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定年後の再就職で事務職を目指す方法|採用される人の特徴と求人の探し方

Photo by Yura Macro on Unsplash
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定年を迎えてから「事務の仕事で再スタートを切りたい」と考えている方は、少なくありません。体力的に無理なく長く続けられそう、これまでのデスクワーク経験が活かせそう、という理由で事務職を希望するシニアの方は多いです。

ただ、実際に活動を始めると「書類選考を何十社と落ちた」「求人はあるのに年齢で弾かれる気がする」という声が後を絶ちません。筆者はかつてIT・製造・商社の3社で新卒・第二新卒採用の人事を担当していましたが、60代の事務職応募者の書類を見てきた経験から言うと、「落ちる理由」はほぼ共通していました。

この記事では、定年後に事務職で再就職を成功させるための現実的な方法を、採用する側の視点も交えながら解説します。「なぜ事務職は難しいのか」「それでも通過する人は何が違うのか」まで、具体的にお伝えします。

目次

定年後の事務職再就職が難しいといわれる本当の理由

「事務職なら体力的にも安心だし、経験もある」と思って活動を始めると、想定以上に壁が高く感じることがあります。まず、なぜ難しいのかを正確に理解しておくことが、対策の第一歩です。

求職者数の増加と求人数のギャップ

労働政策研究・研修機構が整理した厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、65歳以上の新規求職者数は2014年以降、増加傾向で推移しています。 つまり、仕事を探すシニアの数は年々増えているのです。

一方で事務職の求人は、若年層や現役世代に対して出されることが多く、シニア向けの枠は限られています。 65歳以上では求職者数が増加して応募が集中するため、再就職では選考通過の難度が高まる状況です。 事務職はその中でも競争率が高い職種のひとつといえます。

年齢とともに職種の選択肢が狭まる傾向

労働政策研究・研修機構の調査によると、60〜64歳では事務職や専門職に就く人も一定数いますが、65〜69歳になると、サービス業や運搬・清掃などの分野に従事する人の割合が高まる傾向があります。

これは、年齢が上がるにつれて企業側の採用判断が変わることを示しています。60〜64歳であれば事務職で採用される可能性はあるものの、年齢を重ねるほど選択肢が狭まる現実があります。定年直後のタイミングで動き出すことが重要です。

「以前と同じ条件」へのこだわりが壁になるケース

定年後の再就職では、これまでの働き方へのこだわりが、仕事探しを難しくしているケースがあります。以前と同じ給与水準や管理職などの役職に限定して求人を探すと、応募できる仕事は限られます。

人事の経験から正直に言うと、「前職では部長でした」という方が一般事務に応募してくるケースがあります。職歴自体は立派でも、「この人はすぐに不満を持って辞めないか」という懸念が採用担当者の頭をよぎります。給与水準や役職への意識を一度リセットする柔軟さが、事務職採用では特に求められます。

定年後に事務職で採用される人の特徴

難しいとはいえ、実際に定年後に事務職で再就職している人は存在します。採用される人には、いくつかの共通した特徴があります。

実務経験と具体的な実績を明確に示せる

「事務を30年やっていました」という一言で終わらせてしまうのは非常にもったいない表現です。採用担当者が知りたいのは、どんな業務を、どのくらいの規模で、どんな成果を出してきたかという具体的な内容です。

たとえば「月次の請求書処理を月200件担当」「Excelでの売上集計表を整備し、集計時間を半減させた」といった形で書けると、書類選考の通過率が大きく変わります。 一般社団法人 日本人材紹介事業協会の「職業紹介業 高齢者雇用推進ガイドライン」では、活躍するシニア人材の9割以上が、培ってきた知識やノウハウを活かし、勤勉に業務へ取り組んでいると評価されています。 経験を「言語化」できるかどうかが、明暗を分けます。

PCスキルが現役水準にある

定年後の事務職応募者で多く見られるのが、「Wordは使えます」「Excelは基本操作なら」という表現です。採用担当としては、ここで正直に「vlookup・ピボットテーブルが使える」「クラウドの請求書システムを使った経験がある」と書いてある方に目が止まります。

現在の事務職では、ExcelやWordはあくまで最低限のツールです。業務によっては会計ソフト(弥生・freee等)や社内システムへの入力が求められます。定年前から、あるいは定年直後からでも、PCスキルのブラッシュアップに取り組んでおくと応募の幅が広がります。

「サポート役に徹する」姿勢を面接で示せる

企業が60代の事務職を採用するとき、もっとも恐れているのは「組織になじまない」「若い管理職の指示を聞かない」という事態です。採用担当として多くの選考に関わってきましたが、この懸念は表立って口にはされないものの、判断の大きな軸になっています。

