大王製紙株式会社(以下、大王製紙)は、エリエールブランドで知られる日本を代表する製紙メーカーです。転職を検討される方にとって、福利厚生制度は重要な判断材料となります。この記事では、大王製紙の福利厚生について住宅手当から退職金制度まで詳しく解説し、転職時に知っておくべきポイントをご紹介します。
大王製紙の会社概要
大王製紙は1943年に設立された歴史ある製紙メーカーで、日本の製紙業界において重要なポジションを占める大手企業です。同社は家庭紙事業で国内トップシェアを誇り、特に「エリエール」ブランドのティッシュペーパーや紙おむつ「GOO.N」などで高い知名度を持っています。連結売上高は6,689億円(2025年3月期)、従業員数は連結で12,191名を擁する企業規模となっています。
大王製紙の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 大王製紙株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区富士見2丁目10番2号(東京本社) 愛媛県四国中央市三島紙屋町2番60号(四国本社) |
設立年 | 1943年(昭和18年)5月5日 |
業種 | 製紙・パルプ業 |
事業内容 | 紙・板紙・パルプ製造、日用品雑貨製造など |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
資本金 | 539億円(2025年3月31日現在) |
従業員数 | 連結12,191名、単独2,332名(2025年3月31日現在) |
大王製紙の事業内容は多岐にわたり、主力である紙・板紙・パルプの製造から日用品雑貨の製造まで幅広く手がけています。製紙事業では新聞用紙、印刷用紙、包装用紙、板紙などの産業用途から、一般消費者向けの衛生用紙まで多様な製品を展開しています。家庭紙事業では「エリエール」ブランドのティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウエットワイプなどが主力製品となっており、国内市場でトップシェアを維持しています。また、紙おむつ事業では「GOO.N」ブランドの赤ちゃん用紙おむつや「アテント」ブランドの大人用紙おむつを展開し、少子高齢化社会のニーズに対応した製品開発を行っています。
大王製紙の福利厚生制度の特徴
大王製紙の福利厚生制度は、従業員のワークライフバランスを重視した充実した内容となっています。特に住宅関連制度の手厚さが同社の大きな特徴で、転勤が多い製造業の特性を考慮した制度設計が行われています。また、仕事と育児の両立支援にも力を入れており、独自の有給休暇制度や事業所内保育所の設置など、働く社員とその家族を支える制度が整備されています。
住宅関連制度
大王製紙の住宅関連制度は、同社の福利厚生の中でも特に評価の高い制度です。工場周辺には寮・社宅が完備されており、男性独身寮の社宅使用料は月額4,000円から8,000円となっています。また、工場以外のエリアで勤務する社員には、法人契約の借り上げ社宅制度が適用されます。独身者の場合、基準内家賃であれば自己負担は月額8,000円からとなっており、年齢により使用料は異なりますが、住居費の負担を大幅に軽減できる制度となっています。
口コミによると、東京勤務の場合は会社が約7万円の家賃補助を負担し、自己負担は1万円程度で済むケースが多いとされています。この制度により、特に若手社員にとっては実質的な年収アップ効果が期待でき、生活費の削減により貯蓄にも余裕が生まれると評価されています。ただし、適用には一定の条件があり、実家からの通勤時間などが考慮されます。
健康・医療関連制度
大王製紙では従業員の健康管理に力を入れており、充実した健康・医療関連制度を提供しています。三島工場には敷地内に大王製紙健康保険組合があり、その他の大規模事業所(可児工場、東京本社)には大王製紙健康保険組合の保健師が常駐する「健康管理室」が設置されています。これにより、社員は日常的な健康相談から専門的な医療サポートまで、手軽に利用できる環境が整っています。
また、生活習慣改善の一環として、社員とその家族が格安で利用できるスポーツ施設も充実しています。大王製紙の福利厚生施設である「エリエールスポーツクラブ(愛媛県四国中央市)」のほか、全国に施設を構える大手スポーツクラブと提携しており、健康維持・増進のためのサポート体制が整備されています。
休暇・働き方制度
大王製紙の休暇制度は、従業員のワークライフバランスを重視した充実した内容となっています。同社では完全週休2日制を採用し、年間休日は規定で118日、2022年度実績では123日となっています。これに加えて夏季・年末年始休暇、年次有給休暇、慶弔休暇、赴任休暇、入社時特別休暇などの各種休暇制度が整備されています。
特筆すべきは「GOO.Nすくすく休暇」という独自の制度で、子が生まれた社員に対して特別な有給休暇が付与されます。これは同社が手がける紙おむつブランド「GOO.N」にちなんだ制度名で、育児支援への積極的な取り組みを表しています。有給取得率については、Yahoo!しごとカタログのデータによると97.5%という非常に高い水準を達成しており、休暇が取りやすい職場環境が整っていることがうかがえます。
