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昇給が年1回で転職を考えたら|判断基準と年収を上げる転職の進め方

Photo by Caterina Beleffi on Unsplash
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「昇給が年1回なのに、ここ2年ほどほとんど上がっていない」「求人票に『昇給年1回』と書いてあるけど、これって実際どういう意味なんだろう」——そんな疑問や不安を抱えて、転職を頭の片隅に置いているあなたへ。

実は「昇給年1回」という記載は、必ずしも毎年確実に上がることを保証しているわけではありません。仕組みを正しく理解したうえで、今の職場に留まるか転職するかを判断することが大切です。この記事では、昇給制度の実態から転職で年収を上げるための具体的な動き方まで、人事コンサルタントとして採用制度設計に関わってきた編集部の視点からお伝えします。

目次

「昇給年1回」は保証ではなく可能性——まずここを押さえよう

転職を検討している方から「昇給年1回と書いてあったのに、2年経っても上がらない」という声をよく耳にします。これは詐欺でもなく、違法でもないケースがほとんどです。なぜでしょうか。

求人に「昇給年1回」と記載されていても、就業規則を仔細に確認すると「業績低迷や景気の悪化など、やむを得ない事情で昇給を見送る場合もある」などと記載されていることがあります。つまり「昇給年1回」とされている場合は、昇給の「可能性がある」という意味合いに過ぎないことが考えられるのです。

さらに踏み込んで言えば、企業に昇給を実施させる法律上の義務はないため、昇給がないケースでも違反になるわけではありません。 法的な問題がない以上、文句を言いにくいのが現実です。

ただし例外もあります。 もし就業規則に「昇給は1回、必ず行われる」旨が明確に記載されているなら、入社時の雇用契約と実情が異なるため、会社側の契約違反です。 まずは自社の就業規則を確認してみてください。

昇給しない原因は3つ|会社の仕組みを正確に理解する

「なぜ自分は昇給できていないのか」を冷静に分析することが、転職判断の第一歩です。原因を誤解したまま転職しても、同じ状況を繰り返すリスクがあります。よくある原因を整理してみましょう。

会社の業績が振るわない

最も多いのがこのケースです。 昇給枠には予算があり、その範囲内で評価の高い人から順に配分されます。枠が小さい年度は、高い評価を得ても昇給幅がわずかになることがあります。 個人がどれだけ頑張っても、会社の財布が開いていなければ昇給は難しいのが実情です。

参考として、厚生労働省の調査では、2024年に昇給を「実施しない」企業は2.3%、「未定」は6.4%存在します。 少数ではありますが、一定数の会社では昇給が実質的に停止されています。

個人の評価が昇給基準に達していない

会社の業績は問題ないのに昇給がない場合、個人の評価が関係しているかもしれません。 評価が一定の基準を下回った場合、遅刻や欠勤の多さ、業務の遅れなどが積み重なると昇給対象外となることがあります。 成果主義の会社は特に差が出やすく、目標未達では昇給なしになることもあります。

思い当たる節がある場合は、上司に評価のフィードバックを直接もらう機会を設けてみることをおすすめします。転職前に現状を把握することが重要です。

転職直後・試用期間中で評価対象外

これは転職者に特有の落とし穴です。 新人や転職者の場合、評価期間が満たされていないことも昇給しない理由になります。試用期間が長い場合、評価対象の実績が少なくなるため、初年度の昇給が見送られることがあります。就業規則で「評価期間を満たした人のみ昇給対象」と定めている企業が多いため、この点も理解しておくと安心です。

入社1年目に昇給がなかったからといって、即「この会社はダメだ」と判断するのは早計です。昇給制度の詳細を確認したうえで、2〜3年のスパンで考えることが大切です。

昇給の平均はどれくらい?|2025年の最新データで確認する

「自分の昇給額は多いのか、少ないのか」——この基準を持っておくことで、転職の判断がより客観的になります。

2025年の中小企業全体の総平均妥結額(定期昇給等を含む賃上げ額)は11,999円、アップ率は4.35%でした。2024年の10,712円、4.01%を上回っています。一方、大企業では、2025年の全業種の総平均妥結額は19,195円、アップ率は5.39%でした。 (日本経済団体連合会・2025年春季労使交渉データより)

また、doda(パーソルキャリア株式会社)が2025年に約5,000人を対象に行った調査によれば、基本給が上がった人の昇給の平均額は15,325円という結果になりました。内訳は1万円未満が36.1%、1〜3万円未満が52.4%で、この2区分で全体の88%以上を占めます。

