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経理の転職で役立つ資格|未経験・経験者別の選び方と取得戦略

Photo by Margaret Stokman on Unsplash
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「経理に転職したいけれど、どの資格を取ればいいか分からない」——そんな悩みを抱えて検索してたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

私はリクルートグループでキャリアアドバイザーを10年間務め、経理・財務職への転職支援を累計で数百件以上担当してきました。その経験からはっきり言えることがあります。「資格さえあれば受かる」は誤解で、「資格ゼロで戦える層」も確実に存在します。ただし、どの資格をいつ取るかの戦略を間違えると、遠回りになってしまうのも事実です。

この記事では、未経験から経理を目指す方にも、すでに経理経験があってキャリアアップを狙う方にも使える「資格の選び方と取得戦略」を、転職市場の実態をふまえながら解説します。「次に何をすべきか」まで具体的にお伝えします。

目次

経理の転職で資格は本当に必要なのか

結論から言うと、資格は「必須ではないが、あると有利」というのが正確なところです。ただし、これは一律ではなく、あなたの経歴・狙うポジション・企業規模によって大きく変わります。

キャリアアドバイザー時代に実感したのは、採用担当者が経理候補者を見るときの優先順位です。まず見るのは「実務経験の有無と深さ」、次に「使えるツールやシステムの知識」、そして「資格」という順序になることがほとんどです。資格が前に来ることは少ない。

では資格は意味がないのか。そんなことはありません。特に次の2つのケースでは資格が大きな役割を果たします。

ひとつは「実務経験がない未経験者」が経理ポジションを狙う場合。実務で証明できるものがない分、資格が「最低限の知識をもっている証明」として機能します。もうひとつは「より上位ポジション・より高年収の求人」に挑む場合。連結決算や税務申告の実務担当ポジションでは、関連資格を評価要素に明示している求人も多くあります。

資格は「持っていない理由を聞かれないようにするための最低限の備え」と捉えると、取得の優先度が整理しやすくなります。

未経験から経理を目指す方に取得をすすめる資格

経理未経験で転職活動に臨む場合、まず取り組むべき資格は2〜3個に絞るのが賢明です。欲張って多くの資格を並べるより、確実に取得できるものを選んで集中した方が、転職活動のタイムラインを崩さずに済みます。

日商簿記2級|経理転職の最低ライン

多くの求人で取得が推奨または必須とされており、採用担当者に強くアピールできる資格として、日商簿記は経理の基礎知識を証明する最も一般的な選択肢とされています。

3級でも「簿記の知識がある」ことは伝わりますが、転職市場で評価されるのは2級以上が実質的なラインです。3級は入門資格として位置づけられていることが多く、中途採用の経理職応募で3級のみを強みとして押し出すのは少し心もとない。これはキャリアアドバイザーとして多くの書類添削をしてきた経験から感じてきたことです。

日商簿記2級の合格に必要な学習時間は、簿記知識ゼロの場合で150〜250時間程度とされます。独学でも合格できる試験ですが、近年は商業簿記と工業簿記の両方が問われ、難化傾向にあります。通信講座やeラーニングを活用すると、学習時間を100〜150時間程度に短縮できる場合もあります。

試験は年3回(6月・11月・翌2月)実施されており、直近の合格率は試験回によって15〜30%前後で推移しています。日本商工会議所の公式サイトで最新の試験日程・合格率を確認することをお勧めします。

日商簿記3級|転職前の「助走」として使う

3級は単独で転職の武器にするのは難しいですが、「2級取得に向けて勉強中。すでに3級は取得済み」という文脈では有効です。在職中に転職活動を進めながら並行して勉強している方は、3級を取ってから2級に進む段階的なルートを選ぶと達成感も出て挫折しにくくなります。

3級の学習時間の目安は50〜100時間程度。2〜3か月でも取得できる難易度なので、「まず1個取る」という体験を積むためにスタートラインとして選ぶのは合理的な判断です。

MOS(Microsoft Office Specialist)|実務での使いやすさを証明

経理業務はExcelをフル活用します。関数・ピボットテーブル・データ集計など、実務で使えるExcelスキルがあるかどうかは採用担当者も意識しています。MOSのExcel(エキスパートレベル)は、そのスキルを客観的に示す手段として有効です。

