愛三工業株式会社(以下、愛三工業)は、1938年の設立以来、トヨタ自動車グループの大手自動車部品メーカーとして確固たる地位を築いてきました。特に燃料ポンプモジュールでは世界シェア4割を占めるトップシェア企業として知られています。本記事では、愛三工業の平均年収や年度別推移、他企業との比較データ、役職別・年齢別の年収推移、充実した福利厚生、転職難易度まで詳しく解説いたします。転職を検討されている方や就職活動中の方にとって有益な情報をお届けします。
愛三工業の会社概要
愛三工業は、トヨタ自動車グループに属する大手自動車部品メーカーです。1938年の設立当初は軍需品の製造を目的としていましたが、戦後に自動車部品メーカーとして転換し、現在ではトヨタ自動車の持分法適用関連会社として、主に燃料ポンプモジュール、スロットルボディ、キャニスタ、エンジンバルブなどの自動車部品の製造・販売を行っています。特に2022年にデンソーの燃料ポンプ事業を取得したことにより、燃料ポンプモジュール分野で世界シェア4割を占めるトップシェア企業となりました。世界中を走る自動車の約3台に1台に愛三工業の製品が搭載されており、グローバルな自動車産業を支える重要な役割を担っています。
愛三工業の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 愛三工業株式会社(Aisan Industry Co., Ltd.) |
本社所在地 | 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1 |
設立年 | 1938年12月 |
業種 | 輸送用機器 |
事業内容 | 自動車部品(燃料ポンプモジュール、スロットルボディ、キャニスタ、エンジンバルブ等)の製造・販売 |
上場市場 | 名古屋証券取引所プレミア市場(証券コード:7283) |
愛三工業の事業は主に自動車部品の製造・販売に特化しており、トヨタ自動車を中心とした国内外の自動車メーカーに幅広く製品を供給しています。同社の主力製品である燃料ポンプモジュールは、燃料タンクからエンジンへ燃料供給するために必要な部品を機能として一体化した製品で、自動車の心臓部とも言える重要な部品です。また、電子制御燃料噴射装置関係を中心に扱っていることもあり、トヨタ自動車と共同で液化石油ガス(LPG)エンジンを使用した自動車の開発も行っています。近年は動力源の多様化が加速する中で、市場の変化に合わせた技術開発の進化や次世代モビリティへの対応を着実に進めており、さらなる成長に向けて挑戦を続けています。
愛三工業の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
愛三工業の平均年収は、有価証券報告書に基づくと2024年度で691万円となっています。過去6年間の推移を見ると上昇トレンドが続いており、自動車部品業界の中でも安定した年収水準を維持しています。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 従業員数 |
---|---|---|---|
2024年度 | 691万円 | 43.3歳 | 2,610名 |
2023年度 | 661万円 | 43.1歳 | 2,575名 |
2022年度 | 658万円 | 42.8歳 | 2,590名 |
2021年度 | 655万円 | 42.5歳 | 2,598名 |
2020年度 | 645万円 | 42.2歳 | 2,613名 |
2019年度 | 635万円 | 41.9歳 | 2,625名 |
出典:愛三工業株式会社 有価証券報告書(各年度3月期)
他企業との比較データ
愛三工業の平均年収691万円を自動車部品業界の大手企業と比較すると、業界内では中上位に位置しています。トヨタグループ系列企業との比較データは以下の通りです。
企業名 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
デンソー | 834万円 | 43歳 |
アイシン | 698万円 | 39歳 |
愛三工業 | 691万円 | 43歳 |
ジェイテクト | 680万円 | 41歳 |
トヨタ紡織 | 678万円 | 42歳 |
豊田合成 | 687万円 | 41歳 |
出典:各社有価証券報告書(2024年度または最新期)
愛三工業の平均年収は自動車部品業界大手6社の中では3位となっており、東証プライム上場企業の自動車・輸送機業界の平均年収691万円とほぼ同水準にあります。全国平均年収460万円(国税庁調べ)と比較すると約231万円も高い水準にあり、業界内でも高待遇の企業として評価されています。特にトヨタグループ系列企業の中でも安定した年収水準を維持しており、従業員の平均勤続年数21.0年という長期勤続の実績が、働きやすい環境と安定した処遇を物語っています。
愛三工業の役職別年収データ
愛三工業の役職別年収について、有価証券報告書では詳細な開示がなされていませんが、従業員の口コミ情報や業界相場から推定される役職別年収の概要をご紹介します。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 公式データとしては非開示 |
課長クラス | 公式データとしては非開示 |
部長クラス | 公式データとしては非開示 |
総合職平均 | 802万円 |
管理職級平均 | 1,065万円 |
愛三工業では一般的なトヨタ系企業と似たような水準の給与制度が採用されており、年功序列から表向き能力評価の給料体系に変わろうとしている過渡期にあります。賞与は6ヶ月近く支給されており、労働組合の活動がしっかりしているため、従業員の待遇改善にも積極的に取り組んでいることがうかがえます。5段階評価制度が導入されており、個人の目標設定と評価によって昇進・昇給が決定される仕組みとなっています。