年代別に見ると、20代が13,739円、30代が16,124円、40代が15,426円、50代が14,942円となり、30代の昇給額がほかの年代に比べてやや多い結果となりました。 企業規模でも差が出ており、1〜99人では11,302円、100〜999人では14,021円、1,000人以上では18,389円となり、企業規模が大きくなるにつれて昇給額も大きくなっています。

編集部の見立てとして、「昇給年1回で月1万円未満しか上がっていない」という状況が続く場合、物価上昇や社会保険料の増加を考慮すると、実質的に手取りが減っている可能性があります。この点を見落とす方が非常に多いため、注意が必要です。

転職で年収を上げられるのはどんな場合か|条件別に整理する

「昇給が少ないから転職」と一口に言っても、転職すれば必ず年収が上がるわけではありません。転職で年収アップが見込みやすい条件と、そうでない条件を整理しておきましょう。

転職で年収アップを狙いやすいケース

次のような状況に当てはまる場合は、転職による年収アップを積極的に検討する価値があります。

  • 現職の評価は高いが、年功序列制度のせいで給与に反映されていない
  • 業界全体の平均年収が現職より高い業種への転換を検討している
  • 成果主義・業績連動型の評価制度がある企業への転職を視野に入れている
  • スキルや資格が市場で需要が高まっており、即戦力として評価される可能性がある

令和6年の昇給額を産業別にチェックすると、金融業・保険業の15,465円が最も高く、医療・福祉の6,876円が最も低い結果となりました。 業界ごとの差は歴然としており、業界を変えることが年収改善の近道になることもあります。

転職しても年収が変わりにくいケース

一方、次の条件に当てはまる場合は、転職後も同じ悩みを繰り返す可能性があります。

  • 転職理由が「昇給額が少ない」だけで、自身のスキルや市場価値を客観的に把握できていない
  • 同業界・同職種への横移動で、企業規模も変わらない転職を検討している
  • 評価制度の仕組みをよく調べずに求人票の数字だけで判断している

厚生労働省の「転職者実態調査(令和2年)」によると、自己都合による離職の理由の上位は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」(28.2%)、「満足のいく仕事内容でなかったから」(26.0%)、「賃金が低かったから」(23.8%)となっています。 賃金への不満は転職動機として有効ですが、面接でストレートに伝えるだけでは逆効果になることも多いため、後の章で面接対策も解説します。

転職活動で昇給制度を見極めるポイント|失敗しない確認方法

転職先でも「昇給年1回なのに実際には上がらない」という同じ失敗を繰り返さないために、事前にチェックすべきポイントを押さえておきましょう。

求人票の「昇給年1回」をどう読むか

求人票を見るときは「昇給年1回」という文字だけで判断せず、次の点を必ず確認することをおすすめします。

  • 過去の昇給実績(額・率)が開示されているか
  • 昇給の基準が年功序列型か成果連動型か
  • 定期昇給とベースアップが区別されているか
  • 業績不振時の「昇給見送り」条件が就業規則に記載されているか

大手モデルは年1回で固定率約2〜3%。中小企業モデルは年0〜2%で、業績連動型が多く、利益が出た年のみ上乗せされる場合があります。 この差を事前に把握しておくことで、入社後の期待値がズレにくくなります。

面接で昇給について質問する方法

「昇給のことを聞いても大丈夫なのか」と不安に思う方も多いはずです。結論から言えば、正しいタイミングと聞き方であれば問題ありません。

昇給について質問するベストなタイミングは、面接終盤に逆質問を求められたときです。ストレートに聞くのではなく、入社や仕事への意欲を示しつつ「成果に対しての評価はどのようにされるのでしょうか?」など評価制度と絡めて聞くのがおすすめです。

「御社の評価制度をもう少し詳しく伺えますか。入社後、どのような成果を出した方が昇給されているのか、実績を教えていただけますか」という形で、過去の実績を引き出す質問が効果的です。「必ず昇給しますか?」という直球の聞き方は避けましょう。

転職エージェントを使って内部情報を取る

求人票や面接だけでは把握しにくい昇給実績や評価制度の運用実態は、転職エージェント経由で入手できることがあります。 昇給制度の有無や直近の昇給実績を把握するためにも、転職エージェントを活用して応募先企業の情報を収集しておくことをおすすめします。

特に、企業の人事担当者と直接パイプを持つエージェントは、公式には公開されていない「実際の昇給額」「評価が反映されやすい部署かどうか」といった情報を教えてくれることがあります。面接前に確認しておくと、入社後のギャップを大幅に減らすことができます。