面接では「チームの一員として貢献したい」「経験は活かしつつ、現場のルールには柔軟に従う」というスタンスを自然な言葉で伝えることが重要です。これは媚びることではなく、長く働くための現実的な姿勢です。

定年後に狙いやすい事務職の種類

ひとくちに「事務職」といっても、採用のされやすさや求められるスキルは職種によって異なります。定年後の再就職では、自分の経験・スキルと照らし合わせながら的を絞ることが大切です。

経理・会計事務

経理などの事務関係は熟練した業務に信頼が置けることから、需要の高い分野といえます。 簿記の資格(日商簿記2〜3級)や、経理担当としての実務経験があると、定年後でも採用されやすい傾向があります。

特に中小企業では、ベテランの経理担当者を求めていることが多く、「即戦力」として重宝されるケースがあります。会計ソフトの使用経験があれば、さらにアピール力が増します。

医療事務・調剤事務

医療事務などは資格の有無に関わらず、経験者であれば評価されやすい仕事です。 クリニックや病院では、患者対応のきめ細かさや誠実さが求められるため、社会人経験の長いシニア層が採用されやすい面があります。

医療事務の資格は、民間のスクールや通信教育で取得できるものが多く、定年前後から準備を始めても間に合います。未経験でも資格と意欲があれば応募できる求人が存在するため、経験のない方にとっても狙い目の分野です。

一般事務・データ入力・受付

幅広い業種で募集がある一般事務やデータ入力は、パートタイムの募集も多く、まず働き始めるという意味では入りやすい分野です。ただし競争率は高く、PCスキルや前職での実績をしっかり書類に反映させる必要があります。

受付・窓口業務は、来客対応の経験や丁寧な接客スキルが評価される職種です。ホテルや不動産会社、クリニックなどで募集があり、「長年、社内外の折衝を担当してきた」という方には意外と相性がよい選択肢です。

社労士・行政書士補助・法務事務

社会保険労務士事務所や行政書士事務所では、書類作成補助や顧客対応を担う補助スタッフを必要としています。前職で人事・労務・総務を担当していた経験があれば、即戦力として重宝されます。

求人数は多くはありませんが、事務所によっては60代のベテランを積極的に採用しているところもあります。ハローワークや士業向けの求人サイトで探すと見つかることがあります。

定年後の事務職再就職|雇用形態の選び方

正社員にこだわるか、パートタイムや契約社員も視野に入れるかは、収入のニーズや健康状態によって異なります。選択肢を整理したうえで、自分の状況に合った形を選びましょう。

60〜64歳の男性の63.7%が再就職後に賃金が減少したと回答しています。 これは定年後の再就職全般に言えることですが、事務職でも例外ではありません。あらかじめ収入が下がることを前提に、生活設計を見直しておくことが必要です。

パートタイムで働く割合が高くなる傾向があり、60歳〜64歳の男性は一般職で転職する人が8.9%に対し、パートとして転職する人は25.6%と約3倍にのぼります。 現実として、パートタイムや嘱託・契約社員といった非正規雇用からスタートするケースが多いことは認識しておきましょう。

「まずパートや契約社員で入社し、実績を積んでから正社員登用を目指す」というルートは、定年後の再就職では現実的かつ有効な戦略です。実際に、パートから始めて翌年に正社員登用された60代の事例は珍しくありません。

定年後の事務職求人の探し方|使えるサービスと活用のコツ

求人の探し方は一つではありません。それぞれのサービスに特徴があるため、複数を組み合わせながら活動するのが効果的です。

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは、全国にある公共の職業紹介所で、無料で仕事探しのサポートを受けることができます。定年後の再就職やシニア世代向けの求人も多く取り扱っており、職業相談、履歴書の添削、面接対策などの支援も行っています。

ハローワークでは、シニア専門の相談窓口「生涯現役支援窓口」も設けられており、60代以上の方の就職活動を丁寧にサポートしています。地元密着の求人が多いため、通勤負担を抑えたい方にも向いています。

シニア向け求人サイト・転職エージェント

転職エージェントは、非公開求人の紹介や応募書類の添削、面接対策など、専門的なサポートが受けられます。シニア向けやハイクラス向けのサービスに複数登録し、信頼できる担当者を見つけておくのがおすすめです。

事務職の再就職を目指す場合、シニア専門の転職エージェントに登録すると、年齢不問の非公開求人を紹介してもらえることがあります。ハローワークでは表に出てこない求人が集まっているため、両方を並行して使うのが効率的です。

シルバー人材センター

地域ごとに設けられている「シルバー人材センター」などの公的機関でも、シニア向けの短時間労働や臨時の仕事を紹介しているところがあります。地元に根ざした求人が多く、通勤の負担を減らしたい方にもおすすめです。