愛三工業の年齢別年収推移
愛三工業の年齢別年収について、有価証券報告書と厚生労働省の賃金構造基本統計調査を元にした推定データをご紹介します。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代(25〜29歳) | 441万円 |
30代前半(30〜34歳) | 508万円 |
30代後半(35〜39歳) | 579万円 |
40代前半(40〜44歳) | 618万円 |
40代後半(45〜49歳) | 661万円 |
50代前半(50〜54歳) | 714万円 |
50代後半(55〜59歳) | 713万円 |
出典:愛三工業株式会社 有価証券報告書および厚生労働省 賃金構造基本統計調査を基にした推計
愛三工業の年収は新卒直後の20代では年収435万円からスタートし、働き盛りの30代では年収630万円、管理職割合が増える40代では年収702万円、最高年収に到達する50代では年収740万円に到達します。月々の平均手取りについては、20代では28万円前後、最高年収となる50代では46万円前後となります。年功序列的な側面がありながらも、能力評価も重視されるバランスの取れた給与制度が特徴です。
愛三工業の福利厚生
愛三工業は自動車部品業界の中でも充実した福利厚生制度を提供しています。トヨタグループの一員として、グループ全体の高い福利厚生水準を維持しており、従業員の働きやすさを重視した制度が整備されています。
- 住宅関連制度 住宅手当や社宅制度が整備されており、転勤時の住居サポートも充実しています。独身寮や家族寮も完備されており、新入社員から家族持ちまで幅広くサポートされています。
- 交通費 通勤交通費は全額支給され、出張時の交通費も適切に支給されます。マイカー通勤も可能で、駐車場も完備されています。
- 保険制度 各種社会保険に加え、企業独自の共済制度や団体保険制度が利用可能です。健康診断や人間ドックの費用補助も充実しています。
- 休暇制度 年次有給休暇の取得推進に加え、リフレッシュ休暇や慶弔休暇などの特別休暇制度も整備されており、ワークライフバランスの向上に努めています。
- 退職金制度 確定拠出年金制度と企業年金制度の両方が整備されており、老後の生活設計もサポートされています。退職金制度は業界内でも高水準となっています。
- 教育研修制度 技術者向けの専門研修や語学研修、海外派遣制度など、キャリア開発支援が充実しています。資格取得支援制度もあり、自己啓発を積極的にサポートしています。
出典:愛三工業株式会社 採用サイト・有価証券報告書
特に注目すべきは、平均勤続年数が21.0年と業界平均の16.8年を大きく上回っており、離職率の低い働きやすい職場環境が実現されていることです。労働組合の活動も活発で、従業員の待遇改善や働き方改革に積極的に取り組んでいます。
愛三工業の転職難易度は?
愛三工業は東証プライム上場のトヨタグループ企業として、転職市場においても高い人気を誇っています。特に2022年にデンソーの燃料ポンプ事業を取得して世界シェア4割を占めるトップシェア企業となったことで、さらに注目度が高まっています。中途採用にも積極的に取り組んでおり、経験者採用を中心に幅広い職種で募集を行っています。
求められる人材像
愛三工業が求める人材像は、自動車部品の技術革新を推進できる高い専門性と、グローバルな視点を持った人材です。特に燃料ポンプモジュール、スロットルボディ、キャニスタ、エンジンバルブなどの自動車部品に関する研究開発経験者、生産技術や品質管理の専門知識を持つ人材が重宝されています。また、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカーとの取引経験や、自動車業界での営業・マーケティング経験者も歓迎されています。英語力は必須条件ではありませんが、海外展開を積極的に進めている企業であるため、語学力があると有利になります。
転職成功のポイント
愛三工業への転職を成功させるためには、まず自動車部品業界、特に燃料系統部品に関する基礎知識を身につけることが重要です。同社の主力事業である燃料ポンプモジュール事業について理解を深め、業界動向や技術トレンドを把握しておくことが求められます。また、「確かな技術と品質で豊かな社会へ新たな価値を創造」という企業理念に共感し、モノづくりを通じて社会に貢献したいという強い意志を示すことが大切です。面接では、これまでの経験をどのように愛三工業の事業に活かせるかを具体的に説明できるよう準備しておきましょう。転職エージェントを活用する場合は、自動車業界に特化したエージェントを選ぶことで、より効果的な転職活動が可能になります。
まとめ
愛三工業は平均年収691万円と自動車部品業界の中でも高水準の待遇を提供している企業です。燃料ポンプモジュール分野で世界シェア4割を占めるトップシェア企業として、技術革新を続ける成長企業として、転職市場でも高い注目を集めています。トヨタグループの一員として安定した経営基盤を持ちながら、充実した福利厚生制度により、従業員の満足度も高い水準にあります。
平均勤続年数21.0年という長期勤続の実績は、働きやすい職場環境と安定した処遇を物語っており、キャリアを長期的に積み重ねたい方にとって魅力的な職場といえます。近年は動力源の多様化や次世代モビリティへの対応など、新たな技術領域への挑戦も積極的に行っており、自動車部品業界でのキャリアを考えている方にとって、愛三工業は魅力的な転職先の一つといえるでしょう。転職を検討される際は、同社の事業内容や企業理念を十分に理解し、自身の経験やスキルをどのように活かせるかを明確にして臨むことをおすすめします。