「マネーフォワードの経理ポジションに転職したい」と考えつつ、「実際の仕事内容はどうなのか」「自分のスキルで通用するのか」と不安を感じている方は少なくないでしょう。
人事担当として採用の現場を渡り歩いてきた立場からいうと、マネーフォワードの経理は”ただ数字を扱う部門”ではありません。クラウドツールを駆使したプロセス変革と、ビジネス成長への直接貢献が求められる、かなり攻めの経理部門です。
この記事では、マネーフォワード社の経理職の仕事内容・求められるスキル・選考の傾向・転職を成功させるための準備まで、実務的な視点で整理します。「自分に合うか判断したい」という方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
マネーフォワードという会社を経理目線で理解する
転職活動で一番失敗しやすいのが、「会社を表面的にしか調べていない」ケースです。私が採用担当だったころも、応募者が会社の事業を「家計簿アプリの会社ですよね」と一言で片付けてしまい、面接官の表情が曇る場面を何度も見てきました。
株式会社マネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、個人向けの資産管理アプリ「マネーフォワード ME」から、法人向けのバックオフィスSaaSまで幅広く展開するフィンテック企業です。東京証券取引所プライム市場に上場(証券コード:3994)しており、グループ会社を含めた事業規模は年々拡大を続けています。
経理職の観点で特に重要なのは、同社が「自社プロダクトを使って自社の経理業務を行う」という特殊な環境にある点です。マネーフォワード クラウド会計・経費精算・請求書管理などのプロダクトを、経理本部自身が実際に使用しています。つまり、経理担当者がユーザーであり、同時にプロダクト改善に貢献できる立場でもある、という非常にユニークな職場環境なのです。
マネーフォワード経理本部の役割
マネーフォワードの経理本部は、グループ全体の財務インフラを支える部門として位置づけられています。単純な記帳・集計業務に留まらず、連結決算・開示業務・税務申告・グループ会社管理と、幅広い業務領域をカバーしています。
公式の採用情報(hrmos.co)によると、経理本部の特徴として「自社プロダクトを利用しているので自らの成功体験をセミナー等で話すことでPRや売上に貢献できる」「グループ会社なども含め、月次決算業務から連結決算・開示など幅広い業務を一貫して経験することも可能」と開示されています。ジェネラリストとしてもスペシャリストとしても、本人の志向に合わせたキャリアを積める環境と説明されています。
マネーフォワード経理の主な仕事内容
「経理」と一口にいっても、企業規模や事業特性によって実務は大きく異なります。マネーフォワードの経理は、大まかに次の領域に分かれています。
月次・決算業務
月次・四半期・年次の決算業務が中核です。上場企業のため、適時開示に対応した正確なスケジュール管理が必要です。公式採用情報では連結会計の実務経験・上場企業での開示実務経験が必須スキルとして明示されており、連結決算の実務経験がある人材が特に重視される傾向があります。
私が製造業の人事担当だったころ、経理の中途採用で「連結決算の経験あり」と「なし」では書類通過率がまったく異なりました。マネーフォワードのような上場フィンテック企業ではなおさらで、この点は応募前にしっかり確認しておきたいところです。
税務・開示業務
税務申告や監査対応も重要な業務です。公式採用情報では会計監査対応経験が必須スキルとして挙げられており、高度な専門性が問われる領域です。あると望ましいスキルとして、公認会計士資格・監査法人での会計監査実務経験も明示されています。
プロセス変革・システム導入
マネーフォワードの経理が他社の経理部門と一線を画するのが、業務改善への取り組み姿勢です。公式採用情報では「業務遂行にあたり常に改善する余地がないか考える姿勢」が求めるスキルとして明記されており、表計算ソフトを活用した自動化・改善経験も必須要件に含まれています。
「経理なのに改善の話が出てきた」と戸惑う方もいるかもしれませんが、ここがマネーフォワードらしさです。自社の経理業務を改善しながら、そのノウハウをプロダクト改善や営業活動にも還元できる——この循環を楽しめる人材が求められています。
マネーフォワード経理に求められるスキル・経験
採用担当者として多くの求人票を読み込んできた経験からいうと、マネーフォワードの経理求人に共通するスキル要件は大きく3つに整理できます。単なる”経理経験あり”では通らないので、自分のスキルと照合しながら確認してみてください。
必須スキル・経験
公式採用情報(hrmos.co)から読み取れる必須要件は次の通りです。
- 日商簿記2級以上(または同等のスキル)
- 3年以上の経理実務経験
- 上場企業での開示実務経験
- 連結会計の実務経験
- 会計監査対応経験
- 表計算ソフトを活用した自動化・業務改善の実績
- 関係部門を巻き込んでプロジェクトを推進するコミュニケーション力
- 業務遂行にあたり常に改善する余地がないか考える姿勢