シルバー人材センターは正規雇用の仕事ではなく請負・委任の形が主ですが、データ入力や軽易な事務補助の仕事を紹介してもらえるケースがあります。「フルタイムではなく週2〜3日で軽く働きたい」という方には合っている選択肢です。

書類選考・面接で差がつくポイント

定年後の事務職再就職で最大の壁は、書類選考です。人事目線で言えば、60代の応募者に求めるのは「若い人と同じ仕事ができるか」ではなく、「長く安定して貢献してくれるか」という観点です。

職務経歴書は「事務的な業務」に絞って書く

30〜40年のキャリアをすべて書いてしまうと、採用担当者にとって「何をやりたいのかわからない人」という印象になります。定年後の事務職再就職では、これまでのキャリアの中から「事務・管理・データ処理・書類作成」に関連した経験だけを抜き出し、そこに特化した職務経歴書を作ることが重要です。

管理職経験が長い方は、「プレイヤーとして事務を担っていた時期」を意識的にピックアップしてください。「部下の育成をしていた」より「毎月の労務管理データを整備し、1000名分の勤怠集計を担当」という書き方のほうが、事務職の採用担当者には響きます。

志望動機は「長く働きたい」という意思を具体的に

「体力的に事務職が向いているから」という志望動機は、正直ですが採用側から見ると消極的に映ります。それよりも「これまで経理補助で培った正確な処理スキルを御社の業務に活かしたい」「地域のクリニックの事務を支えることで長く社会と関わり続けたい」といった形で、積極的な理由と意欲を具体的に示すほうが印象はよくなります。

面接では「何年くらい働く気ですか」と聞かれることがあります。「できれば65歳まで、健康が続く限り貢献したい」という具体的な答えを用意しておくと、企業側の安心感につながります。

PCスキルは「どのソフトをどの程度使えるか」まで明記する

「Word・Excel使用可」という記載は、今や当たり前すぎて差別化になりません。Excelであれば「関数(VLOOKUP・IF・SUMIF等)を業務で使用」「ピボットテーブルで集計業務を担当」まで書けると、具体性が増します。

もし現時点でスキルに不安があるなら、日本職業能力開発協会(JAVADA)などが実施するMOS(Microsoft Office Specialist)の取得を検討するのもひとつの方法です。資格を取得しておくと、客観的な証明として書類に記載できます。

定年後の事務職を目指すにあたって準備しておくこと

実際に求人に応募し始めるのは定年後でも構いませんが、準備は定年前から始めておくのが理想です。特に次の点は早めに取り組むほど有利になります。

再就職する際はシニア向け求人は少ないため、再就職までに半年から一年かかるケースもあります。 「定年になったら考えよう」ではなく、定年の1〜2年前から情報収集・スキル整備を進めておくことで、活動開始後のスムーズさが変わります。

また、2021年の高年齢者雇用安定法改正により、事業主には70歳まで働ける措置を講じる努力義務が設けられています。 法改正によって企業側もシニア雇用への対応を求められており、以前と比べると環境は整いつつあります。制度の追い風を味方につけながら活動を進めましょう。

具体的な準備事項として、以下を参考にしてください。

  • PCスキルの棚卸しと、不足している部分の補強(MOSや簿記の取得)
  • 現役時代の業務を「数値・具体的な成果」つきで整理した職務経歴書の下書き
  • ハローワークや転職エージェントへの早期登録と情報収集
  • 希望年収・雇用形態・勤務日数・通勤距離の優先順位を決める
  • 健康診断の受診(採用面接で働ける状態であることを自信をもって伝えるために)

転職エージェントへの登録を次のアクションに

定年後の事務職再就職は、確かに簡単ではありません。しかし、採用側の視点を理解し、適切な準備と求職活動の方法を選べば、60代でも事務職に就くことは十分に可能です。

一人で求人を探すよりも、転職エージェントを活用して非公開求人を紹介してもらいながら、書類・面接対策のサポートを受けるほうが効率的です。まずは無料相談から始めてみることをおすすめします。以下の記事も参考にしてください。

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まとめ|定年後の事務職再就職で押さえておきたいポイント

定年後に事務職での再就職を成功させるには、採用側の視点を理解したうえで、自分のキャリアを的確に言語化することが欠かせません。年齢は確かに壁になりますが、準備と戦略次第で十分に突破できます。

  • 定年後の事務職は競争率が高いが、経理経験・PCスキル・サポート役に徹する姿勢があれば採用される可能性は十分ある
  • 雇用形態はパートや契約社員から始め、正社員登用を目指すルートが現実的かつ有効
  • 職務経歴書は事務関連の経験に絞り、数値・具体的成果を盛り込んで差別化する
  • ハローワーク・転職エージェント・シルバー人材センターを組み合わせて求人を探す
  • 定年の1〜2年前からスキル整備と情報収集を始めると、活動開始後がスムーズになる
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