という印象を持たれやすくなるという認識が実態に近いと言えます。自分が今どのラインにいるかを冷静に確認しておきましょう。
採用担当者が転職回数を気にし始めるのは何回目からか
「何回目から不利になるのか」という問いに対して、採用担当者はどう見ているのでしょうか。複数の調査から傾向をまとめました。
3回目から選考への影響が出始める
転職支援サービス「doda」が採用担当者を対象に行ったアンケート調査によると、転職回数について20代で選考に影響するのは3回目以上からとの回答が多いとされています。企業側からしても、20代のうちで2回くらいの転職回数であれば、そこまで気にかけないケースが多いです。
複数の採用担当者向けアンケートでも、転職回数1〜2回まではそれほど気にしないという回答が多い一方、3回目からは「転職回数が気になる」と答える割合が大きく増加するという傾向が報告されています。
回数より「在籍期間の短さ」が問題になりやすい
採用担当者が実際に懸念するのは、転職回数そのものよりも各社での在籍期間だという声は多くあります。
「転職回数よりも在籍期間の短さを気にする」という採用担当者の視点もあり、例えば20代半ばで1年ごとに転職していたりする場合、「何かあったのかな」「うちも半年で辞めてしまわないかな」という不安につながるとされています。
ただし、転職回数が多くても、すぐに離職すると思われるような印象さえ与えなければ、採用のチャンスはあります。年齢が若いうちほど、ポテンシャルや将来性を含めて評価してもらいやすい傾向があります。
4回以上になると選択肢は狭まるが諦める回数ではない
20代での転職回数が4回以上になると、転職における選択肢がかなり狭まります。たとえば大企業への転職は厳しくなりますが、「4回」はまだあきらめる回数ではありません。年齢や人間性を重視する企業も多く、厳しいながら転職できる可能性はあります。ただし選考で転職回数について高確率で聞かれるため、なぜ4回以上も転職したのかを明確に回答できるよう準備が必要です。
採用担当者へのアンケートでは、一定数が「転職回数は特段気にならない」と回答しており、重要なのは、どう考えどのような成果を出してきたのか、そのスキルが次の仕事でどう活かせるのかを説明できるかどうかです。
20代で転職回数が多いと不利になる理由
採用担当者が転職回数を気にする背景には、特定の懸念が存在します。どのようなマイナスイメージを持たれやすいかを理解しておくと、対策が立てやすくなります。
転職の理由はさまざまでも、企業からは「我慢が足りない人」「仕事を覚えてもまたすぐに辞めてしまうのでは」「常に人間関係に問題があるのでは」と先入観を持たれてしまうことがあります。
また、20代で転職回数が多いということは、それだけ一社での在職期間が短いことを意味します。社会人としての基本的なマナーや、職種に応じた基本スキルも身に付いていないと判断されてしまうこともあります。さらに、目標や将来像を持っている人であれば最初からそれに向けて仕事をするはずだという観点から、「何も考えていない」「計画性がない」ともとられがちです。
20代の転職では、ポテンシャルと経験の両面が評価されますが、複数回の転職を経ても職種が定まらない、業務範囲が広がっていないといった場合は、スキルが蓄積されていないのではという印象を与えてしまう可能性があります。転職するごとに業界や職種が大きく異なると、キャリアの方向性が不明確なのではと受け取られることもあります。
転職回数が多くても採用される人の共通点
転職回数が多くても内定を得ている方は確かにいます。彼らに共通しているのは、回数を「なかったこと」にしようとするのではなく、回数の多さに説得力のある文脈を持たせていることです。
転職に一貫したストーリーがある
転職回数そのものが問題になるというよりは、転職を繰り返してきた理由がどういった点にあるのか、そこから何を学んだのかが重視される傾向にあります。複数回の転職経験があっても、それぞれに納得できる理由や転職の軸があり、キャリアに一貫性があるという場合、転職回数が多いという企業側の懸念を払拭できる可能性が高まります。
転職を繰り返す中でも、「一貫して顧客対応に関わってきた」「常に業務改善に取り組んできた」など、共通点や軸となっているものを語れるようにしておくと、経験のつながりが伝わりやすくなります。
ポジティブな転職理由を言語化できている
今の仕事がイヤだからというネガティブな理由だけだと、採用担当者も「採用したあとでイヤなことがあったらまた辞めてしまうかも」と考えてしまいます。転職回数が多い人ほど「自身の能力が高まったため」あるいは「自身の能力をここまで御社で高めたい」というステップアップを連想させる転職理由を伝え、ポジティブな理由を探し出して表現していくほうが、採用担当者には歓迎されやすいでしょう。
経験を強みとして具体的に数値化できている