特に未経験者の場合、「簿記の知識+Excelスキル」という組み合わせで書類選考を通過しやすくなります。MOSは随時受験が可能で、地元のパソコン教室やテストセンターで受験できるため、スキマ時間で取得できる点もメリットです。

経理経験者がキャリアアップに活かせる資格

すでに経理の実務経験がある方が転職でレベルアップを図る場合は、より専門性の高い資格が武器になります。「今の会社でできることは一通りやった」「より大きな会社・より上流の仕事に移りたい」と感じているなら、以下の資格の取得を検討してみてください。

税理士試験(科目合格)|段階的に積み上げられる専門資格

税理士試験は全5科目の合格が必要ですが、1科目ずつ受験できる科目合格制を採用しています。経理職で働きながら「税法に詳しい人材」としての市場価値を高めるには、簿記論・財務諸表論の2科目を取得するだけでも大きな差別化になります。

実際に私がサポートした方の中には、経理経験4年で税理士2科目合格を武器に上場企業の経理部に転職し、年収を100万円以上引き上げたケースがありました。もちろんすべての人にそのような結果が保証されるわけではありませんが、資格×実務経験の組み合わせが高く評価された典型例です。

学習時間の目安は1科目あたり200〜500時間程度と言われており、計画的な受験スケジュールが必要です。国税庁のウェブサイトで試験日程や受験資格の最新情報を確認することをお勧めします。

TOEIC 700点以上|外資系・グローバル企業への転職に

外資系企業や、海外子会社との連携がある日系グローバル企業の経理ポジションを狙う場合、英語力は事実上の必須スキルです。英文財務諸表の読み書き、海外拠点との数値のやり取りなど、経理にも英語が絡む業務は確実に増えています。

目安として、外資系経理ポジションではTOEIC 700〜800点以上が応募要件として掲げられることが多く、750点を超えるとグッと選択肢が広がります。経理の専門性と英語スキルの両方を持つ人材は希少性が高く、転職市場での競争優位になりやすいです。

公認会計士(CPA)|上位キャリアへの切り札

公認会計士は経理・財務領域で最も難易度の高い資格のひとつです。合格者は監査法人への就職が一般的ですが、その後に事業会社のCFO候補・財務部長候補として転職するルートも確立されています。すでに経理を長くやってきた方が「数年かけて最上位の資格を取る」という選択肢として考える価値はあります。

ただし、学習時間は3,000〜5,000時間超と言われており、社会人が働きながら取得するのは相当な覚悟と計画が必要です。キャリアチェンジの最終目標として据えるなら選択肢になりますが、「転職活動と並行して取得しよう」という性質の資格ではありません。

資格取得のタイミングと転職活動の進め方

見落とされがちなポイントとして、「資格が取れてから転職活動を始める」という考え方が、かえって転職を遅らせるリスクがあります。

キャリアアドバイザーをしていた頃、「簿記2級を取ってから活動します」と言って1年以上活動を先送りにする方を何人も見てきました。その間に採用市場は変わり、年齢は上がり、タイミングを逃してしまうケースがありました。

転職活動と資格の勉強は、完全に並行して進めるのが現実的な戦略です。

具体的な進め方の目安を整理すると、次のような流れが考えられます。

  • 転職エージェントに登録して自分の市場価値を確認する(1週間以内)
  • エージェントとの面談で「今の資格・経験でどの求人に出せるか」を把握する(初回面談)
  • 資格勉強を開始しながら、応募できる求人には積極的に応募する(並行)
  • 「現在○○の資格を取得に向けて勉強中です」という伝え方で、向上意欲を示す(書類・面接)
  • 資格取得後は書類を更新して再アプローチできる求人を広げる(取得後)

この流れで動くと、資格取得が完了する前に内定が出ることもありますし、仮に取得後になっても転職活動の軸はすでに出来上がっているため、無駄な時間がありません。

よくある誤解|「資格があれば未経験でも受かる」は本当か

残念ながら、これは半分正解・半分誤解です。日商簿記2級を取得すると「書類で落とされる確率」は確かに下がります。ただし、中途採用の経理ポジションは「即戦力」を求めている求人が多いため、経験ゼロで内定まで辿り着けるかは別の話です。