働き方については、本社部門・営業部門でフレックスタイム制を導入しています。コアタイムは10時00分から15時00分、フレキシブルタイムは5時00分から10時00分および15時00分から22時00分と設定されており、従業員が効率的に業務を進められる柔軟な勤務体制が構築されています。
教育・研修制度
大王製紙では「自ら学ぶことができる人財」の育成に力を入れており、幅広い教育・研修制度を用意しています。同社の教育制度の特徴は、社員の自主性を重視し、通信教育やeラーニングで学ぶ内容を選択できたり、公募制度を通じてやる気のある方に学習機会を提供する仕組みとなっていることです。
新入社員に対しては、ビジネスマナーや仕事の進め方といった基礎知識から、大王製紙で業務を行う上で必要となる生産品種や技術を含む専門知識まで、体系的な研修プログラムが組まれています。また、節目となるタイミングでキャリア研修を実施し、社員が自身の能力や今後のキャリアを考える機会を提供しています。
グローバル人材育成にも注力しており、次世代を担う若手社員を海外派遣し、異文化体験とともにリーダーシップ体験を積める制度があります。語学教育については、MBA国内留学制度や海外赴任者向け語学教育、通信教育費用補助(最大70%会社負担)、オンライン英会話受講費用補助(最大80%会社負担)、TOEIC受験料補助など、多様な支援制度が整備されています。
大王製紙の各種手当・補助制度
大王製紙では住宅関連制度のほかにも、従業員の生活をサポートする各種手当・補助制度が充実しています。これらの制度は、従業員の経済的負担を軽減し、安心して働ける環境づくりに貢献しています。
制度・手当名 | 内容 | 対象者 |
---|---|---|
住宅手当 | 基準内家賃の場合、自己負担8,000円〜/月(年齢により異なる) | 独身者・転勤者 |
交通費 | 実費全額支給(一部新幹線通勤は個人負担あり) | 全社員 |
単身赴任手当 | 単身赴任者への手当支給 | 転勤に伴う単身赴任者 |
通信教育費用補助 | 最大70%会社負担 | 全社員 |
オンライン英会話補助 | 最大80%会社負担 | 全社員 |
TOEIC受験料補助 | 受験料補助 | 全社員 |
ベビーシッター利用補助 | ベビーシッター利用料補助 | 育児中の社員 |
特に注目すべきは、教育関連の補助制度の充実です。通信教育費用補助では最大70%を会社が負担し、オンライン英会話についても最大80%の補助があるなど、社員の自己啓発を積極的に支援しています。また、仕事と育児の両立支援策として、ベビーシッター利用補助制度や育児目的の短時間勤務制度(小学校3年生の学年末まで)など、きめ細かなサポート体制が整備されています。
大王製紙の退職金・年金制度
大王製紙では、従業員の将来の生活設計をサポートする退職金・年金制度を整備しています。退職金制度については、勤続期間と役職期間の累積ポイント制を採用しており、長期勤続を奨励する仕組みとなっています。口コミによると、20年間勤務することでポイント数の100%が支給される制度設計となっており、例えば5年で転職した場合は累積ポイント数の30%程度の支給となるケースがあるとされています。
企業年金制度についても整備されており、従業員の老後の生活安定に配慮した制度運営が行われています。また、財産形成支援として従業員持株制度、ライフプラン制度、財形貯蓄制度なども導入されており、社員の資産形成を多角的にサポートしています。
ただし、口コミの中には「退職金制度はあるが、ポイント制を採用しており満額での支給率を得るには相当な勤続年数を要する」「退職金の金額が同規模、同業種と比べて少ない」という声もあり、若年層での転職を検討する場合は退職金の支給額について事前に確認することが重要です。
大王製紙の福利厚生の評判・口コミ
大王製紙の福利厚生に関する社員の評判・口コミを見ると、特に住宅関連制度に対する満足度の高さが目立ちます。多くの社員から”最強の借り上げ社宅制度”や”家賃補助は充実している”といった好評価が寄せられており、”年収プラス100万は見込める”という具体的な効果を実感している声もあります。
具体的な住宅手当の内容について、口コミでは”東京であれば実質会社が7万円ほど負担してくれる”、”自己負担8000円と安くお得”といった声があり、地域によって差はあるものの、大幅な住居費削減効果があることがうかがえます。特に東京勤務の場合、高額な家賃負担を会社がサポートしてくれることで、若手社員の生活安定に大きく貢献しています。
一方で、改善を求める声としては、住宅手当以外の福利厚生制度について”住宅手当以外には特段、これはというものは活用した記憶がありません”という意見もあり、住宅関連以外の制度の充実を望む声も聞かれます。また、勤務地や年齢による制度の適用条件についても、より柔軟な対応を求める意見があります。
他社との福利厚生比較
製紙業界における大王製紙の福利厚生を同業他社と比較すると、住宅関連制度の手厚さが際立っています。業界大手3社との比較において、大王製紙の特徴が明確に現れています。