中途採用で重視されるのは、即戦力となる経験やスキルがあるかどうかです。自己PRでは強みを言葉で伝えるだけでなく、具体的なエピソードや成果を数値で伝えることが重要です。具体的に話すことで、会社が変わっても活躍できる人材だとイメージしやすくなります。
20代で転職回数が多い場合の書類・面接対策
実際の転職活動に向けて、書類と面接それぞれで何を意識すべきかをお伝えします。
職務経歴書は「年代順」より「業務内容別」でまとめる
転職回数が多い場合、職務経歴書は年代別ではなく業務内容別に記載するのがおすすめです。「営業」「企画」「マーケティング」といったように業務内容ごとに項目をまとめると、転職の回数が目立ちにくくなります。また、その職務についた際に身に付けたスキルや知識を分かりやすくまとめることができるため、採用担当者へのアピールもしやすくなります。
特に転職回数の多い人は携わった仕事の数も多く、全てのことについて書いてしまうと応募書類が何枚あっても足りなくなってしまいます。要点をコンパクトにまとめ、「この人は要点を得た説明ができる」と高評価を得られるようにしましょう。
面接では「なぜ転職したか」を1社ずつ整理しておく
面接では「転職理由」と「志望動機」に一貫性がないと採用につながりません。転職回数が多い場合は特にキャリアの一貫性が見られるため、「なぜ転職したのか」と「どうしてその会社を志望したのか」を1社ごとに詳しく聞かれることが多いです。
転職回数が多いとどうしても気後れしてしまい、面接で説明が長くなったり余計な情報まで話してしまう傾向にあります。採用担当者は「自分のキャリアをどう整理しているか」「自分の価値をどう説明できるか」を見ています。事前に想定される質問と答えをまとめ、自分の言葉で整理しておくことが非常に重要です。
「転職回数を重視しない企業」を意識的に選ぶ
IT業界やベンチャー企業など、転職回数を重視しない業界を狙うことでチャンスは広がります。重要なのは、各転職に明確な目的があり、スキルを積み上げてきたことを証明できるかどうかです。
転職回数が3回以上あっても、キャリアアップを目的とした転職や、そこで得た経験が活かせるのであれば転職で不利になりにくいでしょう。転職の目的に一貫性があるか、これまでの経験が活かせるかといった内容を採用担当者にしっかり伝えましょう。
転職回数について絶対にやってはいけないこと
対策を考えるうえで、やってはいけない行動も明確に押さえておきましょう。
職歴をごまかすのは経歴詐称になるだけで何のメリットもありません。人事担当者なら、その程度の嘘はすぐに見抜くため、面接で突っ込まれたらすぐにバレてしまいます。それに、転職を無かったことにして「何もしていないブランク期間」が長くなる方がマイナスイメージです。
転職回数を少なく伝えたり誤魔化したりしてはいけません。事実を認め、今後は同じことを繰り返さない意思を採用担当者に真摯に伝えることが大切です。
正直に伝えたうえで「だからこそ今回はこうしたい」という前向きな意思を示すことが、採用担当者の信頼を得る最短ルートです。
転職エージェントを使うべき理由|転職回数が多い人こそ相談を
自己分析を重ねても、自分の適性や価値観を客観的に整理するのは意外と難しいものです。そんなときこそ頼りになるのが転職エージェントです。キャリアアドバイザーは、これまで数多くの転職支援を行ってきた実績から、あなたの経験や性格、キャリア志向に合ったポジションや企業を一緒に考えてくれます。
特に転職回数が気になる方にとっては、書類の書き方から面接での伝え方まで個別にサポートしてもらえる転職エージェントの存在が大きな助けになります。自分の経験をどう整理すればよいか、どんな企業に応募すべきかを一緒に考えてもらえる環境は、独力での転職活動とは大きく違います。

まとめ|20代の転職回数が多くても、戦略次第で次の一歩は開ける
転職回数の多さは確かにハンデになる場面もありますが、それ自体がキャリアの終わりを意味するわけではありません。採用担当者が本当に見ているのは、回数の多さよりも「なぜ転職したのか」「その経験から何を学んだのか」という部分です。自分の職歴を整理し、一貫したストーリーとして語れるようになることが、転職活動を前進させる最大の鍵です。
- 20代の平均転職回数は1〜2回が標準。3回以上になると採用担当者が気にし始める傾向がある(厚生労働省・マイナビ調査より)
- 採用担当者が本当に懸念するのは転職回数そのものではなく、在籍期間の短さと転職理由の曖昧さ
- 職務経歴書は年代順ではなく業務内容別にまとめると転職回数が目立ちにくくなる
- 面接では1社ごとに「なぜ転職したのか」を整理し、ポジティブかつ一貫したストーリーで語る準備をしておく
- 転職エージェントを活用することで、転職回数が多くても自分に合う求人や企業を効率的に探せる