未経験者が経理転職で内定を取りやすいのは、次のような条件が重なったときです。

  • 中小企業・スタートアップなど、育てる余裕のある組織規模
  • 簿記2級以上の資格を保有している
  • Excelなどの事務処理スキルがある
  • 異業種での数字管理・予算管理・売上管理などの周辺経験がある
  • 20代で伸びしろ・吸収力をアピールできる

逆に、大手企業・上場企業の経理ポジションは実務経験者を優先するケースが多く、資格単体で突破するのは難しいのが実態です。「どのレベルの企業・ポジションを狙うか」と「自分の現状スペック」を照らし合わせて、現実的な目標設定をすることが遠回りを防ぐ最善策です。

経理転職で実務経験が資格より優先される場面

中途採用市場で採用担当者が実務経験を重視する場面を、もう少し具体的に掘り下げます。次のような経験は、資格以上に評価されることがあります。

  • 月次決算・四半期決算の締め作業の経験
  • 年次決算・税務申告のサポート経験
  • 会計ソフト(弥生会計・freee・SAP・Oracleなど)の操作経験
  • 経費精算や支払処理などの日常経理業務の経験
  • 内部統制・監査対応の補助経験

これらの実務経験は、資格の欄が空欄でも評価対象になり得ます。特に「決算業務の経験がある」という事実は、即戦力としての証明として強く機能します。

一方で、「仕訳入力と請求書処理しかやってこなかった」という場合は、業務の深さが浅く評価されにくいため、資格でその不足を補う戦略が有効になります。実務経験の「幅と深さ」を自己評価した上で、足りない部分を資格で補うという発想が実践的です。

経理転職で役立つ資格の一覧と選び方の軸

ここまでの内容をふまえ、経理転職で検討すべき資格を整理します。目安の学習時間・難易度・どんな人に向いているかを軸に選んでください。

  • 日商簿記3級:学習目安50〜100時間。未経験者の第一歩、または2級取得前の助走として
  • 日商簿記2級:学習目安150〜250時間。未経験転職の最低ラインとして強くおすすめ
  • MOS(Excelエキスパート):学習目安20〜60時間。実務でのExcelスキルを客観的に示したい方に
  • 税理士(科目合格):1科目あたり200〜500時間。経理経験者がキャリアアップを目指す場合に
  • TOEIC 700〜800点以上:外資系・グローバル企業の経理を狙う場合に必要なスコア目安
  • 公認会計士:学習目安3,000〜5,000時間超。財務・CFOルートを見据えた長期キャリア戦略として

「いつまでに転職したいか」「どんな企業規模・ポジションを狙うか」を先に決め、そこから逆算して取得する資格を選ぶことが、最も無駄のない戦略です。

資格取得の「順番」と「タイミング」が転職成功率を左右します。先に転職活動の方向性を固めてから、必要な資格を選ぶのが正しい順序です。

転職エージェントを活用して資格戦略を確認する

「自分の経歴で経理転職は現実的か」「今取るべき資格は本当に簿記2級でいいのか」——こうした疑問は、転職エージェントへの無料相談で解消できます。

転職エージェントは求人を紹介するだけでなく、あなたの現状のスペックで「どの求人に出せるか」「何を補えば選考通過率が上がるか」を具体的に教えてくれます。資格勉強を始める前に、一度自分の市場価値を確認しておくことを強くお勧めします。

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まとめ|経理転職に向けた資格取得の進め方

経理転職と資格の関係は、「資格が絶対必要」でも「資格があれば必ず受かる」でもありません。自分の経歴・狙う企業・転職時期に合わせた「戦略的な資格選び」が重要です。この記事で押さえたポイントを確認しておきましょう。

  • 未経験から経理転職を目指す場合は、日商簿記2級が実質的な最低ラインになる
  • 経理経験者がキャリアアップを狙うなら、税理士の科目合格やTOEICが有効な武器になる
  • 資格勉強と転職活動は並行して進めるのが正しい戦略。「資格が取れてから」は遠回りになりやすい
  • 実務経験の「幅と深さ」が資格より評価される場面も多い。自己評価した上で不足を資格で補う発想を持つ
  • 転職エージェントへの無料相談で、自分の現状スペックと必要な資格を事前に確認しておくのが最も効率的
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