制度 | 大王製紙 | 王子ホールディングス | 日本製紙 |
---|---|---|---|
住宅手当 | 自己負担8,000円~/月(東京7万円補助) | 約7万円補助 | 社宅・借上住宅提供 |
有給取得率 | 97.5% | 63.4% | 公式データなし |
独身寮 | 4,000円~8,000円/月 | 寮・社宅完備 | 8畳程度個室提供 |
教育支援 | 通信教育70%・英会話80%補助 | 通信教育制度あり | カフェテリアプラン40,000円 |
特色ある制度 | GOO.Nすくすく休暇 | カフェテリアプラン50,000円 | リフレッシュ休暇・援助金 |
比較の結果、大王製紙は住宅関連制度において同業他社と比較して非常に競争力のある内容となっています。特に有給取得率97.5%という数値は、王子ホールディングスの63.4%を大きく上回っており、働きやすい職場環境が整備されていることを示しています。教育支援においても、通信教育で最大70%、オンライン英会話で最大80%の会社負担は、他社と比較して手厚い支援内容となっています。
大王製紙への転職で注目すべき福利厚生ポイント
大王製紙への転職を検討する際、福利厚生制度は重要な判断材料となります。特に住宅関連制度の手厚さは同社の大きな魅力ですが、転職時には詳細な条件確認が必要です。
転職時の福利厚生チェックポイント
転職時に確認すべき重要なポイントとして、まず住宅手当の適用条件があります。”実家からの通勤時間などが考慮される”とあるように、通勤時間や居住地の制限がある場合があります。面接時には、自身の希望勤務地における住宅手当の詳細な支給条件と金額を必ず確認しましょう。
退職金制度についても重要な確認ポイントです。口コミによると”退職金制度もあるが、ポイント制を引いており満額での支給率を得るには結構な勤続年数を要する”とあり、転職者の場合は勤続年数によって支給額が大きく変わる可能性があります。将来のライフプランを考慮し、退職金制度の詳細を事前に把握しておくことが重要です。
また、教育・研修制度の利用可能性も確認しておきましょう。中途入社者が通信教育費用補助やオンライン英会話補助などの制度をすぐに利用できるか、利用開始時期や条件について詳細を確認することで、入社後の自己啓発計画を立てやすくなります。
入社後の手続きと利用方法
大王製紙への入社が決定した後は、福利厚生制度の利用開始手続きを円滑に進めることが重要です。住宅関連制度については、入社前に希望する住居の条件や立地について人事部との調整が必要となる場合があります。特に借上社宅制度を利用する場合は、物件選定から契約手続きまで一定の時間を要するため、早期の相談が推奨されます。
健康保険組合の各種サービスや、エリエールスポーツクラブなどの福利厚生施設の利用についても、入社後に詳細な案内があります。これらの制度を有効活用することで、健康維持やワークライフバランスの向上に大きく貢献します。
教育関連の補助制度については、入社後に利用可能な研修プログラムや補助対象となる資格・講座について詳細な説明があります。自己啓発計画と合わせて、これらの制度を積極的に活用することで、キャリア形成とスキルアップを効率的に進めることができます。
まとめ
大王製紙の福利厚生制度は、特に住宅関連制度の手厚さが際立っており、転職検討者にとって大きな魅力となっています。住宅手当では東京勤務の場合約7万円の会社負担、地方でも自己負担8,000円からという条件で、実質的な年収アップ効果が期待できます。また、有給取得率97.5%という高い数値は、ワークライフバランスを重視する転職者にとって安心できる環境です。
教育・研修制度においても、通信教育費用の最大70%補助、オンライン英会話の最大80%補助など、自己啓発を積極的に支援する体制が整っています。フレックスタイム制や「GOO.Nすくすく休暇」などの独自制度により、多様な働き方と育児支援を実現しています。
一方で、退職金制度については勤続年数による影響が大きく、転職者は事前の詳細確認が重要です。同業他社との比較においても、大王製紙の福利厚生は競争力があり、特に住宅関連制度と有給取得率において優位性を持っています。
転職を検討される方は、面接時に住宅手当の適用条件、退職金制度の詳細、教育支援制度の利用可能性について具体的に確認し、自身のライフプランとキャリア目標に照らし合わせて判断することをお勧めします。大王製紙の充実した福利厚生制度は、長期的なキャリア形成と安定した生活基盤の構築において、転職者にとって大きなメリットとなるでしょう。
出典:大王製紙株式会社 採用サイト(https://www.daio-paper.co.jp/saiyou/benefits/)、大王製紙株式会社 会社概要(https://www.daio-paper.co.jp/company/overview/)、大王製紙株式会社 教育研修制度(https://www.daio-paper.co.jp/saiyou/employee_training/)、各種口コミサイト情報