特に注目したいのが「連結会計の実務経験」と「上場企業での開示実務経験」が並んで必須要件に挙がっている点です。これは「経理経験があれば十分」というレベルを明確に超えており、上場企業または同等規模の組織での実務経験が前提になっています。
あると望ましいスキル
- 日商簿記1級
- 公認会計士資格
- 監査法人での会計監査実務経験
高度な専門資格・経験がある場合、選考での評価がさらに高まる可能性があります。ポジションによっては求人票に追加の歓迎要件が明示されることもあるため、応募時は必ず最新の求人票を確認してください。
働き方・カルチャーへの適性
公式採用情報では「様々なクラウドツールを利用した経理業務を体感できる」環境が特徴として挙げられており、新しいツールや変化を前向きに楽しめる姿勢が重視されていることが読み取れます。スタートアップ的なスピード感と適応力が求められる職場です。なお、具体的な出社頻度・ハイブリッドワーク条件はポジションごとに異なるため、応募時に最新の求人票でご確認ください。
マネーフォワード経理への転職難易度と選考の傾向
率直にいうと、マネーフォワードの経理ポジションは競争率が高く、難易度は「やや高め〜高い」と見ておくのが現実的です。いくつかの理由があります。
求人数が限られている
マネーフォワードは上場企業ではありますが、経理部門のポジション数は事業会社として決して多くありません。大量採用が発生するわけではなく、組織の拡大や欠員補充のタイミングで不定期に募集がかかる形が中心です。
テンプスタッフの求人データでも「マネーフォワード 経理」というキーワードで検索できる求人件数は25件程度(2026年6月時点)にとどまっており、ポジションが潤沢にあるわけではないことがわかります。
スキルバーが明確に高い
前述のとおり、簿記2級以上・3年以上の経理実務経験・連結会計や開示実務の経験が必須です。「経理未経験」や「経理補助のみ」という方が直接応募しても、書類審査で跳ね返されることがほとんどでしょう。
一方で、「経理×クラウドツール活用」というスキルの掛け合わせを持つ人材は市場全体で不足しているため、適切なスキルを持つ人材には十分チャンスがある分野です。「経理システム導入に携わった経験がある」「表計算ソフトで業務改善した実績がある」という方はアピールポイントになります。
選考で問われること
人事担当の経験上、フィンテック企業の経理選考で共通して問われるのは次の3点です。
- 過去にどんな業務改善を主導したか(具体的な数値・成果込みで)
- ミッション・ビジョンへの共感(「なぜマネーフォワードか」)
- 変化の多い環境での自分なりの対応方法
特に2点目は「志望動機の深掘り」という形で必ず聞かれます。「フィンテックに興味があります」だけでは弱く、自社プロダクトを実際に使った経験や、マネーフォワードの事業に対する具体的な関心を話せるかどうかが評価の分かれ目になります。
マネーフォワード経理と他社経理の違い|特徴を整理する
「なぜ他の会社の経理ではなく、マネーフォワードの経理なのか」——この問いに答えられるかどうかが、転職活動での大きな差になります。他社の経理ポジションとの違いを整理してみましょう。
自社プロダクトと経理業務が直結している
一般的な事業会社では、経理システムはあくまでバックオフィスツールの一つです。しかしマネーフォワードでは、経理担当者が使うツールそのものが自社の収益源です。
経理担当者として業務上の課題を発見すれば、それがプロダクト改善の一次情報になります。「自らの成功体験をセミナー等で話すことでPRや売上に貢献できる」という点が経理本部の魅力として公式採用情報に明示されており、単なるバックオフィス業務を超えた役割が期待されています。
スピード感と変化への対応が常態化している
成熟した大企業の経理では、業務フローが長年かけて安定化していることが多いです。マネーフォワードは成長フェーズの上場企業であり、グループ会社の増加・新サービスの立ち上げ・制度変更への対応などが続く環境です。
「落ち着いた環境で着実に経理業務をこなしたい」という方には正直合わないかもしれません。逆に「経理の枠を超えてビジネスに関わりたい」「常に改善を続けたい」という方には、非常に刺激的な職場といえます。
年収水準について
マネーフォワードの財務諸表は東証プライム市場への上場企業として開示されています。有価証券報告書の「従業員の状況」に平均年収が記載されており、EDINETにて最新期のデータをご確認いただけます。経理職に限った年収帯は公開情報からは確認できないため、応募するポジションの求人票に記載された賃金情報を必ずご確認ください。
マネーフォワード経理への転職を成功させるための準備
ここまで読んで「チャレンジしてみたい」と感じた方向けに、実際に転職活動を進める際の具体的な準備をお伝えします。
職務経歴書で「プロジェクト推進経験」を具体化する
多くの転職希望者が職務経歴書で失敗するのが、「経理業務全般を担当」という曖昧な書き方です。マネーフォワードの採用担当者が見たいのは「何を、どのように変えたのか、結果どうなったか」という具体的なストーリーです。