面接で「昇給への不満」を転職理由として伝えるコツ

転職理由として「給料が上がらないから」と正直に伝えたい気持ちはわかります。ただ、伝え方を間違えると面接で悪印象を与えかねません。どう伝えれば効果的なのでしょうか。

転職理由が「給料を上げたい」だけだと、「自社の事業内容や仕事内容などには興味はないのだろうか」「入社後に思うように給料が上がらなかったら、あっさり辞めてしまうのではないか」など、志望意欲や定着性を懸念される可能性が高くなります。

面接官が聞きたいのは「なぜお金が必要か」ではなく、「なぜ成果を正当に評価されたいか」という文脈です。次のような伝え方が効果的です。

  • 「現職では〇年連続で目標を達成しているが、年功序列型の制度のため成果が給与に反映されにくい」と現状の客観的な事実を示す
  • 「成果に応じた評価制度がある環境でこそ、モチベーション高く貢献できると考えた」と前向きな志望動機につなげる
  • 「御社の評価制度に共感しており、ぜひ貢献したい」と会社への関心を示す

上手く伝えるポイントとして、根拠となる数字を提示しましょう。数字によって客観的な現状を示せれば、企業側の納得感を得やすくなります。また、退職理由と志望理由の一貫性も重要です。

「昇給が少なかった=成果が評価されない環境だった」という流れを論理的に組み立てることで、面接官に「この人はきちんと自己分析できている」と判断してもらいやすくなります。

今すぐ転職すべきか、もう少し待つべきか|判断するための3つの問い

「昇給が年1回で、しかもほとんど上がっていない」という状況でも、転職が最善の選択肢かどうかは人によって違います。次の3つの問いに答えることで、判断の軸を定めてみましょう。

問い1|昇給がない本当の理由はどこにあるか

先述の通り、昇給が止まっている理由には「会社の業績」「個人の評価」「制度上の問題」の3つがあります。個人の評価が低いのであれば、転職しても同じ問題が再現する可能性があります。一方、明らかに制度的な問題で評価が反映されていないなら、転職で解決できる可能性は高いです。

問い2|自分の市場価値を客観的に把握しているか

転職で年収を上げるためには、自分のスキルや経験が転職市場でどう評価されるかを知ることが前提です。転職エージェントへの無料相談や、年収査定ツールを使うことで、現在の市場価値を確認できます。「転職すれば年収が上がる」という根拠のない期待だけで動くのは、入社後の失望につながります。

問い3|3年後・5年後のキャリアのビジョンは現職で実現できるか

昇給だけを切り取って転職を判断するのではなく、キャリア全体で考えることが重要です。現職でスキルアップや昇格によって5年後に年収を上げられる見通しがあるなら、今転職するよりも現職でキャリアを積む選択が合理的なこともあります。

一方で、「この会社に5年いても年収の天井が見えている」という確信があれば、それは転職を真剣に検討すべきサインです。その場合は、今すぐ転職エージェントに相談して市場の現状を知るところから始めてみてください。

転職エージェントを活用して昇給・年収改善を実現しよう

昇給や年収への不満をきっかけに転職を考えているなら、まずは転職エージェントに相談することが、もっとも効率的な第一歩です。自分の市場価値の確認、昇給実績のある企業の選定、面接での伝え方のアドバイスまで、無料でサポートを受けることができます。

どのエージェントを選べばいいかわからない、という方はまず比較記事から読んでみてください。

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まとめ|昇給が年1回で転職を検討するなら、まず仕組みを理解する

「昇給年1回なのに上がらない」という状況に悩んでいるなら、まず会社の昇給制度の仕組みと自分の評価状況を正確に把握することが出発点です。転職はその後の判断でも遅くはありません。

  • 「昇給年1回」は必ずしも毎年確実に上がる保証ではなく、業績連動条件がついているケースが多い
  • 昇給しない理由は「会社の業績」「個人の評価」「試用期間中の制度上の除外」の3つに分類できる
  • 2025年の平均昇給額は中小企業で約12,000円・大企業で約19,000円(日本経済団体連合会データより)。自分の昇給額と比較してみよう
  • 転職で年収を上げるには、市場価値の把握と昇給制度の事前確認が必須。転職エージェントを使って内部情報を収集するのが効率的
  • 面接では「給料を上げたい」という表現を避け、「成果が正当に評価される環境を求めている」という文脈で伝えると好印象につながる
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