例えば「月次決算のクローズを従来の10営業日から7営業日に短縮した」「経費精算のペーパーレス化を主導し、処理工数を月40時間削減した」のように、数値込みで記述することが重要です。
マネーフォワードのプロダクトに実際に触れる
面接でのアピールとして非常に有効なのが、「実際にマネーフォワード クラウドを使ったことがある」という経験です。個人事業主や副業での確定申告に使う、あるいは現職でクラウド会計ツールの導入に関わるなど、何らかの形で実際に触れておくと面接での話の深みが変わります。
私が採用担当だったIT企業では、面接で「実際に自分でツールを触ってみた」と話せる候補者を明確に高評価していました。マネーフォワードでも同様の傾向があると推測されます。
転職エージェントを活用して非公開求人を狙う
マネーフォワードの経理ポジションは、転職サイトに常時掲載されているわけではありません。エージェント経由の非公開求人として出るケースも多く、複数のエージェントに登録し、担当者に「IT・フィンテック系経理ポジションに興味がある」と明確に伝えておくことが大切です。
特に「20代・30代でキャリアチェンジを検討している」「経理の専門性をより高めたいが在職中で時間が限られている」という方は、エージェントのサポートを活用するのが現実的な選択肢です。
マネーフォワード経理への転職が向いている人・向いていない人
正直にいいます。マネーフォワードの経理は「良い転職先」ですが、誰にでも向いているわけではありません。応募前に自分との相性をしっかり確認することが、入社後のミスマッチを防ぐ最善策です。
向いている人
- 経理業務の「守り」だけでなく「変革」「改善」に強い関心がある
- クラウド会計・SaaSツールへの抵抗感がなく、新しいシステムを積極的に使える
- スタートアップ的なスピード感や変化が好き、または苦にならない
- 自分の経理経験をプロダクトや事業に還元することにやりがいを感じられる
- 上場企業経理や連結決算・開示実務の経験がすでにある
向いていない人
- 安定した業務フローの中で着実に経理をこなしたい
- 経理の専門性を深めたいが、業務改善・ツール活用には関心が薄い
- 未経験から経理職を目指しているフェーズ(まず他社でキャリアを積むべき)
- 変化のペースが速い組織環境が苦手
「向いていない人」のリストに当てはまった方も、今すぐあきらめる必要はありません。たとえば未経験や経理補助の経験しかない場合、まずは中小企業や会計事務所で実務を2〜3年積んでから改めて挑戦する、というキャリアパスが現実的です。
よくある質問
マネーフォワードへの経理転職を検討する方からよく寄せられる疑問をまとめました。
簿記2級を持っていれば応募できますか
簿記2級は必須スキルの一つとして公式採用情報に明示されていますが、それだけで通過するほど甘くはありません。連結会計・上場企業での開示実務経験・会計監査対応経験など、複数の必須要件が組み合わさって初めて書類通過が視野に入ります。日商簿記1級・公認会計士資格があればさらに評価が高まります。
未経験でも応募できますか
経理未経験での応募は現実的には難しい状況です。マネーフォワードの経理ポジションは即戦力を求めており、3年以上の経理実務経験・連結会計・開示実務などの経験がないと書類審査での通過が厳しいのが実態です。まずは他社で経理キャリアを築き、その後に挑戦することをお勧めします。
転職エージェント経由と直接応募、どちらが有利ですか
一概にはいえませんが、エージェント経由のほうが選考情報・面接対策・非公開求人へのアクセスなどサポートが厚い点で有利なケースが多いです。特に在職中の転職活動では、エージェントに段取りを任せることで余計なリソースを選考準備に集中させられます。
経理以外のポジションと掛け合わせた求人はありますか
マネーフォワードでは経理と財務・経営企画が一体化したポジションや、経理とコーポレートIT(システム担当)を兼務するような役割の求人が出ることもあります。専門性の幅を広げたい人材にも対応した求人が存在しますが、掲載内容は時期によって変わるため、最新の採用ページで確認することをお勧めします。
転職エージェントへの登録を検討している方へ
マネーフォワードの経理ポジションは非公開求人も多く、エージェントなしでの情報収集には限界があります。まず転職エージェントに登録して市場価値を確認するところから始めるのが、最もリスクの低い第一歩です。特に第二新卒・若手世代向けのエージェントは、経理未経験からのキャリア設計にも強い担当者が揃っています。

まとめ|マネーフォワードの経理転職で押さえておきたいこと
マネーフォワードの経理は、「経理×クラウド活用×プロダクト」という掛け合わせが求められる、やりがいの大きいポジションです。難易度は高めですが、適切な準備をすれば十分に狙えます。
- マネーフォワードの経理は「守り」だけでなく業務変革・改善まで担う攻めの部門
- 必須スキルは簿記2級以上+3年以上の経理実務経験+連結会計・開示実務・監査対応経験
- 自社プロダクトを使いながら経理業務を行う独自環境が最大の特徴
- 選考では「業務改善の具体的な実績」と「なぜマネーフォワードか」が問われる
- 非公開求人へのアクセスのためにも転職エージェントの活用が有効

